白く染まる世界   作:快晴Ⅲ

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第七十話

「食事中のところ、いきなり召集してすまない。だが明日、急遽出撃することが決まった。目的地は硫黄島。作戦目標は、レーダーの設置だ。作戦期間は五日間。そして、全員出撃だ。」

「はぁ⁉頭おかしいのかよ!」

「すまない。これは参謀本部の決定だ。覆すことはできない。」

「高雄さんや三河さんに相談することはできないのですか?」

「やってみたんだが、電波妨害がされていて、周囲と連絡を取ることができない状況だ。」

「なにそれ・・・。おかしいでしょ。」

「参謀本部か・・・、いやなところだったな。」

「部隊は二つに分かれて、明日の〇七五〇に出撃、〇八〇〇に輸送艦と合流。輸送艦は二隻、俺もその輸送艦に乗る。部隊の一つ目は、船団の少し前を航行し、脅威の排除をする。これを、第一艦隊とする。二つ目の部隊は、直接輸送艦を護衛する。これを第二艦隊とする。編制は、第一艦隊は、旗艦を瑞鶴とし、瑞鳳、白霜、足柄、秋雲、長門、夕張、初風、雪風だ。第二陣は、今呼ばれた者以外が参加する。第一陣は、相当きついと思うが、頑張ってほしい。特に初風と雪風。二人の練度は、比較的高いといえるが、この中では普通だ。無理をしないでくれ。何かあったら、すぐに第二陣と合流してほしい。大丈夫か?」

「ええ、大丈夫よ、問題ないわ。」

「はい!雪風も大丈夫です。」

「そうか。みんな、すまない。こんなにいきなりおかしな作戦に参加させてしまって。」

「別に構わないわよ。だって参謀本部の立案なんでしょ?この作戦。あそこは昔っから強引で悪名高い組織だからね。」

「あなたも知ってるんですか?」

「ええ、一時期大本営の艦隊に所属していたことがあったのよ。即応部隊ってね。ま、今はもうないけど。」

「確かに、あそこの作戦はだいたい無謀なものだったな。」

「白霜も知っているのか?」

「無線を傍受してたって言ったよね。その時によく耳にしてた。」

「なにをしてるんだまったく・・・。」

「リンガにいては、全体の状況なんて全然分からないからね。仕方ないさ。」

「司令官、一つ質問していいかしら?」

「なんだ?」

「なんで私と雪風が第一陣なの?」

「ああ、それはな、秋雲がいるからだな。時雨でもよかったんだが、同じ艦級で固まっている方がいいなと思ったからだ。」

「そう、分かったわ。ありがとう。」

「みんな、本当にすまない。こんなふざけた作戦に参加させてしまって。」

「なぁ、その作戦を受けないこともできたんじゃねえのか?」

「摩耶さん、参謀本部という組織は、軍の中でも、権力が非常に大きい組織で、断ると、はっきり言って何をしてくるかわからない組織なんです。ですので、簡単に断ることはできません。」

「そうだな。さっき直接電話がかかってきたんだが、脅されたよ。どうなるかわかってるよなって。大本営と連絡を取れないんじゃあ、俺には何もできない。」

「でも・・・おかしいんじゃない?参謀本部が軍令部を無視して作戦を立案するなんて。」

「参謀本部はな、陸海空軍をつなぐ唯一の組織で、その三つに深く入り込んでいる。各軍で独立している軍令部も司令部も、それを無視することはできないんだ。参謀本部が無くなってしまえば、共同作戦ができなくなってしまう可能性がある。それは避けなければならない。」

「そうだ。だから、あの組織の権力は巨大になった。おかげで、俺達の動きが制限されたり・・・。あいつらってかなり傲慢だからな。はぁ、大変なことになったよ。みんな、今日はもう休んで、明日に備えてくれ。」

 




参謀本部は自衛隊の統合幕僚監部の後継機関を想定しているつもりです。
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