『神々の箱庭に、黎明の光を』   作:もいもい130

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第2話

 

第24層、未到達領域。

漆黒の外套を翻し、ボンドルドは「未知」という名の芳醇な香気が満ちる通路を歩んでいました。

「……おやおや。興味深い。実に興味深いですね」

彼は足を止め、仮面のスリットから漏れる紫の光を岩壁に向けました。

そこには、アビスの深層で見られる遺物の輝きとも、原生生物が発する燐光とも異なる、淡く、しかし力強い拍動を繰り返すエネルギーの奔流がありました。

「アビスにおける『呪い』――上昇負荷の正体は、観測可能な多層構造の光の幕でした。ですが、この地を満たしているのは、より流動的で、生命の根源に近い粒子のようです」

ボンドルドは、自らの内に宿る精神隷属機の機能を一時的に受容体として転用し、周囲の環境を走査します。

彼にとって、この世界で魔力と呼ばれているものは、まだ名前のない「高純度な知的干渉を許容する半物質的エネルギー」として定義されました。

「精神に反応し、事象を書き換える。なるほど、これならば私の愛も、この世界の理に深く浸透させることができそうです。……愛、愛ですよ。これほどまでに柔軟なエネルギーが、これほど無造作に放置されているとは」

背後で、強靭かつしなやかな成れ果ての尾が、獲物を探る触手のように岩壁を撫でます。

彼は尾の先端から微弱な信号を壁に送り込み、その反響音から地層の構造を立体的に把握しました。

「拠点……新たなイドフロントを築くには、このエネルギーの湧き出し口を見つけるのが合理的でしょう。……おや。この先、岩盤の密度が急激に変化し、熱量が集中しているポイントがありますね」

ボンドルドは、独自の物理定義に基づき、そこを「迷宮の心臓部の一つ」と推測しました。

彼は右腕の遺物、枢機へ還る光を起動させます。標的の存在を強制的に書き換え、無へと還すその光を、彼は今、精密な掘削機として使用しました。

光が岩壁を音もなく溶かし、新たな道が開かれます。

辿り着いたのは、天井から巨大な魔晶石が垂れ下がり、目に見えるほど濃い魔力の霧が渦巻く、巨大なドーム状の空洞でした。

「素晴らしい。ここならば、祈手たちとの意識共有の効率も、アビス以上の数値を期待できるでしょう」

しかし、その聖域の中央には、侵入者を拒むかのように巨大な影が鎮座していました。

ボンドルドは、その影が放つ圧倒的なエネルギー密度を観察し、即座に脳内データを更新します。

「なるほど。この粒子を糧とし、迷宮の意志を物理的に体現した免疫システムですか。素晴らしい。これほどの質量、これほどの輝き……」

彼は、目の前の強大な存在を恐怖の対象ではなく、極めて高密度な魔力の貯蔵体、および実験素材として定義し、慈愛に満ちた熱い吐息を漏らしました。

「さあ、見せてください。あなたがどのような理で構成され、どのような叫びをあげるのかを。あなたのすべてを、私の探求の礎として受け入れましょう」

ボンドルドの右腕が、収束する光の熱を帯びて震えています。

 

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