白く染まる世界   作:菊水晴雅

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第八十八話

 

「結局来なかったな・・・。」

「なんの話ですか?」

「いや、こっちの話だ。」

「そうですか。」

「いやー、それにしてもなんか申し訳ない。状況や物資がひっ迫しているにもかかわらずこんなに支援をくれるなんて。」

「艦娘が一気に27人も増えるなんてこと事態がかなり特殊ですからね。そんなに増えたら、どこも対応しきれなくなるでしょう。」

「それもそうだが・・・。」

「提督殿。こちらが司令長官の指示で持ってきた刀になります。」

「ああ、ありがとう。えっとそれは・・・、白霜!ちょっとこっちに来てくれ!」

「ん?ああ、なんだ?」

「新しい刀だ。専用の物が完成するまではこれを使っていてくれ。」

「分かった。ありがとう。・・・少し重くなったな。」

「そりゃそうだろう。ちゃんと打った刀だから。」

「それもそうか。」

白霜は少し離れて抜刀し、観察し始めた。

「あの人が・・・。」

「そうだ。普通に怖いからあんまり怒らせないようにしてくれ。」

「どうやったらあそこまで刀をボロボロにできるんですか?」

「粗悪品ってのもあるし、白霜いわく、超音速で装甲を斬るとああなったらしい。」

「なんですか?超音速で装甲を斬るって・・・。」

「さあな。俺にもよくわからん。」

・・・一応お気に召したようだ。よかった。

「ありがとうな、高雄。忙しいのにまた来てもらって。」

「いえいえ、構いませんよ。それに、樹希君が北海道に行く前に一度会いたかったですし。それに、新しく配備される部隊のことも。」

「・・・そうだな。F-4戦闘機と最新のF-5戦闘機(※ファントムではありません。)に、を配備した航空隊と、33式装輪40mm機関砲戦闘車か・・・。これだけの戦力をここに配置してもいいのか?」

「はい。マリアナ諸島に大規模な飛行場が建設されたとなると、ここも最前線になります。短SAMやパトリオットなども配備したいのですが、これは数がそろわなくて。」

「ならF-4、F-5も調達が間に合わないんじゃないか?」

「航空機に関しては、九州にはF-2やF-15、F/A-18がたくさんいるので、現代航空戦力には少し余裕ができているんです。それに、・・・ロシアに対しては第六世代戦闘機のF-3(※GCAPです。)とUFX-4Cが担当していますし。」

「ミサイルは大丈夫なのか?この前南九州の工場が破壊されたって聞いたけど。」

「それが問題なんですよね。今日搬入したAAM-8は144発です。」

「F-4に搭載可能なAAMは12発だから、12機分。今日配備されたF-4が6機だから、出撃2回で尽きるのか・・・。」

「はい。アメリカにもAIM-9の支援を要請したのですが、やはり厳しいと・・・。」

うーん、やっぱり日本のミサイル事情が厳しすぎる。工業力の限界が近いうえに、単独で艦娘も通常海上戦力も陸上戦力も航空戦力も、全てをやらないといけないから仕方ないっちゃあ仕方ないんだが。

「せめての救いがあるとすれば、F-4もF-5も機銃が従来よりも充実していることだ。ガンポッドもあるし。」

「そうですね。重爆は機体が大きいので、機銃での撃墜も可能です。ただ、制空戦闘となるとやはり、艦娘機が欲しいですね・・・。」

「そうだな。現代機で手のひらサイズの戦闘機を撃ち落とすのは困難だ。それこそ高精度センサーとリンクさせた可動式レーザー砲でないと。」

「そうなんですよねぇ。」

なかなか厳しいな。

「やっぱりさ、北方は山城なしで何とかならないか?」

「それが、ここ最近の劣勢によって深海棲艦が勢いづいていて、大規模な侵攻はまだないにしても、やはり襲撃が増えているそうです。それに、ロシアにも不穏な動きが見られて・・・。」

「ロシアまでも・・・。こんな時に争っている暇などないというのに。」

「ロシアは日本の敗北に備えていると表明していますが。」

「まぁ、東アジアにおける唯一の海軍大国がこんな状況だから、警戒するのもわからなくはないな。」

「いえ、それが・・・、輸送船が増えていて・・・。」

「それは・・・確かにおかしいな。防衛だけを固めるのなら、船は必要ない。サハリンはともかく、千島列島は日本管轄に戻って来たはずだ。そのサハリンも海底トンネルでつながっているから、輸送船は必要ないはず。」

「そうなんです。だから、山城さんが抜けて戦力の補充なしというのは不安が大きいのです。」

大量の資源を持ちながらも深海棲艦に対抗する手段がまともにない日本の周辺国、東アジアと、世界三位の艦娘戦力を保有し、東アジアで唯一、深海棲艦に対抗できるが、資源が全くなく、海外からの輸入に依存している日本。今の極東地域は相互依存の関係にある。それが新たな対立を発生させた。

日本は、対深海棲艦安全保障を盾に、全ての領土問題の解決を、さらに資源の輸入価格の引き下げを要求した。これにロシアと中国が猛反発。しかし、日本側としても、なるべく広い範囲で、自国の戦力を自由に動かしたいという考えがあり、妥協を許さなかった。特に、日本は北方への守りが薄く、そこを突破されたときへの対策が不十分であった。そのため、日本はロシアに対し、北方領土からの即時退去と、千島列島の返還を要求した。これにはアメリカも加わり激しい対立を引き起こした。しかし、2030年12月25日のハワイ陥落に伴い、条件付きで承諾。苫小牧港の設備利用権と、ロシア艦艇の津軽海峡無制限通行権、そして絶対防衛の約束と引き換えに、北方領土と千島列島の返還に応じた。

日本と、特にロシアの間にはこのような対立がある。そして、要求を押し通した日本がこんな劣勢なんだから、そりゃぁ信頼もなくなるよ。

「はぁ、色々気を付けることが多いな。」

「そうですね。お気を付けて。北方もすでに安全圏ではありません。そして、対ロシアの最前線です。戦車やミサイルも多数配備されています。単冠湾泊地の提督に、よく説明を聞いてください。」

「分かった。ありがとう。」

 




今回も長めです。あと二話で第二章終わると思います。お疲れ様でした。第三章は現在、60ページ書き終わっています。まだ終わりません。
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