『神々の箱庭に、黎明の光を』   作:もいもい130

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第52話

演習場に立ち込める、原生生物が焼かれた異臭と、魔導兵装の排熱。

その静寂を破ったのは、フィンの冷静な、しかしどこか警戒を孕んだ声でした。

「……認めざるを得ないね。これほどの殲滅力、そして以前のような『負荷』を撒き散らさない継戦能力。……僕たちの遠征にとって、これ以上ない『牙』になるだろう」

フィンが差し出した小さな手を、ボンドルドは漆黒の手甲に包まれた手で、懃懃に、そして優しく握り返しました。

「おやおや。光栄です、フィンさん。……我々祈手(アンブラハンズ)の機能が、地上の英雄たちの武勇と重なり合う。……その先にどのような『黎明』が待っているのか、想像するだけで胸が躍りますよ。愛ですよ、それは」

ボンドルドの仮面が、歓喜に震えるように淡く明滅します。その言葉に、ティオネは嫌悪感を隠さず鼻を鳴らし、ベートは「……チッ、反吐が出るぜ」と吐き捨てて視線を逸らしました。彼らにとって、ボンドルドの語る「愛」が、自分たちの知るそれとは決定的に異なる「何か」であることを、本能が告げているのです。

「あはは! でも本当に凄かったよ! あの青い火、お祭りの明かりみたいで綺麗だったし!」

ティオナが屈託なく笑いながらプルシュカの肩を叩くと、プルシュカもまた誇らしげに胸を張りました。

「でしょ! パパの作った武器は、誰も痛い思いをしないで、悪いモンスターだけをやっつけられるんだよ! フィンさんたちも、これなら安心だね!」

プルシュカの無垢な言葉が、工廠の冷たい壁に反響します。

ロキ・ファミリアの面々は、その言葉の背後にある「避雷針の隠蔽」や、ボンドルドがこれまで積み上げてきた犠牲の山を知る由もありません。しかし、リヴェリアだけは、プルシュカが抱く「パパへの盲信」の中に、救いようのない歪みを感じ取り、悲しげに目を伏せました。

「ボンドルド卿。条件通り、プルシュカの同行も許可しよう。……ただし、彼女の安全はあんたたちが責任を持つんだ。僕たちは僕たちの戦いに集中させてもらうよ」

「ええ、もちろんです。……プルシュカは私の希望、私の光ですから。……カロンさん。ロキ・ファミリアの皆様の装備の最終調整、および行軍序列の策定を急ぎなさい。……英雄たちを、最高の状態で深淵の先へとご案内するのです」

「了解。……全祈手、これよりロキ・ファミリアとの混成陣形に移行。……未到達領域への路を、一分の狂いなく切り拓きます」

カロンの号令が響き、イドフロント全体が巨大な一つの生命体のように、遠征という目的のために拍動を速めました。

ボンドルドは、自らの隣で期待に瞳を輝かせるプルシュカと、目の前で静かに牙を研ぐ英雄たちを等しく視界に入れ、その仮面を深く、深く明滅させ続けました。

この先の展開アンケート

  • 和解ダンジョンの黎明を目指す
  • 全面戦争突入
  • 両方かけ(作者死ぬ)
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