「・・・何とか、・・・生き残りはした、か・・・。」
頭がふらつく。耳鳴りがうるさい。左腕と左足の感覚がない。艤装には火がついている。ダメージコントロールもできそうにない。
「弾薬をすべて捨てろ。誘爆したら終わりだ。」
風が吹き、煙が晴れる。魔女は、まだそこにいた。足が少し沈み込んでいる。流石に魚雷を同じ場所に16本も喰らえば浸水は発生するか。
そして、魔女の主砲。砲身が割れている。まさか、砲身内で砲弾を炸裂させたのか?砲撃だけであの爆発が発生するわけないし、射線からは完全に外れていた。だとしたら、時限信管を装填中に作動させ、爆発の直前に砲撃したのならば、あれだけの爆発や、わずかなタイムラグ、割れた砲身にも説明がつく。
「とんでもないことをやるな、お前。」
本当に予想外のことだった。一瞬気絶したし。海に倒れこんでいたおかげで、服の火は消えていた。だが、大量の破片が刺さっている。頸動脈も切れた。目に血液が入り、見えなくなる。
「そろそろお互いに限界だ。終わらせよう。」
右手で持っていた刀を構え、ある程度感覚が戻った左腕を添える。ここからは出し惜しみはなしだ。そうでなければ沈む。これほど沈没を感じたのは、久しぶりだ。別に、沈んでもいいのだが。
「白霜、参る。」
機関の安全装置を解除し、一瞬で距離を詰め、上段からの振り下ろし。すぐに回り込み、横薙ぎ。突如、魔女の周囲に多数の武器が出現する。そして、高速で動き出した。それをいなしつつ距離を取る。そんなこともできたのかよ。体勢を低くしつつ吶喊。人間の目は、上から下へと向かう急速な動きには弱いとされている。こいつほどの実力者にそんなものがあるとは思わないが、できることはすべてやる。重心を沈めたまま攻撃。斧で防がれる。そのまま柄を墜としてきたため受け流しつつ右手で突く。意識を上段に逸らしたところで、下段への蹴り。狙いは膝関節。体が左に流れたところで、斬撃。胸を斬る。さらに追撃しようとしたところで、下からの突き上げ。咄嗟に体を右にずらし左腕を跳ね上げる。左体側をえぐられた。危ない。もう少しで腕か心臓を持っていかれるところだった。再び距離を取ると、魔女がとんでもないことをしていた。
「なにしてんの・・・?」
円盤を、いや違う。棒回しだ。あまりにも速すぎて円盤のように見えている。少し目が慣れると、回しているものが斧だということが分かった。それを片手で回すとか、頭おかしいんじゃねえの?振り上げ側が自分側から見て左か。だとしたら、右側から行った方がいいか。これで終わらせる。突撃。魔女が斧を動かす。そして、回転させたまま振り下ろす。高速の回転のエネルギーも加わって、直撃すればミンチは確定だ。それを左手一本でつかんだ。これで骨が砕けただろう。だが、これでいい。斧を全力で手繰り寄せる。その瞬間、魔女が一瞬硬直した。刀を上空に思いっきり投げ、右手を突き出す。そのまま親指で魔女の左目を潰した。さらに顔をつかみ、顎に膝蹴りを入れる。そして、落下してきた刀をつかんで、頭でこめかみを突いた。さらに艤装に上り、203mm砲を取り出して、再び天蓋を撃った。再び大爆発が起こる。爆風にあおられ、艤装から落下する。立ち上がろうとしたが、ふらつく。限界が来た。魔女が振り返って、斧を振り上げる。そして振り下ろした。ギリギリで刀で受け止める。だが、すぐに押され始めた。ダメだ。押し返せない。刀も限界だ。力を振り絞り、何とか距離を取る。そして、追撃が来る。カウンター、これで決める。刺突の構えを取り、意識を研ぎ澄ます。そして、突然爆発に包まれた。
また爆発で終わるやん。爆発オチなんてサイテー!ってね。