ネブカドネザル号乗組員消失事案に関する資料   作:統合惑星連盟特務調査局

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資料3-2

5-3 アマリー・ヘッシュ 第一回査問記録

実施日:西暦3000年9月18日 10:00〜11:47

場所:連盟中央医療施設 第3査問室

査問担当:特務調査局Ω班 査問官〔識別コード:Q-01〕〔識別コード:Q-02〕

同席:担当医〔識別コード:K.V.〕

文書番号:ΩR-3000-0918-A

〔Ω班注記:本査問は被査問者の医療的状態を考慮し、担当医の同席のもとで実施された。被査問者への強制的な聴取は行われていない。発話中断および沈黙の時間は可能な限り正確に記録した。〕

 

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10:00 査問開始

 

Q-01:今日は時間を取ってもらってありがとうございます。体調はどうですか。

A:〔約4秒の沈黙〕……普通です。

Q-01:無理のない範囲で話してください。いくつか聞かせてほしいことがあります。

A:はい。

Q-01:まず確認ですが、あなたはネブカドネザル号の医療班、アマリー・ヘッシュさんで間違いありませんか。

A:〔約7秒の沈黙〕……はい。アマリー・ヘッシュです。

Q-01:ネブカドネザル号に乗船していたことは覚えていますか。

A:覚えています。

Q-01:発航から通信断絶までの期間、艦内での生活についてお聞きします。最初の数ヶ月は順調でしたか。

A:……順調でした。仕事もしていました。みんなとも、話していました。

Q-02:「みんな」というのは、同僚の乗員たちですか。

A:〔約3秒の沈黙〕そうです。

Q-02:その「みんな」が、現在行方不明になっています。何か心当たりはありますか。

A:〔約19秒の沈黙〕……わかりません。

Q-01:わからない、というのは、覚えていないということですか。それとも、説明できないということですか。

A:〔約11秒の沈黙〕……両方です。

 

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10:24

 

Q-01:6月中旬以降、艦内の状況が変化したと思われる記録があります。乗員の様子に変化を感じましたか。

A:……感じました。

Q-01:どのような変化でしたか。

A:みんなが、少しずつ……遠くなっていく感じがしました。いるのに、いない。話しかけると返事はするのに、その人じゃない感じがして。

Q-02:「その人じゃない」とはどういう意味ですか。

A:〔約8秒の沈黙〕……うまく説明できません。目が、違う感じがしました。

Q-01:あなた自身はその頃、どのような状態でしたか。

A:怖かったです。でも、何が怖いのかわからなかった。

Q-02:6月18日、通信が断絶した日のことを覚えていますか。

A:〔約23秒の沈黙〕

Q-02:アマリーさん。

A:……覚えていません。その日のことは、ほとんど。

Q-01:「ほとんど」ということは、一部は覚えているということですか。

A:〔約14秒の沈黙〕……音が、聞こえていました。ずっと。それだけです。

Q-02:どのような音でしたか。

A:〔約31秒の沈黙〕……聞いたことのない音でした。でも、知っている音のような気もしました。〔発話中断〕……うまく言葉にできません。

 

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10:51

 

Q-01:艦内のいくつかの区画に、成分の特定できない物質の付着が確認されています。特にセクターB-17からB-22の連絡通路、第4科学研究区画、副ブリッジ付近です。これらの区画について、何か知っていますか。

A:〔約3秒の沈黙〕知りません。

Q-02:これらの区画に立ち入ったことはありますか。

A:……医療区画以外には、あまり行きませんでした。

Q-01:「あまり」というのは、全く行かなかったということではないですか。

A:〔約9秒の沈黙〕……覚えていません。

Q-02:わかりました。これらの区画について、調査チームが立ち入る予定です。何か注意すべきことはありますか。

A:〔約2秒の沈黙〕近づかない方がいいです。

Q-02:それはなぜですか。

A:〔約17秒の沈黙〕……近づかない方がいいです。

Q-01:理由を教えていただけますか。

A:〔約41秒の沈黙。この間、被査問者は両手を膝の上で重ね、視線を床面に向けたまま動かなかった。担当医K.V.が体調を確認したが、被査問者はこれに対して首を横に振った。〕

A:……行ったら、わかります。でも、行かない方がいい。わかってしまうから。

Q-02:「わかってしまう」とはどういう意味ですか。

A:〔約6秒の沈黙〕……言えません。

 

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11:09

 

Q-01:あなたが医療区画で倒れていた時の記憶はありますか。

A:ありません。気づいたら、あなたたちの船にいました。

Q-01:医療区画の壁面に、あなたが書いたと思われる文字が発見されました。覚えていますか。

A:〔約5秒の沈黙〕……写真を見せてもらいました。自分の字だと思います。でも、書いた記憶はありません。

Q-02:内容について、心当たりはありますか。「皆死んだ」「魂がない」「私は何だ」といった記述です。

A:〔約26秒の沈黙〕……わかりません。でも。

Q-01:でも?

A:〔約8秒の沈黙〕……正しいと思います。内容は。

Q-02:「正しい」というのはどういう意味ですか。

A:みんなは、死んだわけじゃないと思います。でも、いなくなった。魂が、というか……中身が、なくなっていく感じを見ていました。だから、正しいと思います。書いたのが自分かどうかは、わかりませんけど。

Q-01:「書いたのが自分かどうかわからない」とはどういうことですか。

A:〔約33秒の沈黙〕……わかりません。

 

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11:28

 

Q-01:少し別の話をさせてください。あなたは連盟中央大学在学中、量子航行理論研究会に参加していましたね。

A:〔約2秒の沈黙〕……はい。

Q-01:その研究会について教えてもらえますか。

A:普通の研究会でした。論文を読んだり、講義を聞いたり。

Q-02:研究会を通じて、ルカ・ゾレンティーノ博士と交流がありましたか。

A:〔約4秒の沈黙〕……先生には、お世話になりました。

Q-01:「先生」というのはゾレンティーノ博士のことですか。

A:はい。

Q-02:ゾレンティーノ博士から、この航海について何か言われましたか。

A:〔約22秒の沈黙〕……応援してもらいました。

Q-01:それだけですか。

A:〔約18秒の沈黙〕……はい。

Q-02:研究会の活動内容について、もう少し詳しく教えてもらえますか。

A:〔約44秒の沈黙。この間、被査問者の視線が初めて正面のQ-02に向いた。それまで床面を向いていた視線が、Q-02の顔の、やや上の一点に固定された。Q-02は後の記録において「見られているというより、見透かされているような感覚があった」と述べている。〕

A:……普通の研究会でした。

Q-01:先ほどと同じ答えですね。

A:〔約3秒の沈黙〕はい。

 

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11:41

 

Q-01:最後にもう一つだけ聞かせてください。あなたが医療区画の壁に書いた文字の中に「地球に帰りなさい」という記述がありました。これはどういう意味だと思いますか。

A:〔約51秒の沈黙〕

Q-02:アマリーさん。

A:〔約9秒の沈黙〕……わかりません。

Q-01:本当にわかりませんか。

A:〔約6秒の沈黙〕……もう始まっています。

Q-02:何が始まっているのですか。

A:〔約3秒の沈黙〕……何のことでしょう。今、何か言いましたか。

Q-01:「もう始まっています」とおっしゃいました。

A:〔約17秒の沈黙〕……覚えていません。すみません、疲れました。

 

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11:47 査問終了

 

Q-01:今日はありがとうございました。また改めて時間をいただけますか。次回はもう少し詳しく聞かせてください。

A:〔約4秒の沈黙〕……はい。

査問はここで終了した。Q-01がその旨を告げ、記録担当者が機材の停止操作を行った。

機材停止の直前、記録担当者〔識別コード:R-09〕は以下を記録している。

「査問終了の瞬間、被査問者の表情が変化した。変化は一瞬であり、0.5秒から1秒程度のものであったと思われる。笑顔、あるいはそれに近い表情であったが、それまでの査問中に見せた表情とは明らかに異質であった。アマリー・ヘッシュという人物の表情には見えなかった。誰の表情であったかは、わからない。記録しておく。」

〔Ω班注記:記録担当者R-09の上記観察は、映像記録によって部分的に裏付けられている。当該映像の詳細については別途映像解析資料を参照のこと。第二回査問の実施については現在調整中である。〕

 

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5-4 担当医私的記録

記録者:〔識別コード:K.V.〕精神科・宇宙医療専門医

記録期間:西暦3000年7月1日〜西暦3000年10月14日

文書番号:ΩR-3000-1014-A

〔Ω班注記:本記録は担当医K.V.の個人端末より、本人の同意のもとで取得したものである。公式医療記録とは別に個人的に記録されたメモであり、内容は担当医の主観的所見を含む。本記録はΩ班の判断により最重要資料として分類された。担当医K.V.は本記録の提出後、現在連盟保護下に置かれている。〕

 

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■ MEMO 3000.07.01

今日、ネブカドネザル号の生存者を担当することになった。アマリー・ヘッシュ、28歳、女性。収容時の状態は重篤であったが、生命の危機は脱した。

上長からは「通常の外傷後ストレス障害として処理するように」と言われた。確かに症状の表面はそう見える。しかし収容初日から、何かが引っかかっている。うまく言語化できないが、この患者は「ただの生存者」ではないという感覚がある。医師として不適切な直感かもしれない。記録しておく。

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■ MEMO 3000.07.06

患者が起座して壁を見ていた。約20分間。公式記録にはそのまま記載した。

しかし公式記録に書かなかったことがある。患者が壁を見ていた間、私も同じ壁を見た。何もなかった。しかし患者の視線の動き方が、まるで「何かを追っている」ように見えた。静止しているのに、眼球が微細に動いていた。焦点が合っていないのではなく、私には見えない何かに合っている、そんな印象を受けた。

気のせいかもしれない。

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■ MEMO 3000.07.13

患者が複数の古代言語で文字を書いた件について、上長に報告した。上長の反応は「精神的混乱による無意味な記述だろう」というものだった。

しかし私にはそう思えない。ラテン語・古代ギリシャ語・古代ヘブライ語の単語が混在しているが、それぞれの単語自体は正確である。「Veni(来た)」「ἔρχομαι(私は来る)」「בָּאתִי(私は来た)」——これらはすべて「来る・到着する」という意味を持つ動詞の活用形だ。無意味な羅列ではなく、同じ意味を複数の言語で繰り返している。

患者がこれらの言語を習得した記録は存在しない。この事実をどう説明するのか、私にはわからない。

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■ MEMO 3000.07.19

患者が発した未同定言語について、言語解析担当者から「既知のいかなる言語体系とも一致しない」との回答を得た。

しかし私が気になっているのはその後の患者の発言だ。「聞こえましたか」と患者は私に問いかけた。あの発話が「誰かへのメッセージ」であったかのような問いかけだった。患者は自分が何を言ったのかを理解していたのか、それとも理解していなかったのか。どちらとも取れる表情だった。

私はとっさに「何が聞こえましたか」と聞き返せなかった。医師として失態だったと思う。

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■ MEMO 3000.07.31

患者の瞳孔反応について記録しておく。

収容当初、患者の瞳孔反応は光刺激に対して著しく緩慢であった。これは低体温および重度の栄養不足による一般的な症状として処理した。しかし回復が進むにつれて、瞳孔反応が「正常」ではなく「過敏」な方向へ変化し始めている。光を当てると、正常値を超えた速度で収縮する。この変化の方向性が医学的に説明できない。

低体温・栄養不足からの回復過程でこのような変化が生じる事例は、私の知る限り存在しない。上長に報告したが「誤差の範囲だ」と言われた。数値を見れば誤差ではないことは明らかだが、上長はデータを確認しようとしなかった。

なぜだ。

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■ MEMO 3000.08.11

夜間の筆記について。

消灯後の暗闇の中で患者が壁に何かを書いていた。光源は持参していなかった。暗闇の中でどうやって書いていたのかを患者に聞いたが「覚えていない」と言った。

私が気になったのは別のことだ。患者の爪に損傷があったことは公式記録に残した。しかし書かれた痕跡を確認した際、引っかき傷の深さが、爪による通常の力では到底達しえない深さであった。処置室の硬質合金製の壁面に、明確な溝が刻まれていた。

患者の体格・筋力から考えて、物理的に不可能な深さだった。この事実は公式記録に記載しなかった。記載しても「誤差」と言われると思ったからだ。

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■ MEMO 3000.08.19

今日の筆記内容に「地球に帰りなさい わたしはそのために残された」という記述があった。

患者は「自分の言葉ではない」と言った。私はその言葉を信じている。なぜなら、その記述の直前と直後の文体が明らかに異なるからだ。直前は混乱した断片的な文章であり、直後も同様だった。しかし「地球に帰りなさい」という一文だけが、異様に整っていた。句読点の位置、語順、筆圧——全てが、他の記述と異質だった。

誰かが、患者の手を使って書いたとしか思えない。

この見解は公式記録には記載しなかった。記載すれば、私が精神的に不安定だと判断されると思ったからだ。

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■ MEMO 3000.09.04

患者との会話が成立するようになってきた。日常的なやり取りには支障がない。しかし私は会話のたびに、奇妙な感覚を覚える。

患者は間違いなくアマリー・ヘッシュだ。彼女の知識、語彙、話し方の癖、ユーモアのセンス——それらは一貫している。しかし時折、会話の中に「ズレ」がある。何かを答える前の沈黙が、「考えている」のではなく「確認している」ように見える瞬間がある。何を確認しているのか、私にはわからない。

担当医として言うべきことではないかもしれないが、私はこの患者と二人きりでいる時間が怖い。この感覚も記録しておく。

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■ MEMO 3000.09.18

今日、Ω班による第一回査問が実施された。私は同席した。

査問中、患者は終始口数が少なかった。しかし私が最も気になったのは発言の内容ではなく、査問官Q-02が「詳しく教えてもらえますか」と研究会について踏み込んだ際の患者の変化だ。沈黙の時間が他の質問と比べて著しく長くなった。そして沈黙の間、患者の呼吸パターンが変化した。具体的には、呼吸が一時的に停止した。時間にして約7秒間。その後、「普通の研究会でした」と答えた。

呼吸停止は患者本人も気づいていなかったと思われる。医師としてその場で指摘すべきだったが、できなかった。理由を問われれば、怖かったからとしか言いようがない。

査問終了時の患者の表情変化については、記録担当者R-09も記録していた。私も目撃した。それは笑顔だったが、笑顔ではなかった。人間が作る表情の範疇にあるが、アマリー・ヘッシュという人間の表情ではなかった。一瞬のことだったが、私は今も目を閉じるとあの表情が浮かぶ。

今夜はよく眠れないと思う。

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■ MEMO 3000.09.30

患者が本日退院した。外来管理への移行が決定したためだ。

退院時、患者は私に「お世話になりました」と言った。笑顔だった。今度は、アマリー・ヘッシュの笑顔だったと思う。思いたい。

彼女が病室を出た後、私は一人で処置室に残った。壁面の、爪で刻まれた痕跡を見た。判読不能な線の集まりだと思っていたが、今日初めて気づいたことがある。ある角度から光を当てると、線が文字のように見える瞬間がある。しかしそれが文字なのか、私の目がそう見たいだけなのか、判断できない。

写真を撮った。解析を依頼しようとしたが、誰に依頼すべきかわからなかった。Ω班に渡すべきか迷っている。

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■ MEMO 3000.10.14

これが最後のメモになると思う。

先週、上長に呼ばれた。「アマリー・ヘッシュに関する記録を全て提出するように」と言われた。私が個人的なメモを作成していることを、上長は知っていた。どこから知ったのかはわからない。

提出を求められた際、上長の隣にもう一人いた。名前を名乗らなかった。連盟の人間ではないと思った。根拠はない。ただそう感じた。

このメモをΩ班に提出することを決めた。上長の指示に反することはわかっている。しかし記録しなければならないと思う。理由は一つだ。

アマリー・ヘッシュは退院した。連盟保護下に置かれるはずだった。しかし退院翌日、私は偶然、彼女が一人で施設の外を歩いているのを見た。誰も付き添っていなかった。彼女は私に気づかなかった。あるいは、気づいていたが気づかないふりをした。

彼女はまっすぐ歩いていた。迷っている様子はなかった。どこへ向かっているのか、私にはわからない。

しかしその歩き方が、私の知っているアマリー・ヘッシュの歩き方ではなかった。

記:K.V.

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■ MEMO 3000.10.17

上長からまた連絡があった。「提出した記録に不備がある。追加資料を持参して出頭するように」とのことだった。どの記録のどこが不備なのかは教えてもらえなかった。

明日、指定された場所へ行く。場所は連盟中央施設ではなく、外縁区画の別施設だった。なぜそこなのかは説明がなかった。

行くべきかどうか迷っている。しかし行かなければ、もっとまずいことになる気がする。

このメモが最後にならないといいと思う。

記:K.V.

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■ MEMO 3000.10.18 ※未送信のまま端末内に残存していた記録

担当:〔記録なし〕

施設に着いた。指定された部屋の前まで来ている。廊下に誰もいない。静かすぎる。

ドアの前に立った時、気づいたことがある。

この静けさを

〔記録欠落〕

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〔Ω班注記:担当医K.V.は西暦3000年10月18日以降、連絡が取れない状態にある。出頭を指示した上長への確認を試みたが、当該上長もまた同日以降、職場への出勤記録が存在しない。K.V.が向かったとされる外縁区画の別施設については、連盟施設台帳に該当する施設の記録が存在しなかった。K.V.の端末は本人が最後に目撃された地点から約200メートル離れた路上で発見された。端末内には上記の未送信メモのみが残されており、他のデータは全て消去されていた。消去の実行者および実行時刻は特定できていない。K.V.の現在の所在は不明である。〕

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