強化人間C4-621が、人として幸せになる為に   作:03-AALIYAH

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筆遅めですが失踪はしないのでご安心を……。

ところで数々の存在しない記憶が浮かび上がって来たので書く必要性を問う為にちょっとアンケート出しますね。


Vol.1 Part1 対策委員会との奇妙な日々
第二話 アビドスへ


それは唐突だった。

 

 

「…アビドス?」

 

 

その名前を聞いた瞬間、胸の奥で何かがわずかに軋んだ。

 

砂の粒がガラスを引っ掻くような、かすかな違和感。

 

 

それは痛みではなく、むしろ遠い記憶の縁を指でなぞるような感覚だった。

 

 

先生は依頼内容が書かれた手紙を軽く振った。

 

 

“出張になると思うんだ。レイヴンも来る?”

 

 

「うん、行く」

 

 

返答はほとんど反射だった。

 

書面には、不良勢力による継続的な襲撃に物資の不足、学区の消滅危機。

 

 

文字だけを並べれば淡々としているが、その裏側にある事情は明らかに複雑。

 

…おそらくは長期の案件になる。

 

 

そして、そういう状況であればこそ、私がいれば先生が取れる選択肢も増えると思った。

 

 

「早速出発?」

 

 

“うん、そうなるね”

 

 

「分かった、じゃあ準備してくるね」

 

 

部屋に戻り、必要なものをピックアップしていく。

 

 

エナジーバーに飲み水、小型の方位磁針。

 

あとはいつものショットガンを肩にかけて、ハンドキャノンがホルスターに入っていることを確認、最後にコートを羽織る。

 

 

灰白色の布地は外気を遮り、まるで見えない膜が身体を包み込むように温度を均してくれる。

 

強い日差しに照らされることが確実となる砂漠地帯なら、なおさら必要だろう。

 

 

フードを取り付け、容量の大きいバッグに必要なものを収める。

 

 

「…これでいいかな」

 

 

執務室に戻ると、先生はすでに準備を終えていた。

 

終えていた、というより。

 

 

まともな準備すらしていなかった。

 

 

「なにも持っていかないの?」

 

 

先生は空の両手を軽く広げる。

 

 

“向こうは自治区だしね。そっちで揃えればいいかなって”

 

 

嫌な予感がした。

 

けど、確かに自治区なら店もあるはずだ。

 

 

…多分。

 

 

 

 

「で、こうなったと」

 

 

“申し開きもございません”

 

 

私の溜息混じりの言葉を聞き、先生は素直に頭を下げた。

 

 

あれから電車に揺られること数時間。

 

 

アビドス自治区近くの駅で降り、そこから歩き始めてしばらくし、そして現在。

 

 

 

遭難してしまったのだ。

 

 

 

住宅街の中心部らしい通りに立ってはいるのだが、平日とはいえ人の気配が全くない。

 

風が吹くたび、砂が道路の上を薄く滑っていく。

 

 

乾いた粒子がアスファルトを擦る音は、まるで古い紙をゆっくり破るような静かな軋みだった。

 

 

建物は残っているものの、その多くが半ば砂に呑まれている。

 

看板は色褪せ、窓ガラスは曇り、かつて人が暮らしていた痕跡だけが空洞のように残っている。

 

 

地図を見ても、道が合わない。

 

 

街が変わっているのだ。

 

 

砂に侵食され、形を歪められて。

 

 

「地図が古くてこうなるとは思わなかった」

 

 

“私もだよ……”

 

 

先生の声は蚊が泣くような弱々しいものだった。

 

 

私はフードを深くかぶる。

 

このコートは体温調整をほとんど自動で行ってくれる、優秀なものだ。

 

だが布地に晒されていない頭部は別で、直射日光は容赦なく降り注ぐ。

 

 

 

フードがなければ、頭皮が焼けるような感覚になっていただろう。

 

ただ眩しいだけで済んでいるのは、そのおかげだった。

 

 

……隣を見る。

 

 

うん…先生は、明らかにしんどそうだ。

 

歩き方がふらついているし、顔色も悪い。

 

 

「ホントに大丈夫なの、先生」

 

 

“ゔん…だいじょうぶ…”

 

 

「どう見ても大丈夫じゃないよね」

 

 

私は率直に言う。

 

 

「今からでも帰る?私は一人でも行くけど」

 

 

これは本音だった。

 

 

理由は説明できないけど、胸の奥で、何かが静かに、しかし確実に囁いているような気がする。

 

アビドスに行け、と。

 

その声のようなものは砂嵐の向こうから呼びかける誰かのように遠く、それでいて奇妙なほどはっきりとした確信に満ちていた。

 

 

先生は首を振った。

 

“いや、このまま行くよ”

 

“レイヴンを一人で行かせるわけにはいかないし”

 

 

そして小さく笑う。

 

 

“それに、アビドスの生徒たちも待ってるからね”

 

 

その言葉には、疲労の奥にある確かな意志があった。

 

 

「そっか」

 

 

私は頷いた。

 

こういう時の先生は芯が強いし、言ってもどうせ止まらないから。

 

 

「それなら――」

 

 

“待って”

 

先生が慌てた声を出す。

 

“何するつもり?”

 

 

「なにって」

 

 

私は当然のように答えた。

 

 

「抱えて行くだけだけど」

 

 

“えっ”

 

 

「先生、今にも倒れそうだし」

 

 

“どうしてもしんどくなったら言うからそれはよしてくれないかな…”

 

 

「うーん、分かった」

 

 

 

 

そして、その数十分後。

 

…先生は本当に倒れた。

 

 

私は無言で空を仰いだ。

 

頭上には乾いた青空が広がっており、雲はひとつもない。

 

 

「……」

 

 

まあ、予想通りだ。うん。

 

私は近くの廃屋に入り、階段を駆け上がった。

 

 

屋上に出ると、風が強くなる。

 

 

砂粒が舞い、遠くの景色が淡く揺らぐ。

 

 

そんな中周囲を見渡すも、見る限り何もない。

 

砂に壊れた建物、痛いぐらいの沈黙しかそこにはなかった。

 

 

私は屋上の柵を越えて外へ乗り出すと、壁の出っ張りを掴んで身体を落とした。

 

 

パッ。

パッ。

パッ。

 

 

ベランダの取っ手の数々に捕まりながら、軽く降りたそのとき。

 

 

先生の前で、自転車が止まった。

 

 

ケモミミで銀髪の少女だ。

 

 

私は反射的に銃を抜いたものの、すぐに動きを止めた。

 

 

制服を着ている…学生だ。

 

 

攻撃を仕掛けてきそうな様子もない辺り、敵ではない可能性が高い。

 

 

「アビドス生?」

 

 

少女は振り向いた。

 

 

「うん」

 

 

少し低い、落ち着いた声。

 

 

「あなたはこの大人の連れ?」

 

 

「そう」

 

 

私は肩をすくめる。

 

 

「アビドス高校に用があったんだけど」

 

 

呆れつつも先生のところを示す。

 

 

「まあ、事前準備をミスってこの有り様」

 

 

少女は頷いた。

 

 

「そっか」

 

 

少しだけ笑う。

 

 

「なら私が案内するよ」

 

 

「いいの?」

 

 

「うん」

 

 

彼女は言った。

 

 

「久しぶりのお客様だから」

 

そして軽く指差す。

 

「学校、すぐそこだし」

 

 

しかしその瞬間、地面から声がした。

 

 

“あの…お腹が減って動けなくて…”

 

 

私は先生を見る。

 

 

なるほど…原因はそれか。

 

……先に言って欲しかった。

 

 

「ええ…どうする?」

 

 

少女は少し考えるも、先生の懇願によってそれは中断された。

 

 

“乗せてください…”

 

 

「えっと」

 

彼女はロードバイクを見る。

 

「これ一人乗りなんだけど」

 

 

“それなら背負ってほしいです…”

 

 

私は頷く。

 

 

「それがいいかも、私は走っていけるし」

 

 

少女は少し驚いた顔をしたが、すぐに納得したように頷いた。

 

 

「ん…分かった」

 

ロードバイクを止める。

 

「じゃあ──」

 

 

そのとき、彼女は急に止まった。

 

 

「あっ待って」

 

 

「どうしたの?」

 

 

少女の頬がほんのり赤くなる。

 

 

「えっと…さっきまでロードバイクに乗ってたから、その…」

 

 

何を言いたいんだ。

 

言葉が曖昧すぎて、意味が分からない。

 

 

「そこまで汗だくじゃないけど…」

 

 

ああ、そういうこと。

 

汗の匂いを気にしているのか。

 

 

彼女はさらに言葉を探す。

 

 

「普段は学校のシャワー室を使ってて…予備の服もそこにあるし…」

 

 

“気にしないで”

 

 

先生が言った。

 

 

“むしろ、いい匂いがする”

 

 

「……」

 

 

お前は何を言っているんだ。

 

 

少女はもう完全に赤くなっていた。

 

 

いや…ええ…?

 

 

私は肩をすくめる。

 

 

「まあ、気にならないならいいや」

 

 

本当にいいのかは分からない…けど、問題は起きてないし。

 

 

それから、少女の乗る自転車の横を私は走った。

 

砂漠の風が頬を撫で、乾いた空気の中を、私たちは進む。

 

 

 

数分。

 

……いや。

 

数十分。

 

 

「……」

 

私は言った。

 

「すぐそこって言ってなかった?」

 

 

シロコは少し目を逸らした。

 

 

 

 

ようやく、アビドス高校が見えた。

 

 

砂の海の中に、ぽつんと残された校舎。

 

外壁には砂が積もり、周囲は荒廃している。

 

 

でも、校舎の中は、砂嵐に頻繁に晒されているとは思えないくらいには綺麗なものだった。

 

誰かが毎日手入れをして、この場所を守り続けている。

 

それが、言葉にせずともはっきりと分かった。

 

 

 

「ただいま」

 

校舎の奥へ続く廊下に、ガラッとしたドアの開閉音とともにシロコの声が静かに響いた。

 

 

「おかえり、シロコ先ぱ……い?」

 

 

顔を上げた少女の声が途中で止まる。

 

 

シロコは背中に先生を背負ったまま、当たり前のような顔で教室に入っていった。

 

 

私もその後に続く。

 

 

 

「お邪魔します」

 

 

教室の空気が少し揺れた。

 

 

そこには三人の生徒がいた。

 

 

 

机を寄せて何か作業をしていたらしく、ノートや書類、弾薬箱のようなものが雑然と並んでいる。

 

そして三人とも、シロコの背中を見て固まった。

 

 

……結構増えたな。

 

 

ふと、そんな感覚が胸をかすめた。

 

 

なぜかは分からないけれど、、この光景を見ていると、まるで以前にも似たような場所に来たことがあるような、曖昧で輪郭のぼやけた既視感が胸の奥に漂った。

 

しかし記憶は掴めない。

 

 

霧の向こうに手を伸ばすような感覚だけが残る。

 

 

先生はまだ砂まみれになりながら、シロコの背中でぐったりしている。

 

 

 

というか、連れてきてくれた人はシロコって言うんだ。

 

今さらながら、私はその名前を頭の中で反芻した。

 

 

「うわ、その背負ってる人は誰!?」

 

 

黒髪をした猫耳の少女が大声を上げた。

 

 

私は瞬きをする。

 

……私のことは見えていないのかな。

 

 

「わあ、シロコちゃんが大人を拉致してきました☆」

 

 

栗色の髪をした少女が、妙に明るい声で言う。

 

拉致という言葉を、そんな楽しげな調子で使う人を私は初めて見た。

 

 

というか、やっぱり私のことは完全に眼中にないらしい。

 

…空気かな?

 

 

「拉致!?もしかして死体!?シロコ先輩、ついに犯罪に手を…」

 

 

「落ち着いてみんな、速やかに死体を隠す場所を探すわよ!体育倉庫にシャベルがあるから」

 

 

「しっかり生きてるよ失礼な」

 

あ、声に出ていた。

 

まあ、仕方ないか。

 

人の上司を死体扱いした挙げ句、埋めようとしているのはさすがに看過出来ないし。

 

 

 

「うわあああああお化け!?!?!?」

 

「きゃあああああああ!!!」

 

「!?!?!?!?!?」

 

 

三人が同時に悲鳴を上げ、教室の空気が一気に騒がしくなる。

 

 

……最初からいたんだが。

 

私はお化けでもないし、失礼な人たちだ。

 

 

「うん、このひとの言う通り、どっちもしっかり生きてるよ」

 

 

シロコが淡々とフォローする。

 

でも私は先生と違って死にそうになってもいないんだけど…。

 

 

「うちの学校に用があるんだって」

 

 

良かった、ちゃんと説明してくれた。

 

 

「え、死体とお化けじゃなかったの…?」

 

「拉致じゃなくて、お客さんだったんですか…?」

 

 

私は思わず首を傾げた。

 

「逆になんで死体とお化けだと思ったの…?」

 

 

そのとき。

 

 

“こんにちは!”

 

 

振り返ると、そこには先生がいた。

 

さっきまでぐったりしていたはずなのに、いつの間にか立っている。

 

 

 

しかもやけに元気だ。

 

…元気に挨拶できるなら、最初からそうしてほしい。

 

おかげで妙な誤解が広がりかけた。

 

 

「こんにちは」

 

私も一応、先生に倣って挨拶をする。

 

挨拶は基本だと、誰かが言っていた気がする。

 

 

「びっくりしました」

 

クリーム色の髪の少女が、その豊かな胸に手を当てながら言った。

 

「お客様がいらっしゃるなんて、本当に久しぶりですね」

 

 

「それもそうですね…」

 

眼鏡の少女が頷く。

 

「ただ、来客の予定ってありましたっけ」

 

 

「?」

 

私は首を傾げる。

 

「そっちが依頼の手紙を出したんじゃなかったの?」

 

 

三人の顔が一斉に変わった。

 

 

「え……ってことは」

 

 

先生が一歩前に出る。

 

 

“【シャーレ】の顧問の先生です。よろしくね”

 

 

「同じく【シャーレ】所属のレイヴン。よろしく」

 

 

三人の目が一斉に見開かれた。

 

 

「……なら、もしかして」

 

 

「連邦捜査部【シャーレ】の先生!?!?」

 

 

そんなに驚くことなのだろうか。

 

ここまで反応が大きいと、少し不思議に思う。

 

 

……もしかしてするとダメ元で出しただけで、誰かからの助けが来ることなんて諦めていたのかもしれない。

 

 

「良かったですねアヤネちゃん!」

 

クリーム色の髪をした少女がぱっと笑う。

 

 

どことは言えないけどでかいな…。

 

 

「支援要請が受理されたみたいなので、これで弾薬などの補給も受けられます!」

 

 

「はい!」

 

 

眼鏡の少女――アヤネが嬉しそうに頷く。

 

 

「早くホシノ先輩に知らせないと…!」

 

 

そして周囲を見回す。

 

 

「あれ、ホシノ先輩はどこに?」

 

 

「委員長なら隣の部屋で寝てるわよ」

 

 

猫耳の少女が答える。

 

 

「私、起こしてくるね」

 

 

そう言って教室を飛び出していく。

 

 

私はその背中をぼんやりと見送った。

 

 

その瞬間だった。

 

 

パンッ!

 

 

乾いた銃声が校舎の外から響いた。

 

空気が一瞬で張り詰める。

 

 

私は反射的に先生の側へ寄り、背負っていたショットガンを両手で構える。

 

 

先生の無事を確認してから窓へ近づき、そっと外を覗く。

 

 

そこには、メガホンを持った赤いヘルメットの生徒がいた。

 

周囲には同じような装備の集団が散開している。

 

 

色でほぼ分かるが、多分あれがリーダー。

 

 

「攻撃しろ!」

 

 

メガホンから大きな怒鳴り声が発せられる。

 

 

「奴らは既に補給を断たれている!この隙に校舎を襲撃し、占領するのだ!」

 

 

「武装集団を確認!」

 

アヤネが叫ぶ。

 

「カタカタヘルメット団です!」

 

 

…変な名前。

 

カタカタってそれ、留め具がちゃんと機能していないだけなんじゃ…?

 

 

「あいつら、性懲りもなく…」

 

 

シロコが静かに呟く。

 

まあ…鬱陶しいよね。

 

 

そのとき、教室の扉が勢いよく開いた。

 

 

「ホシノ先輩を連れてきたわ!」

 

 

猫耳の少女が戻ってきた。

 

その後ろに、小柄なピンク色の髪の少女がいる。

 

 

「ほら起きて、ホシノ先輩!」

 

 

その少女──ホシノは、まだ少し眠そうだった。

 

だが纏う雰囲気は、明らかに他の生徒とは違う。

 

 

小柄な体に、気だるそうな目。

 

けれど、その奥には深い湖の底のような重みがある。

 

 

強い。

 

そういうオーラと呼ぶべきものを纏っていると、そう直感した。

 

 

……それに。

 

よくわからないけど、誰かに似ている気がする。

 

 

〘ねえねえレイヴンちゃん〙

 

 

「…誰?」

 

 

一瞬だけ。

 

浅葱色の髪の少女の姿が、ホシノに重なった気がした。

 

 

知らない顔。

 

知らないはずなのに、胸の奥がざわめく。

 

 

「………!?」

 

 

ホシノが突然目を見開いた。

 

さっきまで眠そうだった目が、まるで雷に打たれたように覚醒する。

 

そして、まっすぐ私を見た。

 

 

……?

 

 

まあ、初対面で「誰?」はやっぱり失礼だったかもしれない。

 

さっきのは不可抗力だったけど、今後は気をつけよう。

 

 

 

「ホシノ先輩、戦闘準備を!」

 

アヤネが声を上げる。

 

「こちらはシャーレの先生です!」

 

 

「おうおう、そりゃ大変だね〜」

 

ホシノはさっきの顔から一転し、そちらに向き直ってふにゃっと笑った。

 

「先生、よろしくね」

 

 

だが、その一瞬。

 

先生を見つめる彼女の目が、鋭く研がれた刃のように剣呑としていたのを、私は見逃さなかった。

 

 

「さーて」

 

ホシノが軽く伸びをする。

 

「ぱぱっと片付けちゃおっか」

 

 

「先生のお陰で弾薬も補給品も十分」

 

シロコが言う。

 

「いつでも行ける」

 

 

「みんなで行きましょう☆」

 

 

「んもう、とっちめてやるんだから!」

 

 

「では、私がオペレーターを担当しますね」

 

アヤネが端末を取り出した。

 

 

「じゃあ、先生は校舎の中で――」

 

私は言いかけた。

 

 

“いや”

 

先生が言った。

 

“私には、みんなの指揮をさせて”

 

 

教室の空気がわずかに止まる。

 

私は少し考え、肩をすくめた。

 

 

「まあ、確かに」

 

戦場を俯瞰して指揮できる人員がいるのは悪くない。

 

実際に見てはいないけど、D.Uでの出来事だって、先生はたった四人の生徒を指揮して、私の待機していたシャーレ周辺のごたごたを片付けていたはず。

 

「じゃあ先生、お願い」

 

 

そしてアビドスの生徒たちを見る。

 

 

「アビドスのみんなも、それでいい?」

 

 

ホシノは少し目を細めた。

 

 

「まあ、出来るって言うなら止めはしないけど〜」

 

 

ゆるい声。

 

でもその奥に、試すような鋭さがじっと潜んでいた。

 

 

「やるなら、しっかりやってよね?」

 

 

先生は笑った。

 

 

“うん、任せて”

 




ネタバレしておくと、レイヴンが最初空気扱いなのはそういう神秘だからです。

この小説読んでくれてる方はこの中のどれ?

  • シャーレの先生
  • 強化人間
  • 兼業
  • 実はどれもやってない
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