モノづくり大好きライバーによるハッピーエンドの作り方 作:超かぐや姫!脳焼きの民
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「ヤオヨロ~(#^ω^)
神々のみんな今日も最高だった~?(#^ω^)」
ヤチヨの配信でのいつもの挨拶。
普段と異なるのは、言葉の節々に隠しきれない、いや、隠す気さえない怒気が溢れていることだ。
そして、視聴者の目を釘付けにしているのは、ヤチヨの背後にシュールに吊るされた、成人大の芋虫のような物体が2匹。
ミノムシのようにグルグル巻きにされ、天井からぶら下がっているのは、他でもない遠田ァことMr.Mkと、その共犯者ヤザカマである。
『ヤチヨちゃん、今日めっちゃキレてない?』
『どうせ、Mr.Mkがやらかした。後ろ見れば分かる』
『もう1人ってヤザカマじゃね?』
『ちらっと見える髪色的に多分ヤザカマ』
『何やってんだァ!遠田ァ!ヤザカマァ!』
「察してる人もいるかもだけど、今日はバグ取り兼封印指定配信だよ」
ヤチヨはカメラに向かって、ギリ……と奥歯を噛みしめるような笑顔を浮かべる。
背後でモゾモゾと動く2匹の芋虫からは、
「俺別に悪く無くね?主犯にして発案者のヤザカマだけが罰せられるべきや!」
「お前とて共犯だろう!なんなら半ばからお前の方がノリノリだっただろう!!」
などと、醜い罪の擦り付け合いが行われているが、ヤチヨが冷たく一瞥するだけで、ピタリと動きが止まる。
「『何をやったんだ』って? フフ、いい質問だね...」
ヤチヨがこめかみに青筋を浮かべながら、事の経緯を語りだす。
約2年ぶりの吊るし上げ配信にまで至った原因は、3か月前まで遡る――。
「遠田。借りていたコレだが非常に良かった!ありがとう!」
そう言って、ヤザカマが遠田から借りていた漫画を返す。
場所は現実のとあるファミレス。
ドリンクバーのメロンソーダと、少し冷めかけた山盛りポテトを囲みながら、遠田とヤザカマは駄弁っていた。
彼らは定期的に会い、趣味の話や創作論、あるいはツクヨミの裏側の仕様について、男友達特有の少し?バカな会話を行っていた。
「せやろ、せやろ!クロボンはマジで名作やで!」
遠田が貸していた漫画は『機動〇士クロスボーン・ガン〇ム』シリーズである。
封印指定兵装No.03'ことドライブユニット改修型の元ネタになった機体が登場する作品である。
「それでだな。ゴーストを読んでいて思ったのだが、ミダスの武装をツクヨミで再現したくないか?」
「ミダスの武装か...
「それもやってみたいが、やはりミダス・タッチ・フラッシュだろう!
光を用いた特殊兵装、オレにぴったりだろう?」
金色の機体、黄金の指、そして敵を文字通り沈黙させる強烈な光の目眩まし。
ヤザカマがそのギミックに惹かれるのは、ある種必然とも言えた。
「確かに?あれ?お前がかぐやの卒業ライブで使ってたあの光使えばすぐ出来そうじゃね?」
「あれはな...ツクヨミへの正式な持ち込みが許されなかった...」
「あまりにも妥当」
遠田は即座に頷いた。
形状、大きさが自由自在の光で構成された武装。
ゲームバランスを簡単にぶっ壊すようなあの武装の持ち込みが許可される訳などなかったのだ。
「でも、確かにミダスかっけぇしなぁ~やってみるか!」
そうしてミダスモチーフの武装の製作が実行された。
そして、完成したミダス・タッチ・フラッシュこそが最新の封印指定兵装となるのだ。
ここで、この兵装の恐ろしさについて改めて解説しよう。
ミダス・タッチ・フラッシュとは機動戦士ク〇スボーン・ガンダムゴーストに登場する
ミダスの頭頂部外装が展開し、強力な光を放出する兵器である。
その正体は対モビルスーツ用コンピュータ・ウィルスを送り込む光であり、複雑に明滅する光信号をMSの視覚センサーから読み取らせ、効果範囲内のMSの運動プログラムに干渉するものである。
この光信号を『見た』MSの運動プログラムは光信号を停止命令と誤認し、その機能を停止させる。
簡単に言うと、光を見ただけで強制スタンを引き起こす兵器である。
欠点として、特殊なセンサーを持つ機体や、2系統のセンサーを高速切り替えする機体に対して無力なところである。
そんな特殊兵器を3か月の試行錯誤の上に完成させてしまったのが、ミダス・タッチ・フラッシュ改め、『
そんな黄金王の瞳が発する光は、極めて複雑な周期で明滅し、この光をアバターが捉えると、ツクヨミの運動制御システムがその明滅を緊急停止コマンドとして誤認する。
その結果、光を見たアバターは、文字通り金縛り状態となり、一切の操作を受け付けなくなる。まさに強制スタン兵器である。
原作の欠点もある程度再現し、両目でこの光を捕らえた者のみが対象となるようにした。
ツクヨミのシステムを明確に悪用した黄金王の瞳。
こんなものがヤチヨにバレて見ろ。そりゃ
「って訳なんだよね~。
で、何か言い残すことはある?」
ヤチヨは顔に青筋を浮かべ、吊るされた
常人なら震え上がって謝罪し、命乞いをするところだが、この馬鹿2人《遠田とヤザカマ》に常識は通じない。
「ない!満足した!!」
「同じく」
清々しいまでのドヤ顔。
自分たちがどれほどの迷惑をかけたかではなく、いかにカッコいい兵器を再現できたかという達成感に酔いしれている。
「こんのばぁかぁどもが!!!!!」
「「ぐべらぁ」」
反省の色を見せない
管理者権限で強化された一撃が、芋虫状態の2人の腹部に深々と突き刺さる。
『流石に相手に干渉するシステムはまずいって!!』
『まあ、ミダスかっけぇもんな...いや!だからってまずいでしょうよ!!』
『やって良いことと悪いことが分からないのかァ!遠田ァ!!』
『やっぱり遠田ァ!とヤザカマって同類よな?』
『何やってんだァ!遠田ァ!ヤザカマァ!』
コメント欄も、もはや同情の欠片もない。
言い訳のしようもなく、遠田たちが悪いのだ。
「...はぁ、ここ2年こんなことなかったから油断したよ~」
ヤチヨは大きくため息をつき、配信画面に向き直る。
「とういう訳で、この黄金王の瞳は特別サーバー送りの刑!今からこれを解析して、修正作業を始めるよ!
多分徹夜案件だね~」
「辞めろぉ!俺たちのロマンが~~!温情を!初期案より人道的になったというのに!!」
遠田が芋虫のようにのたうち回りながら必死の抵抗を試みる。
だが、その人道的という不穏すぎる単語に、ヤチヨの眉がピクリと跳ねた。
「は?え?...初期案は何をしようとしていたのかな??」
「最初は、スマコン越しに眼球に入って来た光信号を脳が誤認識するようにしようとしてた」
「...........」
一瞬、配信画面から音が消えた。
システム上のアバターを止めるのではなく、現実のユーザーの脳に干渉して「動くな」と錯覚させる。
それはもはや電子戦の域を超えた、ただの傷害未遂である。
「なぁにやってんだぁ!!!!!!!」
ヤチヨの怒号が響き渡ると同時に、背後の芋虫二匹が激しく揺れる。
『脳に直接www』
『ガチ兵器じゃねーか!!』
『マッドがすぎるだろ遠田ァ!ヤザカマァ!』
『人道的(当者比)』
『ヤチヨちゃん、今すぐその芋虫をシュレッダーにかけていいよ』
『遠田ァ! お前よくそんなこと思いついたなぁ!!』
「いや!流石にやばいと思ったのと、誤認識する光信号がどうしようもなかったから、アバター止めるだけにしたんや! 褒めてくれ!!」
「褒めるとこなんてないよ!!!そもそもアバターの停止コマンドを光信号に変換して送り込む時点でアウトだよ!!」
ヤチヨの拳が、もはや残像すら見えない速度で2人の顔に叩き込まれる。
芋虫状態の彼らは避けることすら叶わず、左右に激しく揺れるばかりだ。
「これの対策が出来るまでそこに吊るすし、ログアウトで逃げたりしたらだめだよ!!」
「「...はい」」
こうして、黄金王の瞳は封印された。
その後、光を両目で捉えたアバターにスタン状態の付与という形で黄金王の瞳が帰ってくるのはまた別の話。