堤防の先端にある灯台の上に上り、双眼鏡を構える。遠くで訓練をしている艦娘たちが見える。
「頑張ってるなぁ。」
時折、砲煙が見え、水柱が上がる。どれだけ戦えるようになったか。もし、戦闘になったら、みんな生きて帰ってくることはできるのか。彼女たちの戦闘能力と、自分の指揮能力が問われる。自分自身、数年間最前線から離れていた。能力は明らかに落ちているだろう。図上演習をやっていても、しっくりこない感じが多い。自分のせいで艦娘を失うのが怖い、そう思って、提督から逃げ続けてきた。
「何をしてたんだろうな、俺は。」
もっと早く行動していれば、もっと早く勇気を出していれば、この状況は作り出されなかったかもしれないのに。彼女たちは、あの地獄のような環境を乗り越えている。俺はまだまだ弱いな。
***
「どうしたんですか?」
電話越しに高雄ちゃんの声が聞こえる。
「ちょっと、変なことを聞いて、調べてほしいことがあるんだけど。」
「なんでしょう?」
「さっき、瑞鳳さんが、艤装の改造をしたって言ってたんだけど、私たち以外に艤装を改造したなんて聞いたことがないのよね。」
「改装とは違うのですか?」
「多分違う。それに、艤装に触らないでほしいって言ってました。何かしら特殊な改造を施しているのなら、あまり他人にいじってほしくないのかなって思うの。」
「でも、艦として受けた改装以外の、特殊な改造をすれば、規模にもよるけど、扱いにくくなるはずですけど・・・。」
「私も、見させてもらってないからあまり言えないです。で、調べてほしいことが、何処で、どのような改造を受けたのか。ここの前任がやるとは思えないし。だとしたら結構前の話になりそうで・・・。」
「わかりました。ですが、あまり期待はしないでください。」
「なんでですか?」
「先日、樹希君にも、同じことを頼まれたんですよ、それで、できる限りの調査をしたのですが、情報自体が異常なほどに少なくて、これまでに所属していたところの戦闘詳報もすべて見たのですが、全然名前が載っていませんでした。そして、改造どころか、改装の記録すらなかったです。どこか見落としている可能性もありますので、もう一度調べていますが、新しい情報は見つかっていません。」
「そうですか・・・。あと、もう一つ、いいですか?」
「なんでしょう?」
「鎮守府の倉庫を整理していたところ、なぜかアメリカ製の装備が出てきまして、艦娘にかかわるアメリカ製の装備の輸入履歴はあるのか、ということを。」
「どんなものがあるんですか?」
「Mk33、3in砲とか、SGレーダーとか。あと、海軍では使われていなかった12,7mm機銃とかが。それに、数が少なすぎるんですよね。艦隊全体に配備するには。」
「んー、わかりました、調べてみますね。」
「ありがとうございます。」
「では。」
というか、Mk33、3in砲とか、戦後じゃないですか?なんでそんなものがあるのでしょうかねぇ。前任がこんなことをするとは思えませんし。樹希君が着任してからそんな時間は経っていませんから。それに、少し損傷してる。これは、誰かしらが使ったことがあるようですね。あとで、皆さんにも聞いてみましょうか。
***
「あのー。すみません、ちょっといいですか?」
「はい?」
「皆さんの中で、アメリカ製の装備を使っている方っていますか?」
「いえ・・・、いないと思いますよ?どうしたのですか?」
「倉庫にアメリカ製の装備がいくつかあって・・・。そのうちのいくつかは戦後の装備でして、誰が使っているのかなーと。」
「そんなものあったかな?」
「はい、数は少ないですけど。」
「全く見当がつきません。別に、アメリカ国籍の艦娘がいるわけでもないので。」
「製造ラインもないですよね?」
「はい。ただ倉庫に置かれていただけです。損傷しているものもあるので、誰かが使っていた可能性はありますね。」
「じゃあ、輸入品?数はどれくらいなの?」
「数に関しては、2、3人分といったところですね。輸入かどうかに関しては、今、大本営にいる高雄ちゃんに調べてもらっています。」
「数が少ないってことに関しては、沈んでしまったで説明はつくけど、そもそも使っていないからなぁ。」
「円卓の騎士の皆さんは?」
「いやー?私たちも使ってないよ?基本的に日本製の装備。そもそも、アメリカと日本をつなぐ航路は今、ものすごく限られてるおかげで、交流自体、ほとんどされていないんだ。空路もあるけど、深刻な輸送機不足に直面してる。日本ではほとんど使われない装備をわざわざ持ってくる必要もないから、輸入もないと思う。」
「考えたくはないけど、密輸、っていう可能性もゼロではないわね。ただ、すべての装備品が貴重な今、勝手に持ち出されるほどずさんな管理が行われているとは考えられないけど。」
「分かりました。ありがとうございます。あとで、樹希君にも聞いてみます。高雄ちゃんからの結果と、樹希君の判断次第では、処分しますが、いいですよね?」
「・・・はい。分かりました。別に、私たちが使っているわけではないので。」
「分かりました。それでは。」
一週間ほど、体調不良で、執筆を休んでいました。投稿間隔が大幅に開いてしまい、申し訳ありません。今は、、ほぼ回復しました。そして、これからしばらくの間は、大会やテストで、非常に忙しくなります。おそらく、6月の末までは、投稿頻度の低下や文章量の減少など、これまでどおりの投稿ができなくなります。落ち着いたら、これまでどおりのペースで投稿していきますので、よろしくお願いします。