強化人間C4-621が、人として幸せになる為に   作:03-AALIYAH

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ホシノ曇らせってなんで流行るのか考えてみたんですよ。

そしたら内側に入るまでガードが固いのに、身内判定が下ったらめちゃくちゃ大切にするから+一度大切な人を失う経験をしているからという結論が出ました。

ということで今回は、妹のように思っていた相手と二度目の初めましてです。


第三話 「初めまして」

戦闘は、拍子抜けするほど滑らかに進んだ。

 

 

これまでの対策委員会は、常に弾薬や物資の不足と戦っていた。

 

 

だからこそ一発一発を節約し、必要以上の戦闘を避けるしかなかったんだろう。

 

でも、今日は違う。

 

補給があり、そして何より、それぞれの実力を100%以上に引き出す為の指揮がある。

 

 

無線越しに響く先生の声は状況を正確に把握し、無駄なく指示を飛ばしていた。

 

“ホシノは敵を引き付けつつそのまま前進を。シロコはドローンで火力支援、ノノミは弾幕を張って!”

 

 

ミニガンの重低音が空気を震わせる。

 

 

ノノミの弾幕がヘルメット団の逃げ道を封鎖した。

 

 

“レイヴン、この隙に!”

 

その声を聞いた瞬間、私はステップして後ろに下がり、ショットガンを構える。

 

 

「狙いはリーダーで良い?」

 

 

“うん、お願い!”

 

 

迷う理由はなかった。

 

 

「了解。目標を……狙い撃つ!」

 

 

引き金を引き、反動が肩に伝わる。

 

 

次の瞬間、弾丸の先にあった赤いヘルメットが弾けた。

 

 

「ほぎゃ!?」

 

 

爆発音。

 

 

煙と砂が舞い上がり、赤いヘルメット団員は情けない悲鳴を上げながら地面に転がって、そのまま昏倒した。

 

 

残ったヘルメット団の連中が一瞬で瓦解する。

 

指揮官を失った部隊の典型的な反応だった。

 

 

私は銃を肩に担ぎ、ゆっくりと息を吐いた。

 

 

「こういう時は……なんて言うんだっけ」

 

ふと、以前テレビで見た台詞を思い出す。

 

「……ああ、そうだ」

 

 

 

「おととい来やがれ」

 

 

 

その瞬間、連中は悔しそうに歯ぎしりしながら撤退していった。

 

 

「今に見てろよ〜!!!」

 

 

情けない捨て台詞だけが、砂埃の向こうに消えていった。

 

 

 

 

 

 

戦闘が終わった後。

 

 

私たちは校舎の中にある対策委員会の教室へ戻っていた。

 

 

古びた机、年季の入った黒板。

 

 

窓の外には、果てしない砂の海が広がっている。

 

学校というより、廃墟の一角に残された拠点のようだった。

 

 

「いや〜、まさか勝っちゃうなんてね」

 

ホシノが椅子の背もたれに身体を預けながら、のんびりとした声で言う。

 

「ヘルメット団もかなり覚悟して来たみたいだけど」

 

 

……軽くない?

 

私は内心で首を傾げた。

 

校舎ってもっと重要な場所じゃないのだろうか。

 

 

奪われたら終わり、くらいの空気になるものだと思っていた。

 

まあ…結果さえ出れば問題ないという思考なのかもしれない。

 

 

「まさか勝っちゃうなんてじゃありませんよ……」

 

赤縁メガネの少女が即座に突っ込んだ。

 

「勝たないと学校が不良のアジトになっちゃうじゃないですか」

 

 

良かった、やっぱり私の感覚は間違っていなかったらしい。

 

 

「先生の指揮が凄く良かった」

 

シロコが静かな声で言った。

 

「私たちの時とは全く違う」

 

「資源や物資、そして戦闘の指揮まで。大人って凄い」

 

 

私は横目で先生を見る。

 

うん、先生は凄い。

 

戦うことしか取り柄のない私とは違う。

 

 

人をまとめ、状況を整理し、信頼を作る。

 

こうしてほぼ初対面の人間から信頼を得るなんて、簡単なことじゃない。

 

 

「レイヴンも凄く強かった」

 

 

シロコがこちらを見て言った。

 

……まあ、それくらいしか出来ないしね。

 

でもその…獲物を見つけたような目はなんなの?

 

 

「今まで寂しかったんだねシロコちゃん」

 

突然ホシノが言った。

 

「パパが帰ってきてくれたお陰でママは安心して眠れまちゅ」

 

 

 

?????

 

 

 

シロコは先生とホシノの隠し子だった??

 

 

『落ち着いて聞いてください、単なる冗談のようです』

 

 

…頭がどうにかなりそうだった。

 

 

「いやいや変な冗談やめて!?」

 

セリカが慌てて言う。

 

「先生困っちゃうじゃん!それに委員長はその辺でしょっちゅう寝てるのに」

 

 

「そうそう、先生が可哀想ですよ」

 

 

横を見ると、先生も苦笑いしていた。

 

 

ホシノは何をしたかったんだろう、本当に分からない人だ。

 

 

 

「あはは……遅れてしまいましたが、ご挨拶します」

 

 

赤縁メガネの少女が姿勢を正す。

 

空気が少しだけ落ち着いた。

 

 

「私たちはアビドス対策委員会です。そして私は委員会で書記とオペレーターを担当する、アヤネと言います」

 

 

穏やかな声で、落ち着いた雰囲気。

 

 

だけどこういう人ほど怒ると怖い、とどこかで読んだ気がする。

 

えぇっと、ネットだったかな。

 

 

「そしてこちらが同じく一年のセリカ」

 

 

「どうも」

 

 

セリカが軽く手を挙げる。

 

 

さっきの様子を見る限り、ここのツッコミ役なのかもしれない。

 

 

「そして二年のノノミ先輩とシロコ先輩」

 

 

「二人とも、よろしくお願いします〜」

 

 

ノノミは柔らかい笑顔を浮かべた。

 

あのミニガンを撃ちながらも微動だにしなかった体幹は、私も参考にしたい。

 

 

「さっき道端で最初に会ったのが私」

 

シロコが言う。

 

「あ、別にマウントを取っているわけじゃない」

 

 

“その節は大変お世話になりました”

 

「私からも、感謝を」

 

 

先生が苦笑しながら頭を下げた。

 

私も先生に習って下げておく。

 

 

シロコは……不思議な人だ。

 

 

なんというか、今は物静かな印象を与えるけど…戦闘では容赦ない戦い方をしていたし。

 

 

「そしてこちらが委員長を担当している、三年のホシノ先輩です」

 

「や、よろしくね。先生」

 

 

ホシノは…やっぱり、よく分からない。

 

初対面のはずなのに、どこか既視感がある。

 

でもその既視感の先はこの人自身ではないし、どこか自分を見ているような気もするし、この人に似た、誰か別の存在にも向かっている気がする。

 

記憶を失う前の私は、この人に会ったことがあるのだろうか。

 

 

“それじゃあ私も改めて”

 

先生が一歩前に出る。

 

“連邦捜査部【シャーレ】の先生です。よろしくね”

 

そう言って、丁寧に頭を下げた。

 

 

「……?」

 

 

周囲の視線が一斉にこちらに向く。

 

……ああ、私もやるのね。

 

「初めまして、私は同じく【シャーレ】に所属してるレイヴンだよ」

 

「基本的に先生の業務補佐と、有事の対処及び護衛を担当してる」

 

 

「うん、よろしくねレイヴンちゃん」

 

「ところで……そのフードは脱がないの?」

 

 

あ。

 

指摘されるまで気づかなかった。

 

 

留め具を外してフードを脱ぐと、ふぁさっと髪が肩に落ちる。

 

 

その瞬間、ホシノの表情が一瞬固まった。

 

 

「……どうしたの?」

 

 

「い、いやなんでもないよ?」

 

 

「…ならいいけど」

 

明らかに動揺している…けど、本人がなんでもないと言うならそっとしておこう。

 

 

でもその目には、複雑な感情が浮かんでいた。

 

動揺と、あとは何か別の…なんだろう。

 

 

 

「……こほん」

 

アヤネが咳払いをしたのに気づき、そちらを見る。

 

 

「ご覧になった通り、現在我が校は危機に晒されておりまして……お二人がいらしてくれたお陰で、その危機を脱することができました」

 

 

話が本題へ戻る。

 

 

「先生たちがいらっしゃらなければ、物資が底を尽きかけていたこともあって、さっきのヘルメット団に学校を乗っ取られていたかもしれません」

 

 

アヤネは真剣な表情で言った。

 

 

「それを考えると、お二方には感謝してもしきれません」

 

 

先生が尋ねる。

 

“対策委員会って、どういうものなの?”

 

 

「あ、そうですよね」

 

アヤネが説明を始めた。

 

「対策委員会とは、このアビドスを蘇らせる為の有志が集った部活です」

 

 

「うんうん、全校生徒が所属する校内唯一の部活なんです!」

 

ノノミが笑顔で言う。

 

 

「まあ全校生徒といっても……ここに居る全員で全部なんですが」

 

 

“5人だけ……?”

 

 

先生が驚く。

 

うん、少ないよねここ。

 

でも前よりは…待って前っていつだ。

 

 

「そう。他の生徒は転校したり退学したりでここを出ていった」

 

シロコが静かに言う。

 

 

「で、学校がその有り様だから、ああいう変な人達が我が物顔でがうろついていると」

 

私の言葉にシロコが頷く。

 

 

「だからもし【シャーレ】が来てくれなかったら、本当に万事休すというところだったんです」

 

 

「うんうん、補給品も底をついていたし…なかなか良いタイミングで来てくれたよ、先生」

 

 

のんびりと言うホシノの目を、もう一度見る。

 

先生を見る時の目と私を見る時の目は明らかに毛色が違う。

 

 

私を見る目には動揺などの、プラスでもマイナスでもない感情。

 

 

でも、先生を見る目には、値踏みするようなものがあった。

 

 

一見享楽的なようでいて、その本質は全くの真逆。

 

 

この差は…まあいいか、今考えることじゃない。

 

 

信頼というのは積み重ねだし、組織にはこういう慎重な人間が必要だ。

 

 

今のところ実害もない。

 

 

こういった難しいことは多分先生がなんとかしてくれると思うし、もし仕掛けて来ても、その時はその時で応じればいいだけだ。

 

 

「……さっき対策委員会って聞いたけど、生徒会は無いの?」

 

 

ふと湧いた疑問をアヤネにぶつける。

 

 

「はい、元々あったアビドス生徒会は解散して、今はこの対策委員会がその役目を受け継いでいます」

 

 

そっか…生徒会は、なくなったのか。

 

 

「なにはともあれ、先生達が来てくれたお陰でヘルメット団なんてもうへっちゃらですね」

 

ノノミが笑う。

 

「大人の力って凄いです☆」

 

 

「まあ、かといって攻撃をやめるような奴らじゃないけど」

 

 

「あ〜……まあしつこいしね。あいつら」

 

 

「こんな消耗戦を続けていられる余裕なんてないのですが……」

 

 

そんなやりとりに、アヤネが疲れたように言う。

 

 

「いつになったら終わるのでしょう」

 

 

空気が重くなる。

 

私はその沈黙の中で、ぽつりと口に出した。

 

 

「……追撃して殲滅すれば良いんじゃないの?」

 

 

一瞬、部屋が静まり返る。

 

 

「……確かに」

 

シロコが言う。

 

「さっきの撃退でヘルメット団は立て直しを図る筈」

 

 

「うんうん、おじさんも賛成だよ〜。同じような計画を立ててたしね」

 

「いやぁ、先に言われちゃったな〜。流石」

 

 

「えぇ!?ホシノ先輩が!?」

 

「うそ……」

 

 

アヤネとセリカの反応が結構酷い。

 

 

「いくらなんでもその反応は傷ついちゃうよ〜?」

 

ホシノが苦笑する。

 

「おじさんだってやる時はやるのさ」

 

 

「おじ……おじさん?」

 

どう見てもそこまで年上には見えないし、見た目だけ見るならむしろ幼い側だ。

 

 

「流しといた方がいいわ」

 

 

セリカがぼそっと言った。

 

 

…うん、そうする。

 

結局話はそのまま進み、ヘルメット団の拠点へ攻撃を仕掛ける作戦が決定した。

 




レイヴンの身長は二年前の148cmから153cmに伸びています。

同時に胸も、服の上からパッと見て確認出来るくらいには大きくなりました。

この小説か良いと感じたなら、高評価と感想をくれれば作者がすごく喜んで執筆スピードもUPするかもしれません。

この小説読んでくれてる方はこの中のどれ?

  • シャーレの先生
  • 強化人間
  • 兼業
  • 実はどれもやってない
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