白く染まる世界   作:快晴Ⅲ

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第十二話

三宅島北方海域

「なんでそんなことを知ってるのよ。」

「私が何年前からここにいると思ってんのよ。瑞鶴がここに来るよりもずっと前からいるから、それぐらい知ってるよ。ひとまずそろそろ終わるかな。」

ほとんどが素通りしていったから全然撃ち落とせなかった。せめて半分は落としたかったな。

「そろそろ、敵艦隊に備えるよ。あれだけで防げなかったら私たちでやることになるから。」

空襲が終わるまで20分といったところかな。さっきも空襲が始まるとか言っていたし。それまでに接近されたら私たちで止める。

「直掩機の発艦急げ。本土の防空に参加せよ。終わり次第、攻撃隊の収容、再装備して再度攻撃を行う。」

「瑞鶴、悪いんだけど魚雷があと5本しか残っていない。」

「100番通常は?」

「残り2発、80番は残り3発だけ。あとは25番通常と10番反跳だけ。」

「それでもやるしかないよ。敵艦隊まであと80km、燃料は多少少なくてもいいからとにかくできるだけ積んですぐに飛ばさないと。」

「…補給を急げ。」

***

「ぜんきほきゅうかんりょう」

「了解、全機発艦せよ。」

「敵艦隊まであと50km、発艦し次第、攻撃態勢。」

弓を引き、矢を放つ。

すると、ミサイルが飛んできた。…いや、あれは墳進魚雷か。数は24発、あれで引き返してくれると嬉しいけど。

「私たちも行くよ。」

「わかってる。」

弓を背中に固定して、腰にある刀に手を掛ける。

「近接戦闘に備えよ。目標、姫級。」

 

***

 

「もう少しで空襲が終わる!終わったらすぐに墳進魚雷を発射できるようにしておけ!」

「提督!あと約30分で敵艦隊の射程に入ります!」

「おい!くうしゅうがもうすぐおわるぞ!」

「分かった!墳芯魚雷発射準備!」

「げーとをはかいしろ!」

 

「はんしゅつかんりょう!」

「よし!三八式長射程墳進対艦魚雷、発射!」

轟音、発射されたのだろう。せめて戦艦と重巡まで沈めたいけど24発だけでは難しいかもしれない。

「墳進器、分離します!」

「ちゃくすいまであと30びょう!」

「これで、お願いします!」

「ぎょらい、ちゃくすい!ちょくげきまであと10びょう!」

「ちょくげき、いま!」

「どうだ!」

 

***

 

「魚雷直撃を確認。」

「魚雷も当たったし、そろそろ行こうか。」

抜刀し、速度を上げて敵艦隊に突撃する。狙いはただ一隻、旗艦の姫級のみ。護衛の駆逐艦が妨害に来るけど、そんなものは無視、砲身の向きから進路を予想して射線からずれ、高角砲で砲撃。重巡以上の大型艦が来たら非装甲部分、つまり人体の部分を狙って切る。

「瑞鶴!右!」

いつの間にか姫級が瑞鶴の右側にいた。やっぱりノーマルとは違って速い。力も段違いに強いから一発でももらったらアウトだ。

「オ前ラハ先ニ言ッテロ。」

二対一か。でも正直まじめにやらないと二人掛かりでも殺される。刀を構えなおし、向き合う。反対にいる瑞鶴と目で合図をしあい、私が先に前に出て距離を詰める。狙いは鼻先、だが、単純に行くだけでは簡単に防がれる。フェイントを入れながら近づき、突き出すが、腕の防具で簡単にはじかれる。左から蹴りが来たからダッキングでかわす。少し体が回転したところに瑞鶴が接近、これも防がれた。今度は瑞鶴と一緒に行く。瑞鶴が先行して、私が瑞鶴の後ろにつく。瑞鶴の後ろに隠れ、近づいた瞬間、全力を叩きこむ。瑞鶴が左にそれたから右に出る。ようやく相手の左腕に届いた。すれ違う直前に爆弾を一発投げる。閃光弾で相手の目をつぶす。もう、かなり暗くなってきているからかなりまぶしくなるだろう。振り返って、今度は余っていた25番爆弾を投げる。爆発。

「瑞鳳!行くよ!」

後ろには巨大な艤装があるから前に回り込んで再び攻撃するが、さすがは姫級。すぐに反応して、瑞鶴を右腕で吹き飛ばした。私は無視するが、突然主砲が目の前に現れて砲撃される。砲撃の爆風で体が吹き飛び、海面に叩きつけられる。その直後に高角砲で目を狙って砲撃、当然、目を守るために腕が上がり腹が空き、爆炎などで視界がふさがるから瑞鶴が接近して腹に刀を突きさして、そこに爆弾をねじ込み、私が再び砲撃する。

「正直、決定打に欠ける。弾薬庫に誘爆させないと無理か。」

「やっぱり姫級は強いねー。せめて80番があればよかったんだけど。」

「ないものねだりはしても無駄よ。ほら、煙が晴れた。相当怒っているわね。」

「ちょっと手を抜きすぎたかな。さすがに全力でやらないと。これ以上時間をかけられない。」

「敵はもうかなり離れてる。これからは夜戦になるから、私たちは離れた方がいいかもね。」

「別に航空機がなくても、今みたいに戦えるでしょ。」

「確かにね、そろそろ終わらせるわよ。」

二人で構えなおす。相手の腹からは青黒い液体、私たちで言う血液が流れ出ている。あまり長くはもたないだろうが、完全にキレたやつほど怖いものはそうそうない。

「行くよ。」

 

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