白く染まる世界   作:快晴Ⅲ

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第五十九話

嘘だろ・・・

演習が終了し、それ以外の言葉を言うことができなかった。白霜は、演習に勝利した。一切の損傷を負わずに。何とか、演習の終了を宣言し、外に出る。白霜はもうすぐそこにいる。埠頭に飛び乗った。そして、何も言えない自分に対し、白霜は言った。

「勘違いするなよ。俺は今日、本気でやっていない。その気になれば、一発も打たずに、あいつらに勝てる。分かってるよな?俺はいつでもお前を殺せる。」

その言葉に、俺は血の気が引いた。ただでさえ、日本最強の艦娘艦隊である円卓の艦娘を、たったの10で壊滅させる実力がある。ハンデありで。しかも、これでも本気ではないというのだ。白霜は一体、どれだけの実力を持っているのか。自分も、甘かった。彼女たちは全員、固有能力を発動していたが、白霜はことごとくそれを突破。何もないかのように撃破していった。実力を計れると思っていたが、まったくできなかった、それどころか、さらに遠くなった。本気でやれば、一切の弾薬を使わずに、勝てると。そして、「いつだってお前を殺せる。」の一言。艦娘は普通、人間に対して、一切攻撃できない。それは、科学的にも証明されている。そうプログラムされているのだ。艦娘の脳に、そして、艤装に。それが、一部の心無い人たちによるブラック鎮守府を助長させているのだ。だが、白霜は、殺せる、と、確かに言った。普通なら、その言葉は、嘘になる。だが、白霜は嘘であることをわかって言っているのではないと、直感で理解した。実際にできると。そういっている気がした。実際に、人間に対し、危害を加えたことがあるのだろうか。そして、今回の演習で、白霜が普通ではないことが分かった。だとしたら、もともとプログラムがされていなかったのか。体が、大きく震えた。これは、寒さによるものではない。確かに、外は寒い。だが、これは、恐怖から来る寒気だ。こんな経験は、久しぶりだ。恐怖で、体が震えるなんて。

「提督、円卓の騎士の救助が終わりました。」

「あ、ああ。ありがとう。早く、入渠させてあげてほしい。」

振り返ると、白霜はもういなくなっていた。なぜか、少しほっとした気がする。

「あ・・・、樹希?」

「!あ、夕張か・・・。大丈夫か?」

声をかけられて振り返ると、両脇を支えられた夕張がいた。

「あれは・・・、あの白霜って人には、絶対に、勝てない。あの人、すごい怖い。なにをしても、何もできない。ごめん・・・。負けちゃった。」

「いや・・・謝ることなんてない。・・・うん、ないよ。夕張は、すごい頑張ってくれた。だから・・・大丈夫だよ。きっと・・・。」

「そう・・・かな。」

ダメだ。何も言えない。怖くなって、再び振り返ると、瑞鶴、そして瑞鳳と目が合った。すぐに逸らされたが。だが、その目は、とても冷たかった。軽蔑していた。円卓の艦娘が、次々と運ばれていく。みんな、意識がなく、ぐったりとしている。傷がひどい。かなり出血している。

「樹希さん。私たちは、円卓の騎士は、・・・強いです。明日は・・・必ず勝ちます。だから、そんなに、気を負いすぎないでください。明日は、必ず。一航戦・・・帝国海軍第一航空戦隊の誇りにかけて。」

「あんたの言う”ほこり”は、私たちで言う、そこらへんに落ちているただの”埃”よ。なにが一航戦の誇りにかけて、よ。おごり高ぶり、全てをないがしろにして、全てを押し付けて。何もできないまま沈んでいった。一瞬で。自分は、栄光だけを手にして、栄華だけを手にして、一度の敗北しか経験しないで。あんたは、お前は、地べたにはいつくばって生きてる方がお似合いよ。」

「あの時、あの場にいた私と鳳翔さんが、どんな気持ちだったか、分かりますか?終わりの見えない戦いを強いられた私たちの気持ちが、分かりますか?物量に押され、性能に押され、何もできなくなった時の気持ちがわかりますか?たくさんの空母が沈んでゆくのを見送る時の気持ちが、分かりますか?何度も、敗北し、最後は、翼を失って、囮にされた私の、瑞鶴の、千歳の、千代田の、この気持ちが、分かりますか?分からないですよね?だって、経験したことがないから。明日、教えてあげますよ。負けるときの気持ちを。何もできなくなった時の気持ちを。あの時の、私たちの記憶を。」

「明日は、必ず私たちが勝つわ。絶対に勝つわ。お前を、地獄に落とすために。」

「ねぇ瑞鶴、瑞鳳ちゃんも、落ち着いて?」

「うるさい、翔鶴さんには関係のない話です。口を挟まないでください。」

「今からでも、少しでも訓練をしておくことね。そうしないと、あんたの言う誇りを失うことになるわよ。」

「いいでしょう。明日は必ず、あなた達のその、腐りきった性根を、叩きなおしてあげましょう。今のあなた達に、なにが必要かを、厳しく指導しますので、覚悟しておいてくださいね。泣いて許しを求めても、一切応じませんから。」

「なあ、もう、やめないか?やめてくれ。早く戻ろう。なあ。」

もう、食事どころの雰囲気じゃない。泣いてる子もいる。俺自身も、怖すぎて何もできない。

「今日はもう、みんなでゆっくりしよう。」

 




かなりボロクソ言ってて、気分が悪くなる方がいたらすみません。作者がこのような考え方に近いので、ヘイトスピーチのような内容になってしまいました。私も、航空母艦赤城は好きです。艦これの赤城さんも好きです。ですが、ミッドウェーの結果を踏まえて、一航戦の誇りというのはちょっと…、と思っているだけで、ここまで過激な考えはしていません。あと、 瑞鳳が1番好きな艦であり、1番好きな艦娘ですので、こうなってしまいました。
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