「宴会だって」
「…そりゃ、宴会の場だものね」
「吸血鬼がいるとか聞いてないよ」
吸血鬼が私の血を吸ったらどうなるのか、と言う疑問を八雲紫や吸血鬼が思いつかなくて結構なことだった。まあ正直言って死体でもない限りは人体を操れることはないだろう。大量の血を必要とするだろうから多分私は死ぬし。なんなら妖怪だから操れないのでは。そしてその吸血鬼はめっちゃ偉そうにしてるし。負けた側だろ何やってんだこの吸血鬼。まあそれはそれとして、魔理沙が興味深い話を持って来た。吸血鬼の所有する図書館があり、その奥の部屋がとても気になるのだ、とかなんとか。私に魔力がついただけの魔理沙では死ぬ可能性があるのでやめておいた方が良いと思う。
「私に勝ってから言うんだな、七」
「…霊夢さん、魔理沙もう酔ってるよ」
「そんなに呑んでた?」
「早くやるぞぉ!」
弾幕ごっこなんてできないのでやめておく。そうして話を誤魔化し続けていたところ、吸血鬼に話しかけられた。霊夢さんは隣だから酔って区別がつかないのかと思いきや、私に話しかけていた。この吸血鬼、なんと魔理沙に一杯喰わされたらしく。そんな魔理沙にそう言えるのなら力を見せてみろとのことだった。でも私は知らんふりを続ける。この場にいる八雲紫に睨まれているためだ。そもそも空を飛べないんだから、いくら催促しても無駄なのだが。勿論それ以上に面倒なのは嫌だと言うだけ。
「…結局口だけね」
「訳がわからない」
「あら?不満?」
「魔理沙のことは認めてるんだけど。私に魔法が生えた程度なんだから、私より強いのは当たり前だよね」
「…」
「霊夢さぁん」
「応」
私は宴会の料理に目を戻す。霊夢さん大好き。私が今から食べるのは霊夢さんが作ったご飯ではないけどね。吸血鬼…レミリアの持つ館で雇われている十六夜咲夜というメイドが作ったご飯らしい。…西洋の食べ物は少し口に合わないな。私は魚が好きだね。あとチーズは嫌い。何これ。この、何これ?何に何を付けてるの。わけわかんないんだけどこの食べ物。貰った分は食べるけど、苦手な味だな。レミリアに目を戻すとお祓い棒で撫でられ悶絶していた。私はそれを見て笑った。
「お嬢様を笑いましたか?」
「うわっ」
「失礼、私は雇われの」
「十六夜咲夜」
「そうです。先ほどお嬢様を見て笑っていましたが?」
「声と顔が面白い」
「わかります」
「咲夜ぁ!?」
感覚が似ているメイドだった。詰められた時はしぬかとおもったけど。ちなみに人間らしい。私としては人外であってほしかった。なんだあの瞬間移動。行動の一つ一つの間が飛んでる。怖いね。そんなこんなで宴会の時間が流れていく。私はいまだに魔理沙に絡まれるばかりで。帰れよもう。八雲紫に助けてもらおうにも、何故だか八雲紫の姿は消えていた。…つまり魔理沙の絡みに答えても良いのか。と言うわけで貯めてた式神を放出。式神の大群で魔理沙を制圧する。全部の式神からは私の血の匂いがする。
「卑怯だろ!?」
「強いなら不意打ちにも対応してよ」
「弾幕ごっこだろ?」
「仕方ないでしょ、空飛べないんだから」
「理由になってないぞ」
そりゃ私でも空を飛べるならそれまで待ってもらうように言うけど、魔理沙は元から浮いてたし。それでめっちゃ煽ってたんだから、多少は自業自得って奴じゃない?ま、弾幕ごっこを知らない私が言っても意味はないかもしれないけど。私としては楽に終わったんだから黙っててもらいたい。霊夢さんに咎められたら改めるけど。…あと、さっきから吸血鬼がすごいこっちを見てくる。やっぱり式神の匂いにやられたのかな。でも結構前の血があったんだから、臭いかもしれない。
「貴方、吸血鬼にとって地雷ね?」
「?」
「なんでわからないのよ」
「妖怪は式神にできないでしょ」
「…嗚呼、なるほどね」
合点が入ったように声を出したレミリアを無視して、同意を霊夢さんに求める。濁すような素振りをした後、酒を飲んだ。情報源は八雲紫なのだけれども、その八雲紫がいないので確証をつけられない。私は何かを間違えているようだ。少し考えたレミリアが霊夢さんに何かを尋ねた後、私に向かって説明し始めた。妖怪だからと言って式神にならないわけではないのだとか。そこには勿論主人の技量なりが必要らしいのだが、私にそんなものはないため結局私は何もできないのだろう。
「…こんな感じで、合ってる?霊夢」
「まぁ…そうね。大体それで。」
「???」
「まあでも今の反応で貴方にそんな技量がないことが分かったし、思う存分血を吸えるわ」
「出来ると思ってるならやってみなさい。」
今回の宴会で私の能力についてより詳しくしれた気がする。勿論気がするだけだが。そして宴会は終わりを迎え、各々が酔っ払った状態を引っ張って帰って行った。吸血鬼は陽に弱いと聞いたが、大丈夫なのだろうか。酒と汗と土で汚れた境内を掃除し、酔っ払っている霊夢さんを布団に転がす。私の宴会での仕事はこれにて終わり。後は風呂に入って寝るだけなのだが、そうはさせてくれないのか八雲紫が来た。途中消えたのは酔い潰れたからではなかったようだ。ずいぶん元気な顔をしている。
「まだ呑むの?」
「藍がご機嫌斜めなのよ。帰って胸触ったら…」
「悪いけど私はもう寝るよ」
「七ってば冷たいわ。そうねぇ…じゃあ霊夢を」
「月が沈んだら寝ますからね。」
幻想入りした時の七は霊夢がいなければ妖怪の山でブレイクダンスを踊っていた