強化人間C4-621が、人として幸せになる為に 作:03-AALIYAH
「こいつを見てくれ。これをどう思う?」
ご友人
「……お前これでなんで投稿してないの?」
私
「まぁ趣味だし……?あと勇気がぁ……出なくてぇ……」
ご友人
「関係ない。やれ」
書き溜めてから投稿していくスタイルなのでちょくちょく投稿間隔が空くかも。
PROLOGUE
「俺は、お前が妬ましかった…」
パイルバンカーが装甲を穿ち、青い光が耐久限界に達した敵機を包んだ。
光は短く、鋭く、まるで星の終わりかのように弾ける。
だがイグアスは、そんな事にもお構いなしにブレードを展開した。
錆びついた誇りを一振りに込めるように、文字通り最後の一撃を目指して迫る。
それに応じて私は、パイルバンカーを背部のハンガーからコーラルオシレータへと瞬時に切り替える。
そうやって左腕を振り抜いて来る彼のブレードが到達するより先に、その根元にあたる右腕を切断した。
金属の皮膚が裂ける感触が震える。切り裂いた右腕は光の断面のように真っ二つになり、イグアスは両腕を喪失した。白いスパークが炸裂し、炎が彼のフレームを包んでいく。
「イラつくぜ…野良犬に…憧れたんだ」
それは最後の最後に吐露した敗北を認める言葉であり、そして止めようのない告白でもあった。
彼の声色はノイズに混ざり、夏の河原の喧嘩の後の、やけに清々しい風のように、妙に爽やかさを帯びている。
自分と同じ旧世代型。
スタートは同じ筈なのに、自分より全てが上の人間。
悔しさと眩しさと、嫉妬が一つに溶けていく感覚。心の奥でずっと認めたくなかったものが、納得と共に言葉として出た。
オールマインドの声が機体のノイズを隔てて漏れた。首がぎくりと、ほとんど動かないガラクタのように傾く。
「我々の、計画が…人類と生命の、可能性が…」
イグアスが対抗手段として据えられていたこと。
それは強化人間C4-621を取り込むための駒に過ぎなかったこと。
だが勝負に拘った彼は敗れ、その役割は果たせなかった。
計画は瓦解した。オールマインドはそれを悟り、眼のカメラアイが徐々に消えていく。
《…そのトリガーは。私達が代わりに引きます》
エアの声は、落ち着いていた。
ここまで至る為に、私達は様々なものを犠牲にした。
全ては──望む未来のために。
私はただ傍観者のように、その言葉を聞いた。
オールマインドが沈黙すると、バスキュラープラントの内部が歪み、軋んだ音を立てていく。
貯蔵されたコーラルが臨界に達し、上部が吸い込まれるように消失した。
中のコーラルが渦を作り、一瞬のブラックホールのような振る舞いをしてから、大きな音とともに赤く──いや、赤だと決めつけられないほど複層的な赤の球体が形成された。
散らばっていた全てが、無理なく引き寄せられ、ひとつになっていく。
吸引の律動は甲高くなり、視界が白く、そしてまぶしくなった。
《…コーラルリリースが始まります》
《美しいと…思いませんか?》
エアが笑うようにそう呟く。エアがそう言うのなら、それは確かに美しいのだろうと、私は【交信】で同意を送る。
《ありがとう、レイヴン》
エアのその言葉が最後の言葉になった。
視界が、自分が、全てが白に染まるとき、私の意識はゆっくりと暗転した。
──白の後に降ってきたのは、遠い断片のような記憶。とても綺麗で青い空を、ACとなって見上げた気がした。
だがその詳細を見る暇もなく、すぐに目が覚める。
身体を包む冷気と、パシュと小さな音を立てて開いたポッドの蓋。
冷凍睡眠用のカプセルだと直感する。
眠っていた。だが、状況がまるで分からない。
頭の中から何かが消えていた。
あの、いつも表示されていたUIがない。
エアとの【交信】が、届かない。
脳深部に埋め込まれていたはずのコーラル管理デバイスが、そこにないのだ。
『目覚めたのですね、レイヴン』
声。エアの声だ──しかし、届き方は交信のものではない。
耳に直接響く生の声。私は驚きと安心が混じった感情で身を起こす。
やはり視界が、鮮明な色を取り戻している。
眼に映る景色は、機械のHUDが入った人工的なものではなく、世界そのものだ。
エアの声を辿ると、ひとつのハンドガンに行き着いた。
リボルバーと呼ばれる形状の冷たい鋼の塊に、エアが宿っている。
【交信】時と同じ声色で、だが肉声を伴うそれが私の不安を溶かした。
エアが投影したのだろう、壁面に浮かび上がる映像。
自分の姿だ。
見ると、肉体が所々以前の自分とは違っていた。
顔立ちや背丈には変わりはないが、皮膚の色素は薄くなく、健康的。
色の抜けた灰色ではなく、烏の羽根のような真っ黒な髪が首筋に垂れている。
瞳はコーラルの色に染まった赤ではなく翠色で、緑が深く混ざった色が瞳孔の周りで光る。
見慣れぬ色が私という人形を縁取っている。
続いて首から下に目を移す。
強化手術の際去勢された影響で、以前の性別すら判別できなかった身体ではない。
どういう因果か女性になっているようで、胸はふくらみつつ生殖器も備わっている。
去勢の痕跡が、ここにはない。
全身弄られたらしいことが伺えた手術痕も薄れていて、触れてみるとそこは変色しているだけでしっかりと肌の感触がした。
エアは淡々と、けれど確かに親密さを感じさせる口調で促した。
「まず服を着ましょう。外に出る必要があります。水も食料も、ここには用意されていないようですから」
私は戸惑いながらも、何故か出入口のハンガーに立てかけられていた衣服に触れる。
灰褐色をしたコートの生地は荒く、冷たい。
服を纏いながら私は、自分の手を見た。
指先に残る小さな傷跡が、かつての戦闘の記憶を繋ぐ。
変貌してはいるものの、見た限りは紛れもなく自身の身体だ。
だが同時に、身体の中を流れるエネルギーのようなものに、違和感を感じた。
部屋を出て道なりに進み、長い階段を進んだ先にあるドアは重かった。
脱出のために力を込めると、ギィ……とドアが擦れる音を立てて開く。
すると、ルビコンとは絶対に違うと言いきれる景色が、私の眼前に広がっていた。
青い空。
そこには、ルビコンにはあり得ないほどの高く澄んだ青があった。
視界は際限なく開け、砂が果てしなく続く荒野と、半ば埋もれた建物群が砂の海に点在している。
何かの廃墟、そして遠くに見えるのは崩れかけた塔の影。
私は息を吐いた。空気は乾いている。
どう考えても全く知らない未開の地。
だがそれでも自身を安心させるのは──あたたかい、誰かの気配がそばにあるという事実だ。
交信ではなくとも、音声を発し、銃に宿るエアの存在。
私はそれに向かって交信で返そうとして…触媒となっていた脳深部コーラル管理デバイスが無くなっているから、交信が出来なくなっていることに気付いた。
だから、声で返す。
潰れていたはずの喉も、ちゃんと声を発することが出来るようになったんだと感覚でわかる。
「エア……ありがとう。あと、よろしく」
『こちらこそ、よろしくおねがいします。レイヴン』
エアの返事は小さく、しかし確かに意図を汲んでいた。
この綺麗で透き通った青空の下、私たちは二人でここから歩いていく。
コーラルリリースの結果起きたことがこういうことなら、それを受け入れよう。
だが、その足取りの先に何があるのかは、まだわからない。
砂塵の中、後にキヴォトスと言う名前であることを知るその世界は。
静かに私たちの到来を受け止めたのだ。
レイヴンの容姿
ヘイロー:薄い青色が細く三重円を形作り、その中心にブラックホールのような球体が存在。
現在は身長も身体つきも過去シロコ程度。
リボルバーの見た目はPEACEMAKERという漫画に出て来る銃、White Wingを。
コートの見た目は狩人様の着ているアレの袖を口に向かって広がるようにしてゆったりとした印象を増やしつつ、前を留めてるのをイメージして貰えると。
因みに材質は革でなく布です。
この小説読んでくれてる方はこの中のどれ?
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シャーレの先生
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強化人間
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兼業
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実はどれもやってない