白く染まる世界   作:快晴Ⅲ

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第二十五話

奄美諸島近海

「あーあ、天気が悪くなってきたなあ。」

「うわあ、これは大変な任務になりそうだ。」

「汚染海域の偵察だけでもいやすぎるのに、視界まで悪くなるとはね、ついてなさすぎるでしょ・・・。」

「はぁ、とっとと終わらせましょ。」

「ひとまず、天候の悪化は、提督に伝えておきますね。」

「よろしくー。」

「汚染海域が近くて、海が変化しやすいなあ。」

「波が高くなってきましたね。陣形を乱さないように注意してください。」

「・・・あれ?」

「どうしたの?」

「通信がつながりません。電波妨害を受けているのでしょうか・・・?」

「一度引き返そう!風も波も、どんどんひどくなってるし!」

「そうですね、全艦隊、転身!」

陣形を維持したまま転身する。雨が降り出してきた。視界がどんどん悪くなっていく。

「ねえ!流石におかしくない!?あまりにも急すぎる!」

「汚染海域が近いから仕方ないでしょ!」

「皆さん、落ち着いてください!急いで嵐を抜けましょう。」

艦隊の速度を上げ、海域からの離脱を試みる。すると突然、空が晴れた。

「なにが起こっているの・・・?」

「榛名さん、通信を急いで!」

「やっていますが、全くつながりません。」

「これも、汚染によって引き起こされてるわけ?」

「ねぇ、ちょっと、冗談よね・・・?」

駆逐艦、霞が声を上げる。顔を上げると、海が、赤黒く変色していた。

「嘘・・・。」

「ここって、さっき通ったばっかりだよね・・・。」

「ねえ、あそこに誰かいる。」

「行ってみよう!遭難艦かもしれないし!」

海上に立っている艦娘に近づく。白い服を着て、背中には、艤装を背負っている。袖口は、青黒く染まり、艤装はところどころ錆びており、マストが折れている。近づいても、全く動かない。

「あなたは、誰ですか・・・?」

声をかけても、無反応。

「誰か、この人を知っている人は・・・」

重巡洋艦、古鷹が、全員に声をかけるが、手を挙げる人は一人もいない。

「その様子だと、誰も知らないようだな。こっちのほうじゃなかったか。」

不意に、後ろから声が聞こえた。

「誰だ!」

「まあまあ、そんなに驚かなくても。」

そこに、誰かがいる。でも、姿をとらえられない。赤い霧が発生している。声は、そこから聞こえる。

「ちょっと、そいつについて、教えてもらおうと思ったんだけどな、知らないならいいや。」

轟音、爆発。一瞬で、六人が吹き飛ばされた。

「全艦、武装の自由使用を許可!応戦します!」

赤い霧に向けて砲撃した。したはずが、そこには、何もない。

「遅いなぁ。そんなんじゃ、何もできずに終わっちゃうよ?」

「きゃああああ!」

後ろから砲撃され、吹き飛ばされる。一瞬で大破に追い込まれる。

「これが・・・、魔女!」

魔女が、金色の、巨大な斧を振り上げる。

「おらああぁぁああ!」

斧が、横に弾かれる。駆逐艦、長波だ。そのすきをついて、砲撃。周りの人も一緒に砲撃する。着弾して、一瞬だけ、霧が晴れた。そのすきに離脱する。

「今のは、なかなかよかったね。」

「ダメだ、全然効いていない。」

一度、呼吸を整え、構えなおす。だが、その時間が敵に隙を与えることになってしまった。

「そんなことをしてる暇があるのかな~?」

爆発、自分の艤装からだ。弾薬庫まで貫通された。艤装から激しい煙が上がり、何も見えなくなる。その隙間から、剣が迫る。

「あ・・・」

「そんな・・・」

 

海は、静かに波立ち、揺れ続ける。青く、美しかった海は、赤く、暗く、染まる。空は、再び雲が覆い隠し、暗闇に沈む。

「つまらない…。」

 

***

 

2045年11月12日 16:30

佐世保鎮守府所属

戦艦 榛名、日向

重巡洋艦 古鷹、加古

軽巡洋艦 天竜、龍田、夕張、

駆逐艦 吹雪、白雪、初春、子日、夕雲

 

大隅泊地所属

重巡洋艦 青葉、衣笠

軽巡洋艦 長良、五十鈴

駆逐艦 霞、長波

 

合計18隻、通信途絶、行方不明

 

***

 

翌13日 07:28

奄美諸島を中心に、半径約140kmの、大規模な赤色汚染海域の形成を確認。現在拡大中。多数の深海棲艦の発生も確認。

 

迅速なる浄化の実施を求む。

 

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