悪女は"正解"を咀嚼する   作:ギャン吠えチワワ

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64話 戦乙女の帰還

 

 腐った死体が視界に入る。両腕を失ったフウガとロシェの姿が見える。その光景が私の憤怒を駆り立てる。こいつらはどうしてここまで人を持て遊ぶことが出来るのだ。目の前の存在が私に怒りを思い出させる。その怒りが戦乙女としての私を駆り立てる。

 

 私はアリスを街の端まで蹴り飛ばす。見えない壁があるせいで街の外まで弾き飛ばせなかった。そのせいでアリスと2人から距離を思ったよりも離せなかった。

 あの2人は恐らくカオリとルイスが応急処置するはずだ。私が下手に焦る必要もない。私は2人の元に近づけないように気を遣いつつ、アリスを倒すことだけを考えればいい。

 

 「ほんとに怪物ねっ♡」

 

 そのまま距離を詰め、喋るアリスの顔に拳を叩き込む。白い星が舞った一撃がアリスの頭を粉砕すると同時に見えない壁に亀裂を入れる。この壁を壊して街外へとアリスを出したいが……そんな余裕はない。アリスは確実にその隙を突いてくる。

 

「黙りなよ。死に損ない☆」

 

 アリスを見て、私に罰が当たったのだろうと思った。

 私は今の生活に幸せを覚えていた。メイの下で楽しく働けている。ルイスという友達も出来た。カオリという可愛い後輩も出来た。その幸せは私を人に戻してくれた。だけど私にはそんな資格はなかった。私は人になってはいけなかった。私が幸せになろうなんて許されるはずがない。だって私は大罪人だから。

 

 きっと神様が罰を与えた。罰として八将アリスが私の目の前に現れた。お前が幸せになろうとしたから人が死ぬと見せつけてきた。

 まだなにも終わっていない。それなのに勝手に終わったと思い込んでいた。私が愚かだった。

 

「奈落送り☆」

 

 怒り任せにアリスの腕を刎ねる。それと同時にアリスが腕の切断面から糸を飛ばしてくる。欠伸が出そうなほど鈍い糸を最小限の動きで避け、そのまま腹に追撃の蹴りを叩き込む。

 

 戦闘の中で私が殺してしまった人の声が怨嗟(えんさ)のように響く。お前だけは幸せになってはいけないと。リーチェも地獄で同じことを言っているのだろう。本当にごめんなさい。幸せになってしまってごめんなさい。私みたいな女が幸せになろうとしてごめんなさい。

 

「……幼女になっても強いわね。ムカつく」

 

 アリスの語尾から余裕が消えていく。たしかに私はアリスを追い詰めている。しかし決定打にはなっていない。こいつは不老不死だ。正攻法での攻略は不可能。

 だから頭を回せ。この攻防の中で不老不死の突破口を見つけろ。その上で見つかるまでアリスを殺し続け、動きを止めろ。それが私に与えられた役割だ。

 

「弱いくせに往生際だけは悪いんだね☆ さっさと死ねばいいのに☆」

 

 私はちゃんと私の役割を果たさなければならない。

 戦乙女として全部壊す。私が責任持って全て片付ける。それが私に与えられた役割だ。

 

「殺意の……」

「そんなの当たるわけないじゃん☆」

 

 アリスを上空へと蹴り飛ばす。彼女が壁にぶつかる度に亀裂が増えていく。この壁はアリスを閉じ込める檻としても機能している。アリスを街から追い出したい気持ちもあるが、それと同時に逃げられるリスクも考えなければならない。

 私は天秤にかける。この壁を壊してアリスが逃げるリスクを背負うか……それともロシェ達を庇いながら戦うか。どちらも一長一短だ。

 

「三日月飛ばし!」

 

 飛ぶ斬撃で四肢を跳ね飛ばす。彼女と戦う度に心に棘が刺さったように痛む。全部お前が悪いんだと私の中で私が叫ぶ。私のせいで街が壊れた。ロシェもフウガも大怪我をした。とても償いきれるものじゃない。その現実が私の心を蝕んでいく。

 

 ……貰った幸せも全て返します。罪滅ぼしのつもりはありません。そんな贅沢なことはしません。ただ純粋に謝ります。自分の役割から目を背けてごめんなさい。責任から逃げてごめんなさい。

 

 そんな言葉を脳内で反復させていく。

 

「夜堕とし!!」

 

 ひたすら暴食のハルバードを叩きつける。何度も何度もアリスを叩く。アリスが距離を取ろうとする度に追撃をかけていく。

 一撃を放つ度に心臓が痛くなる。全身が重くなり、腕や足をあげようとする度にダルさが走る。私はそれを誤魔化して戦闘を継続する。

 

「はぁ……はぁ……月蛇ッッ!!」

 

 何度もアリスに攻撃を当てている。それでもアリスは何事もなかったかのように再生していく。まるで永遠とも思える地獄。早く終われと思いながらアリスの肉を砕いていく。

 

「あれれ? さっきより技のキレが落ちてるね♡」

「うっさい!!」

 

 アリスのせいでたくさんの人が殺された。全部私のせいだ。私が幸せになったから死んだ。死ななくても良い人まで死んだ。もしも私が自分の罪を忘れて、楽しむようなことをしなければこんなことにはならなかった。もっと身を粉にして働かなければならなかった。

 

 アリスだけは私が絶対に殺さなければならない。あれは私の時代の怪物だ。あの時代の代表として私が責任を持って片付ける。ごめんなさい。本当にごめんなさい。もう取り返しがつかないことはわかっています。

 

 私は戦います。もう幸せも望みません。私は仕事に戻ります。全部壊すから許してください。私からこれ以上はなにも奪わないでください。どうかお願いします。私の大切なものを壊さないでください。なにも奪わないでください。私を苦しめるために……これ以上無関係な人を殺さないでください。お願いします。運命様。

 

「ふふっ♡ 焦ってるぅ?」

 

 頭が痛くなってくる。全身が熱い。今までに感じたことのない苦痛が身体にまとわりつく。

 この肉体が今の私の身体についていけていない。この幼女の身体が私の運動量に耐えられていない。いつもの要領で身体を動かしていたからこそ、負荷の回りが速い。幼女という肉体のハンデが私を縛り付ける。

 

「ほらほら♡ もっと遊んであげる♡」

 

 アリスの指先から糸が音速で飛ばされる。その糸を全て弾いていく。

 いくら幼女になったとはいえど所詮は八将。遅れを取るなんてことは許されない。こんな奴らに負けてはいけない。どんな条件だろうが殺す。手足が落ちようが八将にだけは負けない。絶対に殺す。私が殺す。私が殺さなければならない。

 こいつらの討伐は私に課せられた使命。そんな簡単な使命も果たせない雌豚だと言うのならば死ね。幼女という肉体なんか言い訳にもならない。どんな条件だろうが責務から逃げることは許されない。自分にそう言い聞かせ、ひたすら奮い立たせていく。

 

「……ほんとうに面倒♡」

 

 アリスが愚痴るように言葉を漏らした。アリスはどんな攻撃も通用しない。それこそカミーラの聖剣カリバーンだけが唯一の殺す手段だった。今の私には殺す手段がない。私が殺さなきゃいけないのに。私がどうにかしないといけない敵なのに。

 

「いい? 貴方なんて怖くないの♡ おばさんじゃ私を殺せない♡」

「星送……り……!」

 

 私の一撃がアリスにするりと避けられた。遂に暴食のハルバードの刃が届かなくなった。肉体が限界を迎え、アリスに見切られる速度でしか振るえない。

 

 それを見てアリスが待ってましたと言わんばかりに不敵に笑う。私の身体に彼女の拳が叩き込まれる。それと同時に黒いハートが舞い散った。まるで竜の尾で叩かれたような痛みが走る。その衝撃で私の身体が一気に吹き飛ばされる。

 息をする度に痛みが走る。きっと肋骨が折れたのだろう。大丈夫、それなら戦闘に支障はない。痛みなんてどうでもいい。まだ戦える。

 

 私みたいな女が自分の命を大切にしていいわけがない。そんなことを思うなんて許さない。さっさと戦えよ。雌豚。ただ痛いだけだろ。泣き言を吐くな。その程度でパフォーマンスを落とすな。

 

 自分の命なんてどうでもいいだろ。お前に存在価値がない。八将も倒せないくらいなら死ね。戦いだけが私の存在意義。戦いで戦果をあげられないなら生きてる意味がない。さっさと立てよ。死を恐れるなよ。いつからそんなまともになったんだよ。だからこうなってるんだろ。

 

「――私があの時のままなんて本気で思ってた?」

 

 アリスが目の前に現れる。彼女が私の顔を掴んで、地面に擦り付ける。顔が摩擦で焼けていく。熱い。痛い。

 

「あれから何千年経ったと思ってるの? 私がなにもしないで怠惰に過ごしてたとか思ってたのかな?」

 

 そのまま身体が投げ捨てられ、追撃の蹴りが腹に入る。再び黒いハートが舞う。口の中に鉄錆の味がする。久しく忘れていた血の味だ。体勢を立て直そうと立ち上がろうとするけど、アリスはそれを許さない。私の右肩を踏み壊す。

 

「――っ!」

「あはっ♡」

 

 ああ。なんて情けないんだろう。私が倒さなきゃいけない相手にここまで一方的にやられてる。頭が白くなっていく。視界がぼやけてくる。

 

 朦朧とする意識の中で壊れた右肩でアリスの頭を掴んで、地面に叩き潰す。石畳がトマトを落としたように真っ赤に染まっていく。本来ならば数十回は殺してる。それでも決着がつかないのはアリスが不老不死だから。

 

 もうやだよ。痛いのも苦しいのも嫌だよ。誰か助けてよ……カミーラ……助けてよ……

 

 ――あの時みたいに私に手を伸ばしてよ。

 

 そんな泣き言が漏れていく。だけど自分でも分かってる。そんなこと言ってもなにも変わらない。私がどうにかしなければならない。どんな悪条件も負けていい理由にはならない。どんなに言い訳しても痛い思いをするのも苦しい思いをするのも自分だ。だから勝つしかない。

 

「ルカ!」

 

 カオリとルイスが追いついてきた。アリスを視界に捉えた瞬間に2人を置いて私だけが駆けた。あの2人だけは八将なんかと会わせたくなかった。あのような悪意を知らないでほしかった。2人が来る前にケリをつけたかった。

 

 怒りの熱がふつふつと湧いてくる。自己嫌悪が混ざった怒りの熱。アリスへの怒りがないわけじゃない。だけど自分への怒りが強い。なにもできない自分への怒り。この時代の人を巻き込んでしまったことへの怒り。

 

 アリスがカオリに視線を向ける。そのまま舌舐めずりしてカオリの方に飛んでいく。私もハルバードを握り、アリスに追いついて背中に突き立てる。 身体が痛い痛いと叫んでいる。それを無視して動かす。

 

 ……本当にふざけんな。なんで私ばっかりがこんな目に遭わないといけないのだ。どうしてまた八将なんか出てくるんだよ! 全部終わったころじゃん! いい加減に私に楽をさせろよ!

 

 なんで私の起きてほしくないことばっかり起きるの! 私ってなにか悪いことしたの? 

 

 ああ。本当にふざけんな。全部壊してやる。

 

「……天撃☆」

 

 暴食のハルバードを全力で叩きつける。その瞬間に世界が揺れ、街が半壊していく。私の一撃で全てが壊れていく。それでもなお私の憤怒は冷えることを知らない。

 アリスは不老不死だ。この攻撃で死ぬとは思えない。私はアリスの肉体を踏みつけにして固定する。

 

「2人とも。邪魔だからどっか行ってくれないかな?」

 

 カオリを巻き込みたくない。だから私は彼を遠ざける。これは私の問題だ。アリスは私が倒さなければならない敵だ。そもそも私にヒロイン面なんか許されるわけがない。だから助けてなんて言わない。

 

 ここで戦え。私の存在意義を証明しろ。私は戦乙女。そして罪人だ。罪から逃げるな。幸せになろうなんて考えるな。覚悟を決めろ。不老不死だろうが死ぬまで殺せばいいだけだ。こんなところで止まるな。

 

「油断大敵♡」

 

 アリスが私の足を払いのけて、立ち上がる。その勢いで尻もちをついてしまう。その隙をアリスは見逃さない。舌舐めずりして私に殴りかかってくる。ああ。駄目だ。これは避けられない。

 

 そんな時だった。刀が飛ばされた。その刀は的確にアリスの頭を貫き、彼女の身体を吹き飛ばしていく。私はその一撃に救われる。

 私は刀を飛んできた方へと顔を向ける。そこにいたのはルイスだった。

 

「……満足に目の前の敵すら抑えられへん。そんな今のあんたでなんの役割持てるん?」

「うるさ……い……」

「大丈夫。うちがおるから少し休んどき」

 

 ルイスは私の前に水筒を投げ捨てると、2本目の刀を収納で取り出して庇うように私の前に立つ。不思議と彼女の背中は大きく見えた。

 起き上がったアリスがルイスを殺さんとばかりに飛びかかる。しかしルイスは全て刀で受け流し、そのまま刀で首を跳ねた。だけど首を跳ねたくらいでアリスは死なない。私はルイスにそのことを叫んで伝えようとする。

 

「ちゃんと見えとるから安心しとき」

 

 しかしルイスの方が上手(うわて)だ。アリスの再生よりも速く、胴体を横に切り裂く。アリスが再生すると同時に彼女の刀が切り裂く。私はルイスの剣技に息を飲むことしかできなかった。その剣技はあまりに美しかった。

 

 振るう度に刀身が銀光を放つ。動きに無駄というものがない。今まで剣が上手い人はたくさん見てきた。しかし私は彼女よりも剣を扱える人を知らない。もちろん純粋な剣技でいったら間違いなく剣聖ロシェの方が上だろう。しかし剣を戦いに組み込むという観点で評価した場合はルイスに軍配が上がる。攻防の駆け引き、受け身、身体の動かし方。そういった総合的な技術のレベルが高い。それらの技術が剣の美しさを引き立てている。

 

 ルイスは剣聖に比べて剣は上手くない。だけど剣聖よりも剣の扱いは確実に上手い。彼女の戦いはまるで芸術。戦いの中に自然と剣を組み込んでいる。

 

 アリスが後ろに下がる。それと同時にルイスは踏み込んで腕を跳ねる。その度にアリスが苛立ちを見せる。自分の思い通りにならないことへの苛立ち。

 ルイスは剣にどれだけの時間を注ぎ込んだのだろうか。こんな真似は私に出来ない。人が到達出来る最高到達点だ。きっと血が滲むほどの……

 

「――は?」

 

 私は目の前の光景に疑った。ルイスの武器がいつの間にか棍へと変わっていたのだ。そして当然のように棍でアリスを追い詰めている。アリスが起き上がる度に棍で頭を叩き、即座に動きを封じる。

 手を動かそうとすれば手を叩き落とし、上に飛ぼうとすればガラ空きになった胴に一撃を叩き込む。完全にアリスの行動を予測し、先回りして動いている。そんな神業を自分の足を一切動かすことなく、手捌きだけでやってのける。

 

 この人は剣が上手いだけじゃない。全てが上手いんだ。恐らくどんな武器でも扱える。私はそのことに気づいて戦慄する。ルイスは正真正銘の理不尽だ。

 彼女のスキルである収納。それによって常に全部の武器を持ち歩き、ほぼ無動作で武器の切り替えが出来る。全ての武器を一流以上に極めた存在が相手の苦手とする武器で的確に詰めてくる。恐ろしいなんてものじゃない。間違いなく最強だ。

 

 なんでこんな強いの? こんなに戦えるのに政治も出来て頭も良いの?ずるくない?

 

「ルカ。今から5分稼いだるから、それまでに体力を回復させとき」

「う、うん」

 

 ルイスは全てにおいて恵まれている。その才能の差が突き立てられ、悔しさが湧いてくる。私もああなりたい。ルイスみたいに一人でなんでも出来るようになりたい。私の中で初めて憧れという感情が芽生えた。

 

「それとあんた。ルカの因縁は知らへんけど――うちの友達を泣かせてタダで済むと思っとるん?」

「まさか聖女様が戦えるなんて予想外♡ それじゃあ私も少し本気出しちゃうかな」

 

 カオリがロストベリーを抜き、ルイスの加勢に入る。それと同時に桜色の稲妻が散った。2人の存在が私を照らしてくれる。私の焦燥を消してくれる。

 言葉にするのが怖い。カオリを巻き込みたくない。でも私だけじゃアリスに勝てない。アリスは私が倒さなきゃいけない。私の使命のはずだ。それでも私は縋りたい。誰かに助けてほしい。

 

「カオリ!」

 

 カオリが飛び出すと同時にアリスが動き出す。口から糸を噴射させる不意打ちで一瞬だけルイスの動きを阻害する。ルイスはその一瞬で僅かに反応こそ遅れたが、難なく捌き切る。そして即座に追撃を警戒した。

 

 しかしアリスはルイスに目を向けることなく、カオリの方へと距離を詰めた。

 

「くっ!」

「カオリ君は少し釣り合ってないの♡」

 

 カオリに黒いハートを舞わせた蹴りが叩き込まれる。カオリは反射的に蹴りをロストベリーの持ち手で受けきるが、そのまま私の元まで吹き飛ばされる。

 幸いにも受け身は取れたようでダメージになっていない。その一撃を受けてなお、カオリは力強く、アリスを睨んで再び戦いに加わろうとする。そんなカオリの袖を私は掴んでしまった。

 

「ルカ?」

「お願い……アリスを殺したい。その手を貸して」

 

 震える声でカオリに縋った。その声を聞いたカオリが私の手を引いて立ち上がらせる。彼の手が私に勇気をくれる。ルイスの姿を見てると勇気が湧いてくる。私は一人じゃない。私には仲間がいる。そう思わせてくれる。

 

「当たり前だ」

 

 私はルイスから投げ渡された水筒に口をつけ、中の飲み物を流し込む。その飲み物は適度に甘くて異様なまでに飲みやすかった。飲んだ瞬間に一気に体力が回復していく。

 

「……美味しい。なにこれ!」

「ただのスポドリだろ」

「へぇー。アリスをぶっ殺したら詳しい話を聞かせてもらおっ」

 

 まだ5分には届かない。だけど肉体の疲労も大体落ち着いた。もう戦える。

 カオリが駆けていく。私もそれに続くように駆け出した。もう泣き言は言わない。私の心は晴れた。もう私は絶望もしないし、膝を折らない。私には友達がいる。私だけで背負う必要もない。ルイスの強さはそのことに私を気づかせてくれた。私だけが頑張らなくてもいい。全部背負い込む必要もない。大丈夫。私には手を伸ばしてくれる人がいるんだ。

 

「ルイス! ごめん! 遅れた!」

 

 私は暴食のハルバードをアリスに叩きつける。当然だけど致命傷にならない。怯んだ隙にルイスがいつの間にか持ち替えていた薙刀で腕を払う。もうこいつの倒し方は見えている。私が殴り飛ばせばいい。

 大気圏外まで殴り飛ばしてやる。そうすれば不老不死だろうが関係ない。お前は一生宇宙で彷徨い続けろ。私にはそれが出来るはずだ。

 

「ルカとうちで一撃離脱でローテーション組むで! それなら体力持つやろ!」

「よゆーです!あととっておきの策がある――だからお願い! 手を貸して!」

 

 ここで終わらせろ。私達でアリスを倒す!

 

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