転生したらドンちゃんのママになりました ~娘がティアラ三冠取ったあたりで本格化が来てしまったのでメイクデビューするウマママさんじゅうぴーさい~   作:雅媛

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8 娘の友達と親睦を深める

 どうせ学園に出入りしているのだから、娘の最大のライバルとも親交を深めておこうと思う。

 あまり親がしゃしゃり出るのもよくないとは思うが、そこは大人の余裕というやつだ。バチバチのライバル関係とはいえ、ご挨拶は社会人として大事である。

 

 ターゲットは、ヴィルシーナさん。

 三姉妹の長女で、とっても面倒見が良くて頑張り屋さんなウマ娘だ。ドンちゃんとは日々火花を散らしているらしいが、根は優しくて真面目な子である。

 

 そう思って、トレーニングの合間に少しご挨拶に伺ったのだが……。

 気付けばボクは、彼女の自室に拉致され、強制お着換えタイムの真っ最中となっていた。

 

「うんうん! やっぱりドナさん、とってもお似合いですわ!」

 

 どうやら彼女、寮生活で離れて暮らす妹たちに会えない『妹欠乏症』をこじらせていたらしい。

 そこに、幼い見た目で身長140センチ未満のボクがひょこりと現れたものだから、長女としての『甘やかしたい・着せ替えたい欲』が爆発してしまったようだ。

 

 普通なら抵抗するのだろうが、ボクは学園時代、あのスーパークリークさんの『甘やかしたい欲』の暴走に幾度となくまきこまれ、甘やかされ、お世話されてきた身である。

 ヴィルシーナさんの流れるような手際に、身体が勝手に『されるがままの受け入れ態勢』を取ってしまい、気付いた時には完全に手遅れだった。

 

「さあ、ドナさん! そのまま一緒にお出かけしましょう!」

 

 ……いや、ちょっと待ってほしい。

 いくらなんでも、この白のレースがふんだんにあしらわれた『フリフリのゴスロリ衣装』はキツくないですかね? 

 中身は三十うん歳の経産婦ですよ? 

 というか、ヴィルシーナさんの妹さんたちって、一人は帽子が似合うボーイッシュな子だし、もう一人は小悪魔系だけど結構身長が高くてスタイル抜群だったはずだ。

 絶対にこの手のゴスロリ衣装は着ないし、似合わないと思うんだけど。

 

 そんなボクの内心のツッコミなど一切届かず。

 結局、お人形さんのようなゴッテゴテの恰好をさせられたまま、学園のカフェテリアで一緒にパンケーキを食べるという公開処刑をやらされることになってしまった。

 

「キャー! ママ、すっごく可愛いですわ!! こっち向いてくださいな!!」

 

 カフェの席で、ドンちゃんが黄色い悲鳴を上げながらスマホのカメラを連写している。

 助けてよドンちゃん! 娘の親がこんな辱めを受けているんだから、キャーキャー言ってないで止めてよ! 

 そう思うがドンちゃんは助けるそぶりすら見せない。

 

「おや。ドナさん。素晴らしいですわね。これはまた良い値がつきそうです」

「どこから聞きつけて湧いてきたんだメジロのお嬢様!! だから写真は撮るな! 売るな!!」

「次はぜひ、スクール水着なんていかがでしょう? ヴィルシーナさん、手配をお願いできますか?」

「ええっ!? ス、スク水ですか!? さすがにそれは……でも、ドナさんなら絶対に可愛いですわね……!」

「着ねーよ!!お前いい加減にしろよ!?」

 

 どこからともなく湧いてきたアルダンの悪徳商人じみた提案に、あろうことかヴィルシーナさんが乗り気になってしまった。ボクはパンケーキのフォークを握りしめながら全力で叫んだ。

 

 なんだかんだで、これがキッカケでヴィルシーナさんとはすっかり仲良くなり、時々彼女がシスコンをこじらせた時には、こうして「疑似・妹」としてお付き合いする奇妙な関係になってしまった。

 

 それにしても解せないのは、ドンちゃんまで一緒になって「ママ、次はこのお洋服を着てくださいな!」と可愛い恰好を強制してくることだ。

 ドンちゃんの方が美人なんだから、ママを着せ替え人形にしないで、自分で可愛い格好をしてくれないだろうか……。




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