九州 本土絶対防衛線付近
「作戦の概要は以上だ。何か質問はあるか?」
「私たちは、絶対防衛線で耐え続ければいいのね?」
「そうだな。呉や舞鶴からも増援が来る。絶対防衛線まで誘導し、そこで耐え続けてくれ。あとはレールガンで殲滅する。」
「でも・・・、そんなに誘導されてくれるかしらね?」
「そこはうまくやってほしい。一気に下がるのではなく、押し込まれているような感じで、少しづつ後退してほしい。」
「分かったわ。」
「もう少しで会敵するだろう。通信はここで切る。全力で戦え。健闘を祈る。」
そういって、通信を切られた。ここは、海岸線から70kmの地点。本土絶対防衛線から20kmの位置。絶対防衛線は、海岸線から50km、敵艦の砲撃が届かない位置かつ、レールガンでの砲撃で、十分効果のある威力と精度を出せるギリギリの距離だ。
「大丈夫かしらね。」
今回の戦闘は、戦力差が大きい。そして、基本的に逃げながらの戦闘、押し込まれたら一瞬で戦線が崩壊する。
「敵艦隊との距離と速度差の管理が大変ですね。水雷戦隊だけで敵水雷戦隊の足止めができるとは思えません。巡洋艦も前に出した方が・・・。」
「戦艦二人だけじゃ足りないでしょ。」
「確かにそうかもしれませんが、敵にも、多数の巡洋艦がいます。前に出せば、水雷戦隊の支援もできますし、巡洋艦どうしで打ち合えば、戦艦二人でも十分だと思います。」
「確かに、私たちの負担は減らせるし、水雷戦隊も楽に戦えるでしょうね。それでも、後方に戦艦二人だけしかいなくなれば、巡洋艦まで突破した敵を抑えられなくなる。そうなってしまうと、この作戦は成り立たなくなるわ。それに、戦力が前に出すぎると、後退が遅れるわよ。それに、基地航空隊の支援もある。無理に前に出す必要もないわ。」
「・・・大丈夫でしょうね。」
航空隊の数なら勝っているはずだ。稼働機は約90,000機、沖縄からも来るかもだけど、ほとんどは空母艦載機のはずだ。正規空母に80機、護衛空母に30機だとすると、8820機。おそらく、勝てる。それにレールガンだってある。魔女には効かないけど、普通の奴らや異常個体には通用する。後ろの方から轟音が聞こえてきた。振り向くと、空を覆いつくさんとばかりの航空機。開戦は近い。気を引き締め直した。すると、ひときわ大きな影。あれは・・・何だ?F-2?いや、F/A-18もいる。なぜ?現代兵器は深海棲艦、いや、私たちのような存在とは相性が悪すぎるのに・・・。少し低空を飛んでいるF/A-18を見つけたため、双眼鏡で覗いてみる。すると、なぜここにいるのかに納得した。対小型UAV用自立誘導迎撃機、それを大量に搭載している。あれの母機としてここに来たのだろう。
「航空隊の編制を見ると、爆撃機と雷撃機が多いですね。あれに対空戦闘をさせるつもりなのでしょうか・・・?」
「おそらくね・・・。でも、長くはもたないでしょうね・・・。」
「航空隊、交戦を開始しました!」
通信から、戦闘開始の報が入って来た。自立誘導迎撃機が次々と放出される。
「いよいよね。」
「気を引き締めていきましょう・・・!」
***
対馬
「・・・私たちは今回もここで待機ですか・・・。」
「はい。日本海の蓋を開けるわけにはいきません。日本海には戦力が少ないうえ、日本の生命線ともいえる最後の海上交通路があります。対馬海峡を突破させてはいけません。」
「でも、今回の進行はこれまでとは規模が違います。ここで私が出なかったら、一体どこで戦うことになるんでしょうか?」こっちのほうに来る敵も、ほとんどが佐世保鎮守府が沈めますし。」
「ここは、そしてあなたは、日本海への最後の砦です。今回の侵攻は、防衛線が突破される可能性も大きいです。舞鶴の戦力も多くが出払っている。それに、日本海沿岸には、レールガンがほとんど配備されていません。もしも、まとまった数の敵に突破されてしまったら、誰も止められなくなってしまいます。不安な気持ちもわかります。ですが、ここはどうかこらえてください。」
「・・・分かりました。」
***
横須賀鎮守府
「帰ってきて早々に悪いけど、入渠してもいいかしら?」
「どこか怪我したのか?」
「流石に艤装を直したくてさ。今回ばかりはやばそうだから。」
「まあ、いいぞ?勝手にしてても別に構わんが。」
「一応確認よ。前のやつはうるさかったからね。」
「そうか・・・。瑞鳳は?」
「色々片付けてる。試験用の装備とか持ってったからね。」
「その試験ってのはどうだった?」
「まあ、まずまず、って感じ。状況に何か変わったことはある?」
「30分前に敵艦隊との交戦が始まった。今のところ作戦通りにいってる。それ以外に特に変わったことはないな。」
「そう・・・、ならいいけど。」
「?何か気になることでもあるのか?」
「おかしいでしょ。これだけの侵攻、向こうは、かなり本気でこちらをつぶしに来てる。でも、それが沖縄とかフィリピンからしか来ないなんて、ね。」
「それはこちらでもわかってる。今は九州に戦力を集中させている。おかげで東日本は空っぽだ。そこにあれだけの敵に攻め込まれたらひとたまりもない。そのために円卓の艦娘をここに残しているともいえる。」
「まあ、確かにそうね。今の状態で、あれだけの敵に攻め込まれたら、私たちでも負ける気がするよ。航空機も少ないし。」
「他に何か対策は?」
「神奈川と千葉の沿岸にできる限りのレールガンと高射陣地の設置を行っている。あとはミサイルと墳進魚雷の配備。そして、全国に非常事態宣言を発令した。それぐらいだな。」
「分かった。教えてくれてありがとう。」
「どういたしまして。入渠が終わったら、二人も戦いに備えてくれ。」
「その備えが無駄に終わることを望むけどね。」
「全くだ。」
「あ、そうだ。円卓の騎士との闘いの件はどうする?」
「中止するにきまってるだろ。」
「ん、分かった。じゃ。」
この侵攻で、一体どれほどの被害が出るか。場合によっては、今後の反撃にも支障が出る。今できることを、最大限やるだけだな。そこに電話がかかってきた。
「はいこちら横須賀鎮守府、・・・・・・え?」
***
「使っていいよって言ってた。あと円卓の騎士との闘いはなしだって。」
「そう・・・。どうするの?」
「第一と第二を使うしかないかなぁ?」
「それしかないね」