モノづくり大好きライバーによるハッピーエンドの作り方 作:超かぐや姫!脳焼きの民
感想、誤字報告ありがとうございます。
一般二次の日間加点ランキングで17位
ルーキーの総合ランキングで5位でした。
拙作を読んでいただき本当にありがとうございます。
超かぐや姫!パワーすげぇ
彩葉とかぐやの交渉が終わり、2人は笑いすぎて声も出なくなった遠田を見る。
「どうしたものか...」
遠田の対処に悩む彩葉に対してかぐやは気楽である。
「大丈夫!かぐやに任して!!
壊れたものはこうすれば治るって聞いた!!」
そう言って、かぐやは遠田の首元に手刀を一発。
つい先日も聞いたような、
潰されたカエルのような声が聞こえたが気のせいだろう。
遠田は正気を取り戻した。
...遠田に取り戻すような正気が存在するのかはさておき。
「ねぇねぇ
彩葉~遠田~
そろそろスマコンの使い方教えて~」
かぐやの興味はスマコンに注がれている。
興味津々である。テンション爆アゲである。
誰もが初めてスマコンを目にしたとき、テンションが上がるものだろう。
SFチックな世界に、また一歩近づくのだから。
遠田と彩葉は、そんなかぐやの姿を見て
自分たちが初めてスマコンを使った時のことを思い出す。
「それはな
中のコンタクトレンズ状のもんを目に装着すんねん
こんな感じや」
と遠田が実演する。
「目にいれるの?これ?
ちょっと怖くない?」
かぐやのまっとうな疑問である。
「大丈夫大丈夫!
そんな怖ないよ!」
ウソである。
遠田は初めてスマコンを装着する時、ビビり散らかしていた。
そんな会話を横目に、彩葉はすでにスマコンを装着して準備万端である。
慣れた手つきで瞳を閉じる。
やがて三人はスマコンを装着し、ゆっくりと瞳を閉じた。
そして――
仮想空間ツクヨミへとログインする。
まるで水中に潜るかのような感覚を抜けた先には、
あたり一面が水で満たされた空間が広がっていた。
目の前には鳥居。
水面には灯篭。
赤みがかった夕焼けのような空。
幻想的な空間にかぐやは独り放り出された。
「あ...あれっ彩葉?遠田?」
周囲を見渡しても二人はいない。
「あっヤチヨだ!
ヤチヨでしょ!」
視線を戻してみるとそこには月見ヤチヨが居た。
白く長い髪をまるで乙姫のように結い
黒をベースとした着物
フグのデザインがなされたヒール
胸元にはメンダコ
肩には白くてふわふわでかわいいウミウシの
...それは本当にウミウシなのだろうか?
ウミウシに毛って生えていたのか?
そんな疑問をかぐやは抱くことがなかったようだ。
ちなみに遠田は
「FUSHIのモチーフってほんまにウミウシかな?」
と30秒だけ考えた。
切り替えが早い。
「太陽が沈んで夜がやってきます」
ヤチヨの静かな宣言と共に満天の星空へと変化する。
「仮想空間ツクヨミへようこそ!
管理人の月見ヤチヨで~す
このモフモフはFUSHI」
ヤチヨはかぐやの手をとり歓迎する。
「ヤチヨがツクヨミと僕を作ったんだ」
FUSHIはどこか自慢げである。
「さあ出かける前に...
その格好じゃつまらない!」
とヤチヨが指を鳴らすと、かぐやの手元にディスプレイが表示される。
ここで仮想空間ツクヨミでのアバターを設定するのだ。
「髪はこれで服はこれ」
と楽しそうにアバターを設定する。
キャラクリが最も時間を使う——
と誰かが言っていた気がする。
キャラクリは楽しいものだ。
「うん
これで準備は整ったね
さあいってらっしゃ~い」
とヤチヨはかぐやの手を引いて走り出す。
そして鳥居に向かって放り出す。超エキサイティング!!
緑がかった境界を抜けた先は仮想空間ツクヨミ。
やっとこの物語は始まるのだ。
「あっぶぇ!」
始まりは常に綺麗に決まるとは限らない。
超エキサイティング!されたかぐやは姿勢を崩し、ツクヨミに入った瞬間転倒。
そんなかぐやを待っていたのは
現実の彩葉と同じような紫がかった黒のショートの髪と緑の目
額には赤いひし形
そしてきつねの耳としっぽが付いている。
彩葉であった。
「金髪...ギャルいかぐや姫」
かぐやのアバターに笑いがこらえきれないようだ。
足元まで届く金髪にウサギの長い耳
肩からは金色の放熱板?のようななにか
そして足元には機械仕掛けの犬
「もしや彩葉?」
「てかそれ何?」
かぐやの足元で走り回る犬を指さす。
「あっ犬DOGE
連れてこれるんだ!」
そう言って犬DOGEをかぐやが抱き上げる。
そしてかぐやは仮想空間ツクヨミの全容を目にする。
月明かりが照らす町。
建物からは光が漏れ、太陽が出ていなくても十分に明るい。
景気がよさそうである。
「彩葉?ところで遠田は?」
遠田が不在なのである。
「あいつならもうすぐ来るって...
噂をすればだ」
そう言って彩葉は指を空に向ける。
空からブースターを吹かせながらやってきたのは
黒いバイザーつきヘルメット
黒いパイロットスーツのような服
まるで某西暦2300年のガンダムマイスターのようなパイロットスーツ
そんな装備は着地した瞬間に消え、
中から出てきたのは遠田ことMr.Mkだ
灰がかった黒の髪
鋼のようなくすんだ青の作業着
背中にはスパナを咥えた猫が描かれている。
それ以外は現実の遠田と大差がなかった。
遠田はキャラクリにそこまでこだわらないのである。
「一目見てわかるわ。
これ遠田だ」
「'これ'呼びやめい
あとMr.Mkとして活動してるからメイクかMkかで呼んでくれ」
遠田の願いが叶うことはない。
Mr.Mkより遠田の方が呼びやすい。
これはもはや周知の事実なのである。
「揃ったし行こ」
と彩葉が歩き始める。
ツクヨミは、昔の日本を彷彿とさせる和風建築と、
空に浮かぶ魚や船といった近未来の景観が組み合わさった空間である。
その雰囲気に合わせてか、多くのプレイヤーが和風の格好をしている。
ただ1人を除いて。
Mr.Mkである。
1人だけ洋風。しかも作業着。
空気を読む気は一切ない。
そんな町を歩いていると空からFUSHIが出現する。
「初ログインおめでとう!
ツクヨミではみんなが表現者
君も何かをして人の心を動かしたら
運営から'ふじゅ~'がもらえるんだ
まずは初ログインボーナスをプレゼント!」
「ふじゅ~を使って君の好きなクリエイターを応援しにいこう!」
ツクヨミで活動するライバーはここで説明された'ふじゅ~'を稼いでいるのだ。
稼いだふじゅ~で推し活するもよし。
ふじゅ~を使って現実やツクヨミ内で買い物をするもよし。
ふじゅ~は便利なアイテムなのである。
「面白そうなもんが死ぬほどある!
超楽しい!」
町を進むだけでも初めてのかぐやは十二分に楽しそうである。
そんなかぐやを見て彩葉は少しうれしそうに微笑んだ。
「私みたいな貧乏人でも
ここでならいくらでも遊べるんだよね」
彩葉は足湯につかりながら言葉をこぼす。
おいしそうなパフェが左手にある。
その奥でかぐやも足湯につかりながらパフェに目を輝かせている。
ここで一つ説明しておこう。
皆さんお気づきだろうか。
ツクヨミにログインするために用いたスマコン。
これはあくまで既存のVRが超小型化したに過ぎない。
某SA〇のような五感すべてを感じることはできない。
つまり今手元にあるパフェは...
「んっ...味しな~い」
そう言うことになる。
「味とか匂いは
まだ全然ムリみたいよ」
彩葉が現実を突きつける。
「脳に味や匂いを誤認させるぐらいなら技術的には実はもうすぐだったりするで
ただ法律とか倫理とか健康問題とかの方面が整ってないだけで」
遠田突然の爆弾
「なんで遠田はそんなこと知ってるの?」
「あの...酒寄さん...
貴女まで...」
「それを言うなら遠田も私のこと'酒寄さん'って呼ぶじゃん。」
「それはそう
それでハンドルネーム的なのあるん?」
「ないです...」
「...」
「...」
沈黙。
その静寂を引き裂いたのは——
「ねぇ!味とかもうすぐ感じれるの!!」
かぐやである。
どうやら彼女は、仮想空間ツクヨミでも
おいしいものを食べたいらしい。
「あくまで'技術的には'って話で実用の目途は立ってへんで。
味とか感じるようになったら現実で食事せずに栄養失調になるやつが出てきかねんし」
「遠田は何でそんなこと知ってるの?」
彩葉は遠田の情報網に驚愕する。
そんな情報ツクヨミの公式HPにも書いていない。
「あれ?言ってへんかったけ?
うちの両親がそんな感じの研究してんねん」
今、明かされる衝撃の真実。
そう。
遠田匠は、頭のおかしい関西人のイメージが強すぎるが、
研究者の家に生まれたサラブレッドなのである。
なお両親はコテコテの大阪人であるため、
大阪人としてもサラブレッドである。
さらに衝撃的なのは、あの豪快に笑う遠田の母。
彼女は東京工業大(現:東京科学大学)で博士号を取得したガチの研究者なのである。
つまり遠田は
頭のおかしい関西人であり、
頭のおかしい研究者の血筋なのである。
20:58
3人はツクヨミの沿岸部にいた。
今日ここで月見ヤチヨのミニライブが開催される。
そして彩葉はそのチケットを入手することができたのである。
しかもヤチヨとの握手券つきである。
ヤチヨを推している彩葉にとってあまりにも幸運であった。
そしてそのチケットを見てニヤついている。
うれしいのか狐の尻尾や耳がよく動いている。
「ねえねえさっきヤチヨと話した」
そんな彩葉にとんでもねぇことを言い出すかぐや。
しかしあれはチュートリアルのため誰だって話すものだ。
これから出てくるのが本物である。
ステージの中央にディスプレイが表示される。
そこにはデフォルメされたヤチヨとメンダコが映っている。
そこに声が響く
「キタキタキタキタ!
これがないとツクヨミの夜は始まらない!
今夜のヤチヨミニライブ!
今夜も完全生中継をツクヨミ各地でもお届け中で~す!」
そう実況するのは忠犬オタ公。
犬をモチーフにしたアバター駆る女性だ。
そして始まる10カウント。
10...9...8...
カウントが0となる。
ステージの中央に巨大な鳥居。
そしてその上にこの場の主役である
月見ヤチヨが現れる。
「おまたせ!
ヤオヨロ~
神々のみんな今日も最高だった~?」
その言葉に歓声があがる。
かぐやは興奮し、彩葉の肩を揺らす。
しかし彩葉は肩を揺らされていることにも気づかない。
完全にヤチヨに目を奪われている。
そんな中
(アレ作ってることばれませんように~)
と不穏な願いをする男。
もちろんMr.Mkである。
「うんうん
よ~し!今宵もみんなをいざなっちゃうよ~!
Let's go on a trip!」
ヤチヨのその一言でライブが始まる。
今宵彼女が歌うのは「星降る海」。
静かでやさしい曲である。
歌い始めるとともにヤチヨは空にかかる光の道を歩む。
周囲に集まってきたクラゲを吸収
そして分身
小型のチビヤチヨが空を駆ける。
分身したチビヤチヨたちは会場にいる観客たちの元へと向かう。
もちろん彩葉たちの元にも。
そして彩葉とかぐやにチビヤチヨは抱き着く。
ヤチヨのオタクをしている彩葉は限界化している。
そしてMr.Mkには...
「お前なんか変なもん作ろうとしてへんやろなぁ」
と言うかの如く頬を思いっきり正面からつかむ。
そんなチビヤチヨを引きはがそうとするMr.Mkと
引きはがされまいとするチビヤチヨの攻防が行われていてもライブは進む。
この攻防は曲が終わるまで続けられた。
ライブが終わる。
観客からは歓声があがる。
そんな中、
「うぅ、うっ、うっ
ヤチヨ...」
彩葉はガチ泣きしていた。
「感謝!感激!雨アラモード!
ううっヤチヨは果報者なのです」
ヤチヨは鳥居の上で飛び跳ね感謝を伝える。
そしてFUSHIがある映像を空に映す。
「ここでお知らせ
'ヤチヨカップ'っていうイベントを開催しま~す」
会場がざわめく。
ヤチヨカップの内容は以下の通りである。
・参加資格があるのはツクヨミの全ライバー
・一か月の期間の間で獲得した新規のファンの数が多いライバーが優勝
・優勝者にはヤチヨとのコラボライブの権利を進呈
「うっそコラボッ?」
概要を聞いた彩葉が驚愕する。
ヤチヨはこれまで配信のコラボは数あれど、
ライブはすべてソロなのである。
すなわち――
ヤチヨカップの優勝者は
史上初、ヤチヨとコラボライブができる人物になるのだ。
「なに?
誰とぉ?」
彩葉が壊れた。
「じゃあ彩葉一緒にやろ!」
かぐやが気軽に言う。
しかし彩葉は首を振る。
「私らみたいなモブとやるわけないじゃん。
こういうのは最初から誰になるかだいたい決まってんの」
彩葉は常識のある人間である。
この手のイベントは、
最初から結果が決まっている。
そういう世界を知っていた。
「モブ?モブかぁ?」
横ではMr.Mkが首を傾げている。
文武両道、才色兼備。
家賃・学費・生活費の全てを自力で賄う超人女子高生酒寄彩葉。
月から飛来し、電柱から産まれたかぐや。
どちらもモブとして扱っていいようなキャラではない。
しかしMr.Mkの疑問に答える者はいない。
来ることもない。
代わりに来たのは――
虎に引かれる車両。
牛車ならぬ
虎車。
Mr.Mkと彩葉にはそんな大層なもんに乗ってる人物に心あたりがあった。
そして虎車が切り裂かれるような演出と共に
現れたのは2人の男と1人の男の娘。
通称
黒鬼
黒鬼は
リーダー 帝アキラ
の3人で構成されているプロゲーマーチームだ。
実績は圧倒的。
onlyXcup:優勝
MADRABBITSCUP:優勝
crazyMOONCUP:優勝(月見ヤチヨと同率)
数多くの大会優勝歴と、
大量のスポンサーを抱える
ツクヨミ最強クラスのライバー集団である。
「よう子ウサギども!
お前らの帝様がきたぜ!」
甲高い歓声があがる。
声も顔もいいとなれば当然である。
彼らはプロゲーマーでありながらアイドル活動も行っており、女性人気が非常に高い。
コアな男性ファンが多いMr.Mkとは、まさに真逆のタイプである。。
そんな黒鬼――
特に帝アキラを見て彩葉はかぐやの後ろに隠れる。
苦手意識があるようだ。
「また祭りが始まるな」
「俺って今日も作画良すぎ...
でしょ?」
「俺たちに優勝してほしいよな?
底なしの夢を見せてやるぜ!」
上から雷、乃依、帝である。
「というわけで俺たち優勝するから
ヤチヨちゃんコラボよろしくね」
帝による大胆不敵な宣言。
しかしこれまで積み重ねてきた実績を考えれば、
優勝候補の一角である黒鬼にとってはいつもの宣言に過ぎない。
「そういう運命ならもちろんヤチヨは従うよ~
最高なライブを約束するからみんなドシドシ参加してね!
一緒にハッピーになってめでたししちゃお~!」
「しちゃう~」
彩葉はヤチヨにメロメロである。
目も口もハートの形をしている。
それが気に食わなかったのかかぐやが力強く前にでる。
「ヤチヨォォォ!!
かぐやがヤチヨカップ優勝する!
そんで絶対コラボライブする!
彩葉――」
「ンぐっぐぐっ!」
彩葉が慌てて口を押さえる。
しかし。
発言の大部分はすでに大衆に知れ渡っていた。
その宣言を聞き、FUSHIは「フシュー」と威嚇し、
「いとかわゆし」
誰にも聞こえない声でつぶやいた。
「あんたはいつも勝手に!!」
「大胆な宣言は女の子の特権てやつ?」
視線の先ではかぐやを羽交い絞めにし、後ろに下がる彩葉。
それを見て楽しそうに笑うMr.Mk。
「ほいでは!
ライブは一旦ここでクローズ
皆とちょこっとお話させてね
さらば~い!」
ライブの終了をヤチヨが告げた後、分身して観客たちの方へ。
「楽しくなりそうだな
子ウサギども!いい子にしてろよ」
そんなセリフを残して黒鬼は退散。
「さっきの約束もう忘れたの?」
「ねぇ彩葉一緒にやろう!
遠田も!」
「いや...だから...
もうええわ...」
彩葉はかぐやに説教中。
遠田、敗北。
狂人は、自分より狂った奴には勝てないのである。
そこに接近する一つの小さい影。
「ムリムリムリ小娘が!」
FUSHIの辛口な一言。
ヤチヨ(ロリの姿)の登場である。
「お忘れかなぁ?
ヤチヨライブの参加はライバー限定なのです」
「そっか
じゃあかぐやライバーになる!
準備準備~」
かぐやはそう言ってツクヨミからログアウトする。
「あっはっ
今日はじゃあ...これで」
彩葉は限界化しそのまま去ろうとする。
そうは問屋が卸さない。
「待って!
忘れ物」
とヤチヨが接近し、彩葉の両手を握る。
彩葉のチケットは握手券付きである。
それをテンパりすぎて彩葉は忘れていた。
「あの...
ありがとうございました」
彩葉は限界化して、テンパっていてもお礼が言えるいい子だ。
「やっほMr.Mk
また変なもの作ってないよね」
ヤチヨの矛先がMr.Mkに向かう。
声は笑っているが目が笑っていない。
「イヤソンナコトナイデ」
「絶対何かあるやつじゃん!!」
これ以上詰められるのはまずいとMr.Mkは撤退する。
「あ~もう~」
「いつも来てくれてありがとね...
彩葉、匠」
現実に帰ってきた彩葉と遠田の前には金髪のかぐやがPCでライバーのなり方を調べている。
「ん?何で金髪なの?」
「ログアウトの時間差はだいたい2分あるかないかやった。
その短時間で髪を染めたん?
にして早すぎん?」
「えっダメ?」
ダメというより摩訶不思議である。
「じゃあう~ん...」
とかぐやは髪の色を変化させていく。
肌の色も変わっているように見えるのは幻覚であろうか?
「で~もやっぱこれっしょ~?」
と金髪に帰ってくる。
「理解の範疇超えし宇宙人
まぁもう何でもいいかハハ...」
彩葉は少し冷や汗程度で済んだ。
しかし
「今のは幻覚今のは幻覚今のは幻覚」
遠田は現実を受け止められなかったようだ。
「ねぇ遠田
ライバーって何すればいいの?」
かぐやは唯一ライバーである遠田に問う。
「何って好きなことすればええんとちゃうん?
知らんけど」
遠田は役に立たない。
好きなことを配信していたら、なぜかそこそこ伸びただけの男である。
「やっぱり戦うやつとかやるのかなぁ
ねえ彩葉、遠田おしえてよぉ
さっきの戦うやつ~」
そんなかぐやの声を無視して彩葉は机にうつ伏してにやけている。
ヤチヨとの握手を嚙み締めているのである。
「戦うやつ以前に配信アカウント作るほうが先やで」
活動方針において役に立たないとはいえ遠田は先輩ライバーである。
ライバーのなり方をかぐやに教えているうちに夜は更けていく。