白く染まる世界   作:快晴Ⅲ

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第十四話

刀を正面に構えて、相手をにらむ。もう、全身が痛い。でも、あんな環境にいたから、この痛みも少し、新鮮で気持ちいい。生きてる感じがする。これまでも何度も接近したけどほとんど攻撃が届かない。あんな奴の直撃は一撃で私たちを沈める。それが怖い。こっちはもうかなりボロボロなのに、あっちはまだ余裕そうだ。いや、実際余裕なのだろう。こちらの攻撃はほとんど届かないが、あっちの攻撃は一撃で私たちを沈められる。もう、離脱も不可能だろう。ここで沈めないと私たちが沈むし、本土に、どれだけの被害が出るかわからない。時間を掛ければかけるほど、私たちが不利になっていく。それに、敵にはめられた。まさか、あの艦隊ですら陽動だったなんてね。おかげで、あの艦隊にほとんどの物資を使っちゃった。もっと、格闘戦をして、物資を温存すればよかった。しかも、あの姫級を沈めた直後の奇襲。完全に、不意を突かれた。こんな最悪なことがほかにあるの?異常個体が二体だなんて。少し苛ついて舌打ちをする。

「アラアラ、汚イワネ。フフッ、デモ、アナタ達、スゴイワ。」

敵にすごいといわれるなんて、うれしいね。でも、今の状況で言われると嫌味にしか聞こえない。今の状況は絶望的。以前負けた異常個体が相手、しかも二隻。さらに、こちらはほとんど何も持っておらず、全力も発揮できない。勝てるわけがない。それに、異常個体が相手でも完勝できる白霜さんは今はソロモンにいるから、前みたいなことは起きない。ここで沈むかもね。沈んだら、それが運命だってことか。

「一体ずつ処理しよ。まずはあの航空戦艦から。」

瑞鶴がうなずき、飛び出す。少し遅れて私も飛び出す。瑞鶴が隣の駆逐艦に一瞬だけ接近し、駆逐艦が少し離れる。すると、航空戦艦の後ろに回り込んで、大きく振りかぶり、刀を逆手に持ち帰る。よけられたが、右肩に刺さり、姿勢が崩れる。私はそのすきに爆弾を二つ投げる。一発は閃光弾でもう一発はすでに信管を起動させた遅延信管の25番爆弾。まず閃光弾が起爆し、強い光があふれ、周囲を照らす。続いて爆弾が起爆する。その爆炎に突っ込み、切りかかるが目と首の前を腕でガードしている。まあ、まず守るべきはそこだよね。だからそこはあえて狙わない。狙いは足の付け根。そこには防具がない。刀を突きたてて、すぐに抜く。爆弾をねじ込もうとしたら、腹に強い衝撃を受けた。膝を振り上げたらしい。激しい痛みとともに空に吹き飛ばされる。ホルスターから拳銃を抜き、発砲。陸上では普通の拳銃だが、海上では違う。艤装の一部とみなされて、12.7cm砲と同等の威力を発揮する。すると、駆逐艦に砲撃された。空中でよけることはできないから、飛行甲板で防ぐ。直撃、左腕に衝撃がかかり、飛行甲板が破壊される。それでも、人体への直撃はないからかなりマシだ。着地の瞬間を狙われそうになるが瑞鶴が砲撃してそれを防ぎ、キャッチしてくれた。瑞鶴の肩越しに拳銃を打ち、すぐに飛び降りて走り出す。

「瑞鶴!」

「なに!」

「瑞鶴と一緒にいると戦いやすいね!」

「私もよ!っていうか、今言うことじゃないでしょ!」

「そう思っただけ!」

私が左に跳ね、瑞鶴が右に跳ねる。すると、二人の間に巨大な水柱が上がる。振り返ると駆逐艦が接近していた。

「私の相手は駆逐艦のほうか。」

砲撃されるがよけ続ける。反撃に爆弾を後ろに投げながら逃げる。ここに魚雷があればいいのに。ないものねだりをしても意味ないけど。当然よけられる。だが、これで距離が開いた。振り返って刀を構える。だが、ちょっと予測が甘かった。かなり近づかれていた。頭を殴られた。後ろに飛びながら衝撃を受け流すが、かなり痛い。二本目は何とか受けるが、負ける。そうしてまともに反撃できないまま後ろに下がり続ける。腕が痛い。左腕がはじかれて、体制を崩される。そこで、駆逐艦が少し離れて、攻撃の予備動作に入る。それでもかなり近いが、この距離と時間がうれしい。海面に高角砲を打つ。水柱が上がり、殴りかかってくる。そこに中段のカウンターを打った。さらに、少し押しのけてさらに砲撃、それでも来るから右にずれて左に蹴りを打ち込む。よけられたがこれでいい。瑞鶴に向かって全力で走る。駆逐艦が追いかけてくる。高角砲で航空戦艦を砲撃。瑞鶴がこちらを向いたから、後ろに向かって腕を振る。意図を察してくれた瑞鶴が砲撃、ちょうど私と駆逐艦の間に着弾し、水柱が上がる。やっぱり、瑞鶴といっしょに戦っていると、動きやすくて気持ちいい。再び振り返り、爆弾を投げ、刀を振り上げる。爆発。そして刀を振り下ろす。腕で防御しようとしたがもう遅い。刀を逆手に持ち替え、首に突き立てる。そして、再び持ち替えて切り裂いた。青黒い液体が噴出し、崩れ落ちた。死んだ。振り返り、瑞鶴の援護に行く。砲撃するが無視される。そして、航空戦艦が右手を大きく引く。そして突き出す。体が左側に開き、重心が上がっている。絶好のチャンスだ。刀を突き出し、首を狙う。だが、それに気づかれ上にジャンプされ、狙いがずれる。刺さった刀が抜けなくなり、一瞬動けなくなる。その瞬間、砲撃。強烈な爆風に吹き飛ばされ、刀が手から離れ、海上に倒れる。だが、航空戦艦の意識はこちらに向いた。それだけでいい。そして、瑞鶴が首を切り落とした。

「やった!」

生命を失い、沈んでいく体から刀を抜いた。全身が痛い。多分結構骨が折れた。

「やったよ!異常個体を沈めた!しかも二隻!」

二人で抱き合って喜んだ。以前、あったときに負けた相手、本当に悔しかった。それとは違うが、やり返せた。暗い海で、泣いた。生きていることがうれしいから。勝てたからやっぱり、沈むのは怖い。

「…帰ろうか。」

 




第十話以降の五話分、13,756文字を一気に書いていました。すごい、分かりづらくなってしまったし、長くなってしまいました。さて、この小説のオリジナル要素が少しずつ増えてきたので、そろそろ2つ目の設定を投稿しようかなと考えています。
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