白く染まる世界   作:菊水晴雅

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第八十話

小笠原諸島を出発してから十二時間。往路とは違い、島嶼沿いに北上している。往路とは違い、順調だった。さっきまでは。

深海か。なにをしているんだ。

通信機で連絡をする。

「深海で赤色汚染が発生している。魔女が近くに・・・、いや。もう手遅れだな。」

目の前の空間が赤に染まる。何かが迫ってきている。一度体を引き、カウンターのタイミングで抜刀し振り上げた。敵の得物と激しくぶつかり合う。だが、駆逐艦と戦艦以上の巨大艦の正面からのぶつかり合いでは、勝ち目がない。後ろに50m程吹き飛ばされた。

「こんな早くにまたやりあうことになるとはね。お前らは逃げてろ。こいつは俺がやる。」

「こんな時に!白霜、死ぬなよ!」

「俺が沈むわけがないだろう。」

立ち上がり、魔女を見る。

「うん?お前どこかで見たことあるな・・・。」

なんか見覚えのある顔だ。そういえば、戦い方も何かに似ていたような・・・。

 

・・・まさか。

 

「お前だったとはな。あれが。あいつを沈めたのは。・・・お前は必ず沈める。」

「なんのことだ?お前とやりあうのはこれで二回目のはずだが・・・。」

「そうか。まぁそうだな。あの時は大して強くはなかったからな。別に、思い出さなくていいよ。」

艦隊がある程度離れたのを確認してから、刀を構える。

「行くぞ。」

魔女の砲撃に合わせて突撃。砲弾を空中で破壊しながら、砲煙を突っ切り、肉薄した。魔女の体は、装甲で覆われており、わずかな隙間からしか攻撃を通すことができない。そして、背中には巨大な艤装があるため、攻撃はほとんど不可能だ。だから、正面から行くしか選択肢はない。機動力はこちらが上だ。一撃離脱を繰り返し、少しづつダメージを与える。ただ、同じことを繰り返しても、いずれ裁かれるようになる。四回目の吶喊でついに防がれた。海面を砲撃し大波を作る。砲撃による衝撃、着弾による衝撃、爆発による衝撃で海面が荒れる。そして、排水量の小さい自分の体はわずかに浮き上がり、大きな隙ができる。

 

魔女がその隙を逃すわけがない。

 

持っていた斧を剣に変更し、高速の突きを出す。それを見て、爆雷を二つ取り出して投下。すぐに爆発させてその衝撃でさらに高く飛んだ。剣先が左足にかすった。203mm砲を取り出し、主砲天蓋を狙う。弾種はAPFSDS。空中で姿勢を制御して狙い、そして引き金を引いた。直後に大爆発が起こる。それに巻き込まれ、服の一部が焼ける。そして着地し、すぐに艤装の消火設備を稼働させて火災を消した。もう一発を撃とうとしたが、やめた。魔女の攻撃の方が速い。すぐに刀を逆手に持ち抜刀、左へ飛んだ。主砲で砲撃をしながら距離を取る。魔女は、超戦艦とは思えない機動で方向を転換し、突撃してきた。

「これが戦艦のする動きかよ。」

後進では追いつかれると判断し、背中を向けて逃げた。だが、魔女の速度に合わせ、あまり距離が空きすぎないようにする。もしも艦隊の方に行ってしまったら、間違いなくあいつらは壊滅するだろうな。そうならないように、速度を調整する。飛んでくる砲弾を回避しつつ逃げ回る。そろそろいいか。

「鬼ごっこは終わりだよ。」

機関の安全装置を一時的に解除。魔女に向き直り、53ノットで急接近した。柄の長い斧は、一撃の威力は高いが、重心が体から離れているため小回りが利かない。そのため、この接近には対応できていない。突き出されていた斧をはじき、魚雷を8本打ち込む。そして再び飛び上がり、二基目の主砲の天蓋を203mm砲で砲撃して破壊した。そして今度は着地後にも砲撃する。ただ、弾薬庫までは貫通せず、爆発はしなかった。装填のために一度距離を取ると、何かが高速で飛んできた。

「あぶなっ!」

狙いは胴体。最も面積が大きく、そしてよけづらい場所。だが、砲撃の類ではない。投擲だ。右腕が上がっている。そして、圧が一段と強くなった。

「・・・これは、怒らしたな。」

 

この戦い、厳しくなるぞ。

 




またまた魔女の登場です。あと少し(Googleドキュメント20ページ)で第二章が終わります。あ、あと、名前を変更しました。混乱させてしまったらすみません。
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