『神々の箱庭に、黎明の光を』   作:もいもい130

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第3話

 

第24層、ドーム状の空洞。

地響きを立てて突進してくる巨躯に対し、ボンドルドはただ静かに、慈愛に満ちた熱い吐息を漏らしました。

外套の袖口から、複数の影が吸い込まれるような滑らかさで這い出しました。

月に触れる(ファーカレス)。

伸縮自在の触手は、ボンドルドの指先が愛しい子の頬を撫でるかのような精密さで空気を切り裂き、巨躯の四肢へと絡みつきました。強靭な締め付けとともに、先端の棘が肉厚な皮膚を深々と捉え、そこから伝わる生命の拍動をボンドルドの精神へ直接、甘美な情報として流し込みます。

「素晴らしい……! これほどの筋力、そして皮膚の硬度。……ですが、それこそが私の愛を注ぎ込むに相応しい器というものです」

捕らわれた獲物は激しく暴れ、その巨大な口を大きく開くと、内部で魔力の粒子を臨界まで収束させました。ゼロ距離から放たれようとする、破壊の奔流。

しかし、ボンドルドは動じません。左腕の装填機構から、数本の呪い針(シェイカー)が、吸い込まれるように獲物の肉体へと埋め込まれました。

正確にモンスターの頸部、魔力のバイパスを穿った呪い鋼が、この世界の肉体を内側から侵食します。質量に応じた負荷が擬似的に発生し、巨躯の内部で内臓がひっくり返るような不気味な震動が巻き起こりました。

「素晴らしい……! 呪いという概念がないこの地においても、確実にその機能を果たしている。……さあ、歌ってください。あなたの魔力が乱れ、変質し、新たな形へと昇華されるその瞬間の声を」

断末魔の咆哮が空洞を震わせます。

魔力の粒子を吐き出すはずだった口からは、代わりにどす黒い体液が溢れ出しました。

しかし、ボンドルドの愛による解体は、まだ始まったばかりです。

機能不全に陥り、のたうち回る巨躯。

ボンドルドは、ファーカレスによって完全に動きを止めた獲物へと、一歩、また一歩と優雅に歩み寄ります。

彼の仮面の中央にある縦スリットが、爆発的な輝きを帯び始めました。

「ギャングウェイ」

短い言葉とともに放たれた怪光線は、周囲の貴重な魔晶石を傷つけることなく、悶絶するモンスターの眉間だけを正確に、冷徹に撃ち抜きました。

意識を焼き切られた巨躯が沈黙し、地響きを立ててその場に崩れ落ちます。

ボンドルドは、動かなくなったモンスターの傍らに膝をつくと、まるで壊れた玩具を慈しむようにその胸元へ手を当てました。

肘の隙間から、奈落のルールを書き換える光の刃――枢機へ還す光(スパラグモス)が、滑らかな殺意となって滑り出します。

「さて、ここからが本番です。あなたのその核が、この地における私の心臓となりうるか。愛、愛ですよ。あなたのすべてを、私の探求の礎として受け入れましょう」

スパラグモスが、解剖学的な正確さをもってモンスターの胸部をほどいていきます。

霧散する肉体、そして中心部に鎮座する巨大な魔石の輝きが、ボンドルドの仮面を紫に照らし出しました。

ボンドルドは、取り出した巨大な魔石を掲げ、この空洞をイドフロントとして定義しました。

「さあ、まずはこの場所を掃除し、整えなければなりませんね。……おやおや。ちょうど良い、私の声が届く距離にお客様がいらっしゃるようだ」

ボンドルドは、自らの魂と一体化した精神隷属機の波長を、まるで網を張るように周囲の階層へと広げ始めました。

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