転生したらドンちゃんのママになりました ~娘がティアラ三冠取ったあたりで本格化が来てしまったのでメイクデビューするウマママさんじゅうぴーさい~ 作:雅媛
さて、ウマ娘にとっての『本格化』といえば、劇的な身体の成長が伴うのが常である。
遅まきながらボクにもその波がやってきたのだが……成長した部分と、全くしなかった部分が極端に分かれる結果となった。
まず、しなかったのは身長だ。
さすがに三十うん歳という年齢の壁は厚かったらしく、ボクの背丈は140センチ未満のまま、ミリ単位たりとも伸びることはなかった。
一方で、猛烈な変化を遂げた部位もある。肉だ。
別に太ったわけではない。子供を身籠り、育てている間すらほぼ真っ平らだったボクの胸が、あろうことかドンちゃんレベルのたわわなサイズまで急成長を遂げたのだ。おまけに尻までドンちゃんレベルの安産型に進化してしまった。
ちんちくりんな背丈に、暴力的なまでのダイナマイトボディ。世に言うトランジスタグラマー、平たく言えば『ロリ巨乳』というやつの完成である。
本格化のエネルギー消費のせいか、食欲が今までの10倍ぐらいに跳ね上がっていたので、食べた分がお腹のお肉にならなかっただけマシだと思うことにしよう。
ともあれ、身体にこれだけの変化が起きたのだ。ボクは改めて夫をリビングのソファに座らせ、真剣な顔で切り出した。
「ということで、離婚する?」
「なんで!?」
「いや、ほら。ボク、ロリじゃなくなっちゃったし」
夫はボクっ娘好きのロリコンという、業が深すぎる性癖の持ち主だ。だが、社会人としての常識もちゃんと持ち合わせているため、ボクが好みから外れたからといって、自分から「離婚しよう」とは言い出せないだろうと考えたのだ。
性癖とは生まれ持った業であり、変えることはできない。ボクへの執着が薄れたのなら離婚もやむを得ないかな……と、妻として最大限の気遣いを見せたのだが、夫には泣き叫ばんばかりの勢いで全力拒否されてしまった。
まあ、ボク自身も別段この男と離婚したいわけではない。夫が嫌だと言うなら、無理に別れるつもりはないのだ。
それに、よくよく考えてみれば『ボクっ娘』と『ブルマ』という二大要素はまだ手元に残っている。夫はそこでギリギリ妥協してくれたのだろう。
しかし、そんな慈愛に満ちた提案をしたのがマズかったのか、それ以来、毎晩のようにブルマ姿での『うまぴょい』が開催されるようになってしまった。
これまで週3回程度で落ち着いていた夫婦の営みが、まさかの週7回、完全無休のフル稼働である。しかも夫は、新たな扉を開いたかのように異様な熱気を帯びている。
とはいえ、本格化を迎えたボクの方はエネルギーがマグマのように有り余っているので、いくら運動会をしようが全く問題ない。むしろ心地よい疲労感すらないくらいだ。
問題は夫である。明らかにオーバーワークで、朝起きるたびに目に見えてしなびていくのだ。過労死した前世の自分を見ているようで結構心配である。
仕方がないので、最近の食卓にはニンニクやスッポン、ウナギといった精のつくメニューをこれでもかと並べるようにしている。
そんな両親の様子を見て、ドンちゃんが心底不思議そうな顔で首を傾げていた。
「なんでママは、そこまでパパの愛を信じられないんでしょうか?」
ドンちゃんは呆れ半分、呆然半分といった様子だが、仕方ない。この子はなんだかんだでお嬢様育ちの純真な子だから、人間の持つ『性癖という業の深さ』をまだ知らないのだ。
愛娘の輝かしい未来を思い描きながら、ボクは密かに祈った。
どうか、この子の運命の相手が、父親のような異常性癖の持ち主でありませんように、と。