白く染まる世界   作:快晴Ⅲ

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第二十三話

2045年 11月12日

横須賀鎮守府

電話がかかってくる。

「高雄か。おはよう。」

「おはようございます。頼まれていたこと、一応まとめ終わりました。」

「そうか、ありがとう。で、どんなことが分かった?」

「三人とも、なぜか情報が少なくて・・・。建造日や戦闘詳報もあまりないんですよね。はっきり言って、少し異常です。」

「そうか・・・。一人ずつ教えてくれるか?」

「はい。まず、瑞鶴さんから。まず、建造日、建造場所は不明。現在判明している最初の資料は、断定はできませんが、2026年4月6日の仙台警備府への配属です。この資料には、海上で接触と記載されているため、海上のどこかで顕現したのだと思います。しばらくは仙台にて、任務に就き、そこを拠点にしています。その後、艦娘の増加と、戦況の有利による南方への進出もあり、2030年8月4日に、トラック諸島に配属され、到着しています。そして、2035年2月18日に、トラック泊地が壊滅し、脱出。瑞鶴さんはその後、仙台鎮守府に配属されています。2037年12月1日の仙台鎮守府の壊滅により、瑞鶴さんは、一時的に大本営の即応部隊に配属となりました。」

「ん?瑞鶴って、大本営にいたことがあるのか?」

「そうですね。ただ、話したことは一度もありません。温存されている私たちとは違って、即応部隊ですから。大本営には、ほとんどいなかったようですね。で、2039年1月5日、横須賀鎮守府に転籍となりました。」

「結構、あちこちに配属してるんだな。それに、何度も何度も泊地や鎮守府が変わってる。壊滅しても、生き残れるほどの能力を持っているってことか。」

「そうですね。第二世代の方たちと比べても、遜色ない実力はあると思います。」

「そうだな。次は、瑞鳳について教えてくれないか?」

「分かりました。まず、瑞鳳さんも同じように、建造日、場所ともに不明です。そして、最初の記録と思われるものが、2027年3月27日の志摩警備府への配属です。この記録にも、海上で接触と記載されているため、どこかで顕現した可能性が高いです。しばらくは、ここを拠点に活動していますね。そして、2030年8月4日にトラック諸島に到着、これも、瑞鶴さんと一緒です。ここで、初めて対面したのだと思います。2035年2月18日のトラック泊地の壊滅に伴い、横須賀鎮守府に転籍となり、そこからは、変わっていません。」

「じゃあ、もう10年間もここにいるのか。」

「そういうことになります。そして、この二人に関する資料で、一つ、興味深いことがありまして・・・。」

「なんだ?」

「2035年の仙台周辺への、襲撃に関することです。その時、仙台鎮守府の主力は、大湊にいて、そこで、合同訓練をしていました。瑞鶴さんは、仙台に残っていたようですね。」

「そうなのか?」

「はい。おそらく、防衛のための、最低限の戦力ということなのでしょう。」

「じゃあ、主力がいない時に、攻撃を受けたということか?」

「そうです。このときは、太平洋上の大規模な低気圧のせいで、発見が遅れてしまい、近海への侵入を許しました。」

「そのことで何かあるのか?」

「このとき、瑞鶴さんが単独で迎撃に出たそうです。」

「単独で?危険すぎるじゃないか!」

「その時、低高度衛星によって、とらえられたのは、多数の戦艦を含む、130隻の大艦隊の接近でした。瑞鶴さんは、それを単独で撃破したようです。」

「・・・は?」

いやいやいや、いくら何でも強すぎる。

「事実なのか?」

「事実です。実際に、戦闘をしている瑞鶴さんが、低高度衛星によって、とらえられています。そして、このとき、たまたま瑞鳳さんが近くにいたようで、独断で、仙台鎮守府の防衛に向かったようです。そして、80隻を超える空母機動部隊を壊滅させたようで・・・。」

「一人で?」

「一人で。」

「強すぎるだろ・・・。」

「この二人で、仙台鎮守府の主力と増援が車で持ちこたえたようです。」

「どうして、仙台は壊滅したんだ?」

「単純に、数が多すぎたのと、物資が足りなくなったようです。」

「そういえば、この前の襲撃で、あの二人が、異常個体を二体、撃破したようだが、その話は聞いたか?」

「はい。聞きました。確認されている異常個体の中でも、弱い方でしたが、もしかしたら、第一世代と同じくらいの強さを持っているのかもしれないです。」

「ますます、分からなくなってくる。どうして、それほど強いのに、認知されてこなかったんだ。」

「おそらく、提督が隠していた可能性がありますね。これだけ強い艦娘は、自分の手元に置いておきたいというような。」

「おかげで、情報が少ないのか?」

「それもあるでしょうね。それに、この二人が配属していたところは、結構ブラックな環境だったようです。提督の私利私欲に使われていた可能性も・・・。」

「どれだけ過酷な環境で生き残って来たんだ・・・。並外れた実力でない限り、生き残れないぞ。」

「以前の横須賀鎮守府でも、生き残っていますからね。」

「そうだな・・・。分かった。じゃあ、最後に、白霜について頼む。」

「分かりました。しかし、この・・・、艦・・・息?は、とにかく情報がないです。まず、2032年5月5日、リンガ泊地の設置と同時に、配属となっています。先ほどの二人のように、建造日、場所はわかりません。この人は、しばらくはリンガ泊地から、離れていませんね。そして、2032年の泊地の設置から、2044年末までに、四回、泊地が壊滅し、そのすべてを生き残っています。」

「なに?壊滅しすぎじゃない?」

「まあ、あそこはかなりの激戦地ですし、インド洋からの攻撃も来ますからね。大変なんでしょう。」

「リンガ泊地の生き残りはほかにもいるのか?」

「はい。います。ただ、脱出できたのは5隻、現在は二隻にまで減り、馬毛警備府に配属されています。」

「それだけしかいないのか・・・。なあ、確か、リンガ泊地から脱出してきた艦隊が日本本土に到着したのは10月30日だよな?」

「そうですね。ただ、壊滅した正確な日時は分かっていません。」

「白霜がここに配属になったのは、年明けの1月14日だ。壊滅は、だいたい9月か10月頃だろう。そうなると、壊滅から一か月以上経過している。この間は何なんだろうな?」

「それは・・・分からないですね。リンガ泊地から本土までは、だいたい一週間ぐらいのはずなんですが・・・。」

「結局、よくわからないことばっかりだな。情報そのものが少ないのか?」

「はい。軍の機密情報にもアクセスしましたが、何もありませんでした。」

「だったら、機密の可能性も低いか・・・。」

高雄は、大規模作戦の立案を行うこともあるため、機密レベルの高い情報にもアクセスできる。それでも情報がないのなら、ただただ、情報自体がないことになる。

「力になれず、申し訳ありません…。」

「いや、問題無いさ。俺からも、三人に聞いてみるよ。」

「お願いします。」

さて、どうやって聞き出そうかな。そう考えていると、ドアがノックされた

「誰だ?」

「航空母艦、瑞鶴よ。」

「同じく、航空母艦、瑞鳳です。」

「入っていいぞ。」

ちょうどいいタイミングだな。

「何か用か?」

 

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