モノづくり大好きライバーによるハッピーエンドの作り方 作:超かぐや姫!脳焼きの民
Mr.Mkの兵器やばすぎて戦闘描写が終ってる...
戦闘描写ムズイ...
リスポーン地点。
3人はほぼ同時にリスポーンした。
いろPの顔は、かつてないほど暗い。
帝の最後の発言が澱みのように心に刺さっている。
(Mr.Mkなら、もっと上手くやったんじゃない?)
ちらりとMr.Mkを見る。
「次はぜってぇ勝つ!
あの綺麗な首を落としたる!」
Mr.Mkは、拳を握りしめて悔しそうに叫ぶ。
だが、その表情には、隠しきれない「悦び」の笑顔が漏れ出していた。
自身の知らない「乃依の弓の変形機構」にテンションが上がりっぱなしだった。
「いろP?どないしたん?
暗い顔しとるけど」
いろPのただならぬ雰囲気に気づき、Mr.Mkがひょいと顔を覗き込む。
いろPは迷った末、帝アキラとの実の兄妹である関係と、
去り際に投げかけられた「呪い」の言葉について打ち明けた。
その話を聞き終えた瞬間、遠田は明確にキレた。
「はぁ~?
『俺ならもっと上手くやった』だ~?
こちとら乃依さんの鈍足矢でハメられてハリネズミになってただけやぞ!
あんにゃろ~バカ煽りよって!!」
Mr.Mkは清々しいほどに勘違いしていた。
帝の意図は、あくまで
『彩葉と同じ境遇なら、Mr.Mkはもっと上手く親に反抗して自由に生きていただろう』
という、精神的な立ち回りの差を指摘したものだった。
しかし、Mr.Mkは
『今頃、Mr.Mkは乃依を追い詰めて、櫓も占拠してるだろう。それに比べてお前らは...』
的なとらえ方をしたのだ。
実際にはハメ殺されたMr.Mkを遠回しに煽ってるようにしか聞こえなかった。
被害妄想が過ぎる。
「え、あ...うん。そうだね」
あまりの剣幕と勘違いの方向に、いろPの暗い気分が少しだけ削がれる。
「ねえ、帝ってさぁ」
と、かぐやは2人に問う。
しゃべりだしたかぐやの視線は、
フィールド上空を優雅に飛ぶ、リュウグウノツカイに注がれていた。
2回戦が始まった。
黒鬼は先ほど同様に、トライデントを継続。
傲慢なまでの絶対強者の構えを崩さない。
対するかぐやといろP、そしてMr.Mk。
布陣自体は一回戦と同じく、トップに二人、ボトムに一人の形をとる。
しかし遠田の装備が明確に違う。
光の翼にシールドを追加で装備して、1回戦とは比較にならないスピードで飛び出す。
最高速度、そして急旋回を可能にする小回りの利き。
そのすべてが段違いに引き上げられた現状のMr.Mkの最強が乃依に襲い掛かる。
乃依がボトムの櫓への道のりを半分ほど過ぎた、その時だった。
正面から、大気を引き裂くようなMr.Mkの咆哮が届く。
「待たせたなぁ、乃依さん!リベンジマッチや!」
光の翼を羽ばたかせ、最高速のまま肉薄。
回避の暇さえ与えず、シールドによる苛烈なシールドバッシュを叩き込む。
「がはっ!?」
衝撃に喘ぐ乃依の首元を、Mr.Mkは容赦なく掴み取り、投げ飛ばす。
空中にいる乃依に対してビームライフルを3連射。
うち2射は弓によって防御されたが、1射が肩を射抜く。
「君って...本当に、無法だよね!」
乃依が苦し紛れに打ち返し、仕切り直しを図る。
Mr.Mkはさらに詰めようとする。
しかし目の前の地面が隆起し、行く手を阻む。
「乃依。無事か」
「なんとかね~
雷がいなかったら完封されてたね」
乃依のHPが異常な速度で削られたことを察知し、ミドルから雷が急行してきたのだ。
一回戦とは、攻守が完全に入れ替わった。
圧倒的優位に立っていたはずの黒鬼が、一人の「キレた技術屋」を止めるために2人を割かざるを得ない。
「かぐや姫は?」
得物を打ち合いながら、帝が低く問う。
いろPは、不敵な笑みを口元に浮かべて答えた。
「月に帰ったよ」
トップレーン。
二人の激しい火花が散る中、マップの点位だけは三人が重なっている。
だが、帝の視界のどこにも、あの騒がしいお姫様の姿はない。
(ハンマー職に隠密スキルはないはず...)
帝は、一線級のゲーマーとしての視点で、かぐやの位置を割り出そうと索敵を急ぐ。
ツクヨミのマップは、二次元の平面で表示される仕様だ。
マップ上で重なっていても、高低差があれば視認はできないこともある。
かつて、Mr.Mkにその仕様の穴を突かれ、手痛い敗北を喫した苦い経験がある。
だからこそ、帝は真っ先に「空」を警戒した。
だが、空には何も見えない。
ブースターが燃料を燃やす炎も、Mr.Mkの光の翼が放つ独特な輝きも、一切なかった。
だから空にはいないと考えていた。
(...空にもいない。なら、地下か?)
思考が地中へと向いた、その刹那。
Mr.Mkというイレギュラーを警戒しすぎた王者は、決定的な違和感に気づく。
「ッ、まさか!」
慌てて視線を、空へ。
そこには、悠然と大気を泳ぐ巨大なリュウグウノツカイの姿があった。
その背の上。
ハンマーを肩に担いでいるかぐやの姿が目に入る。
そしてリュウグウノツカイはボトムレーンの方向へ移動している。
「雷!乃依!
そっちにかぐやちゃんが行った!
空から来るぞ!!」
雷と乃依に対して警告を飛ばす。
雷が前線で苛烈な魔術を行使し、近接戦でMr.Mkを食い止める。
その後ろから、乃依が精密な鈍足矢を放ち、執拗な援護を加える。
黒鬼の二人がかりによる、盤石の防衛戦。
いかに光の翼を得たMr.Mkといえど、この連携を崩すのは容易ではないはずだった。
だが、そんな二人の耳に、帝からの緊迫した警告が飛び込む。
「雷!乃依!
そっちにかぐやちゃんが行った!
空から来るぞ!!」
「...っ、空!?」
咄嗟に空を見上げて警戒する乃依。
一瞬だけ彼の指先を止めた。
その一瞬こそが、命取りだった。
「どこ見とんねん!
よそ見とは妬けるなぁ!!」
乃依の警戒が空へ向いた瞬間。
Mr.Mkは光の翼を最大出力で、
雷を振り切り、最短距離をぶっちぎる。
そしてビームサーベルでその首を一刀両断。
ここにMr.Mkのリベンジマッチは果たされた。
一方、リュウグウノツカイに乗り、悠然と空を泳いでいたかぐや。
彼女は当初の作戦通り、櫓を守る牛鬼の真上へと差し掛かっていた。
「いっけぇぇぇぇ!」
かぐやは躊躇なく、その巨躯を虚空へと投げ出した。
超高度からの自由落下。
重力が、彼女の体を恐るべき速度へと加速させる。
だが、それだけでは終わらない。
着弾の直前、かぐやは巨大なハンマーに搭載されたブースターを全開にした。
自由落下の慣性。そこに、エンジンの爆発的な推進力が加わる。
二段階の加速によって得られた膨大な運動エネルギー。
それはもはや攻撃ではなく、天から降り注ぐ「質量兵器」そのものだった。
狙い違わず、衝撃は牛鬼の後頭部へと直撃した。
かの絶対王者、帝アキラでさえワンパン不可能な耐久度を誇る牛鬼。
その頭蓋を、かぐやは見事、たった一撃で粉砕せしめたのである。
「どうだ!!これがかぐやちゃんの力よ!!」
巻き上がる土煙と衝撃波。
その中心で、かぐやは勝ち誇ったようにハンマーを掲げた。
その勢いのまま、ボトムの櫓を完全に制圧。
黒鬼の盤石なはずの守りが、たった一撃の「爆撃」によって崩壊した。
櫓を占拠したことで黒鬼側の大将落としが出現。
それと同時にかぐや、いろP、Mr.Mkの3人は大将落としに向かう。
かぐやは巨大ハンマーのブースターを全開に噴射。
もはや武器を推進装置に変え、弾丸のような低空飛行で突き進む。
いろPはブーメランから射出されるワイヤーを次々に射出。
崖や岩を支点に、重力を無視した鮮やかな立体機動で空間を跳ねる。
そして、Mr.Mk。
光の翼を極限まで羽ばたかせ、二人の遥か先を行く。
それは追走すら許さない、純粋な速度の暴力だった。
雷の苛烈な魔術が行く手を遮っても。
リスポーンを果たした乃依の精密な矢が空を裂いても。
そして、絶対王者・帝アキラの正確無比な銃撃でさえも。
今の三人を止めることは、もはや叶わない。
誰かが妨害され減速すれば、他の誰かがその隙を突き、悠々自適に空を駆ける。
互いが互いの「影」となり、囮となり、王者の計算を上回る。
「どるぅぅぅらぁぁぁ!!」
そしてかぐやの一撃が大将落としを直撃した。
高らかな破壊音と共に、絶対王者の牙城が、音を立てて崩れ落ちていく。
「獲ったぁぁぁ!!」
チーム「かぐやいろP」。
下馬評を覆し、王者から、あまりにも重い一勝をもぎ取ったのである。
奇策がはまり、勝利の余韻に浸る3人の元へ、黒鬼からの映像通信が届く。
『やられたよかぐやちゃん。
空にいるならMr.Mkの翼を借りると思い込んでた。
でも、もし俺が2戦目で配置を変えてたら?』
暗に「お前たちの勝利はただのまぐれだ」と告げる、王者ゆえの鋭い牽制。
敗北を認めつつも、盤面を支配しているのは自分だ、と言いたげな響きがあった。
だが、かぐやは歩みを止めることすらなかった。
「ん...帝も負けず嫌いっしょ?」
通信機に向かって、かぐやは事も無げに答える。
「私だったら、勝ってるうちは絶対作戦変えないもん。でしょ?」
王者の「if」という仮定を、人間の「本質」で一蹴する。
帝が自分の完璧なプレイスタイルを崩さないことを見越した、残酷なまでの正論だった。
「どう? 配信のかぐやちゃんとは一味違った~? ニヒヒ」
悪戯っぽく笑い、白い歯を見せるかぐや。
画面越しの王者は、一瞬だけ言葉を失ったように見えた。
「新解釈だ...
かぐや道は深い」
帝はかぐやの新解釈を噛み締めている。
帝こと酒寄朝日は熱狂的なかぐやのファンであった。
(配信では見せない勝負師の顔。俺の心理を読み切った上での、あの不敵な笑み。...尊い)
そんな王者の横で、雷が静かに、だが力強く拳を突き出した。
「...俺たちはMr.Mkを止める」
「帝ちゃん1人で大丈夫~?」
乃依が帝を煽る。
トップレーンを1人で任せ、かぐやといろPの二人を相手にしろという、過酷な要求。
「おう!」
だが、そんな煽りも、今の帝には心地よい刺激でしかなかった。
帝は迷いなく、雷の突き出した拳に、自らの拳を重ね合わせる。
「しょ~もなっ」
乃依は呆れたように肩をすくめた。
「でも、負けっぱなしは性分じゃないからね」
彼もまた、自分の拳を二人の上に、軽く突き出した。
ヤチヨカップ、運命の第3戦。
スタジアムの熱狂が、最高潮に達しようとしていた。