強化人間C4-621が、人として幸せになる為に   作:03-AALIYAH

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Q.なんでレイヴンはまた蹴ってるの?

A.レイヴン
「やるなとは言われてない」

ダメと言われない限り、必要ならするのがここのレイヴンです。


MISSION08 貨物奪取

「んん……」

 

 

時計を見ると、朝六時。

 

 

部屋の中は真っ暗だった。

 

 

まあ地下だから、当然といえば当然だ。

 

 

寝具から身体を起こし、軽く伸びをした。

 

 

筋肉の可動域を確かめるように肩を回し、呼吸を整える。

 

 

 

ハンドキャノンを手に取って居間へ向かうがてら、エアに挨拶した。

 

 

「おはよう、エア」

 

 

『おはようございます、レイヴン』

 

 

居間の机の上には昨夜のうちに出しておいた栄養ブロック。

 

 

ひとつ包装を破り、ひと口かじる。

 

やはり味はしないが、もう慣れた。

 

栄養さえ取れればそれで良い。

 

 

食事を終えてから顔を洗って歯を磨くと、パジャマを脱いでいつもの服とコートに袖を通した。

 

 

ベルトを締め、ホルスターの位置を確かめ、髪を整える。

 

 

 

今日が本当の意味での“初日”だ。

 

 

『仕事探しを始めましょうか』

 

 

「うん。とりあえずばらまき型の依頼を見てみようと思う。ウォルターも最初はそうしてた」

 

 

ノートパソコンを開き、ブラウザを起動。

 

 

最近開いたサイト、という欄をクリックすると、昨日使った傭兵支援サイトが開いた。

 

 

画面の左側には「掲示板」「依頼一覧」「取引履歴」などの項目が並んでいる。

 

 

まずは情報収集の為に、掲示板から覗いてみることにした。

 

 

マウスを動かし、【初心者傭兵質問スレ】と書かれたスレッドをクリックする。

 

 

 

情報収集の為に開いたものの、思いのほかリアルタイムでの活発なやり取りが並んでいたので、私も気になったことを質問してみることにした。

 

 

 

【初心者傭兵質問スレ part243】

 

 

Raven

はじめまして。最近登録したばかりの新人です。

依頼の選び方が分からなくて……おすすめとかありますか?

 

ガラクタ回収屋

初心者なら危険度Cくらいが無難。

E~Dは報酬が安すぎてあんまりで、Aはよっぽど強い奴じゃないと大怪我確定。

それと、うますぎるような話は十中八九罠だからしないほうが良い。危険度と報酬は基本的にトレードオフ。

まああとひとつだけ、Sっていう最高難易度があるんだが…まあそこはそもそもお目にかかること自体ほぼないので気にしなくて良い。

 

名無し傭兵#740

戦闘メインで行くなら、弾薬費を計算して報酬と釣り合うか見ときましょ。

整備とか運搬系は儲けが薄いけど安定してるから、戦闘が苦手ならそっちからしてみても悪くないかも。

 

名無し傭兵#219

ここじゃ舐められないようにした方が良いね。

挨拶は丁寧でも、立ち振る舞いは強気が基本。

下手に出るとすぐつけあがるようなのがちらほらいる。

 

名無し傭兵#030

名が知られるようになったら名指しの依頼が来ることもあるらしいぞ。まあ私みたいな無名にゃそんなの夢のまた夢だけど()

初期は小さな依頼を数こなして実績を作っとけ。

 

名無し傭兵#888

契約書に細工して報酬渡さなかったりする依頼主もいるから、契約書はちゃんと読んだ方が良いと思いますよ。

戦い慣れしてるなら舐められることは少ないと思いますが、そういった裏切りには基本報復で返すのがこっちの流儀ですね。

 

 

一行ごとに、アドバイスが積み重ねられていく。

そこには確かに経験が滲んでいた。

 

Raven

教えてくださってありがとうございます。

皆さんの意見、参考にします。

まだ始めたばかりですが、頑張ってみます。

 

 

数分もしないうちに、いくつか返信がついた。

 

 

ガラクタ回収屋

おう、頑張りな。

 

 

名無し傭兵#219

良い仕事が取れると良いね〜。

 

 

 

 

短いやり取りだったが、なぜかその言葉が少し温かく感じた。

 

 

 

掲示板を閉じ、依頼一覧を開く。

 

 

表示されたリストの中には、輸送、清掃、要人の護衛、不良の討伐、廃品回収などなど。

 

 

見慣れた単語と、見慣れない単語が並んでいる。

 

 

▢《B》貨物奪取

 

 

□場所

直接会った後に伝える

 

 

□内容

指定した貨物の奪取、及び護衛の殲滅

 

 

□報酬

 

 

・歩合制

 

・貨物の奪取で特大ボーナス

 

 

□備考

 

 

詳細の欄をクリックし、説明を見てみる。

 

 

 

我々は最近護送されるらしいとある貨物の奪取を計画しており、その為には君達傭兵の協力が必要不可欠だ。

 

腕に自信のある者を募う。

 

無論、成果に応じた報酬は約束する。

 

 

 

やはり不特定多数に向けたばらまき依頼だ。

 

組織同士の抗争、報酬の多寡で傭兵を釣り上げるいつもの形。

 

 

依頼主がどこかも伏せられているが、そんなこと、個人では珍しくもないだろう。

 

 

「……悪くないかも」

 

 

『なかなかの報酬率ですね。危険度は高めですが、悪くはありません』

 

 

「うん。肩慣らしにはちょうどいいかも」

 

 

「受諾する」のボタンをクリックする。

 

 

モニターに小さなウィンドウが開き、位置情報が表示された。

 

 

 

エアが自動的にマップを開き、ルートを描き出す。

 

 

『現地まで徒歩で十八分。準備が整い次第出発可能です』

 

 

「了解」

 

 

私はノートパソコンを閉じ、立ち上がった。

 

 

玄関で靴を履きながら、ショットガンを手に取ると、銃身を軽く撫でるようにして整備状態を確認した。

 

 

 

動作良好。

 

 

最後にポケットに昼用のエナジーバーを滑り込ませてドアを開けると、朝のひんやりとした外気が頬を打った。

 

 

冷たく乾いた空気の中、街はすでに騒がしい。

 

 

車の走行音、人々のざわめき。

 

 

この街の息づきは、いつもどこか無秩序のようだ。

 

 

ビル群の狭間を抜け、エアの指示に従って進む。

 

 

導かれるままに進むと、コンクリートの匂いが鼻をついた。

 

エアの案内に従いながら、指定の建物へと歩く。

 

 

看板の剥げたビルの地下にある扉をくぐると、そこには既に数人の傭兵たちが集まっていた。

 

数えてみると八人。みな、それぞれの武装を肩に下げ、思い思いの場所で待機している。

 

 

片耳にインカムを付けた少女がコンビニのおにぎりを食べていたり、

 

 

また別の少女がスマホを見ながら「またこれ系かよー」とぼやいていたり。

 

 

 

物騒な内容の依頼にしては、全体的に和やかな雰囲気だった。

 

 

「おっ、もう一人来たみたいだねー。よろしくー」

 

 

 

「……よろしく」

 

 

軽く返事をして、壁際に立つ。

 

 

彼らの装備はそれなりに整っているが、動きや態度に緊張感はない。

 

 

 

『……みなさん随分リラックスしてますね』

 

 

「多分、これがここでは普通なんだと思う」

 

 

『貴方が少し浮いて見えます』

 

 

「うん、分かってる。でも、別に構わないよ」

 

 

この中で銃のことを【殺しの道具】として認識しているのは、私だけだ。

 

周りは喧嘩の道具程度にしか思っていなくて、命のやり取りをする訳でもないから、こうして気を抜いているのだろう。

 

 

私はコートの襟を整え、ハンドキャノンのロックを軽く引いた。

 

 

カチリという音が室内に響く。

 

 

これは単なる手慰みのようなもので、撃つようなことはしないつもりだ。

 

 

あの二人に言われたことはきちんと守っている。

 

 

それを聞いて、近くの傭兵が話しかけてきた。

 

 

「…へえ、アンティークモノじゃん。それどこで手に入れたの?」

 

 

「…砂漠で拾った」

 

 

嘘は言っていない。

 

 

「すごいね、ちゃんと使えるんだそれ」

 

 

「まあね」

 

 

そっけなく答えた直後、ドアを開けて獣人の男が入ってきた。

 

 

灰色の毛並みに、片耳の欠けた犬の人。

 

 

顔には深い傷跡が走っていてなかなかいかついことになっている。

 

 

「全員揃っているな。……よし、簡単に説明する」

 

 

低く擦れた声が室内に響く。

 

 

男は手元の端末を操作し、壁面に投影された地図を指差した。

 

 

 

無駄な挨拶はない。傭兵に求められるのが信頼ではなく結果なのは、ここでも変わらないらしい。

 

 

画面の地図に光点が現れ、彼は指先でルートを示す。

 

時計を見れば、約二〇分後に貨物車が通過予定だという。

 

護衛は四〜六で増減はあるが、基本は群れを制圧して荷を奪うだけだ。

 

 

一体で千円、貨物奪取で二万円と、倒した数に応じて支払われる標準的な歩合制の依頼。

 

周りは…とどのつまりライバル、といったところだろう。

 

 

報酬としての金銭を最重要とするならば、最速で積荷を奪って残りを掃討する、といったところか。

 

 

キヴォトスの抗争では、撃たれても【痛い】で済むことが多い。

 

耐久性が高く、何度も撃たれたってまずは気絶や動けない状態になるだけで、致命傷はほぼ無い。

 

命のやりとりをするわけではないから、私だって少しは身体の力を抜いてもやれるはず。

 

 

男は視線を巡らせ、私たち一人一人を見た。

 

 

視線を交わすつもりはなかったが、自然と短い一瞬が重なる。

 

 

彼はそれを確認したかのように頷いた。

 

 

「目的は貨物の奪取と護衛の殲滅だ。中身は知らなくていい。取れた奴には二万のボーナスを出す」

 

 

周囲の傭兵たちもそれぞれに頷き、装備を整え始める。

 

 

金属の音が連続して鳴るたび、空気が少しずつ引き締まっていく。

 

 

私は静かにコートの襟を整えた。

 

 

 

準備完了。

 

時計を確認し、深呼吸をひとつ。

 

 

そのわずかな間に、胸の奥のどこかがわずかに熱を帯びる。

 

 

それは緊張ではなく、淡いやる気と呼ぶべきものだった。

 

 

 

仕事を始めよう。

 

 

 

 

 

『作戦開始まで、あと五分です』

 

 

外は乾いた風がほとんどで、砂埃が舞う。

 

 

 

貨物車のルートに沿って私達は分散配置につき、遮蔽物に身を沈めた。

 

 

こちらの傭兵たちは数を数え、位置を確認し、簡単な合図で連携を取る。

 

 

奇襲を確実に成功させる為、先ほどと違い誰も話すことはない。

 

 

 

やがて、遠方にエンジン音がすると共に、数人の護衛が乗った貨物車が来た。

 

 

 

「数は想定通り。楽勝だね」

 

隣の傭兵が、ぽつんと口にした。

 

 

黒塗りの車体が路地を曲がり、曲がり角を抜けようとするその瞬間──

 

 

私の周りで銃声が、低く鋭く、あちこちから鳴り始めた。

 

 

 

開始の合図は、銃声で告げられた。

 

最初の波は想定内だった。護衛の数も想定内──最初は。

 

 

 

だが、二度目の波が来たとき、私たちの周囲で動きが止まった。

 

 

 

「え、向こうも傭兵を雇ってる?」

 

 

誰かが驚いた声を上げる。

 

 

 

その声を聞いて周囲に目を向けてみると、路地の影から別の傭兵群がぞろぞろと出てきていた。数が明らかに増えている。

 

 

 

情報が洩れたのか、増援が足されたのか…それはどちらでもいい。

 

現実は目の前にある。

 

 

周囲は狼狽し、戦術を組み直し始める。

 

 

ここで多くの者は数を恐れ、守りを厚くしようとする。

 

 

 

だが私の選択は違った。

 

 

この仕事のルールは単純だ。

 

護衛ひとつにつき千円。貨物の奪取で二万円。

 

 

報酬は数と結果で決まる。

 

時間をかけて数を減らすよりも、一気に貨物を奪う方が手っ取り早く、大きく稼ぐことができる。

 

 

 

私はボーナスを優先した。

 

 

ショットガンを撃ちつつ、足を蹴り出す。

 

 

先頭のオートマタが薄い鋼板の腹で重たく弾を弾いた。

 

だが、蹴りで歪めれば向きが変わる。

 

 

ゴシャッと、金属の歪む鈍い音がする。動作が一瞬遅れる。

 

 

 

その遅れを利用して、私は斜め前方へ抜け、ショットガンを構えて力を程よく込めながら、前方の生徒へトリガーを引く。

 

 

散弾が散り、奥から出て来た敵の脚を削る。

 

 

 

だがそれでも相手は倒れない。

 

キヴォトス人の肉体は頑丈で、物理ダメージに強い。

 

だからここで求められるのは【効率的な動き】、つまりは行動不能を取りにいく。

 

 

目の前にいた、いくつかの影──向こう側が雇った傭兵だ。彼らは数で押す作戦を選んだらしい。

 

 

私に向かって走り込んでくる。銃で迎え撃つ者、グレネードを構える者。

 

 

 

貨物を奪いに来たと悟ったのだろう、集中砲火が身に襲いかかった。

 

 

でも私は掴んだチャンスを捨てない。

 

今度は先程より大きく力を込め、狙いを定める。正確に。

 

 

パン。

 

 

一発の炸裂感が胸を震わせる。

 

今の銃撃の爆風に巻き込まれ、二、三人ほどがその一撃で倒れた。

 

 

その隙に、私は貨物車へ一直線に向かう。

 

 

タイヤを撃ってパンクさせつつ、車体横に立った護衛を体重を預けて盾のように押し退け、車のドアを蹴破る。

 

 

 

そこにはスーツケースが一つ、しっかりと留められている。

 

私の指先が、その取っ手に触れる。

 

 

「奪われたぞ!」

 

「さっさと取り返せ!」

 

 

 

向こうの増援が追いすがるも、貨物は既に私の手の中だ。

 

報酬は結果を出した者に渡る。

 

 

 

スーツケースは予想外に軽いものの、案外頑丈なのか外装に目立つダメージはなかった。

 

これで二万円のボーナスは確定だ。

 

 

振り返る間もなく、私は走り出し、ショットガンで反撃する。

 

 

 

そこまで力を入れていない為に撃っても相手は吹き飛ばないが、脚に数発直撃させれば怯ませられるから進路を阻むには十分だ。

 

数の優勢に頼る敵方の傭兵たちは、思ったより素早く潰れていく。

 

散弾の連射、奪った手榴弾、そして機械の残骸を盾にしつつ距離を詰めての蹴り。

 

無駄がない、効率的な動きを重視する。

 

 

「クソ、化け物かよ…」

 

「数で押し潰すぞ!他は並程度、こいつさえ仕留めれば!!」

 

 

そう言って敵のほぼ全員が私に銃口を向けてくる。

 

 

だが、それでも私は前へ出る。

 

 

これはチャンスだ。

 

 

ここに居るのを全員蹴散らせば、かなり稼げること請け合いなのだから。

 

 

オートマタと傭兵の群れに飛び込み、身体を捻って距離を作り、銃を撃ち、蹴る。

 

そうやって、残存する敵が一つ、また一つと減っていく。

 

 

 

それに防戦に徹していた仲間も反応し、追撃に転じた。

 

私が開けた道を皆が通り抜け、短時間のうちに銃声が収まって戦場は静かになった。

 

 

粉塵が舞い、呼吸だけがはっきりと聞こえる。

 

 

スーツケースを抱え、私はそのまま遮蔽物の陰に身を沈めた。

 

 

 

周囲を見渡すと、ほとんどの敵は無力化され、同じ依頼を受けた数人の傭兵が立っている。

 

誰もが息を切らしているが、笑いが交じる者もいる。

 

 

「うん、貨物は無事」

 

 

私はスーツケースの取っ手を締め直し、肩に掛ける。

 

重量は思ったより軽く、だがずっと握っていたから確かな温度が手に伝わった。

 

 

『周囲の敵の全滅を確認しました。ミッション完了です』

 

 

仲間たちが合流し、そのまま私はその場を離れた。

 

 

 

己のした行為は数字で評価される。

 

それを理解している限り、この場で生きることは単純なものである。

 

 

 

私は無言で歩き出す。砂埃の中で、スーツケースの金具が小さく擦れる音がした。

 

 

 

 

獣人の依頼主は建物の裏手、鉄製のドアの向こうで端末を操作していた。

 

 

テーブルの上には無骨なケースがひとつ。

 

報酬の支払い口座を確認しながら、各傭兵の名を順に呼んでいく。

 

 

「じゃ、まず……えーと、ヨウ。撃破五体で五千」

 

「ありがとうございます!」

 

「次、チカ。三体で三千」

 

 

「ちょっと少なかったな〜」

 

 

 

そんな調子で淡々と進む。

 

報酬はデジタル決済で、一人一人の端末に入金されていく。

 

 

周りの傭兵たちは疲れ切った顔をしながらも、どこか充実したように笑っている。

 

 

撃ち合いも、抗争も、彼らにとっては「日常の運動」みたいなものだ。

 

 

そして、依頼主の指が私の名前を探し当てたとき──獣耳がピクッと動いた。

 

 

「……レイヴン。撃破記録、護衛・敵傭兵あわせて……えー、二十三?」

 

 

 

「うん」

 

 

 

「貨物奪取も、お前だな?」

 

 

 

「うん」

 

 

「プロフィールによると、確か今日が初仕事だったと記憶しているんだが」

 

 

「うん」

 

 

 

「………………」

 

 

依頼主の口が半開きのまま止まった。

 

 

周囲の傭兵たちも、ポカンとした顔でこっちを見る。

 

 

一瞬、空気が静まり返る。

 

 

「いやちょっと待って、二十三って、ほぼ半分じゃねえか……」

 

「お前ひとりでそれって、どういう計算なんだ……」

 

「てか貨物も確保したのあんたでしょ!? ボーナスも出るじゃん!」

 

 

「うわー、こりゃ独り占めだな……」

 

 

そんな声があちこちから上がる。

 

苦笑い混じりのため息が重なって、空気が緩む。

 

獣人の依頼主は、肩を竦めて苦笑した。

 

 

 

「いや、助かったのは確かだ。お前がいなかったら多分、敵の増援でこっちの戦力は全滅だった。……報酬は、えー、二十三で二万三千、プラス貨物奪取で二万。合計四万三千な」

 

 

 

「了解。振り込みで」

 

 

 

「了解した」

 

 

彼の端末に金額が表示され、エアが即座に通知を読み上げる。

 

 

 

『入金を確認。レイヴンの口座に¥43,000の報酬が反映されました』

 

 

数字は正直だ。

 

仕事の成果をそのまま写す鏡みたいなもの。

 

 

 

私は軽く頷いてから、テーブルを離れた。

 

 

背後で、まだ誰かが言っている。

 

 

 

「…あれ本当に人か?」

 

 

「いやいやほら、居るじゃん時々、馬鹿みたいに強い奴。三大校それぞれにいる風紀委員長的な役割の」

 

「あれで初仕事って流石に冗談だろ」

 

 

「てかなんにも言わねえし…表情筋死んでね?」

 

 

「そういう人間なんでしょ。全くどうしてこんなところに来たんだか」

 

 

ざわつく声を背中に受けながら、私はドアを押して外へ出る。

 

 

外の空気はもうすっかり夜の匂いで、昼間の銃撃の熱はすっかり消えている。

 

 

 

これが私の、これから過ごすキヴォトスの日常。

 

撃って、倒して、金が入り、また撃つ。

 

 

それだけの繰り返し。

 

 




もうすぐでストックが切れるので、そこまでにアンケートを出しておこうと思います。

この小説読んでくれてる方はこの中のどれ?

  • シャーレの先生
  • 強化人間
  • 兼業
  • 実はどれもやってない
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