【悲報】ワイ、化け物になってしまった模様   作:rat cat

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番外編
【番外編】とある霊媒師ニキの話


 

 

 

 

夜は危険だ。街灯なんて便利な物は存在しない...月が隠れたら足元すら見えなくなる。そうだな...分かりやすく言えば平安時代か。

そんな不便な世界に、オカルトオタクだった俺は転生した。前世ではニートだったが、今世では『祓い人』という職につくことが出来た。

 

祓い人が何かって?...言い忘れてたな、この世界には妖怪が居るんだ。

悪い奴もいれば良い奴も居るが...その悪い奴らを狩るのが俺たち『祓い人』の職務だ。

 

そん中でも

強すぎず弱すぎずで、上層部の政治のドロドロに巻き込まれることもない.......かといって日々の飯に困ることもない。

俺は安全かつ堅実に中級の地位を確立し、日々の生活には困らない程度の銭を稼いで生活していた.......ある時期までは

 

「寝転がっとらんと早う支度をせい!」

 

こいつはツムギ。

3年前の任務で同行した時から縁がある。

俺より10歳も下の癖に階級が俺より上の天才児だ。

俺なんかよりもっと強い奴を相棒にすれば良いのになぜか付き纏って来ていて気づけば相棒になっていた。

 

そう....こいつのせいで俺のスローライフは崩れ去ったのだ。

しかもこいつが危険な任務ばかり選択する....マジで恨むぞ。

 

そんなに嫌なら相方から抜け出せば良いと思うかもしれないが、そうはいかない。階級が上の物には逆らうことが出来ないルールなのだ。

まぁ任務だけなら、ツムギが大体の敵を倒してくれるから比較的マシだ。

 

だが、こいつはめっちゃ煽ってくる。

 

「戦場なら三度は死んでおったぞ」

「男の癖に力でも私に敵わぬのだな」

とか言ってくる。

 

....このメスガキがッ!いつか絶対にわからせてやるッ!!(叶わぬ願い)

 

「聞こえてるのか?」

「はいはい...分かりましたよ...」

 

もう寝た振りは止めだ。俺は欠伸を噛み殺しながら立ち上がる。

着古した狩衣を羽織り、腰に呪符を束ねた袋を下げ、雨除けの笠を被ればいっちょ上がりだ。さて、現場へ向かうか。

 

「それで今回の妖は?」

「鹿のような妖らしい」

「随分と抽象的だな」

 

彼女の足取りは軽く湿った夜の土を踏む音さえ立てない。気づけば山裾に位置する寂れた集落の入り口に立っていた。

 

「....あそこか」

「早う行くぞ」

 

ツムギは躊躇なく踏み込んでいく。正直に言うと逃げ出したい。

さっき足を踏み入れてから嵐の前のように静かで気味が悪い。

...頼むから今だけは出てくるなよ...

 

 

しかしどうやら俺の祈りは通じなかったらしい。

右の方から嫌な予感がしたのでそちらを見るとそこには毛皮の剥げ落ちた手足の長い鹿のような化け物がいた。

 

「ッ!なにす...」

 

肩を叩くと、ツムギは不満気に声を荒げて振り返った。

静かに!のジェスチャーと鹿の妖がいる方を指差したら状況をすぐに理解したらしく、すぐに黙り込んだ。

 

それから俺たちは気配をしばらくの間完全に断って、奴の動向を観察していた.......筈だったのにいつの間にか消えていた。

 

 

「何処へ消えた!?」

「分からんが、構えよ」

 

そして奴はいきなり俺たちの眼前に現れた。

 

「な....」

「ツムギ、下がれッ!」

 

直後、俺たちがいた場所を怪異の巨大な顎が通り過ぎた。

間一髪、直撃は避けることが出来たが、あまりの衝撃に体が宙を舞った。

 

「瞬間移動かよ....!」

 

受け身を取りながら立ち上がろうとした俺の視界に逆立ちするように身体を捻った奴の姿が映る。

着地の衝撃を利用し、奴はすぐさま追撃に転じていた。

 

どうやら狙いは俺らしい。

 

奴は足をムチのように、上から俺の頭部へと振り翳した。

避ける暇はない。俺は反射的に右腕を頭の上に掲げた.....

グチャリと嫌な音がした後、右腕にあるはずの重みが唐突に消失した。

 

「あ.....?」

 

 

視界の端で、奴が何かを咀嚼しているのが見えた。

右腕を見ると食いちぎられたような痕がある。

奴は足を振り下ろしていのだから腕が千切れたのならまだ分かる...

だが、なぜ奴は咀嚼している?

 

奴は俺にも目をくれず、左へ首を回した。

そっちにいるのは....

 

 

「そんな...」

 

ツムギは目を見開いて硬直していた。

戦場にあるまじき困惑。1秒程の短い硬直だったが、戦場で晒すにはあまりにも大きすぎる隙だった。

天才と謳われ、俺を散々馬鹿にしてきた少女が、俺なんかの負傷でただの子供に戻ってしまっている。

 

「ツムギ....逃げ.....ッ!」

叫ぼうとしたが、喉にせり上がってきたのは鉄の味。

怪異は止まらない。俺を無視し立ち尽くすツムギの頭を狙ってその巨大な顎を大きく開いた。

 

このままでは彼女が喰われる。俺は残った左手を胸元に当て、霊力をショート回路の様に激しく回していく。あまりの失血に意識が朦朧としてきた。

 

「じゃあなツムギ...!」

 

ツムギの目の前に影が覆いかぶさる。俺は彼女を突き飛ばすようにしてその懐へと飛び込んだ。背中が貫かれる感覚を最後に俺の意識は深い闇へと沈んでいった。

 

 

....

 

30:名無しの霊媒師

みたいなことがあったんや

 

31:名無しの転生者

録画の最後切れてるけどさ

どうなったん?共倒れか?

 

32:名無しの霊媒師

自爆して来たわ

しっかりあの鹿の化け物は処してる筈やで

 

33:名無しの転生者

死んだんやったら今どうやってレスしとるんや?

 

34:名無しの霊媒師

>33 絶対に死にたく無いワイは残機を発明したんや

そんで今復活したからとりあえずレスした訳や

 

35:名無しの化け物

復活して最初にやることがレスとは転生者の鑑やね

ちなみにメスガキちゃんは?

 

36:名無しの霊媒師

暫くしたらワイの事なんか忘れてるやろ

隠してた金品で2年は遊んで暮らせるから資金が尽きた後はまた別名義で祓い人に戻るわ

そん頃には同期もみんな殉職して顔覚えてる奴おらんやろし

 

37:名無しの転生者

たった2年で忘れるかなぁ...?(疑いの目)

目の前で自爆されたメスガキちゃんの気持ちにもなってみろ

 

38:名無しのゴリラ

ウーンホ

 

39:名無しの霊媒師

あんな鹿如きに残機減らされたん辛いわ

残機一つ作るのに何年かかると思ってんだ

 

40:名無しの転生者

何年くらいかかるん?

 

41:名無しの霊媒師

1年

 

42:名無しの転生者

その短さやったらあんまネチネチ引きずんなや

破格やろ

 

43:名無しの霊媒師

あの馬鹿タレ骸骨みたいな力があればなぁ...瞬殺やったんやろけどさ

>>42 やっぱり残機減ったら嫌やんか

 

44:名無しの化け物

照れるなぁ...そんなに欲しい?力

今ならバーゲンセールやってるからお得やで

 

45:名無しの霊媒師

碌なことにならんから辞めとくわ

あと、絶対こっちの世界に来んなよ

迷惑やから

 

46:名無しの転生者

めっちゃ避けられてて草

 

47:名無しの化け物

悲しいなぁ

 

48:名無しの霊媒師

ほなそろそろ隠した金品を探しに行こうかね

 

49:名無しの転生者

その途中で知り合いとばったり出会ったりしてなw

 

50:名無しの霊媒師

すまない...フラグ建設士は帰ってくれないか

 

51:名無しの転生者

さよなら

 

52:名無しの転生者

..........

 

53:名無しの転生者

さよなら

 

54:名無しの霊媒師

とりあえず埋めた山まではついたわ

登るのが割とキツいんよな...

 

55:名無しの転生者

配信はせんの?

 

56:名無しの霊媒師

ワイにそんなことをする力は無い

 

57:名無しの転生者

暇やしなんかおもろい話でもしてや

 

58:名無しの霊媒師

任務をサボろうと寝てたら毎回叩き起こされるから

イタズラで布団の中にカカシ入れてワイは箪笥に隠れてたら

まんまとカカシに引っ掛かった話かな

 

59:名無しの転生者

>>58 微妙

文もなんかおかしいし

 

60:名無しの転生者

>>58 やっぱり距離感近いよな?

さてはロ○コンか?貴様

どうするジャッジマン?

 

61:名無しの霊媒師

やべっ

 

62:名無しの転生者

>>61 どうした

 

63:名無しの霊媒師

ツムギと鉢合わせした

 

64:名無しの化け物

ファーwww

 

65:名無しの霊媒師

人違いですって言ったらいきなり攻撃してきたわ

しかもなんかぶつぶつ言っとって不気味や

残機はまだ余裕あるし自爆して逃げるわ

 

66:名無しの転生者

人の心とか無いんか?

 

67:名無しの博士

これは病んでますねぇ...

 

68:名無しの霊媒師

自爆──ダメだ

間に合わな

 

69:名無しの転生者

察し

 

71:名無しの転生者

以降レスなし

 

72:名無しの転生者

あいつはいい奴だったよ

 

73:名無しの化け物

みんなもこうならない様に気をつけようね

 

 

 




以降、掲示板で霊媒師ニキの書き込みは無くなったそうな

以上、別世界の話でした。


大野知人さん、天井剥ぎのアイデアありがとうございました!

名前:天井剥ぎ

能力と見た目:物理的に存在するタイプのシンプル暴力系怪異。強い、堅い、足が速い。以上。
見た目は足の異様に長いヒョロ長の鹿。目は潰されており、毛皮は荒れている。
建物に限らず、対象物の『上』側にある何かに噛みつき、強引に引き剥がす。屋根でも、ヅラでも、頭蓋骨でも。
逆立ちすると靴や靴下を持っていかれるし、頭を守ろうと手で覆うと手首から先を持っていかれる。
その後は『上』から順に食べる。

超常的能力と呼ぶにはしょぼいが、コンクリでもなんでも消化できるし、長生きなのでそれなりに知能はある。

飢えて人里に出てきて人を襲っているが、元山神なので生け贄を捧げれば交渉は成立するタイプ。

生まれた背景:元はただのデカい鹿。山神として崇められた後、村落の過疎化とともに信仰が廃れ、人里に降りてきた。怪異化して長い時を生きてるだけのただの動物。
『なんか強い鹿がいる』という点で信仰されていたので、超常的パワーの大半はフィジカルと生物を超越した寿命に割り振られている。

天井剥ぎとしての行動の由来は山神時代に村人たちが小さい社に生贄を入れて献上していたためであり、『食器ごと、上から順に食べる』というのがこの鹿にとっての食事のマナーだからである。こいつの場合、一軒家程度のサイズのものまでは『食器』とみなしている。

強さ:B(A)。上述の通り物理的暴力に全振りしたバケモン。ホラーと言うかアクションに出てくるモンスター。祓うと言うか害獣駆除。ただ、知能は高いので罠猟は効かないし、表皮が硬いので小銃じゃ貫通できない。
怪異として祓う難易度は低いが、物理的に殺す難易度が高い。
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