「ただいまー!提督ー!」
「おかえり。お疲れ様。それにしても、三人ともうまいなぁ。建造されてどれぐらいなんだ?」
「そろそろ二年になります。ここを追い出されたのは八か月前です。」
「そうかぁ・・・、大変だったな。」
「はい・・・、ですが、あなたは期待してもいいですよね?」
「ああもちろんだ。みんなが戦いやすいよう、最大限サポートする。前任のようなことはしないと誓おう。」
「はい。よろしくお願いしますね。」
「ところで葛城。」
「なんですか?」
「瑞鶴と一緒に訓練はしないのか?」
「あぁ、えぇっと、空が混むからって・・・。」
「あぁ・・・、なるほど。」
「あ、でも、これから試験をやるらしいので、見ていきませんか⁉瑞鶴先輩もいいって言ってました!」
「そうか、じゃあみんなで見ていくか。」
「私たちも一緒にいいですか?」
「あぁ、赤城。龍驤に祥鳳に龍鳳もいるのか。ああ、いいぞ。」
「ありがとうございます。」
「瑞鳳がどうなっているか楽しみね。」
「そうですね。私も全然見たことがありませんから・・・。」
「そういえば、龍鳳はもう空母になっていたんだな。」
「はい。ですので、自分で言うのもなんですが、練度はそこそこあります。ただ、航空母艦に改装してからすぐにここから離れていってしまいましたので、空母としてはあまり戦うことはできません。」
「気にすることはないさ。おっ!そろそろ始まるぞ。」
海上に立つ、瑞鶴と瑞鳳が、航空機を発艦させている。正確かつ迅速に。自分も、赤城に教えられてやっていたからわかるが、弓道としての美しさを捨てた、実用一辺倒の発艦だ。1秒でも早く、1機でも多くを空に上げる。・・・赤城がちょっと不機嫌そうにしてるなぁ・・・。
「速いなぁ・・・。流石先輩です。」
「葛城さんいいですか?あの二人の発艦を見習ってはいけません。」
「えー?なんでですか?速いじゃないですか。」
「速さだけが問題ではありません。発艦には多くの危険が伴います。あれは、その危険性を無視した発艦です。それに、弓を引いてから放れるまでが速すぎます。心を落ち着ける、その過程を経なければ、戦闘において余裕を失うことになりますよ。」
「そ、そうなんですか・・・?」
あー、やっぱり不機嫌になってるよ・・・。昔から厳しいんだよな。でも、今のをあの二人が聞いたらそれも怒りそうな気がする。なんか、瑞鶴と瑞鳳って、白霜みたいに考え方が合わなくて反発している感じではなくて、第一世代艦艇を嫌っている節があるんだよなぁ。一体何があったんだろうか。
「そろそろ、始まる。」
「お、そうだな。どんな感じなんだろう。」
確か、硫黄島に行く前に提出された書類では、まずはロケット弾搭載機の試験をやって、急降下爆撃、水平爆撃、最後に雷撃だったよな。
「提督、これ、使う?」
「おお!ありがとうな、雲龍。」
雲龍が双眼鏡を渡してくれた。これで詳細に機体の様子を観察できる。ん?あれは・・・白霜か?
「白霜あいつなにやってんだ?」
「攻撃目標役をやるとおっしゃっていましたよ。」
「まぁ・・・あいつなら全部避けるだろうから大丈夫か。」
「提督!」
「大淀?どうした?」
「この前瑞鳳さんが提出した、攻撃兵装試験に関する書類です。」
「おお、ありがとうな。」
この前はいろいろありすぎて結局見れていなかったからな。えっとなになに?まずロケット弾は、十二糎空対艦墳進弾が・・・24発⁉多くね?しかも、12cmってかなり大型のロケット弾じゃないか。ハイドラだって70mmだぞ。確か、直径が同じ帝国海軍のロサ弾の重量が一発20kg前後だから、24発で480kg⁉500kg近くを戦闘機に積んでもいいのか⁉いや待って?なんか急降下爆撃と雷撃のところにも戦闘機の項目があるんですが・・・。そんなマルチロール機を開発してたのかよ・・・。まぁ、流石に搭載量は一番少ない1300kgだ。それでも多いよ!なに⁉爆撃機が1600kgに攻撃機が2400kg⁉あの二人スカイレーダーでも目指してんの⁉まぁ・・・、困ることはないんだけどさ・・・。ていうか、ちゃっかりすべての機体が爆撃と雷撃の両方をやろうとしているんだけど・・・。
「そろそろですね。」
何機かがダイブして、白霜に襲い掛かり、ロケット弾を発射した。
「すごい数だな・・・。」
当たり前のごとく、白霜は回避する。空には黒煙が立ち込めている。やはりロケット弾は煙が濃いな。
「次は急降下爆撃の試験ですね。」
白霜が緑の旗を掲げる。それからしばらくして、9機が急降下してきた。
「あれほぼ垂直じゃね?」
「速い・・・。」
3機が一列に並び、それが横三列並んでいる。3機づつ投下して、徐々に修正をしていくつもりか。投下するとすぐに白霜がうごいた。爆弾が着水し、巨大な水柱を次々と上げる。
「すごいな・・・、一体何キロの爆弾を積んでいるんだ。」
「さっきのは、機体形状は彗星に似ていましたから・・・、爆弾倉に搭載することを考えると、最大でも五十番かと。ですが、それを3発程搭載していました。」
「3発か・・・、投下する数が多い方が命中する数も多くなる。・・・次は攻撃機の番か。」
「2400kg搭載。ってことは、八十番を3発か、百番または百二十番を2発ですかね?」
「かもしれない。」
しばらくして、再び9機が降下してきた。
「・・・2発だな。ってことは百か百二十のどちらかだな。」
「投下されましたね・・・。」
さっきよりも巨大な水柱が立つ。
「流石に1000kgを超えるとすごい威力だな。」
それから、なぜか戦闘機が急降下爆撃を行い、雷撃に移った。
「次は雷撃か。」
「なんで戦闘機まで雷撃するのでしょうか?」
「分からん。まぁ、これはあくまでも試験だから、データを取っておきたいんだろう。」
「搭載量、特に、攻撃機の搭載量は過剰なほどに大きいです。魚雷1本では搭載量を持て余してしまいます。」
「爆撃機ならば、九四式1本で充分だが・・・。」
「あの、・・・この鎮守府、九四式はありません。」
「そうだよなぁ。だってあれ銀河専用だもん。んでここ、銀河いないもん。」
「九一式と一式があるんやな。」
「そうです。ですので、複数搭載するかと。」
「そんなことが可能なのか?」
「搭載自体は可能ですが、投下時に少し問題が・・・。」
「ぶつかるってことか?」
「そうです。投下のタイミングをずらせばぶつかることはありませんが、そうすると今度は急激な重量バランスの崩壊で墜落の危険性も。」
「そうだよなぁ。ま、そこも見るか。」
しばらくして、雷撃試験が行われた。
「爆撃機は魚雷2本を胴体に懸架していました。」
「なるほど、それなら、振り上げ側の魚雷をあとに投下すれば、重量バランスは崩れにくくなる。」
「次が最後です。攻撃機の試験が。」
「そうだな。はっきり言って一番気になる。」
「あ、来たよ。」
9機の攻撃機が低空を飛んでくる。
「2本搭載と3本搭載が混在していますね。」
「2本搭載だと一式で、3本搭載は九一式な。多分。」
「うーん、よく見ると、2本搭載している機体は胴体に懸架していますが、3本搭載している機体は1本を胴体に、残りの2本は主翼に懸架していますね。」
「どうするつもりなんだろうか。よく見ておいてくれ。」
攻撃機が魚雷を投下していく。
「どうだ?見えたか?」
「はい・・・、かろうじて。」
「どうだった?」
「えっと、まず胴体下に懸架している魚雷を投下して、主翼の魚雷はまず、投下前にわずかに機体を左に傾けて、左、右の順番で投下していました。」
「なるほど、軽くなって浮き上がる方をあらかじめ下げてていたのか。」
「そして、機体のバランスが崩れる前に反対側を投下する、と。」
「タイミングが難しいですね。」
「そうやな。早すぎれば先に投下した魚雷にぶつかり、遅すぎればバランスを崩して墜落。なかなか高度なことをやってのけるなぁ。」
「私たちが負けるのもうなずけますね。」
「そうやな。」
「ん?何か言ったか?」
「いえ、何も。それで・・・、試験はこれで終了ですか?」
「・・・そうらしいな。よし、じゃあ、昼食べに行くか。」
「そうですね。」
「私は少しここに残ります!先輩と話がしたいので!」」
「そうか、じゃあ先に言ってるぞ。」
「あの、私たちも残ります。」
「そうか、じゃあ、食堂で合流だな。あの三人もつれてこれるのなら連れてきてくれ。」
「分かりました!」
やべ、今回めっちゃ長くなっちゃった。まったく区切りをちゃんと考えないで無計画に書き続けるんだから。