元東風谷です   作:覚め

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七が失血死しない限り、死後式神になるのは確定していたとしよう。
誰の式神になるの???


第七話

冬ですねぇ。寒いですねぇ。まあ半袖でいるからそりゃそうだと言うしかない季節。いやでも仕方ない部分があるんだ。何故か。普通に長袖が無かった。無かった理由はわからない。何故だろう。私は少なくとも持っていたと記憶しているのだが、何故か無かったのだ。もちろんそれなら外に出ないで家に篭っていろと言うだけなのだが、残念今日は新聞が届く日。新聞の受け取りは私の役目だ。…肌寒いので、多少マシになればと手袋やら布とかを無理やり付けている。ダサいって言うか変。

 

「…あや、貴方も大変ですねぇ」

 

「長袖どこかで仕入れないとなぁ」

 

「いつもの冬の服はどうしたんですか?」

 

「どっかやった。棚から出して洗濯して…そのままどうしたかな」

 

「何やってるんですか」

 

妖怪の山から来た天狗は文。苗字は知らない。言われたらしいが私は覚えるつもりがないので覚えていない。仕方ないね、覚えないんだもん。霊夢さんは覚えているようだった。新聞を受け取り茶を出す。ちなみに新聞はこの茶の代価となっている。何故か?知らない。煎餅は出すなと霊夢さんから言われているのでそこだけ注意。その場合、私も食べられない。はよ帰れ天狗。まあそんなこと言っても何故かこの天狗は博麗神社を最後の宅配先に選んでいるらしく。一切帰らない。時間に制限がないらしい。

 

「ま、私くらいになれば新聞なんてちょちょいのちょい、ですから」

 

「へぇ」

 

「信じてないですか?」

 

「信じても信じてなくてもよくない?書いてくれれば良いよ」

 

「ん〜…これでも読んでくれるだけ良いんですよね」

 

天狗の新聞は何故か私以外にはウケが悪い。まあ私も面白いかと聞かれれば面白味はないよなとは思ってる。魔理沙に言わせれば、私の方が面白く作れる。咲夜に言わせれば、窓を拭く時の暇つぶしになる。霊夢さんはそもそも読んですらない。なんとも不思議な読み手達。私もどこか見習いたくなる。出所がわからない自信の出し方、暇つぶしの見つけ方、そもそも関わらない方法。尤もそれを知ったところでの話ではある。人里では冬が始まった為に多くの店が売り控えなりなんなりをしているらしい。今時の外の世界ではあり得ない情報だ。

 

「…今日も早い情報をありがとう。」

 

「え〜?褒めても何も出ませんよ〜?」

 

「後で燃やしておく」

 

「二日は持っててくれませんか!?里の動向がなんとなくわかったりしますよ!?」

 

「しない。関係ないし。」

 

茶を飲んで新聞に目を落とす。妖怪の山では何故か相撲と将棋が流行っているのだが、今は将棋の方が盛り上がっているらしい。将棋が流行ると同時に囲碁もたまに盛り上がるのだけれども、今回はそこまでのようだ。何考えて相撲と将棋が流行るのか。文の考察であれば相撲自体は鬼がいた頃の名残りなんだとか。鬼が相撲で幅を利かせていた時代があったんだって。鬼が???…鬼が?なら将棋は恐らく鬼関係なく流行ったものだろうな。どっちにしろ変なものが流行ってんな。

 

「文もやるの?」

 

「えっ!?そ、え、廻し…」

 

「将棋。やるの?」

 

「あ、なんだてっきり相撲かと。嗜む程度です。」

 

「私も嗜む程度ね」

 

「霊夢さん」

 

「ぇあっ」

 

「何よその呻き声は」

 

私に新聞はもう読んだかと聞いて、それに対して全部読み終えたと言うと新聞は乱暴に取られていった。そのまま霊夢さんが持っていってしまったので、雪を退けた後に出てきた枯れ草の処理に使うつもりだろうか。湿っててあまり燃えないからってやるかな、そういうの。少なくとも私はやらない。どうせ完全に燃え切らないし。まあ霊夢さんがやるんだから何か術を使っているのかもしれない。読むことはあり得ない。…もしかしたら数少ない窓の結露対策に持っていったのかな。…多分そうだ。

 

「私の新聞…」

 

「これにて終わり。お茶も飲んだら?」

 

「やはりあまり歓迎されていない気が…」

 

「霊夢さんがなんて言うかは知らないけどね。私はそこまで邪険に思ってないから」

 

「えっ!?」

 

「思ってないだけ」

 

実際新聞をタダで出してくれるので有り難くは思ってる。まあ私の限定的な暇つぶしになるだけだから、霊夢さんからの印象は掃除用品を渡してくる天狗程度の扱いだろう。天と地の差がある気がする。まあでも別に、巫女ならそう言う関わり方の方が筋は通ってて良いと思う。私は巫女じゃないし、管理人でもないから合ってるかは知らないけどね。八雲紫本人は冬眠中だから霊夢さんの態度も少しぶっきらぼうだし。…それはいつも通りか。生活に怠惰が見られるのは…いつも通りかも。

 

「へっくし」

 

「あやや、寒いなら翼で温めますよ」

 

「え、やだ」

 

「本当に傷つきますからね、私。」

 

「…面倒だね」

 

「ゔっ」

 

天狗は飛び去っていった。出した茶を御盆の上に載せて片付ける。その際に煎餅を二枚ほど取り出しておく。机のある部屋に行ったところ霊夢さんを発見。煎餅を一枚差し出したところ、こちらを見ることなく受け取った。こう言う時の察する力が凄いんだよ霊夢さんは。良いでしょ。とにかく煎餅を渡して私も煎餅を食べる。異変やら妖怪が何かしてるとかそう言う話が入ってこない冬の間、こんな日が良くある。ずーっと暇。だからと言って動かないわけにもいかない。雪も積もるし。やることないのに何もせずに過ごせない時期は苦痛で仕方ない。

 

「…冬って始まってどのくらいですかね」

 

「まだ半月」

 

「雪が降ったのは」

 

「大体三日前」

 

「冬は長いか…」




幽々子が春を集める時、八雲紫は冬眠していた。
このことからほとんどの妖怪は八雲紫と同じように冬眠しているのでは?
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