11月24日
人数が増えた分、以前よりもあわただしい朝を迎えた。早朝にも関わらず、多くの艦娘が訓練をしている。
「みんな熱心だなぁ。」
海では砲雷撃の音が聞こえ、空には多数の航空機が飛んでいる。
「そういう提督はのんきなものだな。」
「お前にいわれたくねぇよ。」
同じく訓練の様子を見ている白霜にのんきと言われるとは。
「今は暇なのか?」
「暇になったが正しいな。」
「そうか。なら、お前が考えていることを聞きたい。いいか?」
「ああ、いいぞ。答えられることは答える。」
「まず、お前は艦娘が沈むことは望んでいないのは正しいか?」
「ああ、正しい。正確に言えば、別に、艦娘が沈没するかしないかはどうでもいい。ただ、目の前で沈まれるのはこっちも気分が悪くなる。沈むのなら俺がいないところで沈んでくれ。・・・最終的な目的こそ違うが、たどる過程は同じだ。艦娘の沈没はあまり望んでいない。」
「そうか。次、俺達人間は敵か?それとも味方か?」
「敵だ。今は深海棲艦がいるから協力しているだけであって、お前ら人間も必ず抹殺する。敵の敵は味方。ただそれだけだ。深海棲艦という敵がいなくなれば、今度は人間が敵になる。たとえすべての艦娘が敵に回ろうとも、どんなに途方もない時間がかかろうとも、海底に沈もうとも、俺は人間を、人類を滅ぼす。」
「・・・なら、深海棲艦が滅ぶまでは大丈夫なんだな。」
「そうだ。だから・・・・・・、俺と敵対させたくなければ、深海棲艦との戦争を長引かせることだな。」
「・・・そうか。なら、戦争が終わるまでに白霜の考えを変えないとだな。」
「できるものならやってみろ。・・・お前たち人間の罪は大きい。」
「そうだな・・・。んで、三つ目。最後だ。白霜は・・・、なんでそんなに強くなれたんだ?」
「・・・戦い続けた。たくさんの深海棲艦を沈め、艦娘の沈没を見てきた。そして、沈没がどうでもよくなった。それだけだ。」
「・・・大変だったな。」
「それは最初だけだ。慣れれば大したことではない。」
「普通は慣れないだろ・・・。」
「・・・俺自信が普通ではないっていう自覚はある。」
「あるんだ・・・。」
なんか意外だ。
「お前今意外だとか思っただろ。」
なんでばれてるんですかねぇ。
「いや?別に。」
「そうか・・・。質問は終わりか?」
「ああ、質問は、な。」
「まだ何かあるのか。」
「そうだ。これは、俺からの命令であり、お願いだ。」
「はっきりしないな。」
「そうだ。だから、白霜が好きに解釈してくれ。」
「分かった。・・・それで、なんだ?」
「艦娘を、全力で守れ。」
「・・・。」
「白霜の手が届く範囲でいい。白霜が可能か不可能かを判断していい。できる限り、艦娘を守ってくれ。お前が艦娘が沈むのを望まないというのなら。」
「・・・・・・善処する。」
「そうか・・・、ありがとう。」
「これで終わり?」
「ああ。」
「そう・・・、じゃ。」
白霜はどこかに歩いて行った。
「・・・大丈夫かな・・・。」
駆逐艦、白霜。この戦争における、艦娘に関する最大の不安要素となるかもしれない。もし白霜が人類を見限り、深海棲艦の側に立ったら。その時は世界が終わるだろう。白霜に対抗できる艦娘はいない。そして、魔女も同時に相手にすることになる。そうなってしまったら、それはもう戦いと呼べるものではなくなるだろう。一方的な虐殺だ。
「地道にやっていくしかないか。」
もう暫く続きます。前にも書いたような気がする。