「全艦反転、急速離脱!」
突如として発生した海の赤色汚染。それは、近くに魔女がいるということ。
「ねえ!あれ!誰かいる!」
「あれは、白霜さん⁉なんで!」
「ダメだ!行くな!早く戻るぞ!」
***
「偵察機の収容急いで。」
「早くいかないと飲まれてしまいますよ!」
汚染は目で分かるほど恐ろしい勢いで広がっている。そして、空全体が赤く、暗くなっていく。もともと悪かった天気が、さらに悪化し、風が強く吹き始め、雨も降り始めた。これ以上視界が悪くなると、着艦に支障をきたす。
「全機着艦完了!離脱する!」
***
「なんであんなところにいるんだ・・・?汚染には絶対に近づくなといわれているはずなのに。」
だが、その艦娘はどこか様子がおかしい。まったく動こうとしない。
「おーい!早くそこから離脱しろ!」
呼びかけても全く反応しない。
「仕方ないよ!もう離脱しないと!」
そう言われてその艦娘を連れ戻すのを諦め、背を向けた瞬間、
「君たちはあれを知っていそうだね。」
吹き飛ばされた。
「いつの間に、」
周囲にいる第一世代の艦娘が次々と撃破される。
「そんな・・・」
「ねえ、君たちさ、これのこと知ってるでしょ?」
「知ってるわけない!なんでアタシたちのところに来た!」
「あれ?さっきなんかの名前を呼んでなかった?」
「クソ!聞かれてたか。」
「知ってるんだね。じゃあ、これのことを良く教えてよ。」
「なんで知りたいんだ!まさかビビってるのか?」
「敵の情報をよく知るのは、戦いをするうえで常識だと思うけど、気に達はそんなことも知らないのかい?」
「うるさい!お前に教えられることなんてねーよ!」
摩耶が必死に反論する。まぁ、存在自体は知っていはいるが、その中身は全く知らないため、教えられるようなことは確かにまったくないのだが・・・。
「ふーん。なら、無理矢理にでも口を割らせるか。」
「来い!私が相手をしてやる!ビッグセブンをなめるなよ!」
「へえ、ビッグセブンか。あれと同じ奴かな?」
あれ、とは、アメリカのコロラドのことを言っているのだろう。
「今のうちに早く離れろ。私がここに残って時間を稼ぐ。」
「分かった。」
「お前が俺の相手か。いいよ。ちょっと遊んであげる。」
「舐められたものだな。」
腰の刀を抜き放ち、構える。魔女から放たれる圧が尋常じゃない。
今すぐにでも、押しつぶされそうだ。圧だけでここまで違うのか。
魔女がうごいた。一瞬で視界から消えた。最初に右からの打撃を防ぐ。一撃で手がしびれる。次は後ろから。すべての攻撃を何とかいなしていくが、手のしびれがどんどんひどくなっていく。
完全に遊ばれているな。
「主砲、テー!」
至近距離からの砲撃でペースを乱す。ただ、そこにはもういない。すでに離れていた。そこに数発の爆弾が命中した。魔女の意識が逸れ、離脱していく航空機に対空砲を浴びせる。その航空機の飛行妖精は、恐ろしい練度を持っているのか、すべて躱して離脱していった。その隙をついて砲撃しながら吶喊。刀を振り上げると同時に蹴りを入れる。すべてよけられた。だが、攻撃の手を緩めない。そのまま食らいついて刀を振るい続ける。
「んー、そろそろいいや。弱すぎて飽きてきた。」
そういうと、長門の鳩尾にこぶしを叩きこむ。そのまま顔面を蹴り上げて後ろに回り込み、さらに蹴り。長門はその衝撃を何とか逃がしていたが、限界が来た。
「じゃあね!少しは楽しめたでしょ?俺は楽しくなかったけどね!」
「ま、待て!」
***
「まずいよ!もう来た!」
「長門さん・・・どうか無事でいて!」
反転して魔女に向き直り、応戦する。だが、実力差は大きく開いており、まったく歯が立たない。
「次はお前。」
今度はこちらに向かってきた。狙いは瑞鳳だ。
「ぐぅ!」刀を自分の前に構えるまでは間に合い、魔女の攻撃を受け止たように見えたが、機関出力や排水量の違いからか、吹き飛ばされてしまった。そして、今度は私に・・・。
「お前も一緒に、ね?」
ダメだ、まともに受け止またら吹き飛ばされる。受け流さないと。
左右に動きながら、魔女の攻撃を必死に受け流す。だが、魔女はすぐに攻撃を変えてきて、それについていけず、倒れてしまった。
「なあ、これについて知ってることがあれば教えてくれよ。」
そう言いながら、どこからか取り出した斧を振りかぶる。すると、突然小さな爆発が。
「瑞鶴離れて!」
瑞鳳だ。見ると、航空機まで出している。
「爆撃開始!」
魔女が爆発に包まれる。だが、煙が晴れて、現れたのは、一切傷がついていない魔女だった。
「少しはやるじゃん。でも、所詮はその程度。弱すぎる。」
そう言って、撃たれた。あまりにも早すぎて反応できない。再び海に倒れこみ、振り返る。そこには、また斧を持って日理化ぶっている魔女の姿が。
「逃げられないように足を切り落としてあげる。」
「おまわず目をつむった、その瞬間、爆発音とはまた違う、耳をつんざくような轟音が聞こえ、瞼を通り抜けた光で真っ白になった。
「何だ!」
目を細くして開けると、そこには目を腕で覆っている魔女が。そこに砲撃。誰だ?と思った時、魔女が後ろに飛びのいた。わずかに遅れてやってくる衝撃波。
「感じたことのある圧を感じるなと思ったら、案の定お前か。この前、俺のことを監視してただろ。」
「白・・・霜・・・」
「お前らは早くここから離れてろ。邪魔だ。」
「わ、分かった。」
「瑞鶴!大丈夫?」
「ええ、大丈夫よ。それより早くしないと。」
後ろから甲高い音が聞こえる。もう戦い始めたのか。
皆さまお待ちかね!やーっと白霜帰ってきたよ!もう、遅いじゃない!
白「おい、これはどういうことだ。」
作「え?何がですか?」
白「主人公が20話も登場しなかったことだ。」
作「いやそれはあなたがソロモンのほうに行っていたからでは。」
白「ちなみに、最後の登場は第二十話だぞ。もう少しあっただろ。もうちょっと頑張れよ。」
作「う…、善処します。」