『神々の箱庭に、黎明の光を』   作:もいもい130

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第51話

「……ちっ、どいつもこいつも不気味な面隠しやがって。反吐が出るぜ。おい、フィン。さっさと用件済ませろ。こんなトコ一秒でも早く出たいんだよ」

ベートが苛立たしげに鼻を鳴らし、金属のブーツを床に響かせました。その隣で、ティオネはフィンの斜め後ろに立ち、周囲の祈手(アンブラハンズ)たちを射抜くような視線で牽制しています。

「ちょっとベート、団長の前で無作法な口を利かないで。……ですが団長、この場所の空気……生理的に受け付けません。このような得体の知れない男を仲間に加えるなど、再考すべきではありませんか?」

ティオネは「団長」の名を呼ぶ時だけ、その声に甘い熱を帯びさせますが、ボンドルドへ向ける視線は文字通り蛇のように冷徹でした。フィンは、その視線の先で静かに佇むボンドルドを見据え、落ち着いた、しかし芯の通った声で答えました。

「……気持ちはわかるよ、ティオネ。だけど、僕たちの目的は第50階層以下の未到達領域の踏査だ。そのためには、このイドフロントが持つ未知の知見と、彼らの『機能』が必要なんだよ」

フィンは一歩前へ出ると、その鋭い碧眼をボンドルドの仮面へと向けました。一人称は「僕」でありながら、その立ち居振る舞いは紛れもなく数千の冒険者を束ねる王のそれでした。

「お久しぶりですね、ボンドルド卿。二度ほど剣を交えた仲ではありますが、こうして公式に協力の席に着けることを、僕は嬉しく思っているよ。……君の提示した『四種の兵装体系』、そして『同行の条件』……。僕たちが背負うリスクに見合うものか、判断させてもらいたい」

「おやおや。フィンさん、相変わらず素晴らしい器です。……その揺るぎない意志こそが、深淵を照らす黎明の光となるでしょう。愛ですよ、それは」

ボンドルドが優雅に一礼すると、ティオナが「あはは!」と笑いながら、工廠の珍しい設備を覗き込んでいます。

「えへへ、ティオネは心配性だなぁ。ねぇねぇ団長、あの人たちが持ってる武器、カッコいいよ! あれが新しい力なのかな?」

「……さて、プルシュカ。おいでなさい。英雄の皆様にご挨拶を」

ボンドルドが促すと、彼の背後からプルシュカがひょこっと顔を出しました。

「こんにちは! 私、プルシュカ! ……わあ、お姉さんたち、凄くかっこいい! それに……そっちの小さなお兄さんが、パパの言ってた『勇者様』?」

プルシュカがフィンを指差して目を輝かせると、一行の間に一瞬の静寂が流れました。フィンは、ボンドルドという「怪物」の傍らに、これほどまでに無垢な子供が存在しているという事実に、微かに眉を動かしました。

「……驚いたな。ボンドルド卿、その子は……」

「彼女はプルシュカ。私の大切な娘です。……プルシュカ、フィンさんはとても賢くて強い方ですよ。失礼のないように」

「うん! フィンさん、よろしくお願いします! 私、パパの助手をしてるの。皆さんのこと、パパからいーっぱい聞いてたよ!」

プルシュカの無邪気な笑顔。

かつて自分たちを合理的に排除した男が、一人の少女を「娘」と呼び、慈しみを持って接している。その異様な光景に、アイズやリヴェリアも含めた一行は、戦場とは異なる底冷えするような違和感を抱かざるを得ませんでした。

「……よし、挨拶はここまでだ。ボンドルド卿。……あんたたちの実力、そしてその娘を連れて行くという判断の正しさ……。今ここで、僕たちに示してほしい」

フィンの号令と共に、ロキ・ファミリアの面々が演習場へと視線を向けました。

この先の展開アンケート

  • 和解ダンジョンの黎明を目指す
  • 全面戦争突入
  • 両方かけ(作者死ぬ)
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