転生したらドンちゃんのママになりました ~娘がティアラ三冠取ったあたりで本格化が来てしまったのでメイクデビューするウマママさんじゅうぴーさい~   作:雅媛

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6 知り合いが多すぎる

「で、なんでトレセン学園のコースで、いきなり同窓会みたいになってるわけ?」

 

 目の前に広がる光景に、ボクは思わず半眼になった。

 原因は火を見るより明らかだ。集団の中心で涼やかな微笑みを浮かべている銀髪のお嬢様メジロアルダンである。

 きっと、メジロの繋がりで、マックちゃんからボクの現状、本格化が来て走っていることを聞きつけたのだろう。それにしても、思い立ってすぐにかつての同期たちをかき集めるその恐るべき行動力と人脈には脱帽するしかない。

 

「ドナとは結局、学園時代に本気で勝負できなかったからね。一度、同じターフを全力で走ってみたかったんだ」

 

 今や誰もが知る国民的アイドルにして、伝説のウマ娘であるオグリキャップに、そんな真っ直ぐな瞳で言われてしまえば、ボクだって無下には断れないじゃないか。

 多忙な彼女が、よくぞ全員の予定を合わせてこんなプライベートな集まりに来てくれたものだ。

 

 見渡せば、サクラチヨノオーやスーパークリーク、ヤエノムテキなど、懐かしい面々がずらりと揃っている。

 みんな学園を卒業して、それぞれの人生を歩み、母親になってそれなりの時間が経っているはずだ。現役時代の闘志は落ち着き、どこか柔らかい雰囲気を纏っている。いやはや、みんなすっかり年を取ったものだ。

 

 ──だが、一つだけ。どうしても解せないし、許せないことがある。

 彼女たちの服装だ。

 

 みんな、動きやすそうなジャージや、落ち着いた丈のハーフパンツといった「良識ある大人のスポーツウェア」を着ているのである。

 ピッチピチのブルマを穿かされているのは、トランジスタグラマーと化したボクただ一人なのだ。なんだこの公開処刑。解せぬ。夫、絶対に許さん。

 

「ふふっ。ドナさんの今のその愛らしいお姿、お写真に収めておけば界隈で結構な高値で売れそうですわね」

「どこで売るつもりだメジロのお嬢様!?」

 

 アルダンがさらりと物騒なことを言い始めた。

 昔はお姉様、メジロラモーヌの背中ばかりを追って思い詰めていた彼女だが、すっかり吹っ切れたというか、図太くなったというか。まったくメジロ家の教えはどうなってるんだ。

 

「まあまあ! せっかく皆で集まれたんですから、細かいことは気にせず走りましょう!」

「うふふ、ドナちゃん、無理しないでねぇ」

 

 チヨちゃんの元気な掛け声と、クリークちゃんの相変わらずのマイペースな微笑みに背中を押され、ボクたちは一斉にターフを蹴った。

 

 あの頃、本格化が来なかったボクは、彼女たちの背中をただ遠くから見つめることしかできなかった。

 けれど今は違う。有り余るエネルギーと、この新しい身体が、風を切り裂いて伝説の同級生たちにピタリと食らいついていく。その事実が、たまらなく嬉しかった。

 

 結局、みんなで思い切り汗を流してターフを駆け抜け、日が暮れてからは居酒屋に移動してジョッキ片手に散々騒ぎ倒した。

 かつての仲間たちと語り合う夜は、最高に楽しくて、美味い酒だった。




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