モノづくり大好きライバーによるハッピーエンドの作り方 作:超かぐや姫!脳焼きの民
感想、誤字報告ありがとうございます。
まじで誤字がなくならん...
私は悲しい
「注目のイベントが始まります!
王者ブラックオニキスが、
異例の速度でのし上がった超新星
かぐやいろP with Mr.Mkに宣戦。
そして求婚!」
「帝のファンダムは、一時騒然としましたが、
恐らくノリで言ってるだけだと思いま~す」
「運命を賭けた
今始まろうとしています!」
会場のボルテージを煽るのは、実況解説でお馴染みの二人。
乙事照琴と忠犬オタ公。
だが、今日のゲストはそれだけではなかった。
「ヤオヨロ~
今回はヤッチョも実況解説側で参加しま~す」
仮想空間ツクヨミの管理者である
ヤチヨカップの結果発表まで残り1時間。
この勝負の結果次第では、かぐやいろPの逆転の可能性もゼロではない。
ルールはSENGOKU。
3on3の3番勝負。
ステージ内には、
かぐや、いろP、Mr.Mkのみ。
対戦相手たる黒鬼の姿はない。
誰もが困惑し、ざわめきが広がる。
その時、虚空に巨大なモニターが浮かび上がった。
映し出されたのは、暗い洞窟の中を疾走する三つの影。
虎の前足と後ろ足に1輪ずつ車輪を装着したバイクのようなナニカ。
そんなナニカに跨る黒鬼。
彼らは、ただ現れるだけでは満足しなかった。
ズドォォォォォォォン!
ステージの端、切り立った崖が猛烈な爆発とともに崩落する。
巻き上がる土煙。
その中から、エンジン音とも咆哮ともつかぬ異音を響かせ、三人が飛び出した。
「黒鬼ご来臨~!」
乙事照のそんな声と共に、観客から黄色い声があがる。
「どうも~
対戦受けてもらってありがと」
先頭に立つ帝アキラが、不敵な笑みを浮かべて告げる。
絶対王者の余裕。
その場を支配する圧倒的なカリスマ性。
その裏では虎たちが車輪を外し、本来のしなやかな足取りで、
何事もなかったかのように闇へと消えていく。
どうやら、バイクと猛獣を無理やり融合させるような、
倫理観の欠片もない実験が行われていたわけではないらしい。
「俺の姫かぐやちゃん!」
帝が観客の前で甘く、傲慢に呼びかける。
その余裕に満ちた微笑みは、戦う前からすでに勝利を確信しているかのようだった。
「どるぅらぁ帝!勝負だ!」
かぐやが、これでもかと舌を巻いて吠える。
「月のお姫様」の幻想を木っ端微塵に粉砕する、品性の欠片もないドスの利いた声。
喧嘩を売るその姿は、高貴な姫というよりは、完全に「気合の入った野良犬」のそれだった。
「ヘヘッ前傾姿勢かわいすぎ」
煽るように、帝アキラが鼻で笑う。
「どるぅらぁ!」と、品性の欠片もないドスの利いた声を上げたかぐや。
それを聞いて「かわいい」と言い切る帝の感性は、控えめに言って心配になるレベルだ。
「俺が勝ったら結婚してくれんの?」
「んなわけねぇだろ!」
いろPが帝に向かって武器を振りぬく。
まだKASSENは始まっていないはずだ。
そんな一撃を帝は簡単に躱す。
一触即発の雰囲気をぶっ壊す男がいた。
我らがMr.Mkである。
「おひさ~帝さん!
武器の調子はどない?」
これから殺し合おうという相手に、
まるで近所の挨拶のような軽さで話しかける。
「おう!
Mr.Mk印の武器はすごいな
だいぶ助けられたよ」
「それなら結構!
依頼受けた時はびっくりしたで。
棍棒とポン刀と銃の複合武器とか考えたことなかったわ」
戦場ではない。
そこにあるのは、メーカーとクライアントの平和な会話だった。
「乃依さんも武器大丈夫そう?
今なら安くしとくで」
「大丈夫~
めっちゃ使いやすい」
黒鬼のメンバー、乃依がひらひらと手を振る。
「ならヨシ!」
黒鬼の武器の2/3がMr.Mk製であった。
お前はどれだけ武器を作れば気が済むのか。
死の商人か、この男は。
「遠田ぁ!お前も裏切るのかぁ!」
かぐやの絶叫がスタジアムに響き渡る。
「裏切ってへんわ!
てか『も』ってことは誰か黒鬼なん?」
「真実!『かぐやは二推し!』だって!」
理不尽な怒りが真実に飛ぶ。
そんなやり取りに帝が笑う。
商談は終わりだ。ここからは、その「自慢の武器」で互いの喉元を狙い合う時間が始まる。
「てか、どうすんの作戦とか?」
KASSENのリスポーン地点でいろPが問う。
「ガーッといってシュタタタター!
そんでバァーン!って感じ!」
「関西人でもそんな説明せんで...」
かぐやの擬音だらけの酷い作戦に、Mr.Mkが即座にツッコむ。
王者の胸を借りるつもりなど毛頭ない。
あるのは、いつもの、あまりにもいつもの適当なノリだった。
「とりあえず。
俺1人で下行くわ」
Mr.Mkはバトルスーツを装備し、戦闘態勢に移行する。
「分かった。
私とかぐやで上を抑える」
彩葉が短く応じる。
その横で、かぐやは「しゅたーっ」と忍者のようなポーズを固めていた。
そして法螺貝の音が響く。
試合開始だ。
Mr.Mkはバトルスーツのバーニアを噴かせ、ボトムの制圧にかかる。
道中の雑兵をビームサーベルで切り倒しながら、地面すれすれを低空飛行で突っ切る。
「あいつら舐めとんなぁ」
マップを確認した遠田が、苦々しくぼやいた。
黒鬼は
通称、トライデント。
どこかで必ず「1vs2」の数的不利が発生する、圧倒的強者にしか許されない傲慢な戦法。
「お前たちなんぞ、一人で十分だ」
そう宣告されているに等しかった。
「まぁ!
Mr.Mkはさらに加速する。
そして竹林エリアへ侵入する。
(乃依さんは弓を使った狙撃がメイン。
詰め切れれば俺に分がある!)
その思考を断ち切るように、Mr.Mkの頭部めがけて一本の矢が飛来した。
危なげなくサーベルで叩き落とす。
視線の先、
竹を支えに高所に陣取っている
一直線に加速。そして、斬!
惜しくも回避されたが懐に飛び込むことには成功した。
「翼使わなくてもその速度で飛べるのズルくない?」
乃依が余裕の笑みで竹から竹へと飛び移る。
「あんたら対策で、足回り改良してきたからなぁ!」
逃げる乃依。追うMr.Mk。
スペック上はMr.Mkが圧倒しているはずの鬼ごっこ。
だが、乃依との距離は縮まるどころか、じりじりと離されていく。
(直進性能はこっちが上やけど...この竹藪じゃそれが生かせん)
Mr.Mkは足を止める。
追いかけるのをやめたのではない。
足回りが生かせないなら生かせるようにすればいい。
ビームライフルの高威力改修型であるハイビームライフルを2丁、
肩部と腰部に大口径のビームキャノンを計4門装備する。
「邪魔なもんは全部焼きゃええんや!」
全身の砲門が、一斉に咆哮した。
破壊の光が竹林を飲み込み、優雅な戦場を瞬時に地獄へと変えていく。
環境保護団体に怒られそうな一撃であった。
その一撃で乃依はやられることはなかった。
しかし、展開は一気に不利になった。
「ほんと、ズルいよね~」
なんて言いながら弓を構える。
周辺一帯は焼け野原。牛鬼はいつもの如く巻き添えで退場している。
(これ、まだ使いたくなかったんだけどな~)
と、乃依は弓を展開し、大弓に変形させた。
そして大弓に刻まれた太極図が高速で回転する。
(なんやアレは...
俺はあんなシステム搭載した記憶ないぞ!)
Mr.Mkが乃依の弓に搭載したギミックは、弓を2つ合体させることでチャクラムへと変形させるものだけだ。
眼前の大弓は、彼のあずかり知らぬ未知の機構だった。
乃依の得意技である、鈍足効果を付与した矢を浴びせ続ける素敵なハメ技。
それを確実に当てるため、独自に施した「専用改修」の成果だった。
だが、未知の変形を目の当たりにしてもなお、Mr.Mkは笑う。
「おもろいことしてんなぁ!!!」
最大出力で突っ込む。
撃たれる前に討つ。撃たれても避ける。
Mr.Mkが飛び出した直後、大弓のチャージが完了した。
放たれるは13の矢。
Mr.Mkは持ち前の機動力を限界まで引き出し、すべてを回避して乃依に肉薄する。
(獲った!)
しかし、ビームの刃が乃依に届くことはなかった。
獲物が最も油断するのは、止めを刺す直前である。
Mr.Mkは気づかなかった。
背後から、回避したはずの矢が迫っていることに。
13本の鈍足の矢がMr.Mkに突き刺さり、動きが止まる。
「ごめんね~
こっちの方が一枚上手だった」
その隙に乃依は大弓を弓に戻し、鈍足の矢の連射体勢に入る。
「いや~
それは予想できんわ~
めっちゃカッコええ弓になっとるなぁ!」
体は動かないが、口は動く。
遠田は窮地にあってなお、素直な称賛を口にした。
そして始まった、脱出猶予1フレームのハメ技。
乃依の目的は、Mr.Mkの撃破ではない。
この戦場から、彼という最大のイレギュラーを「隔離」することだった。
時は戻り、トップレーンの攻防。
いろPは、Mr.Mk製の多機能ブーメランを操り、雑兵を一掃していた。
そのこめかみを、1発の銃弾が鋭く掠める。
帝アキラによる、正確無比な射撃であった。
いろPは射線を切るために岩影へと避難。
お返しと言わんばかりにブーメランによる反撃。
そして帝との鍔迫り合いに移る。
「お前、彩葉だろ?」
火花が散る至近距離。
帝が、周囲には聞こえない低い声で問う。
「チガウ。
オレイロハチガウ」
片言の嘘で返すいろP。
その時、帝の視界の端から9発のミサイルが飛び込んできた。
帝が大きく後方へ飛び退く。
「彩葉ぁ~」
救援に来たかぐやが、元気よくその名を呼んだ。
否定した直後に、味方からバラされる。
いろPは、どこまでも不憫であった。
意識がかぐやに向いた隙に帝はいろPをド突く。
「
そのままで後悔しない?
本気出そうぜ?」
帝が、愉悦に満ちた笑みを浮かべて煽る。
もはや隠し通すことは不可能。
いろPは、覚悟を決めたように狐の着ぐるみをパージした。
中から現れたのは、本来のいろPの姿。
「やっぱ彩葉じゃん
元気そうで何より!」
「おかげさま...で!」
彩葉は返事と同時に、全力を込めてブーメランを投擲した。
空気を切り裂く鋭い一撃。
だが、帝はそれを紙一重でかわし、さらに声を弾ませる。
「お兄ちゃんも久々に会えてうれし~
よしよししてやろうか?」
「えっ?彩葉のお兄ちゃん?」
かぐやが、素っ頓狂な声を上げて硬直した。
いろPの真の姿と、帝の爆弾発言。
スタジアムの観客は、未曾有の大盛り上がりを見せていた。
「そういや母さん気にしてたぞ
連絡ぐらいとりゃいいのに」
激しく武器を打ち合いながら、帝がさらりと言う。
その声には、息の乱れひとつない。
そんな帝の頭上から、かぐやが巨大なハンマーを振り下ろした。
だが、帝は見えているかのように最小限の動きでいなし、かぐやを弾き飛ばす。
「こっちにも順序ってもんがあるの!」
いろPは叫び、ブーメランに内蔵された銃を連射しながら突撃した。
「それも母さんの教えだろ?
いちいち真に受けちゃうからギスギスすんの
母さんは反抗待ちなんだから」
銃弾を弾き、いろPの近接攻撃を華麗に受け流す。
「知らん!口出さないで!」
彩葉はブーメランからワイヤーを射出し、帝の棍棒を絡め取って動きを封じた。
その隙に、かぐやがハンマーのブースターを点火し、超高速で肉薄する。
「じゃあ!もっと上手くやれよな!
俺みたいに!」
しかし、帝は棍棒の外装をパージし、拘束を解く。
中から現れたのは、鋭利な一振りの刀。
帝は二人を無視して加速し、櫓を守る牛鬼をバラバラに解体する。
先に櫓へ向かった帝を追いかけるようにかぐやといろPが走る。
「待て!」
先行する帝を追い、かぐやと彩葉が走る。
しかし、帝の正確な射撃がかぐやの肩に直撃する。
体勢が崩れたところへ、上空からの無慈悲な串刺し落下攻撃。
かぐやは間一髪ハンマーで防御する。
「どるぅらぁ!」
そして横薙ぎで帝の頭部を狙うも回避され、反撃の一閃によりHPがゼロに。
「かぐや!」
かぐやを倒した隙をついていろPが切りかかる。
だが、その一撃も帝の刀に冷たく受け止められた。
返す刀で、胸元を深く切り裂かれる。
「Mr.Mkなら、もっと上手くやったんじゃない?」
HPがゼロになり、視界がホワイトアウトする寸前。
彩葉の耳に、兄の残酷なまでの余裕が残った。
トップレーンの鐘の音が、重々しくスタジアムに響き渡る。
帝が、トップの櫓を完全に占拠した合図だった。
その音を聞いた乃依はMr.Mkにトドメを指す。
Mr.Mkの機動力と破壊力は脅威だ。
下手に早く撃破すれば、リスポーンした彼が戦場に戻り、
盤面をかき乱されるリスクがあった。
だからこそ、あえてHPをミリ単位で残し、ハメ技という名の「監獄」に彼を隔離し続けていたのだ。
そして、ボトムの櫓を乃依が占拠する。
1戦目は黒鬼の完封勝利だった。
この話を書いている途中でバッドエンドルートが思いついてしまった...
需要がありそうなら完結後にでも書きます。
どうしてこんなもの思いついてしまったんだ...