元東風谷です   作:覚め

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第五は運命だったやん。
はぁー。


第十話

「何この人」

 

「鬼」

 

「泣く子も黙る萃香様だ」

 

…なんだか知らないけど、いつの間にかいた。本当に私の知らないうちに、居た。話を聞けば八雲紫が冬眠から目覚め、お祝いに宴会だと騒いだら寄ってきたらしい。…だからってなんでこっちにきたの?理解できずに首を傾げたところ、なんか騒いだときにやらかして一回やられたらしい。八雲紫の冬眠明け祝いには私も参加していた。ただ…そう、参加はしていた。けど鬼を見た記憶がない。やらかしたのなら一目見るくらいはあるはずだ。多分。寝た覚えもない。…どういうことだ。

 

「あやや…ややっ!?」

 

「文、毎朝ご苦労」

 

「射命丸じゃないか!!」

 

「こ、これは萃香様、何故ここに…?」

 

「…」

 

新聞。要求したかったのだが、どうやら文の目には萃香しか写っていないらしい。仕方ない、萃香がどこかにいくまで私は待たせてもらおう。ちなみに、茶は萃香に飲まれた。なんだこいつ…突然割って入ってきて奪って行くとか、どんな妖怪なんだ?鬼だな。そう、鬼なんだ。はぁ…。霊夢さんが良いと言っているから良いのだろうけども、私にはどうも。生活リズムを崩されている気がしてならない。まあ慣れればそれまでだろうけどね。とりあえず文は早く新聞を。

 

「じゃ、じゃあ私は次の配達先があるので!」

 

「おー!」

 

「はいさよなら」

 

新聞を読んだところ、どうやら変な噂がわさわさと漂っているらしい。博麗神社が妖怪神社になったとか、紅魔館とか言う館は門番しかいないとか、そう言うくだらない変な噂。アホか。変すぎるだろ、噂が。そんな噂の中に私の噂も紛れていた。紙の束が空を飛ぶ噂として。どうやら私は紙の束として認識され始めたようだ。最近、式神に乗って空を飛ぶ練習をしているのだが、それがこの噂を産んだように思える。まあ確かに下から見れば紙の束だけが見えるよな。

 

「いやぁ、射命丸にあんなに好かれてるのか」

 

「何言ってんの?」

 

「えっ」

 

「霊夢さん、今日の新聞」

 

「ありがと。…良し、じゃあ枯れ草燃やして来るから」

 

「はーい!」

 

体を伸ばし、バキバキと鳴らす。…さて。この鬼はどうしたものかと悩んでいたところ、八雲紫が出現。萃香と談笑し始めたので退散する。悪いが面倒なのは嫌だ。式神を増やす作業でもするか。作り方は簡単。尖った石を見つけて手の甲を切る。すると血が出る。傷口には後で式神を貼れば良い。血が出続ける間は紙に押し当てて式神を増やす。できるだけ多く。…とは言っても一回で大体五枚しか増えないけど。それを繰り返してかなり増えた。枚数はもう覚えてないけどね!

 

「良し」

 

「またか」

 

「仕方ないでしょ、私もまだ死にたくないし」

 

「仕方なくない。七は霊夢に守られてるようなものなんだから。」

 

「魔理沙みたいに一人暮らしするかも」

 

「ないない」

 

「霊夢さんに紅魔館が迷惑かけたらカチコミするよ」

 

「…それはもっとない。」

 

全て否定された。だがまあ、仕方ないね。そんなものだし。私も式神の数を増やす必要はないとは思っているのだが、私が弾幕ごっこを強いられた時の手札としてあった方がいいだろう。私はそんなに強くないし、かと言って逃げ足が速いわけでもない。更に言えばそれが出来たところでとしか言えない。紙の束が空を飛んでいればそれは私だから、その後の行動は恐ろしく制限される。まあ、要するに弾幕ごっこだけなら勝てる状況を作っておいた方がいいと言うだけだ。魔理沙にそれを説明したところ、はぁ?と言われた。

 

「はぁ〜!これだからったく」

 

「大きな声をいきなり出さないでね」

 

「七はいつからいるんだっけか」

 

「さぁ?冬が…大体、八回とか…」

 

「暖冬もあったからなぁ。まあ大体10年とかそこらか」

 

「じゃあ…私は今何歳だ?」

 

「なんで本人が知らないんだ?」

 

魔理沙に変な詰められ方をしながら何も起こらない平穏な神社を楽しむ。鬼が現れたのは少し驚くことだが、まあ平穏は保たれたし霊夢さんが良しと思ってそうだし。うん、平穏。心残りと言えば、私の代名詞がいつか紙の束になりそうなところか。私が人の目につくところで空を飛ぶなんて霊夢さんと関わる時以外ではほとんどないと言っていい。なんなら断言する。…博麗巫女の後ろをついていく謎の紙の束となるわけだ。紙の束を引き連れた博麗の巫女…それは、評判としてどうなんだ…?悪かったりするのかな。

 

「…あー、でも確かに霊夢の後ろをついて行ってたな」

 

「?」

 

「忘れたのか?春が来ないからって飛び出た時に消えただろ?その時は霊夢の後ろを紙の束だけがついて行ってたからな。」

 

「滑稽だった?」

 

「滑稽と言うよりは、なんだろうな。…犬猫連れて歩いてた、みたいな」

 

すまないが何を言っているのか全然わからない。犬猫?…犬猫?私、実物の犬猫を見たことがないかも。存在は知ってるのに。でもあれだろ、前来た橙とか言うやつだな。幻想郷の犬猫をあれだとして。あれを…連れて歩いてた…?私の式神って人型になれたのか…?いや、この場合外の世界の犬猫だろう。だとすれば、四足歩行の妙にでかい生き物だろう。ふーむ。そうか…やっぱりわからない。犬猫ってどんなやつなんだ。写真で見たことはあるけどよく分からなかった。お隣の国だと食うとか聞かれた覚えがあるな。

 

「あー…ま、滑稽ではないと思う」

 

「なら良いや」

 

「後、七が消えた途端に式神の動きが良くなってたな」

 

「それは私の体重を支えてたからだね」

 

「…痩せろよ」

 

「健康な体と言ってもらって良い?」




七は薬局で薬を買う時にODを疑われるタイプの人間
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