セカイへの転生   作:小樽垂子

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思いついたものを書いてみました。
反響があればまた続き出そうと思います。

設定
主人公:真嶋 拓(まじま たく)
本作の主人公。男。173㎝。58㎏。
一人称:僕
趣味は音楽鑑賞、音ゲー。
他の人と比べ、自分は劣っていると思っている。そのため、引っ込み思案な性格。
プロセカはLv30まではフルコンしており、イベントストーリーをちまちま読んでいる。
前世:高校2年生
転生後:幼少期~

プロセカのキャラたちの基本設定は進級前のものを採用。
オリジナル展開も多分に含まれるので苦手な方はブラウザバックしてください。
またプロセカのキャラは第2話からの登場となっていますのでご了承ください。
投稿事態初めてなので誤字脱字や表現がおかしいところがある場合があります。
それでもOKな人はこの物語を楽しんでください。


設定&第1話 転生

 2024年2月某日のお昼時。僕は学校の屋上にいた。

 

 そんなところでなにをやっているのかって? 

 

「……あ、いけるかも」

 

 それは音ゲーだ。今絶賛「プロセカ」で『ももいろの鍵』のMASTERをやっている最中だった。

 いつも引っかかるような階段も今回はきれいにつながっていた。

 

「よし、このまま最後まで……あ」

 

 やらかした。最後の階段でGOODを出してしまい、夢の初のLv31フルコンは途絶えてしまった。

 

「何であんなところでミスるかなぁ。はぁ、初めての31はこれがいいんだけど、やっぱり簡単な31の方がいいのかな。個人的には『ヒアソビ』とかいけそうなんだけどな」

 

 そう自分のミスに嫌気がさしていると予鈴が鳴り出した。

 

「そろそろ戻らないとな」

 

 フルコンできなかったのは残念だったが次の授業に引っ張ってはいけないと気を引き締めながら僕は自分の在籍しているクラスへと戻った。

 クラスに近づくとまだ先生が来ていないのかまだ騒がしかった。

 入りづらいなと思いながらも教室の扉を開けると、一斉に自分の方へと視線が来る。

 しかしそこで皆は、先生ではなかったという事実を目にしたのか興味を失ったのかは分からないが、すぐに視線はそらされた。

 

(あ、まただ)

 

 また自分に対しては誰も反応してくれなかった。

 他の人だったならきっとみんな何かしらの反応はしてたはずなのに。

 

 ……やっぱり僕はだめだな。

 

 そんなの今まで自分自身が話しかけようとしなかっただけなのに。受け身なままで来てただけなのに。

 それでも心の深いところが澱んでいくような感じがした。

 そこからは、いつもと同じ。自分は何でこんなにダメなんだろうとずっと考えてしまう。

 

(みんなはどうしてあんなに輝いてるように見えるんだろう。……やっぱり夢があるから?)

 

 前に皆が夢を語り合っている所を耳にしたことを思い出す。夢があるということはある意味未来に希望を抱けている証拠だ。

 そうじゃなかったら夢なんか見ない。

 地球が数年後滅ぶと言われたら誰だって夢を持たなくなるだろう。けどそれは未来に希望がないからだ。

 一方、僕自身には夢がない。

 高校2年生になってもいまだこうしたいというのもないし、大学で何を学びたいというものもない。本当に空っぽだと思う。

 そんな風に自己嫌悪に陥っていると、先生が席につけと言いながら入ってくる。

 僕は慌てて扉の前から自分の席に移動して授業の準備をした。

 しかし滞りなく授業は進んでいく中、僕の心は時間が経てば経つほど黒く濁っていった。

 放課後、そんな気持ちを引きずりつつも自宅に帰宅する。

 帰宅するとそこには出かける準備をしている両親がいた。

 

「ただいま」

「あらおかえり」

「……どこか行くの?」

「母さんが言ってたろう。俺が有給を使ってこれから夫婦で旅行しに行くって」

 

 そういえばそんなことを言っていた気がする。なんか20回目の結婚記念日だからってかんじで。

 けど、両親がそこまで仲良かったとは意外だった。

 普段はあまり会話をしているところを見ないし、自分自身両親を見るような余裕もなかった。

 多分あちらも僕のことはあまり見ていないのだと思う。基本放任主義だし。

 

「あ、そうだったね。僕は適当にデリバリーとかコンビニで何とかするから父さんも母さんも楽しんできて」

 

 僕はそういって違和感のない笑顔をみせる。

 

 何でそんなことをするのかって? そんなの両親に心配させたくないからだよ。

 

 そんな気持ちを両親は知る筈もなく彼らはある程度のお金を置いて旅行へと出発した。

 両親が出発した後の部屋はどこか閑散としていて今の自分にはとても心細かった。

 

「よし、とりあえずコンビニでも寄ってくか」

 

 僕は寂しい気持ちを押し込めるため誰もいない部屋で声を出す。

 そこから再び黙って、静かに外に出る準備をした。

 そこから順調に買いたい物を買い、自宅に戻る。

 相変わらずなれない静けさに不安を覚えながら、夕飯を食べ始める。

 

「あ、アフターライブやってる」

 

 食べながらプロセカを開くと時刻が19時くらいだったせいかイベント終わりのアフターライブが行われていた。

 クリスタルのためにもと思い入場するとちょうどビビバスの4人が会話をしている所だった。

 会話している彼らを見てふと羨ましいなと思った。彼らはRAD WEEKENDを超えるという夢を持っている。

 けど、自分自身にはそんなたいそうな夢はない。

 

 だからこそ羨ましい。

 

 そこまで本気になれる夢を持っていることに。そこでまた悪い考えが頭をよぎる。

 

 自分はなぜ夢を持っていないんだろう。

 

 環境や境遇が違えばあったのか。勇気さえ持てていればあったのだろうか。

 なぜか今日は異様にネガティブな考えばかりしてしまう。

 今までもたまにネガティブなことを考えることはあったがせいぜい小一時間で何とか持ち直していた。

 なのに、今日だけは心がずっと絞めつけられていた。まるで何か嫌な予感でもあるかのように。

 

(きっと気のせいだよな)

 

 そう思い、考えることを無理やり中止してアフターライブに集中した。

 そのあとは適当に時間をつぶして風呂に入り、ベッドに入った。

 翌日、その嫌な予感が当たるとも知らずに。

 

 

 次の日、3連休初日の朝は玄関のチャイム音で目が覚めた。

 休日くらいゆっくりしたいと思いながらモニターを見てみると、知らない男が立っていた。

 

「おはようございます。こちら真嶋さん宅で間違いありませんか」

「え? はいそうですけど。なんか用ですか?」

「用ですかって。決まってるじゃないですか。借金の返済ですよ」

「は? 借金?」

 

 その言葉を聞いて僕は思わず鸚鵡返しした。

 借金なんて急に言われても何でということしか頭に思い浮かばなかった。

 誰かと言われれば親しかありえないがそれならば旅行に行くお金なんてないはず……最悪な場合を考えつつも僕は男に言葉を返す。

 

「あの、両親は今旅行中で家にはいないんです。連休明けには帰ってくると思うのでその時改めて来ていただけませんか?」

 

 できるだけ相手の気分を逆なでにしないように気を付けながら発言する。

 相手は借金取りだ。一応気を付けておいた方がいいだろう。

 しかし、男から発せられた言葉は僕にとって看過できない内容だった。

 

「ああ、それなら大丈夫です。連帯保証人であるあなたからもらえばいいんで」

「は?」

「ほらこの紙に。ちゃんとあなたの名前と捺印が」

 

 そう言って男はモニター越しに借用書を見せてきた。

 金額の部分を見るとそこには300万円と記されていた。

 それを見た僕は思わず目眩を覚えた。

 おまけに連帯保証人の欄にはきちんと僕の名前が書いてあった。

 

(ああ、そういうことか。…………僕は見捨てられたんだ)

 

 それは、両親が僕を犠牲に逃げたという事実を示していた。

 

「まあ、そういうことなので。お金がないのなら働いてもらうだけです。ちょうど今日から3連休なので、連休が終わる前までに返せるよう頑張ってください」

 

 男の無茶ぶりを受けながらも僕はこれ以上何も言うことができなかった。

 

 

 その後は思い出したくもないほどひどいものだった。

 両親へ電話をしても通じず、軽く絶望を覚えた僕を連れられていった場所はある工事現場。

 日給はとても安いくせに労働環境は最悪で休む暇すらもくれないという典型的なブラックな職場だった。

 そのため3連休で借金を返済しきれるわけもなく、終わった後も学校すら行かずに働かされた。

 最初こそ親を恨みはしたが、途中からは辛さが心を覆いつくしていった。

 現場の監督には無能だと言われ続け、高校生だから年の近い同僚もいない。

 そんな状況が2週間続いたあたり、ついに僕の心は壊れてしまった。

 

 2024年3月某日工事現場にて。

 僕は一人工事現場の高所に立っていた。多分その時の顔を見た人たちは皆ひどい顔だというだろう。それくらい打ちのめされ、自己嫌悪に陥った。学校では進路も夢も決められず、ここでは現場監督にストレスのはけ口にされる。そんな現実に僕はもう耐えれない。

 

(もう、…………終わらせよう)

 

 そう思い、僕は高所から飛び降りた。

 案外地面につくまでの時間は長くこれまでの出来事が一気に過ぎていった。

 今まで何もなすことのできなかった自分。裏切られた自分。夢を持っていない自分。

 

(……なんだ。僕には最初からなかったんだ)

 

 そう結論付けたのと同時に僕の意識は遠ざかっていった。




以上で第1話は終了です。
自分が思っていたよりも重くなってしまいました。
まだこの重さは第2話に引き継がれてしまいますがその重さを拭えるよう書いていきますので、よろしくお願いします。
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