(仮名)地蔵和讃   作:鳥頭堂正太郎

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朗読劇のシナリオとして書き始めました。
これからあなたは私と一緒に地獄を旅するのです。


第1話

これはこの世の事ならず、死出の山路の裾野なる賽の河原の物語

聞くにつけても哀れなり

二つや三つや四つ五つ十にも足らぬ幼子が賽の河原に集まりて

父上恋し母恋し

この世の声とは事変わり、悲しき骨身を通すなり

かの幼子の所作として(フェードアウト)

 

私はずっと歩き続けてきた。

見渡す限りゴツゴツとした岩だらけの荒れ果てたこの地を。

いつから歩き続けているかもう覚えていないし、とごに向かって歩いているかも定かではない。

何故歩かなくてはならなくなったのかも、もう覚えてはいない。

ただもう、光差さぬこの薄暗く荒涼としたこの地を、私は歩き続けなくてはならないのだ、いつまでもどこまでも。

 

ひゅうひゅうと音を立てて風が吹く、その風は身を切るように冷たく激しい。

その風に流されるように、そこかしこにある、いくつもの赤い風車がカラカラ、カラカラと乾いた音を立てて回る。

動いているのはその風車だけで、他には何もない。

ただ、鋭く尖った大小の岩や石がどこまでもどこまでも転がっている。

 

ここは賽の河原。

あの世に続く、三途の川の川岸にある、死者が最初にやってくる、この世でもあの世でもない場所。

 

死者達は皆一様に三途の川を渡っていく。

ずぶ濡れになりながら、川を歩いて行く者。川渡しの船頭が櫓を漕ぐ船に乗っていく者。対岸から立派な橋が伸びてきてその橋を歩き渡っていく者。

だが、私は三途の川を渡る事はできない。

私は生きながらにして、この地に来たのだから。

 

あなたはどうしてここに来たのです?

私の問いかけにあなたは「知らない、眠って気がついたらここにいた」と答えた。

なるほど、あなたは眠っているうちに誤ってここに来てしまったようだ。大丈夫、魂の線は切れていないから、いずれ目が覚めたら、向こうに帰れるでしょう。

だったら、しばらく、私と一緒に歩いてみませんか?

せっかくだから、案内してあげましょう。

どうせ、私はここから出られないし、あなたは目が覚めるまでどこにも行けないのだから。

そう言うと、あなたは承諾して、私と一緒に歩き始めた。

 

岩や石がどこまでも転がっているだけで、道などという物はなく、所々に石や岩が集まって塔のごとく積み上げられている所があるかと思えば、まるで崩され散らされたかの如く、岩や石が散らばっている所もある。

 

あれが気になりますか?

私の問いかけに頷いたあなたに私は

あれは十にもならず早逝した幼子達が石を積み上げた物ですよ。

崩れているのは、鬼がその積み上げた石を金棒で押し崩したからです。 

と答えた。

(続)

 

 

 




まだ加筆します。
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