『神々の箱庭に、黎明の光を』   作:もいもい130

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第65話

闇派閥(イーヴィルス)の自爆テロによる混乱と、それに乗じた連合軍の猛烈な突撃。

かつてない物理的な「ノイズ」が防衛線を侵食し始めたその時、ボンドルドは一切の焦りを見せることなく、カロンへ静かに指示を下した。

「おやおや。いささかお客様の数が増えすぎましたね。……カロンさん。イドフロントの正門を完全に閉鎖しなさい。要塞壁に取り付いた冒険者を優先的に排除するのです」

「了解。……第一、第二防衛ライン放棄。拠点防壁の完全封鎖に移行。……全ユニット、迎撃座標を再設定」

カロンの無機質な復唱と共に、地響きを立ててイドフロントの巨大な防壁が動き始めた。

それは、侵入者を迎え入れるための門ではなく、深淵の闇を外界から完全に隔離するための重厚な隔離壁。

「門が閉まるぞ! 急げ、閉じ込められる前に内側に飛び込め!」

「チィッ、逃げ腰になりやがって!」

ベートが牙を剥き出しにして加速し、アイズが風を纏って跳躍する。しかし、祈手(アンブラハンズ)たちの動きは、彼らの「奇跡」を上回るほどに冷徹で合理的だった。

彼らは前線で戦っていた一部の仲間を平然と見捨て、防壁の可動部ごと切り捨てるように内側へと撤収していく。

ズゴォォォォンッ!!

第一級冒険者たちの刃が届く寸前、イドフロントの巨大な門は完全に閉ざされた。

残された連合軍の冒険者たちは、なす術もなくそびえ立つ白き要塞の壁を見上げるしかなかった。

「……クソがッ! ここまで来て、また引きこもりやがったのか!」

怒り狂った中堅冒険者たちが、魔法で足場を作り、あるいは直接武器を突き立てて、巨大な要塞壁を蟻のように這い登り始める。彼らの目には、疲労と飢餓、そして「あと一歩で英雄になれる」という狂気じみた執念が宿っていた。

だが、それこそがボンドルドの指定した「優先排除対象」だった。

防壁の上部、監視孔から無数の『灯火の杖(ルミナス・ケーン)』の銃口が一斉に突き出される。

「機能、再同期。……壁面の害虫を駆除します」

光の雨が降り注いだ。

それは平面での撃ち合いとは次元が違う、完全な「上からの蹂躙」だった。

壁に張り付いて回避行動をとれない冒険者たちは、次々と光弾に身体を撃ち抜かれ、断末魔の悲鳴を上げながら数十メートルの高さから真っ逆さまに転落していく。

落ちた先には、彼ら自身の仲間が密集しており、落下する肉塊がさらなる被害と混乱を生み出していた。

「パパ……。お外の人たち、いっぱい落ちていくよ……」

「ええ、プルシュカ。彼らは自らの力を見誤り、身の丈に合わない壁を登ろうとしたのです。……重力という絶対的な理(ことわり)の前に、奇跡など無力であるということを、その身をもって学んでいるのですよ」

ボンドルドは、モニター越しに次々と墜落していく冒険者たちの姿を、まるで美しい雨降りでも眺めるかのように静かに見つめていた。

「フィン! このままじゃ壁を登る前に全滅じゃ! 魔法部隊の射程も上まで届かんぞ!」

ガレスが頭上から飛んでくる光弾を巨大な戦斧で弾き落としながら、血の混じった唾を吐き捨てて怒鳴る。

閉ざされた門と、見上げるほどの防壁。そして上空から降り注ぐ無慈悲な光の雨。

イドフロントは再び、難攻不落の「機能」の城として、泥に塗れた英雄たちを冷酷に見下ろしていた。

この先の展開アンケート

  • 和解ダンジョンの黎明を目指す
  • 全面戦争突入
  • 両方かけ(作者死ぬ)
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