モノづくり大好きライバーによるハッピーエンドの作り方   作:超かぐや姫!脳焼きの民

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まさかの戦闘シーンが2話連続なので初見です。

最期に追加シーンを入れてたので上げなおしです。

今話に封印指定兵装がちょっと出てきますが詳細はまた後日ということで何卒



かぐや争奪KASSEN選手権 feat...

かぐやは今日も今日とて、配信をしていた。

 

ヤチヨカップ優勝のために始めたライバー活動。

 

今では、その活動そのものが彼女の大きな娯楽になっていた。

 

バカやって

 

笑って

 

楽しんで

 

彼女の配信は笑顔に満ちたものであった。

※一部例外(Mr.Mkホラゲ事件)を除く。

 

そんな彼女の今日の配信内容は、いろPとMr.Mkを交えた雑談であった。

Mr.Mkは、もはや様式美となりつつあるかぐやによる拉致監禁によって参加させられている。

 

「なあ、いつも思うねんけど...

なんで俺拉致られたん?」

 

「そっちの方が面白いから!

遠田の視聴者も

『Mr.Mkが振り回されてるの新鮮!

もっとやって』

って言ってるし!」

 

「視聴者ぁ!なんちゅうこと言ってんねん!!!」

 

そんな会話により始まった、酷い配信である。

 

『Mr.Mk拉致監禁事件【定期】』

『お前は振り回す側も、振り回される側もおもろいからしゃーない』

『↑なんなら振り回されてる時のがおもろいまである』

『誇れ。(振り回されてる)お前はおもしろい』

『草』

 

コメント欄には、わらわらとMr.Mkのファンたちが現れる。

この気軽な距離感こそMr.Mkの特徴の一つである。

 

「いろP!

君の相方やろ!!

何とかしてや!!!」

 

Mr.MkはいろPに助けを求めた。

 

彼女ならどうにかしてくれる――

そう抱いた希望は...

 

「私に話題を振らないで。

そもそもかぐやを制御できるなら、もうとっくに制御してるよ」

 

「ハイ。その通りでした。」

 

儚く散った。

 

「そもそも私はかぐやのプロデューサーなんだから、表舞台に立つ役割じゃないし...」

 

ごもっともである。

しかし、そんな正論を君の相方が許すはずもない。

 

「え~、

彩葉ももっと一緒に配信しようよ~

一緒に歌ったり、ゲームしたりさ!」

 

「しません。

あと名前。

そろそろちゃんと雑談したら?

ちゃんとした雑談ってなんだ?」

 

「俺のことも、配信中ぐらいはMr.Mkで...」

 

いろPが配信の流れを戻そうとする。

流れでMr.Mkも、配信中の遠田呼びをやめさせようとする。

 

「え?なんで?

彩葉は彩葉だし、遠田は遠田でしょ?」

 

『ンンンンンンンンンンンン!まさに!正論!』

『お客様の中にインターネットリテラシーをお持ちのお客様はいませんか?』

『曇りなき眼で名前をばらしていくスタイル』

『なんかキャスター・リンボいたな』

 

彼女の辞書にインターネットリテラシーという言葉はないのかもしれない。

 

 

 

「そんでな。ハマグリのだしを濃縮したい時は

生で剥いて洗えば...」

 

「沸点の差利用したり、遠心分離でもっと濃くできんかな?」

 

「遠田。今料理の話をしてるから...」

 

「名前!!!いろPまでふざけだしたら収集つかん!

あと料理だって化学や!

そこまでやってもええはず!」

 

「うっ、確かに...

確かに?」

 

そんな流れで始まった配信は、いつの間にか料理の話へと変わっていた。

 

『1500ふじゅ~:かぐやちゃん結婚して』

『さすがにその言い訳は通用せんぞ遠田ァ!』

『800ふじゅ~:結婚しよう』

『3人ボケはまずい。ツッコミを用意しなくては』

『もしくは遠田ァ。お前がツッコミになるのだ』

 

求婚しているのがかぐやファンであり、

遠田ァ呼びしているのがMr.Mkファンである。

 

『結婚して』

『結婚希望です』

 

彩葉は急いで求婚コメントを削除していく。

 

しかしコメントは止まらない。

なんならスーパーチャットを用いて求婚する輩が増殖する。

タケノコのごとき繁殖力である。

 

一方、

 

『遠田ァ!俺と結婚しよう!!!』

 

「お前男やろ!!

人の嗜好は否定せんがノーセンキューや!!

前、恋人とデートしとる写真SNSに投稿しとったよな!?

不倫になるぞ!!」

 

『その彼女にはフラれた(涙』

『草』

『フォロワーの投稿をしっかり見てる +100点。

地雷を踏みぬいた -1000000点』

 

「その...なんか...

すまん...」

 

Mr.Mkはコメントとプロレスをしていた。

 

 

 

「あのさ~

みんなかぐやに会ったこともないじゃん。

わがままですぐ暴れるし~

超めんどくさいよ?

キュートな悪童なんだよね~」

 

と、求婚の波に少し引きながら言葉を続ける。

 

 

(自覚あるんかい)

 

彩葉は内心でツッコミを入れる。

 

そんなかぐやの告白も

 

『10000ふじゅ~:それでもいい』

『30000ふじゅ~:困らせてほしい』

『30000ふじゅ~:顔がいいから全部オッケー』

 

などのコメントを加速させるだけであった。

 

『遠田ァへの扱い見ればなんとなく察してた』

『なんなら解釈通りでもある』

『遠田を拉致ってホラゲー強制させるのはキュートな悪童で済ましていいの?』

『↑おもろいからいい』

『おもろい遠田ァが悪い』

 

 

 

次々に湧いてくる求婚コメントに、かぐやは告げる。

 

「よし!

いろPと遠田に勝ったら結婚な!」

 

「え?」

 

「何それ、知らん。

聞いてへん」

 

「だって今思いついたもん!」

 

いきなりのキラーパスにいろPもMr.Mkも困惑する。

 

「名付けてかぐや争奪KASSEN...」

 

そこまで言って配信画面が、準備中の画面に切り替わり、音声が途切れる。

 

唐突に巻き込まれた彩葉がストップをかけたのである。

 

「はっ?ヤバッ

何言ってんの取り消して!」

 

「ごめん

ついノリで」

 

「遠田じゃないんだからさ...」

 

「俺でもここまでやらんわ!!」

 

巻き込まれた上に負けたらかぐやが結婚という意味の分からない事態にキレる彩葉。

 

流れ弾で遠田が被弾する。

 

「いろP守って~

遠田も~」

 

ここまでかぐやが宣言してしまった以上、後には引けない。

 

彩葉はしぶしぶ承諾した。

 

遠田に拒否権はない。

 

 

 

そして始まったかぐや争奪KASSEN選手権。

 

ゲームモードはSETSUNA。

 

1vs1のガチンコバトルである。

 

最初の挑戦者は'金作皇子【詳細はプロフへ】'

 

試合開始と共にかぐやへ、ルパンダイブを決行する金作皇子。

 

しかしいろPの連撃によって撃沈する。

 

当たり判定がデカい。

 

動かしにくい。

 

そんなハンデだらけの狐の着ぐるみを着ながら、いろPが無双する。

 

『あのアバターでここまで暴れるの凄くね』

『いろP鬼つえぇ!このまま求婚してくる奴ら全員ぶっ56していこうぜ!』

 

と称賛のコメントがあふれかえる。

 

そしていろPが5人抜きを達成すると、

 

「遠田残り任せた」

 

「え?え!?

このまま無双続ける流れやったやん!」

 

全部いろPが終わらせると油断していたMr.Mkに、キラーパス。

 

「遠田~

負けたら罰ゲームね!」

 

さらにとんでもないことを言い出す悪童かぐや。

 

「は?はぁぁぁぁぁあ!」

 

叫ぶMr.Mkを無視して試合は始まる。

 

次々と出てくる相手を斬っては撃ち、撃っては斬るMr.Mk。

 

その横で、かぐやといろPは罰ゲームの内容を話し込んでいた。

 

「やっぱりホラゲーやらせるのが定番かな?」

 

月から来たせいか人の心がないかぐや。

 

「流石にかわいそうだし、別のにしよ」

 

と、フォローを入れるいろP。

当面の間、遠田は彩葉に頭が上がらないだろう。

 

『1週間関西弁禁止とか?』

 

悪魔のような企画が視聴者から飛び出す。

 

「「それだ!」」

 

罰ゲームの内容が確定してしまった。

 

 

そんな中、在る者たちがかぐや争奪KASSEN選手権に乱入する。

 

「貴様に罰ゲームがあると聞いてワシらが来てやったぞ!

遠田ァ!」

 

「お、お前らは...!」

 

「「「我らは!

上下左右真ん中微敗!

アジア3兄弟である!!」」」

 

Mr.Mkに罰ゲームがあると聞き、駆け付けたのはマスター・アジア大好きなあの3人である。

 

先日不在だったマスアジさんも今日は参加している。

 

「お前らまで遠田ァ呼びかぁ!!!」

 

仕方あるまい。

何やってんだ遠田ァ!の語感が良いのが悪い。

 

そしてアジア3兄弟が駆け付けたのは、ほかでもない。

 

Mr.Mkの手助け...

 

「ワシらは貴様が振り回されてるのが見たい!!

故に貴様を倒す!!

正直かぐやちゃんはどうでもいい」

 

ではなかった。

 

『あいつらは!』

『前のKASSEN配信でかぐやちゃんたちが延々とリタマしてた相手!』

『1人増えてない?』

『さすがの遠田ァでもアジア3兄弟はキツいやろ』

『いけー!アジア兄弟!!

遠田ァをぶっ倒せ!!』

『草』

『目的違うやん』

『かぐや争奪とは』

『遠田ァ虐待大会』

 

コメント欄も大騒ぎだ。

 

「かぐやはどうでもいいとはなんだ!!!」

 

主催者本人も騒がしい。

 

 

 

ここで、普段のMr.Mkならアジア3兄弟に合わせてGガンネタで遊んだだろう。

 

しかし――

 

今のMr.Mkに、そんな余裕はない。

 

負けたら1週間も関西弁を禁止されるのである。

 

「お前らの相手なんぞしてられるかぁ!!!」

 

と、開幕から火力全開で彼らを屠る。

 

 

『強くて草』

『遠田ァガチやん』

『関西弁への強い執念を感じる』

『命より重い関西弁』

 

遠田にとって関西弁とは誇りである。

 

その誇りを守るため、彼は全力だった。

 

たとえ相手がアジア3兄弟でも。

 

 

「だぁもう!まどろっこしい!!

お前ら全員でかかってこいや!」

 

とMr.Mkが叫ぶ。

 

その声に応えるように、待機していた視聴者たちが一斉に現れる。

 

「これもうSETSUNAじゃなくね?」

 

「まあ面白いしいいじゃん!」

 

この光景を見て、いろPは苦笑いし、かぐやは爆笑していた。

 

 

一見、視聴者に有利に見えるこの状況。

 

しかし、それこそがMr.Mkの策略だった。

 

視聴者たちがそれに気づいたのは――

 

自身のアバターがビームとミサイルによって一瞬で消し炭になる直前であった。

 

Mr.Mkは数々の自作兵装を使いこなし、誰とでも戦える。格上とだって。

 

しかし、彼の最も得意とするのは、

 

範囲殲滅兵器を用いた1vs多数。

 

つまり雑魚狩りだ。

 

彼の兵装の多くは対処法さえ知っていれば何とかなる。

 

しかし、対処法を知らなければ――

何もできずに消し飛ぶ。

 

「お前らまとめて消し飛べや!!」

 

試合開始と同時に、ビームライフル、ビット兵器、ミサイルコンテナを展開。

 

そして一斉射。

 

視聴者たちは何もできずに消し飛び、あたりは煙に包まれる。

 

 

 

『しょうもないぞ~』

『加減しろ~大人げないぞ~』

『雑魚狩りの翁在りけり』

 

と、コメント欄から煽りを受ける。

 

「んなこたぁ知らんわ!

勝った奴が正義や!」

 

もうなりふり構ってられないMr.Mkの暴論。

 

そんなやり取りの最中、煙が晴れる

 

煙の中には何もない。誰もいない。

 

――はずだった。

 

現れたのは、見覚えのない、黒髪ポニーテールの女性アバター。

 

しかし彼女が手に持つ獲物には心あたりしかなかった。

 

「妹さんがツクヨミに来た時用」とアジア3兄弟に渡していた4本目の学位(デグリー)クロス。

 

「ま、まさか!

君は!?」

 

「初めまして。メイクさん。

いつもバカ兄貴たちがお世話になってます。」

 

(シスター)・アジア参戦!!

 

 

「こちらこそ彼らに盛り上げてもろてる部分あるんで。

で、シスアジちゃんは、なんでここにおるん?」

 

あのアジア3兄弟の妹ということで驚くMr.Mk。

兄弟の話ではツクヨミにログインすることはあっても、配信に顔を出すとは思っていなかった。

 

「その名前を名乗るつもりはないのですが...

決まっています!

貴方に勝てば標準語で配信をすると聞いて!」

 

「そっち側かぁ...」

 

(飛び込んできたところに引き撃ちとミサイルでの挟み撃ちで落とす!)

 

そんな考えをするMr.Mkの目の前にシスアジちゃんが突如現れる。

 

そして次の瞬間、Mr.Mkの武装が破壊された。

 

シスアジちゃんは、アジア兄妹の中で最も強い。

 

優れた反射神経。

 

優れた動体視力。

 

多くの試合を超え、身についた判断力。

 

そのすべてを用いた奇襲。

 

そんな最強な彼女が参戦した理由は――

 

(標準語で喋るMr.Mkなんてかっこいいに決まってる!!)

 

推しのかっこいいところを見たいだけであった。

 

 

武装が破壊されたMr.Mkは即座に、これまで自主的に封印してきた『翼』を展開する。

 

Mr.Mkが展開したのは『光の翼』。

 

封印指定兵装No.3――

超高速移動装備:ドライブユニットの簡易版である。

 

某SEED運命の'運命の翼'をモチーフに開発された飛行ユニットだ。

 

 

「悪いけど負けられん理由があんねん

容赦なんてせんよ」

 

「かまいません。

ただ――打ち倒すのみ」

 

「かっこええこと言うやん!」

 

Mr.Mkはビームサーベルを両手に構え、飛び込んだ。

 

圧倒的な速度によるヒット&アウェイ。

 

誉もプライドもないガチである。

 

しかしシスアジちゃんとてガチである。

 

デグリークロスで攻撃をいなしながら反撃の手を緩めない。

 

『早すぎて映像追いついてない』

『シスアジちゃんすげぇ』

『お義兄さん。シスアジちゃんをください』

『博士・アジア:妹はやらん!!』

 

コメント欄も大怪獣バトルに大盛り上がり。

 

 

 

(このままじゃ埒が明かん)

 

Mr.Mkは焦る。

 

明らかにシスアジちゃんが強すぎる。

 

光の翼を展開しても状況は拮抗している。

 

長時間戦って相手の目がこの速度域になれると勝ち目が無くなる。

 

だからこそ。

 

最速で突っ込むことにした。

 

 

 

最高速度で向かってくるMr.Mkに対して迎撃の構えをとるシスアジちゃん。

 

そんな彼女の思考が止まる。

 

目の前まで来たMr.Mkが両手のビームサーベルを手放したのである。

 

彼女の優秀な目は、Mr.Mkが両手のビームサーベルを手放したことを認識した。

 

だが――

 

脳の理解が追いつかない。

 

なぜ、なぜ、なぜ。

 

そんな思考を振り払った時にはMr.Mkが目前にいた。

 

(あっ顔がいい。じゃなくて!)

 

その一瞬の思考で、体が止まる。

 

Mr.Mkが選択したのは右肩からのタックル。

 

体勢を崩したシスアジちゃんへ、

左手に隠していた三本目のビームサーベルで追撃。

 

シスアジちゃんの右肩から左の脇腹にかけて一突き。

 

容赦のかけらもない男である。

 

 

『シスアジちゃんめっちゃ強かった!GG』

『光の翼とか久しぶりに見たな』

『最後タックル受ける前さ『顔いい』って感じの顔してなかった?』

『博士・アジア:何? お兄ちゃん聞いてないよ!』

『ロールプレイ剥がれてんぞ師匠』

 

そんなコメント欄を見た彩葉の胸に痛みが走る。

その痛みが何に由来するのか、まだ分からない。

 

 

 

「ねえ!次の相手が来たよ!」

 

かぐやは、もう何のためにKASSENをやっていたのか忘れているようだ。

 

そして現れた相手は

 

パンチパーマ。

 

虎柄の服。

 

飴の小袋が覗く鞄。

 

どこからどう見ても大阪のおばちゃんであった。

 

 

「うそやん...」

 

Mr.Mkは、この大阪のおばちゃんの正体に察しが付いているようだ。

 

「あんたのおかんが来てやったで!!」

 

まさかの遠田母である。

 

『遠田ァの母!?まじか』

『お母さん!息子さんが女の子串刺しにしてました!』

『コメント欄でたまに見る『大阪のおばちゃん』って垢ってもしかして遠田ァ母?』

 

「うそ! 遠田のお母さん!?」

 

「あら~もしかしてかぐやちゃん!?

あんなに小っちゃかったのに、大きくなったわね~

飴ちゃんいるか~」

 

遠田母。

かぐやへの扱いは、完全に親戚の子供か孫である。

 

「あんたがいろPさんやね!

息子がほんまお世話になってます」

 

「あ、いや...こちらこそ?」

 

いろPは突然の遠田母に困惑している。

 

「いやいや世間話はええねん。

おかんは、何しに来たん?」

 

「はぁ?何言ってるん。

世間話大事やろ」

 

 

Mr.Mkはなんとか母を追い出そうとするが、当然通用しない。

 

「コメント欄に書かれてるけど、あんた何したん?

『女の子串刺しにしてました!』って言われてるけど

女の子傷物にしたらあかんで」

 

「ゲームの話やアホ!

おかんが来る前までめっちゃ強い子と戦っててん」

 

「博士号持ち捕まえて『アホ』とはいい度胸やん」

 

Mr.Mkも母には勝てない。

 

『博士ママ』

『遠田ァの母強すぎ』

『学歴マウントきた』

『博士号のおばちゃん』

 

「工学博士のおばちゃんやで~」

 

すでにコメント欄と打ち解けている遠田母。

 

 

 

「で、あんたが負けたら罰ゲームやっけ?」

 

「いやいやいや、流石におかんには負けんよ」

 

「じゃあ、お母さんが勝ったら仕送り止めるわ」

 

「はぁああああ?」

 

 

 

Mr.Mk vs 大阪のおばちゃんの戦いは――

あっさり終わった。

 

もちろんMr.Mkの勝利である。

 

「いや~やっぱり最近のゲームはムズイなぁ」

 

流石にゲーム不慣れなおばちゃんには、KASSENは厳しかったようである。

 

「年寄みたいなこというやん」

 

「当たり前やろ!

あんたとお姉ちゃん育て上げたんやからもう十分年寄りやわ

ちゃんと労わってや」

 

「そこらの若者よりアグレッシブやん...」

 

試合は勝っても口論では勝てないようだ。

 

『遠田ァってそこそこ稼いでない?仕送り必要?』

 

コメント欄にまっとうな疑問が書き込まれる。

 

「ここで稼いだ分の半分以上は、資材に溶けてるからなぁ

意外と純利益ないねん」

 

「やから

『あんたの配信がおもろい間は、仕送りと家賃は続けたる』

ってことになってん」

 

『関西人怖えぇ』

『面白くなくなったら仕送り切られるの実質芸人と変わらんやん』

 

コメント欄は遠田家のルールに恐怖している。

 

 

「関西人は怖ないよ。

この子は住民票を東京に移したから関西人って言っていいか微妙やけどな。

魂を売ったも当然やし」

 

俺が...関西人ではない...だと...

俺は...関西の魂を...東京に...

おれは...ぼくは...わたしは...

 

遠田母による言葉の爆撃。

 

言霊の爆撃を受けたMkの精神は、みるみるうちに摩耗し、

アイデンティティの境界線が溶解していく。

 

一人称が迷走を始めたその姿は、歴戦のライバーとしての威厳を塵一つ残さず消失させていた。

 

Mr.Mk史上最も傷ついた瞬間である。

 

「じょーだんやがな

なにショック受けてんねん

だっははは」

 

爆撃の主犯である遠田母は、豪快な笑い声と共に、更地になった息子の心を土足で踏み荒らしていく。

 

「遠田!大丈夫!?」

 

咄嗟にいろPが駆け寄る。

 

「うちの子のこと心配してくれてありがとうな~

大丈夫やで。

ガンダムネタ擦る気力はあるみたいやし」

 

「「えぇ~...」」

 

息子の精神を粉砕しておきながら、その生存確認を

「ネタが言えるか」で済ませる母。

 

そのあまりに雑な、しかし確信に満ちた扱いに、いろPとかぐやは完全にドン引いていた。

 

 

 

 

「じゃあお母さん帰るから。

かぐやちゃんといろPちゃんまたね~」

 

「おう、さっさと帰ってくれ」

 

「反抗期かぁ

お母さん悲しいな~」

 

「じゃかしい!さっさと帰れおかん!」

 

遠田母は復活した息子と軽く小突きあい、去っていった。

 

 

 

「この配信の元の企画ってなんやったっけ?」

 

そんな疑問だけを残して配信は閉じられた。

 

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