「ああ、翔鶴ならね、ここ1年で8回出撃したんだけどさ、そのうちの5回で航空隊を壊滅させて、総入れ替えしてるんだよね。おかげで俺達の間じゃ、戦闘の時は翔鶴には乗るな、なんて言ってたよ。いつ死ぬかわからないから。」
「うん。航空隊を壊滅させまくるし、それでいて一向に成長する気配がないから、出撃を止められてた。あそこで奉仕してたのも、それが原因の一つ。ま、理由の大部分は前任の好みだったからだけど。」
案内されてきたのは、飛行場に併設されている、破壊された第三整備場の廃墟の一角。そこには5個航空隊相当の飛行妖精さんがいた。そして、その中でまとめ役をやっているであろう3人が前に出てきた。
「最初はさ、まともな訓練もしてなかったから仕方ないけど、三回目四回目になっても変わらないから。ここにいた航空隊はほぼほぼ翔鶴に使いつぶされちゃったよ。この中の一部、僕たちはかなり前からいるけど、こんなにひどい艦娘を見たことがない。多くの仲間が死んだ。運よく救助されたのもいるけど、極少数だ。今はまともに訓練すらできなくて、新人の育成どころか僕たちの練度維持すらできない。みんな言ってるよ。第三航空戦隊・第五群がうらやましいって。」
「ここにはもう、旧式しか残っていなかったからな。今の戦場でまともに戦力になるような航空機は4機しか残っていない。後は九三式ぐらいだな。時々瑞鶴と瑞鳳にこっそり乗せてもらって訓練をさせてもらってたが、この1年の飛行時間はせいぜい150時間ぐらいしかない。」
「ん?どういうことだ?ここに残っている航空機はあの空母二人のと、戦艦や重巡の水上機だけだったんじゃないのか?」
「二人が記録を改ざんし続けてくれたんだよ。あいつらに航空機が残っていることがばれると、まともに戦えない航空機で出撃させられることになってた。本当にあの二人には頭が上がらない。」
「ホントに。後は第三整備場が壊滅してくれてよかった。新しい航空機が作られたらそれはそれで大変だしね。」
「そうだな。俺達はともかく、新人なんかじゃ戦えない。いい的になるだけだ。その代わりに、航空機の整備が全くできなくなったがな。」
「ホントにね。今この鎮守府でまともな航空機の整備ができるところは奇跡的に残って、設備を少し移した第三整備場付属第三倉庫と瑞鶴と瑞鳳の格納庫だけ。」
「航空機もない。会っても練度が低すぎる。こんな状態じゃ戦うこともできないよ。」
「だから昨日までの翔鶴の訓練には新人を出してたんだ。」
「で、提督達がここに来た理由、なんとなく想像はついてるけど、そろそろ行ってくれないかな。」
「そうだな・・・、今、本土に深海棲艦の大艦隊が迫っている。他からの増援は期待できない。だから、この鎮守府の総力を持って迎撃する。そのために翔鶴も出撃させたいから、一緒に戦ってほしい。」
「断る。」
「同じく。」
「俺もだ。」
「そこを・・・何とか。」
「無理だ。無理だといったら無理だ。すまんが出撃なんてできない。」
「あの二人に載せてくれるんだったら、検討してもいいけど、これ以上負担を掛けたくない。」
「いいわよ?載せてあげても。」
「いやいつの間に⁉」
「なんとなく会話の内容は理解できた。練度の高い7人は載せてあげる。それ以外は無理。だけど問題は・・・」
「機体、だね。ここにあるのはほとんどが旧式。練度では覆せないほど差が開いてる。一方的に墜とされるよ。」
「ああ、少し残っているが7機もないし、損傷してて全力は出せないだろう。」
「・・・残っている機体は?」
「零式艦上戦闘機二一型。」
「一部損傷あり。」
「厳しいか・・・。」
「ねぇ瑞鳳、何かないの?」
「・・・・・・」
「なにかはありそうな顔をしてるな。」
「ないことはない。だけど、いつからあるものなのか分からないし、動くかどうかもあやしい。」
「それでもいい。なにがある?」
「北側第一バンカー第四区画に紫電が9機ある。だけどここ数年間完全に放置してたから、繊細な誉を搭載してるのもあって動かないと思う。」
「誉は余ってはいるんでしょ?何とか換装できないかな?海上まで持っていくのには間に合わないだろうけど、本土まで到達した航空機の迎撃には間に合うんじゃない?」
「いや、武装も取り外されてる。主脚も油圧伸縮式だし、動くかどうか・・・。」
「とにかく、急いで状態を確認しに行こう。今なら間に合うかもしれない。」
***
「ここだよ。かなり前から閉鎖されてたし、ほとんど使われていなかったバンカーだから埃をかぶってるってことはないと思う。」
台車に乗った紫電9機が、懐中電灯の光に照らされて浮かび上がる。
「早く運び出そう。」
***
「いや、全然だめだ。完全に壊れてる。」
「全部か?」
「全部だ。」
「主脚も動かないね。」
「こりゃだめだな。機体全体が固まってる。脚もエンジンもフラップも。何もかもが固まってて動かん。」
「まじか・・・どうしよう。」
「仕方ないよ。翔鶴の出撃はあきらめな。」
「そろそろ出た方がいいんじゃないかな。」
「そうね・・・。ごめんね。機体を用意できなくて。」
「いや、こっちも貴重な時間を使って探してくれたことに感謝している。俺達のことは気にしなくて大丈夫だ。本当にありがとう。」
「じゃ、そろそろ行くね。」
「ああ、時間がない中すまんな。」
「・・・あの、私はどうすれば・・・?」
「仕方ない。今回は鎮守府に残って俺の補佐をしてくれ。」
「分かりました。」
次から戦闘です。お楽しみください。でも、あまり期待しないでください。文章がカスなので。