強化人間C4-621が、人として幸せになる為に   作:03-AALIYAH

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少し前にFOX小隊ピックアップがあったじゃないですか。

初日に引いたんですが、作者のスマホが何故か怪奇現象を起こしてバグったんですよね。


具体的に述べると、まずイヤホンをしながらアップデートをしていたら断線が多発、断線している最中に異音もしたんですよ。

その後ニコ、クルミのガチャを引いたら、何故かピックアップされていない臨戦ユズが二十連連続で同じ位置に出まして。

極めつけにその時作者の手持ちの石は270連だったんですが、その270連ピッタリでふたりとも揃ったんですよね。

何が言いたいかというと、未だにロア追跡編を読めていないということです()


第九話 二度目のラーメン

「ご注文はお決まりですか?」

 

席へ着いてすぐ、セリカが慣れた調子で注文を取りに来た。

 

 

昨日と同じ制服姿。

 

最初に来た時は私達が来たことによる動揺が目立っていたけれど、今日はちゃんと店員として立っている感じがする。

 

 

「ん〜……どうしよ」

 

お手拭きで手を拭きながら、卓上のメニューを眺める。

 

カウンターの向こう、湯気と一緒に漂ってくるスープの香りが鼻をくすぐって、自然と空腹感が刺激された。

 

昨日来たばかりなのに、もう食べたくなってる辺り、自分でも単純だと思う。

 

『折角ですし、昨日とは違うメニューにするのは如何でしょう』

 

ホルスターからエアの落ち着いた声が響く。

 

「それもそうだね……なら、味噌で」

 

「レイヴンは味噌ね、分かったわ」

 

 

注文を書き留めながら、セリカが頷く。

 

「お、レイヴンちゃんも味噌にしたんだ?」

 

向かい側から、ホシノが気の抜けた声を飛ばしてきた。

 

「ここの味噌ラーメン、私のイチオシでさ〜……レイヴンちゃんも味噌派にならない?」

 

「うーん、とりあえず全部の味を知ってから決めようかな」

 

「良いんじゃない?ここのラーメン、どれも美味しいし」

 

 

そっか、ホシノは味噌派か……確かに、昨日も味噌ラーメンを頼んでいた気がする。

 

……味噌好きなのかな。

 

 

 

 

「お待ちどうさま」

 

 

そうしてやがて運ばれてきたラーメンは、昨日食べた柴関ラーメンとはまた違う香りを放っていた。

 

濃厚な味噌の匂い。

 

箸で麺を持ち上げ、口へ運ぶ。

 

 

「……美味しい」

 

自然と声が漏れた。

 

昨日の醤油系の旨味とコクの強めな味とは違って、味噌はもっと重たく、身体に染み込む感じがある。

 

麺へ絡むスープも濃厚で、噛むたびに旨味が広がっていく。

 

これはこれでかなり好きかもしれない。

 

こういうのは完全に好みになるんだろうけど、また来る時はシロコの頼んでた塩も食べてみたいし、ノノミのチャーシュー麺も気になる。

 

そんなことを考えているうちに、気付けば食べ終わっていた。

 

 

「ごちそうさまでした」

 

周囲へ視線を向けると。

 

 

「ほらほら〜アヤネちゃん、ラーメン奢ってあげるから怒らない怒らない」

 

「怒ってません……」

 

「私がお口拭いてあげますよ〜☆」

 

「私は赤ちゃんじゃないんですけど……」

 

 

アヤネが、半ば呆れたような顔でホシノとノノミに構われていた。

 

なんだこれ。

 

まあでも……こういう空気感も、対策委員会の良いところなんだろうな、とは少し思った。

 

騒がしくて、緩くて、まとまりがないのに、ちゃんと一緒に居る感じがする。

 

 

「まあ何でもいいけどさ、どうしてまたウチに来た訳?」

 

厨房から戻ってきたセリカにそう聞かれる。

 

「美味しいから」

 

即答だった。

 

「まあ、それはそうなんだけど……」

 

うん。

 

美味しいものを食べに来る理由って、それ以上必要ないと思う。

 

 

「アヤネ、チャーシューもっと食べる?」

 

見れば、シロコもシロコで自然に世話焼きを始めていた。

 

「ふぁい……」

 

あ、食べるんだ。

 

口いっぱいに麺を入れたまま頷いてる。

 

どうしよう、私も何か渡そうかと思ったけど…もう全部食べてた。

 

そんなことを考えていた時だった。

 

店の入口の引き戸が、ガラガラッと勢いよく開く。

 

 

「あ……あの……」

 

 

入ってきたのはひとりの小柄な子だった。

 

 

「いらっしゃいませ、何名ですか?」

 

セリカが即座に対応する。

 

ちゃんと働いてるなあ、と少し感心した。

 

 

「こ、ここで一番安いメニューって、いくらですか……?」

 

 

質問に質問で返ってきた。

 

……ああ、お金ないんだ。

 

この紫髪で小柄な子、もの凄くおどおどしてるけど…なんというか、どこか危うい感じがした。

 

 

「一番安いのは580円の柴関ラーメンです!看板メニューなので、美味しいですよ!」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

ぺこっと頭を下げたと思ったら、一旦店の外へ出ていった。

 

 

……と思ったら。

 

「あ、また入ってきた」

 

今度は四人揃って入店してきた。

 

 

「くふふ、六百円以下のメニューがやっと見つかったね!」

 

「ほら、何事にも解決策はあるのよ。全部想定内だわ」

 

「流石社長、なんでもお見通しなんですね……」

 

「はぁ……」

 

……なんだろう、このアクの強い集団。

 

赤髪の子は妙に自信満々で、社長って呼ばれてる。

 

白髪ツインテールの子は軽くていたずらっぽい笑みを浮かべているし。

 

溜息吐いてる目つき悪めの人は、一見怖いけど……よく見るとかなり整った顔立ちをしていた。

 

 

「四名様ですか?席にご案内しますね」

 

 

「んーん、どうせ一杯しか頼まないし大丈夫!」

 

 

「一杯だけ……?でも、どうせなら席でゆっくりどうぞ。今なら空いてますし」

 

 

「おー、親切な店員さんだね!ありがと、それじゃお言葉に甘えて」

 

「それと、お箸は四膳でよろしく。親切なバイトちゃん」

 

 

……え。

 

そこまでお金ないの?

 

流石にびっくりした。

 

 

「まさか、四人で一杯を……?」

 

「ご、ごめんなさい!貧乏ですみません、お金なくてすみません……!」

 

「ああいや、別に謝らなくても……」

 

 

「いいえ!お金がないのは首がないのと同じ、生きる価値のないムシケラ……いえ、それ以下です!ムシケラ以下ですいません!」

 

 

「そ、そこまで言う……?」

 

 

重い重い。

 

「ちょっと声大きい、ハルカ。周りのお客さんに迷惑」

 

 

あ、一見人相悪めな人、ちゃんと常識人だった。

 

人は見た目によらないとはよく言うけど、本当にそうかもしれない。

 

 

「そんな、お金がないのは罪じゃないよ、胸張って!」

 

セリカが突然熱弁し始めた。

 

 

「へ……はい!?」

 

 

「お金は天下の回りもの!まだ学生でしょ!?お金ないのなんて当たり前なんだから!」

 

 

「それでもこうして頑張って食べに来てくれた、そういうのが大事なの!」

 

「もう少し待っててね、すぐ持ってくるから!」

 

そう言って厨房へ引っ込んでいく。

 

 

その後も四人組のやり取りは妙に騒がしくて、ついそっちを見てしまっていた。

 

すると、顔が怖い人改め顔のいい人と目が合った。

 

 

……流石に見過ぎたかもしれない。

 

そう思って視線を戻そうとした時。

 

 

「ねえ……」

 

「?」

 

 

声を掛けられた。

 

けれど、その直後。

 

 

「お待たせしました!熱いので気を付けて下さいね!」

 

セリカが運んできたラーメンを見て、そちらへ意識が持っていかれる。

 

 

……でっか。

 

器そのものが大きい。

 

しかも山盛り。

 

チャーシュー、もやし、ネギ、その他色々がこれでもかと乗っている。

 

多分、事情を察して量を増やしたんだろう。

 

辺境のローカル店らしい、温かいサービスというか。

 

なんだか、心がぽかぽかするような気がした。

 

 

その後は、隣席だったこともあって、ノノミが話しかけたのをきっかけに自然と会話が広がっていった。

 

 

「仕事か……」

 

聞こえてくる会話からそう呟くと、赤髪のアルという人がこちらへ視線を向けた。

 

 

「あら、貴女も仕事で来ているの?」

 

「うん、ちょっとお手伝いをね」

 

「そう……お互い頑張りましょうね!」

 

「そうだね。そっちも頑張って」

 

「ええ、勿論!」

 

 

うん。この人、なんだかんだ良い人みたいだ。

 

他の人達も別に悪い人じゃないっぽいし。

 

 

その後は、皆が食べ終わるまで向こうの会話を聞きつつ、先生と取り留めのない話をしながら待っていた。

 

ただ。

 

なんかこう、ずっとさっきの顔のいい人───カヨコって人に見られてる気がする。

 

……私、そんな変かな。

 

 

いや待てよ。

 

 

「コートか」

 

 

流石にこの格好は目立つよね。

 

砂漠地帯とはいえ、ずっとコート着込んでる人なんてそう居ないだろうし。

 

 

“そういえばレイヴンって、そのコート脱がないの?”

 

 

「基本脱がないよ」

 

 

“そっか”

 

 

先生はそれ以上聞かなかった。

 

でもそういう距離感が、少しだけ心地良かった。

 

 

 

 

「ふう……いい人たちだったわね」

 

砂風が、通りへ細かい砂を流していく。

 

柴関ラーメンの暖簾を背にしばらく歩いた後、便利屋68の(自称)社長――陸八魔アルは満足そうに息を吐いた。

 

久しぶりにまともな食事をしたせいか、どこか機嫌も良い。

 

店内から漂っていた味噌と醤油の香りがまだ服へ残っていて、空腹で尖っていた神経が少しだけ和らいでいる気がした。

 

だが、その横で。

 

 

「社長……あの子達の制服、見て気付かなかった?」

 

鬼方カヨコが、呆れを隠そうともせずに言った。

 

その脳裏には、店内で静かにラーメンを啜っていたコート姿の少女の姿も引っ掛かっている。

 

 

──あのような格好の生徒に関する情報を、どこかで見た気がする。

 

思い出せそうで、思い出せない。

 

ただ、危険だという感覚だけは妙に鮮明だった。

 

 

「え、制服がどうしたの?」

 

アルはきょとんとしていた。

 

……ポンコツ、ここに極まれりである。

 

 

「アビドスだよ、あいつら」

 

 

横から浅黄ムツキが軽い調子で告げる。

 

その瞬間。

 

 

「な、なななな……何ですってぇぇぇぇぇ!?!?」

 

 

アルの絶叫が砂漠の空へ響いた。

 

白目を剥きながら仰け反るその姿は、さっきまで社長らしい、威厳のある…ある?振る舞いをしていた人物と同一とは思えない。

 

 

「あっははは!その反応ウケる〜!」

 

ムツキが腹を抱えて笑う。

 

 

「本当に全く気付いてなかったのね……」

 

 

カヨコは深々と溜め息を吐いた。

 

ここまで来ると、逆に才能かもしれない。

 

 

「え!?そ、それって私達のターゲットってことですよね!?排除してきましょうか!?」

 

 

伊草ハルカが慌てて身を乗り出す。

 

相変わらず情緒の上下が激しい。

 

 

「もう遅いって〜」

 

ムツキは肩を竦めた。

 

「どのみちこれから攻撃仕掛けるんだし、その時に暴れちゃおっか。ハルカちゃん」

 

 

「嘘でしょ……あの子達がアビドスなんて……」

 

アルはまだ信じられない様子だった。

 

「あんないい人たちが……?」

 

 

楽しく会話へ付き合ってくれていた優しい人達。

 

どこか緩くて、騒がしくて、それでいて妙に居心地の良かった空気。

 

ついさっきまで同じ店で笑っていた相手を、これから襲撃しに行く。

 

その事実が、アルの胸を締め付けていた。

 

 

「何してるのアルちゃん、仕事するよ?」

 

ムツキが軽い足取りで前へ出る。

 

「全財産すっからかんになるくらい傭兵雇ったんでしょ?みんな指示待ってるよ〜」

 

「本当に私、今からあの子達を……」

 

 

アルの声が少し弱くなる。

 

 

「ホントにアルちゃんは優しいね〜」

 

ムツキは笑った。

 

 

「でも【情け無用】【お金さえ貰えればなんでもやります】が、うちのモットーでしょ?何悩んでるのさ」

 

 

「それは……そうだけど……」

 

 

言葉に詰まるアル。

 

 

その横で、カヨコが静かに口を開いた。

 

 

「……それに社長。負ける可能性も視野に入れといた方が良い」

 

 

「えぇ!?それって…」

 

 

「コートの人」

 

カヨコは即答した。

 

 

「本人は【手伝い】って言ってたけど……多分本人の実力はそんなレベルじゃない」

 

 

店内で見た横顔を思い出す。

 

静かで、感情の起伏も薄かった。

 

でも。

 

周囲を観察する視線。

 

音を聞き逃さない耳。

 

隙がないと実感させるようなその姿。

 

そして何より。

 

 

戦うことに、慣れている。

 

 

「名前は思い出せない。でも間違いなく強い人間がアビドス側にいる」

 

「……」

 

 

依頼を達成する為、覚悟を決めたアルの表情から、少しずつ迷いが消えていく。

 

代わりに浮かび上がってきたのは、いつもの顔。

 

 

「そ、そうね……!」

 

ばしん、と自分の頬を叩く。

 

 

「これじゃ便利屋68社長の名折れ!」

 

砂漠の道路へ向き直り、アルは勢いよく指を突き付けた。

 

 

「行くわよ!アビドスへの襲撃に!」

 

 

「そうそう、それでこそアルちゃん!…でもそっちはアビドスじゃないよ?」

 

 

「う、うるさいわね…とにかく行くわよ!」

 

 

尚ポンコツなのは変わらないようだった。

 




管理がめんd……ゲフンゲフン手間なので今回から後書きの形式を変更します。


・レイヴン
スープまで飲む派。
コートは自室に入ってから脱ぐタイプ。勿論シャワー浴びる時はきちんと脱ぐ。

・先生
ラーメンは大体好きだけどスープは全部飲めない。レイヴンのコートはカッコイイなぁ〜なんて思ってたり。

・ホシノ
書いてる途中で何故か味噌派になりました。

・アルチャン
優しくしてくれた人達を倒しに行くのはしんどいけどそれで手を抜いて負けるとか本末転倒よね……って考えて気合い入れた。それ以外はアルチャン

・カヨコ
第一印象の顔はちょっと怖いけど良く見たら整ってる美人さんなんだな〜なんてレイヴンには思われてたり。

レイヴンが独立傭兵を引退した時期は恐らく便利屋が出来る前なのでこうなりました。


・作者

ラーメンをそこまで食べた事がない。

数少ないラーメン屋に行った経験の中で一番好きだったのはトマトラーメンチーズ入り。


この小説がいいなと思ってくれた方、良ければ高評価、感想、ここすきなど貰えたら凄くモチベーションになります。

この小説読んでくれてる方はこの中のどれ?

  • シャーレの先生
  • 強化人間
  • 兼業
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