白く染まる世界   作:菊水晴雅

89 / 89
第八十六話

11月24日

 

人数が増えた分、以前よりもあわただしい朝を迎えた。早朝にも関わらず、多くの艦娘が訓練をしている。

「みんな熱心だなぁ。」

海では砲雷撃の音が聞こえ、空には多数の航空機が飛んでいる。

「そういう提督はのんきなものだな。」

「お前にいわれたくねぇよ。」

同じく訓練の様子を見ている白霜にのんきと言われるとは。

「今は暇なのか?」

「暇になったが正しいな。」

「そうか。なら、お前が考えていることを聞きたい。いいか?」

「ああ、いいぞ。答えられることは答える。」

「まず、お前は艦娘が沈むことは望んでいないのは正しいか?」

「ああ、正しい。正確に言えば、別に、艦娘が沈没するかしないかはどうでもいい。ただ、目の前で沈まれるのはこっちも気分が悪くなる。沈むのなら俺がいないところで沈んでくれ。・・・最終的な目的こそ違うが、たどる過程は同じだ。艦娘の沈没はあまり望んでいない。」

「そうか。次、俺達人間は敵か?それとも味方か?」

「敵だ。今は深海棲艦がいるから協力しているだけであって、お前ら人間も必ず抹殺する。敵の敵は味方。ただそれだけだ。深海棲艦という敵がいなくなれば、今度は人間が敵になる。たとえすべての艦娘が敵に回ろうとも、どんなに途方もない時間がかかろうとも、海底に沈もうとも、俺は人間を、人類を滅ぼす。」

「・・・なら、深海棲艦が滅ぶまでは大丈夫なんだな。」

「そうだ。だから・・・・・・、俺と敵対させたくなければ、深海棲艦との戦争を長引かせることだな。」

「・・・そうか。なら、戦争が終わるまでに白霜の考えを変えないとだな。」

「できるものならやってみろ。・・・お前たち人間の罪は大きい。」

「そうだな・・・。んで、三つ目。最後だ。白霜は・・・、なんでそんなに強くなれたんだ?」

「・・・戦い続けた。たくさんの深海棲艦を沈め、艦娘の沈没を見てきた。そして、沈没がどうでもよくなった。それだけだ。」

「・・・大変だったな。」

「それは最初だけだ。慣れれば大したことではない。」

「普通は慣れないだろ・・・。」

「・・・俺自信が普通ではないっていう自覚はある。」

「あるんだ・・・。」

なんか意外だ。

「お前今意外だとか思っただろ。」

なんでばれてるんですかねぇ。

「いや?別に。」

「そうか・・・。質問は終わりか?」

「ああ、質問は、な。」

「まだ何かあるのか。」

「そうだ。これは、俺からの命令であり、お願いだ。」

「はっきりしないな。」

「そうだ。だから、白霜が好きに解釈してくれ。」

「分かった。・・・それで、なんだ?」

「艦娘を、全力で守れ。」

「・・・。」

「白霜の手が届く範囲でいい。白霜が可能か不可能かを判断していい。できる限り、艦娘を守ってくれ。お前が艦娘が沈むのを望まないというのなら。」

「・・・・・・善処する。」

「そうか・・・、ありがとう。」

「これで終わり?」

「ああ。」

「そう・・・、じゃ。」

白霜はどこかに歩いて行った。

「・・・大丈夫かな・・・。」

駆逐艦、白霜。この戦争における、艦娘に関する最大の不安要素となるかもしれない。もし白霜が人類を見限り、深海棲艦の側に立ったら。その時は世界が終わるだろう。白霜に対抗できる艦娘はいない。そして、魔女も同時に相手にすることになる。そうなってしまったら、それはもう戦いと呼べるものではなくなるだろう。一方的な虐殺だ。

「地道にやっていくしかないか。」

 




もう暫く続きます。前にも書いたような気がする。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。