『神々の箱庭に、黎明の光を』   作:もいもい130

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第38話

迷宮都市オラリオ、その中枢たるギルド本部。

イドフロントでの「監督」という名の地獄を視てきた二大派閥の精鋭たちが、重苦しい足取りでパンテオンへと帰還しました。

そこに待っていたのは、主神ロキ、フレイヤ、そしてギルドの最高責任者ロイマンと、深淵に座する主神ウラノスでした。

報告:消滅の光と部品としての命

「……結論から言えば、イドフロントは我々が想定していた『拠点の構築』という段階を、疾(と)うに通り越している」

勇者フィン・ディムナの声は、冷徹な分析を保ちつつも、僅かに震えていました。彼はウラノスと神々の前で、白き宮殿で起きた惨劇を、一言一句漏らさず報告しました。

* 祈手(アンブラハンズ)の異質性:

ボンドルドを「卿」と仰ぎ、自らを「私の一部」と称する狂信的な軍勢。彼らは自我を持ちながらも、必要とあれば一瞬にしてその身体をボンドルドの「機能」へと明け渡す。

* 犠牲を前提とした行軍:

魔石銃の過負荷を肩代わりし、白目を剥いて倒れる者を「部品の消費」として処理する合理性。倒れた者は「家族」と呼ばれ、慈しみの中で磨り潰される。

* 枢機に還す光(スパラグモス):

階層主ウダイオスを一瞬にして「消滅」させた、因果を断ち切る絶対の光。魔石も、素材も、死体すら残さないその一撃は、迷宮の理(ことわり)そのものを否定するものであった。

神々の戦慄:恩恵(ファルナ)への挑戦

報告を聞き終えた広間を、かつてないほどの沈黙が支配しました。

傲岸不敵なロキでさえ、その目は笑っておらず、フレイヤは静かにその銀色の瞳を細めていました。

「……魔石も残さず、階層主を消しただと? それはもはや『狩り』ではない。神の力(アルカナム)に等しい理外の暴虐だぞ」

ロイマンが脂汗を拭いながら絶叫しました。しかし、フィンは首を横に振りました。

「いいえ。神の奇跡ではないからこそ、恐ろしいのです。ボンドルドは、人の知恵と迷宮の素材、そして『愛』という名の狂気だけで、あの光を作り上げた。……あれは、神々の恩恵に頼らずとも深淵を支配できるという、最悪の証明ですよ」

アイズの証言:汚された誇り

フィンの傍らで、アイズ・ヴァレンシュタインは静かに、しかし断固とした意志を秘めた声で付け加えました。

「……あの人は、命を『家族』と呼んで、壊していく。壊れることを、幸せだと言って笑わせる。……あんなの、絶対におかしい」

彼女の心は、ボンドルドの提示する「救済」に決して屈していませんでした。むしろ、彼が志願者たちの希望を「機能」へと変換し、その犠牲を肯定する姿に、剣士としての、そして人間としての原初的な怒りを燃やしていました。

さらなる深淵へ:ギルドの判断

ウラノスの深淵のような瞳が、報告を裏付けるように静かに揺らぎました。

「ボンドルド卿は、我らが与えた停戦の猶予の中で、着実に『黎明』を組み上げている。……彼にとってオラリオの法は、探求の路を舗装するための素材に過ぎぬか」

監視を引き上げたロキ・ファミリアとフレイヤ・ファミリア。しかし、彼らが去った後のイドフロントでは、ウダイオス戦で得たデータを基に、さらなる「強化」が始まっています。

「卿」に選ばれた戦隊長カロンと、新たに志願した市民たち。彼らが次に向かうのは、第24階層の素材を食らい、魔石銃の出力を極限まで高めた「第二期遠征軍」の編成。

オラリオの神々が戦慄する中、ボンドルドは今この瞬間も、壊れた「家族」の残骸を慈しみながら、次なる一歩を踏み出そうとしているのです。

この先の展開アンケート

  • 和解ダンジョンの黎明を目指す
  • 全面戦争突入
  • 両方かけ(作者死ぬ)
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