白く染まる世界   作:快晴Ⅲ

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第二十話

2045年 11月11日

ブーゲンビル島

 

一面赤黒く染まった海。そして、海上に聳え立つ巨大な炎の柱。

「ブーゲンビル島の拠点の破壊に成功。」

破壊するのは、物資の揚陸地点と集積所、弾薬庫、燃料タンク、ドックの五種類の施設。これを破壊すれば、その拠点は使えなくなる。

「ここにいた戦力は正規空母と戦艦が六隻ずつか。ラバウルも同じ。前に来た時よりも、少し増強されている。やはり、補充が消耗を上回っている。永遠に終わらない。」

この二か所の拠点の破壊が、この戦争全体に、どのような影響を与えるか。短期間のうちに、この襲撃が吉と出るか凶と出るか。戦力の後退と補給のかく乱になってくれればうれしいが、もし、報復として、本土に攻撃されたらどうなるか。そういえば、後任の提督はどうなったのかな。今の横須賀に消耗戦に耐える戦力は残っていない。そこらへんも何とかしてほしいところだ。

「・・・にしても、気持ち悪いな。」

ここに来てから感じていた違和感。戦場で気を抜いたらダメなわけだが、どうしても、意識せざるを得ない気配。集中しづらいな。

「誰かが、監視してる。」

ここまで、気配も漏らさずに監視しているなら、そいつは相当な実力を持っている。どんな奴かはわからないが、これからが楽しみだ。

「ここはもう離れて、通商破壊でもしながら、帰るとするか。」

次の目標も定めなければいけない。早くしなければ、侵攻が始まってしまう。

「?」

水中の変化、わずかな水圧の変化や波の揺らぎをとらえる。潜水艦か。通報を受けて、もう来たのか?急旋回し、魚雷を回避する。すぐさま移動し、潜水艦がいると考えられる場所に爆雷を投下する。爆発が三つ。足元が揺らされる。すぐに離脱し、再攻撃に備える。

「聴音機が壊れてるから、分からんな・・・。」

海面に破片がいくつか浮かんできた。どうやら、何かしらを破壊したらしい。すると、視界にわずかな光をとらえた。発砲、その光。今度は反対側からか。

「回避」

速度を上げて、旋回。着弾、衝撃。足の速い駆逐艦と軽巡しかいないか。これ以上ここにとどまっているとどんどん集まってくるな。早く片付けてしまおう。体を向け、最大船速で接近、とはいっても27ノットしか出ないけど。ジグザグに動いて、砲弾を回避する。

「どうしようかねぇ。」

回避しきれない砲弾は空中で飛翔中に、砲弾をあてて、爆発させる。最接近して、刀で切る。一瞬で。そして、すぐに離脱する。敵が集まってくる前に。

 

***

 

「あれか・・・。」

ここ五日のうちに、拠点が二つもつぶされた。たったの五日で。ソロモンは、日本からもかなりの距離がある。なのに、だ。ラバウルのほうも、あいつだろう。

「どれだけの力を持っている。あいつからは、圧を感じられない。距離が離れているのもあるだろうが、それでもだ。不気味なほどに、静か。不気味なほどに、何もない。何もわからない。今、私が感じているのは、恐怖か?今、襲った方がいいんだろう。だが、それを押しとどめる自分がいる。これは恐怖か?本能か?あいつの実力がわからない以上、下手に手出しはできない。日本に行って、聞き出すか。日本に行けば、何かしらはわかるだろう。」

早急に倒す。そうしなければ、復讐が始まらない。

 

***

 

横須賀鎮守府

「いやー!きれいになりましたねぇ!」

「そうだな。妖精さんは本当に仕事が速い。早すぎて、ちょっと心配になるレベルだよ。」

「ちょっと、私も手伝いましたよ。」

「そうだな、明石もありがとうな。」

「これからなにを作っていきましょうか、楽しみですね!」

「あまり変なものは作るなよ?」

「それぐらいわかってますよ。」

「ああ、明石、まずはこの鎮守府にいる艦娘の艤装の整備を真っ先に終わらせてくれないか。結構ボロボロなんだ。特に、出撃回数が多かった人たちは。」

「そうですね。分かりました。まずは、いったん確認してからになりますが、故障している部品の交換と性能の向上も含めて、なるべく今日中には終わらせておきましょう。早い方がいいですよね?」

「確かに速い方がいいことには変わらんが、そこまで無理はしなくていいぞ。あと、何人か、出撃経験がゼロの艦娘もいるから、その人たちの艤装の変更はなるべく控えてほしい。あと、経験者も、いきなり艤装の性能が変わると、大変だろうから、そこも注意してほしい。」

「分かりました。では、私は早速作業を始めますね。」

「頼んだ。」

「なにをしてるんだ?」

「ああ、今な、明石に艤装の整備と改修を頼んだところだ。正直言って、ボロボロだったからな。摩耶はあの艤装を背負って、どんな感じだった?」

「かなり動かしづらかったな。最初と比べて、動きにくいし、重いし、とにかく戦いになったら不安だったよ。まともに整備させてくれなかったからな。自分でやろうとしても、設備もボロボロだし、まず知識がない。おかげで全然できなかった。」

「そうか、これからはそんなことは気にしなくていいからな。設備だって、復旧させるし、明石も妖精さんもいっぱいいる。」

「そうか。…ありがとな。」

「俺は何もやっていないよ。感謝なら、明石や妖精さんに言ってほしい。」

「…分かった。訓練は明日からか?」

「そうだな。摩耶は戦闘はできるんだよな?円卓の艦娘もいる。聞きたいことがあったら、なんでも聞いていい。俺も、全力でサポートする。ここを日本一の鎮守府にするんだ。誰も沈まないし、快適に過ごせる鎮守府に。」

「提督は本当にあたしたちのことを…」

「当たり前だ。誰一人見捨てないし、沈ませない。どうだ摩耶、俺についてきてくれるか?」

「もう少し、時間が欲しい。まだ、整理しきれていない。」

「分かってる。ゆっくりでいいからな。」

「ああ…。」

「よし、明日からだ。明日から、本格的に動き出す。この鎮守府全員で協力して頑張っていこう。」

「もう、弱音は言ってられないな。今日から気合を入れなおすか!」

「その意気だ。頑張っていこう!」

 

***

 

試作機が完成した。エンジンの試運転も終わらせた。あとは飛ぶかどうかだ。

「瑞鶴、早く飛行場に行こう。」

やはり、新しく航空機が完成した時は気分が少し高まる。

「ちょっと落ち着きなさいよ。飛行場は逃げないわよ。」

ちょっと注意されちゃった。でも、楽しみなのは瑞鶴も同じなようだ。声がいつもよりも明るい。

「そういって、瑞鶴も楽しみなんでしょ。」

「瑞鳳みたいにはしゃいではいないわよ。でも、そうね、確かに楽しみね。」

「今日のは最初は武装はゼロ、軽荷状態で、燃料も半分で飛ばして、課題がないかを確かめるだけにしよう。もしなかったら、全力状態でもやってみようか。」

「そうね。横風がない今が一番いいからね。」

 




航空機の試験飛行、もう始まります。早いね。
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