駆逐艦、白霜。あの人は、一体何をしてきたのだろう。なにをしたら、あんなに強くなれるのだろう。固有能力は持っているのだろうか。円卓の騎士は、先天的な能力を持っている。私たちは、持っていない。私たちも、第一世代と同じ時期に、この世界に、艦娘として、再び生まれた。だが、私たちは何も能力を持っていない。なぜだ。この差は、何なのか。あいつらを嫉むわけではないが、私たちにも、固有能力が欲しかった。敵を即座に殲滅し、仲間を必ず守れる、そんな能力が。
「瑞鶴、瑞鳳。明日はこれを使ってくれ。ある程度使えるようにした。」
そこには、たくさんの装備妖精が。
「どうして?」
「俺達も、円卓の騎士が嫌いなんだ。あいつらがもっと早く来れば、俺達が載っていた子は沈まずに済んだ。あの子たちの仇は、あの円卓の騎士といってもいい。その深海棲艦はじゅたりが沈めてくれたからな。それに、海に投げ出された俺達を助けてくれた二人には恩がある。その恩を、少しでも返せればと思って、今、急いで修理した。」
たくさんの妖精さんが持っているのは、私たちが以前まで使っていた、私たちが顕現した時から使い続けていた弓。何度も何度も、爆発に巻き込まれ、海水に触れ、潮風に吹かれ続け、劣化した弓。腐食はしていないが、とても使える状態ではなかった。ボロボロになった布が、巻きなおされている。
「これは、俺たちが勝手にやったことだ。俺達の自己満足だ。だから、無視してくれたってかまわない。だが、俺達は二人を、応援する。」
瑞鳳が、何も言わずに、その弓を受け取る。そして、軽く引く。
「・・・うん。前よりもいいかも。まだ軽いけど、ちょっと戻ってる。」
それを聞いて、私も弓を受け取る。
「確かに。みんな、ありがとう。明日はこれで勝つ。絶対にね。」
「使ってくれるのか!ありがとう。俺達は二人の勝利を願う。」
「ええ、任せなさい。」
***
いつもの倉庫に戻ると、今度は別の妖精さんが近づいてきた。
「すまない。少し話がある。いいか?」
飛行妖精さんだ。
「うん。いいよ。どうしたの?」
「明日の演習に、僕たちも参加させてほしいんだ。」
「いいけど・・・、なんで?」
「二人には、返したくても返しきれないほどの恩がある。前任の時も、俺達を隠してくれた上に、時々空を飛ばしてもらっていた。俺達の存在がばれていたら、俺達七人はともかく、新入りはすぐに死んでいただろう。こいつらを守ってくれて、本当に感謝している。」
「それに、時々機体に乗らせてもらって、我々の練度を維持することができたのも、事実だ。それに関しても、本当に感謝している。」
「だから、少しでも二人の手助けをしたい。だから、明日の演習に、二人の側について参加したい。勝手なことを言っている自覚はあるけど、いいかな?」
「いいけど・・・機体はどうするのよ。今まともに動くのは、この前大本営から支給された零戦二一型だけでしょ。」
「実はな、俺たちが、二人に習って、こっそり新型を開発していたんだ。新型といっても、零戦の改良型の域を出ないが。」
「そうなの?時々ちょっと変わった機体が載ってるなって思ったら、それだったのね。」
「そうだ。エンジンは栄で変わらないが、出力を上げたうえで、水メタノール噴射装置と、二速三段の過給機を搭載して、最大1,550馬力を出せるようになったものを搭載して、最高で590kmくらいは出せるようになったぞ。機体強度を上げて、防弾と消火装置を装備しての数値だ。武装は20mmが二門と13.2mmが三挺だ。期間が短かったし、ノウハウもあまりなかったから、二人のに比べたらだいぶ見劣りするが、防空ぐらいはできる。」
「僕たちの練度も高い自信がある。3000時間以上も飛んで、みんなエースなんだ。攻撃隊に入れてほしいとは思ってない。二人の勝利に、少しでも貢献したいんだ。いいかな?」
「もちろんいいわよ。こんだけ言われて、それだけ努力して、ダメなんていえないでしょ。それに、私たちの方が、戦力が少ない。本当にありがたいわ。でも、ちゃんと活躍してもらうからね。絶対に何機か墜としなさいよ。」
「分かってる。ありがとう。一緒に戦えて光栄だ。」
「一緒に頑張ろうね。」
次から空母同士で殴り合います。楽しみにしてください。
ただし過度な期待は禁物ですよ!