11月29日
07:00
単冠湾泊地
「寒!」
単冠湾泊地に到着して、1日目の夜が明けた。早朝はとんでもなく寒い。
「はははは。ま、頑張れ。もう一枚着れば?」
「そうするわ。うー寒い。」
上着をもう一枚とってきて戻った。
「悪い、待たせちまって。」
「別にいいさ。えっと、まずは刀からか。それにしても、艦娘専用なんてどうしたんだ?いくら艦娘の力が強いといっても、専用の物は必要ないだろう。人間が扱う刀でも十分なはずだ。技術がないだけじゃないのか?日本刀の扱いには高度な技量が要求されるからな。」
「海翔。」
「なんだ?」
「魔女っているじゃん。」
「そうだな。それがどうした?あの戦艦コロラドでさえ敗北するようなバケモノと聞いているが。」
「そんなバケモノと対等に殴り合う駆逐艦がいるって話聞いたら驚く?」
「そりゃそうだろう。なんたってレールガンの砲弾を弾いて、戦艦コロラドを戦闘不能に追い込み、単独でハワイとパナマ運河を破壊したんだからな。」
「その魔女と殴り合える艦娘が存在するんだよ。」
「いやいやそんなわけないだろ。そんな分かりやすい冗談言わなくても。」
「いや、いるんだ。横須賀に。」
「いやいや、だって魔女だぜ?あんなバケモノに傷一つ与えられるわけがない。」
「昨日、俺のほかに、一人だけ男がいただろう?」
「ああ、いたな。艦娘って女の子しか見たことがないから内心驚いてたよ。ほら、娘って感じが当てられてるくらいだし、欧州じゃあ船は女性名詞だろう。・・・まさか?」
「そうだ。その名前は白霜。」
「聞いたことがないな。」
「そうだろう。あいつも先の大戦にはいなかったと言っていた。だから、オリジナル、と言えばいいのかな。そして、俺は白霜を、この戦争をひっくり返す希望だと思いたい。」
「・・・思いたい?」
「・・・白霜自身が、本気で人類を嫌っているんだよ。」
「嫌ってるって・・・、その、白霜ってやつは魔女と対等に殴り合えるんだろ?なら、そいつが深海棲艦に寝返ったら俺達は大丈夫なのか?」
「大丈夫だと思う。なぜなら
「人間よりも深海棲艦の方が優先順位が高いからだ。」
「うわああぁぁ!いつの間にいぃ!」
「気配を消して脅かすな!心臓止まるかとおも・・・。」
そこで、言葉に詰まった。白霜の目が、冷え切っている。冷え切ったまま、にらみつけている。
「・・・はぁ、くだらない。・・・上谷提督、今はまだ安心してて大丈夫ですよ。深海棲艦がいる限り、人類を攻撃するつもりはありません。この戦争が終わったら攻撃しますけどね。」
「・・・そ、そんなことを言って、大本営にばれたら、軍法会議ものだぞ?」
「ええ知っています。ですが、大丈夫ですよ。」
「なんでそう言いきれるんだ?」
「だって・・・、人類は私を捕まえることができないからですよ。」
「それは・・・、そうだな。まず、お前についていける艦娘がいない。現代兵器は役に立たないし。それで、そろそろ本題に入ろう。」
「・・・分かった。えっと、刀、だったよな。」
「ああ、ここに鍛冶職人がいるって司令長官に聞いたのだが。」
「ああ、いる。それは安心しろ。で、そこに今から行きたいってわけだな。」
「そうだ。」
「それで、その壊れた刀はどこに?てか、今腰に差しているものは?」
「これは新しい刀ができるまでのつなぎで、壊れたやつならここにある。」
いつの間にか、白霜の手には一本の刀が握られていた。
「いまどっから出した⁉」
「艤装にしまってあっただけだが?」
「そうか・・・、うん。確かにそうだな。」
「どうした?大丈夫か?」
「あ、あぁ、大丈夫だ。じゃ、行こうか。こっちだ。」
三人で歩き出し、敷地外の建物に到着した。
「ここだ。もう開いてるっぽいな。」
そうして、海翔がインターホンを鳴らす。少しして人が出てきた。
「上谷提督、おはようございます。外も寒いですから、中へ。そちらのお二方はお連れ様ですか?」
「そうだ。」
「本日はどのようなご用件で?」
「それについては・・・樹希からしてもらった方がいいかな。」
「分かった。ひとまず・・・、寒い。早く中に入れてほしいです。」
「あ、す、すみません。どうぞ早く。」
「・・・だらしない。」
ついに新しい刀が来ます。