「見えてきた。・・・確かに速いな。おそらく、これが昨日飛んでいたやつか。」
照準器にその機体をとらえ、射撃。だが、敵はとんでもない機動で回避した。いきなり上に跳ね上がり、旋回している。急いで舵を切り、旋回、降下する。だが、左主翼を損傷した。撃墜判定は出ていないが、インクがはね、左側の視界が悪くなった。それから、後ろにつかれる。だが、こちらはジェット機、エンジン出力も、速度もこちらがはるかに上。すぐに引き離した。ある程度引き離したところで旋回し、再攻撃に向かうが、敵は、なぜか急角度で上昇していく。旋回しつつ高度を上げ、距離を詰めていく。機体を照準器に収め、引き金を引こうとした瞬間、突如、敵が失速し、急降下していく。何とか食らいつこうとするが、離されていく。まさか、900kmを優に超えている?なんて機体強度だ。それから、再び急角度で上昇しようとする。そこを捉えようとしたら、今度は右に旋回、追い越してしまう。そのまま一回転し、再び後ろを取られてしまった。旋回では勝てない。それに、今は高度がないから、急降下で加速もできない。そもそも、逃げ切れないだろう。だとしたら、上昇しかない。垂直に近い角度で上昇する。後ろの敵機も追いかけてきたが、諦めたのかすぐに上昇をやめた。チャンスだ。すぐに上昇をやめ、下の敵を狙う。一撃で仕留める。照準器に敵機を収め、射撃するが、敵はロールで回避。そのまま追い越してしまった。
「まずい!この位置は・・・。」
自分の方が高度が低く、敵の前にいる。降下している状況では、振り切ることも難しいだろう。そして、目の前には海が。先に自分が上昇しなければならない。それは、自分の方が先に失速することを意味する。
「よけ続ければ、離脱できるか・・・?」
機体を左右に振り、機銃弾をよけ続ける。だが、長くは続かなかった。敵の方が機動力が高い。風防が黄色に染まり、撃墜判定をもらった。新型機同士の戦闘は、ジェット機が負け、レシプロ機が勝利した。
***
「全機、集合しろ。」
「了解。」
「・・・残ったのは二機だけか・・・。」
「はい。さすがに、手強い相手でした。数的に有利で、一機がノーマークだったのが幸いです。それがなければ、結果は分かりません。」
「そうだな。まだ戦いは終わっていない。早くいくぞ。」
「はい。」
***
「ジェット機が・・・負けた?」
「赤城!ボケっとしてる時間はないぞ!」
「わかっています。まだ、終わってはいません!」
「正面!敵機接近!」
いつの間にか、接近されていた。
「ロケット弾発射!」
横に飛んで回避を試みるが、さすがに避けきれない。数本が直撃した。
「だいじょぶか!」
「ええ、大丈夫です!この程度、何ともありません!」
「無理はすんな!」
「電波妨害が弱くなってきた!」
「本当ですか!ならば、攻撃隊との通信の回復と電探の復旧を急いでください!もう少しで制限時間が来ます!」
「わかってる!」
「新たな敵機が!左九時の方向、低空に5機!」
「まだいるのか!」
「電探復旧急いで!もう消滅します!」
「すまん、まだ何も探知できない!」
「電探出力を上げてください!」
「上げたぞ・・・敵機直上!突っ込んでくる!」
空を見上げる。雲に遮られ、何も見えない。そして、次の瞬間、雲から何かが現れた。急降下爆撃機だ。直掩機はすべて低空にいて、対処ができない。また、繰り返すのか・・・。爆発と衝撃が、同時に襲い掛かってくる。思わず、海面に倒れこむ。負けた・・・?私が、また・・・?もう、二度と繰り返さないと誓ったのに・・・。隣を見ると、龍驤さんも倒れこんでいる。プロペラが風を切る音を聞き、顔を上げる。おそらく、ぎりぎりで探知した雷撃機だ。よく見ると、魚雷を二本搭載している。それが、どんどん迫ってくる。だが、その雷撃機は、何も投下せずに通り過ぎていった。やはり、大破か。私たちの、負けか。
「あいつら・・・、何処までふざければ気が済むんや・・・。」
最後の雷撃機が何もせずに通り過ぎていったのが、癪に障ったらしい。龍驤が立ち上がり、その周りに炎をまとっている。
「龍驤さん、だめです!」
「赤城はこのまんまでええんか!あいつらのが腐ったままでええんか!」
「だめだ!龍驤やめろ!」
「うるさい!発動、神龍の逆鱗!」
空に炎が集まり、龍の形を作っていく。それは、高速で飛んでいき、曇って暗くなっている空を明るく照らした。
「龍驤さん!今すぐやめてください!負けたのは私たちです!」
だめだ。こうなったらもう、龍驤さんは誰の言うことも聞かなくなる。早く、向こうの二人に知らせないと・・・。
今まで短かったのでちょっと長め。次で演習終わると思います。