白く染まる世界   作:快晴Ⅲ

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第二十九話

九州 本土絶対防衛線付近

「作戦の概要は以上だ。何か質問はあるか?」

「私たちは、絶対防衛線で耐え続ければいいのね?」

「そうだな。呉や舞鶴からも増援が来る。絶対防衛線まで誘導し、そこで耐え続けてくれ。あとはレールガンで殲滅する。」

「でも・・・、そんなに誘導されてくれるかしらね?」

「そこはうまくやってほしい。一気に下がるのではなく、押し込まれているような感じで、少しづつ後退してほしい。」

「分かったわ。」

「もう少しで会敵するだろう。通信はここで切る。全力で戦え。健闘を祈る。」

そういって、通信を切られた。ここは、海岸線から70kmの地点。本土絶対防衛線から20kmの位置。絶対防衛線は、海岸線から50km、敵艦の砲撃が届かない位置かつ、レールガンでの砲撃で、十分効果のある威力と精度を出せるギリギリの距離だ。

「大丈夫かしらね。」

今回の戦闘は、戦力差が大きい。そして、基本的に逃げながらの戦闘、押し込まれたら一瞬で戦線が崩壊する。

「敵艦隊との距離と速度差の管理が大変ですね。水雷戦隊だけで敵水雷戦隊の足止めができるとは思えません。巡洋艦も前に出した方が・・・。」

「戦艦二人だけじゃ足りないでしょ。」

「確かにそうかもしれませんが、敵にも、多数の巡洋艦がいます。前に出せば、水雷戦隊の支援もできますし、巡洋艦どうしで打ち合えば、戦艦二人でも十分だと思います。」

「確かに、私たちの負担は減らせるし、水雷戦隊も楽に戦えるでしょうね。それでも、後方に戦艦二人だけしかいなくなれば、巡洋艦まで突破した敵を抑えられなくなる。そうなってしまうと、この作戦は成り立たなくなるわ。それに、戦力が前に出すぎると、後退が遅れるわよ。それに、基地航空隊の支援もある。無理に前に出す必要もないわ。」

「・・・大丈夫でしょうね。」

航空隊の数なら勝っているはずだ。稼働機は約90,000機、沖縄からも来るかもだけど、ほとんどは空母艦載機のはずだ。正規空母に80機、護衛空母に30機だとすると、8820機。おそらく、勝てる。それにレールガンだってある。魔女には効かないけど、普通の奴らや異常個体には通用する。後ろの方から轟音が聞こえてきた。振り向くと、空を覆いつくさんとばかりの航空機。開戦は近い。気を引き締め直した。すると、ひときわ大きな影。あれは・・・何だ?F-2?いや、F/A-18もいる。なぜ?現代兵器は深海棲艦、いや、私たちのような存在とは相性が悪すぎるのに・・・。少し低空を飛んでいるF/A-18を見つけたため、双眼鏡で覗いてみる。すると、なぜここにいるのかに納得した。対小型UAV用自立誘導迎撃機、それを大量に搭載している。あれの母機としてここに来たのだろう。

「航空隊の編制を見ると、爆撃機と雷撃機が多いですね。あれに対空戦闘をさせるつもりなのでしょうか・・・?」

「おそらくね・・・。でも、長くはもたないでしょうね・・・。」

「航空隊、交戦を開始しました!」

通信から、戦闘開始の報が入って来た。自立誘導迎撃機が次々と放出される。

「いよいよね。」

「気を引き締めていきましょう・・・!」

 

***

 

対馬

「・・・私たちは今回もここで待機ですか・・・。」

「はい。日本海の蓋を開けるわけにはいきません。日本海には戦力が少ないうえ、日本の生命線ともいえる最後の海上交通路があります。対馬海峡を突破させてはいけません。」

「でも、今回の進行はこれまでとは規模が違います。ここで私が出なかったら、一体どこで戦うことになるんでしょうか?」こっちのほうに来る敵も、ほとんどが佐世保鎮守府が沈めますし。」

「ここは、そしてあなたは、日本海への最後の砦です。今回の侵攻は、防衛線が突破される可能性も大きいです。舞鶴の戦力も多くが出払っている。それに、日本海沿岸には、レールガンがほとんど配備されていません。もしも、まとまった数の敵に突破されてしまったら、誰も止められなくなってしまいます。不安な気持ちもわかります。ですが、ここはどうかこらえてください。」

「・・・分かりました。」

 

***

 

横須賀鎮守府

「帰ってきて早々に悪いけど、入渠してもいいかしら?」

「どこか怪我したのか?」

「流石に艤装を直したくてさ。今回ばかりはやばそうだから。」

「まあ、いいぞ?勝手にしてても別に構わんが。」

「一応確認よ。前のやつはうるさかったからね。」

「そうか・・・。瑞鳳は?」

「色々片付けてる。試験用の装備とか持ってったからね。」

「その試験ってのはどうだった?」

「まあ、まずまず、って感じ。状況に何か変わったことはある?」

「30分前に敵艦隊との交戦が始まった。今のところ作戦通りにいってる。それ以外に特に変わったことはないな。」

「そう・・・、ならいいけど。」

「?何か気になることでもあるのか?」

「おかしいでしょ。これだけの侵攻、向こうは、かなり本気でこちらをつぶしに来てる。でも、それが沖縄とかフィリピンからしか来ないなんて、ね。」

「それはこちらでもわかってる。今は九州に戦力を集中させている。おかげで東日本は空っぽだ。そこにあれだけの敵に攻め込まれたらひとたまりもない。そのために円卓の艦娘をここに残しているともいえる。」

「まあ、確かにそうね。今の状態で、あれだけの敵に攻め込まれたら、私たちでも負ける気がするよ。航空機も少ないし。」

「他に何か対策は?」

「神奈川と千葉の沿岸にできる限りのレールガンと高射陣地の設置を行っている。あとはミサイルと墳進魚雷の配備。そして、全国に非常事態宣言を発令した。それぐらいだな。」

「分かった。教えてくれてありがとう。」

「どういたしまして。入渠が終わったら、二人も戦いに備えてくれ。」

「その備えが無駄に終わることを望むけどね。」

「全くだ。」

「あ、そうだ。円卓の騎士との闘いの件はどうする?」

「中止するにきまってるだろ。」

「ん、分かった。じゃ。」

この侵攻で、一体どれほどの被害が出るか。場合によっては、今後の反撃にも支障が出る。今できることを、最大限やるだけだな。そこに電話がかかってきた。

「はいこちら横須賀鎮守府、・・・・・・え?」

***

「使っていいよって言ってた。あと円卓の騎士との闘いはなしだって。」

「そう・・・。どうするの?」

「第一と第二を使うしかないかなぁ?」

「それしかないね」

 

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