元東風谷です   作:覚め

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主人公の名前は(なな)です。男主人公のつもりだよ。


第一話

「霊夢さん、異変っぽいですよ」

 

「言われなくてもわかってるわ。…こんなに空が紅いなら動かないわけにもいかないのよ」

 

「お気をつけて〜」

 

「力がないんだから七は家の中に引っ込む」

 

押し込まれるように神社の中へ。力がないのは事実、だけどもそんなこと言われたってな、と言うのが私の意見。元々外来人、帰る場所もなさそうだからこっちに永住しただけなんだから。博麗の巫女というものの役割を聞いたときには、私がこの神社に住んでも良いのかと悩んだものだ。好かれていると言われればそれまで、死んだら後味が悪いと言う話にもなる。まあそんなこと考えても意味がないので大人しく神社で待つことにするけど。その間にやれることはやってしまおうということで。

 

「ご飯とか…そこら辺かな」

 

「台所に立つ男って珍しいわ」

 

「…退治?」

 

「考えなおして」

 

「でも私をここに招いたのは八雲紫では…?」

 

「紫で良いのに…まあ、電柱の隅で黄昏てるのは珍しくてね。つい」

 

ついつい誘拐されちゃったようだ。まあ幻想郷に入ったのも少し前なので詳しい条件は知らない。必要されなくなったり忘れられたりするとこっちに来る。後は結界のバグ、又は八雲紫自身が招くこと…と、霊夢さんに教わった。必要されなくなったりはあり得ないと信じたいから結界のバグか八雲紫の手招きだと思っている。まだ二十歳でもないのに、そんな孤立を味わいたくはない。味わっていたとは思いたくもない。ので八雲紫のせいにしている。考えられる限りの最大の可能性を疑うのは当然。

 

「で、何さ。私はお酒呑まないよ」

 

「そうねぇ。お酒も良いけど…今日の晩御飯は宴会になると思うからなぁって」

 

「…つまり?」

 

「作っても、ねぇ?」

 

「…塩!」

 

「容器ごと投げるの?」

 

と言うよりも私だってそのことが抜けていたわけじゃない。ただ、量が足りないなと思ったのだ。嘘だ、普通に抜けてた。わたしは八雲紫に投げた塩を回収し、机の前に座る。霊夢さんならば恐らく一時間もしないで帰ってくるだろう。八雲紫曰く紅い空はわたしには危険だから出るかとも言われた。霊夢さんに聞いたことを伝えると、塩をふりかけて来た。指で掬って食べているとドン引きされた。おかしくないか、それは。不法侵入の分際で、塩を掬って食べるだけだぞ。

 

「あなた、どんな環境で暮らして来たの?」

 

「抑圧蔓延る場所かな」

 

「不衛生ね」

 

「そうかな」

 

頬杖ついて息を吐く。デカいため息。…八雲紫の言い分では見るのも危険な紅い空らしいので、私はこうして神社の中で暇するしかない。まあそもそも飛ぶことすらできない人間なので外に出れたところで意味がないのだけれども。式神でも作るか。紙に血を吐き出してからメチャメチャに折る。三日後には式神が出来る。と言うのも、どうやら俺の血は特異なようで、何故かこれで式神が出来る。勿論クソ雑魚。八雲紫から能力持ちの外来人とは珍しいとか言われたので、多分家系的なものじゃないかな。

 

「そんなとこで血筋って言われてもねぇ?」

 

「親には感謝した方が良いわよ。霊夢は私に全然感謝してくれなくって」

 

「そんな話は聞いてないよ」

 

「そんな」

 

「感謝されたかったら積極的に関わるべきだし」

 

「加減が難しいのよね、その…博麗の巫女として力をつけなきゃだしぃ…」

 

大妖怪がもじもじしないでほしい。そんな希望は受け入れられずに時間が過ぎ、八雲紫が退屈だなとあくびをし始めた頃、霊夢さんが帰って来た。襖を勢いよく開きながら。一瞬音が大きくてびっくりしちゃった。八雲紫も同じく体を震わせていた。嘘でしょこの大妖怪、人間と同じくらいビビリなの?なんなのこの妖怪。霊夢さん一発かましてやってくださいよ。え、なんで同じ卓に着くんですか。…よくわからないな…。外を見たところ紅い空はもう消えており、青くなっていた。ちなみに魔理沙と言う魔法使いがチラッと見えた。

 

「どうしたのよ、そんな空ばっか見て」

 

「宴会開くんでしょ?いつ来るのかなって」

 

「八雲紫が参加してるの見たことない気がする」

 

「いつもは温泉からお酒だけ借りてるからねぇ」

 

「盗人じゃない?」

 

「ただの妖怪」

 

「言い方ってものがあるでしょう?」

 

でも私はそうとしか思えないからなぁ。宴会の準備となると、私は酒を運び出したり買って来たりするのが常なんだけど…どうやらその心配はいらないらしい。今回の異変起こした奴が館持ちらしく、お酒が大量にあるらしい。西洋のよくわからない館の者だと聞いたので、とりあえず日本の酒を幾つか運び出しておく。西洋の酒…となったら、私の考えが間違いでなければワインとかそこら辺を持ってくるかもしれない。ブドウが嫌いだと霊夢さんが言っていたので、その分は用意しておくに越したことはない。

 

「…とりあえず三樽くらい?」

 

「私をどんな酒豪だと思ってるのよ」

 

「でも前呑んでましたよね」

 

「霊夢ちゃんの体にこの量が…!?」

 

「そんな…はずは…」

 

「記憶無くなるまで呑んでるのに…」

 

勿論嘘。自制を求めると言うだけ。事実は八雲紫や魔理沙が飲んでいたり、よくわからない妖怪が呑んでたりしたってだけ。まあ嘘がバレてないためよしとする。しかし、西洋から来た館持ちの妖怪が起こした異変か。空を覆ってたから…なんだろ。存在を誇示するだけならこれ以上ない異変ではあるけど。そんなに承認欲求強めの妖怪だったのかな。哀れな妖怪だなぁ。悲しきモンスターとも言える。こっちに来たら異変を起こした理由とか聞きまくってやろうかな。

 

「変な妖怪来ないと良いなぁ」

 

「霊夢の悪影響にならなければ良いわ」

 

「七の式神は?」

 

「なんか最近消えてるんだよなぁ…」

 

「不思議ねぇ」

 

「…今日の宴会で聞いてみるか…」




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