手持ちを電気ネズミ一匹だと思い込んでるモンスターテイマー   作:遺書の切れ端

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始まりの街(エンドスフィア)

 

「ふざけんな!俺達が騙して連れてきたこのゴブリンが1シルバーなわけないだろ!!査定し直せ!俺が5ゴブリンなんて認めない!俺達は大変に今怒っている!」

 

 説明しよう、ゴブリンをペットショップに売りに行った。

 本人には山菜を売りに行くと伝えてある、策士。

 

「『俺達』じゃなくて『俺』にゃ、二回も言って強調するにゃにゃ」

 

「人間さんの値段はサイコロで決めてるっす。査定基準も比較対象が少ないっすからね、調べる労力を考えると結論はサイコロす」

 

「最高6シルバーかよ!くそう!あと1で天井だったのか!!惜しいじゃねえか!!!」

 

 ショップ店員(ロシアンブルーふう)がサイコロを手に持ち、見せびらかしながら真実を教えてくれた。

 最後にコロスって言われたような気がする。

 

「gu(人間はいつの時代も愚か……信頼を裏切らないと気が済まない生き物……)」

 

辞世(じせい)の句みたいなのやめろ、ゴブリンのくせに語彙力を使うな。『うがー』と『ふんがー』以外喋るなよ、緑らしくしてろ」

 

 隣のゴブリンがいじけて、ペットショップの床に指でクルクルと文字を書くように動かしている。

 

「なんて言ってたにゃん?」

 

「マウ助もナンタンタンタンじゃなかった?」

 

「多分モンスターテイマーのことにゃんね……?私はゴーレム専門にゃよ」

 

「じゃあ俺は何専門になるんだ」

 

「……魔物にゃ?」

 

(くく)りが広すぎる、好きな食べ物は?と聞かれたら次から固形物って言うことにするからな」

 

「レーション嫌いなくせににゃん……」

 

「ゴブリン、このレーションと山菜交換しようぜ」

 

 俺は朝にご主人から貰ったレーションをポケットから出して地面いじけゴブリンに差し出す。

 

「gigi(味が分からないモノと初見で交換したりしない)」

 

「完全に理論武装しているんだけど、これは武器を俺に向けたってことで殺しても正当防衛か」

 

「魔物に論破されすぎにゃ」

 

 デスドラゴンといい、魔物達の生態型と思想と生存戦略が明確過ぎるだろ。その場限りで適当に生きている人間が馬鹿に思えてくる。

 

「ここは人間らしく話し合いではなく殺し合いで決めよう、なんで皆話し合いで解決しようとするんだ……?世の中は血で血を隠すぐらいの気概じゃないと」

 

「山菜は87シルバーっすよ、テントのレンタル代を引いて57シルバーってところすね」

 

 店員が計算が終わったのか、お代を封筒に包み渡してくる。

 名も無きゴブリンの労働力がピンハネされてて草。よし帰ろう。

 

「ge!?(私の金から引くな!自分で使ったものは自分で払え!)」

 

「黙れ!魔物がどれだけ綺麗事を言ってもお前等は倒されるべき悪なんだ!だから払え!悪なら払え!」

 

「そうにゃ!魔物は悪にゃ!払えにゃ!」

 

 (まさ)しく俺達は金銭に関して満足に依頼1つクリア出来ないので、ここぞばかりに駄々をこねる。

 ご主人と俺は普段やりもしない戦闘態勢になりゴブリンと距離を取った。

 

「ga?(店員とやら、私はこの量を定期的に()める。彼等とどっちがお得意さんとして相応しいと思う?)」

 

「負けっすよ人間」

 

 強すぎる、なんだあのゴブリン。戦いにすらならなかった。

 

「待ってくれ、俺なら定期的に俺を摘める」

 

「そ、そうにゃ!人間なら毎日でも身売りするにゃ!」

 

「大敗っすね」

 

 慌てて戦闘態勢を解いて媚びたが店員は聞く耳を持たず、敗北を告げた。

 聞く耳があったら勝っていたはず。

 

「あの時に尊厳破壊していれば……!」

 

「それは可哀想にゃよ」

 

 それから買い物のやり方を覚えたゴブリンは店員の話をメモりながら頷いている。

 え?このゴブリン俺より金持ってる?

 

「野草以下の俺の価値をまだ飲み込めてない」

 

「人間さん。レンタル代は男気見せなくていいんすか?」

 

 有耶無耶(うやむや)にならず30シルバーが店員からしっかり請求される、俺6人分か。どうやって増えよう。

 

「じゃあ俺から取り立てるために毎日付き合ってくれるんだな!よろしくな!な!」

 

「マウさん、20シルバーになりますっす」

 

 値下がるほど、よろしくされなかった。

 

「ペットショップで働くために履歴書でも作るか……志望動機は売られたくないから売る側になりたかったにしよう。ゴブリンが1シルバー以上で売れれば良かったからゴブリンのせいだ」

 

「奴隷より食料品の方が今高いんすよ」

 

「ゴブリンは食える」

 

「gi(ゴミカス野蛮人)」

 

「色合いが不味そうっすね〜」

 

 相変わらず知能差で時々通訳スキルが誤作動するが、よく見たら不味そうなのでリリースしよう。

 

「さっさと立ち去れ1シルバー。俺はお前より上位存在の5シルバーだぞ、平伏せ」

 

「立ち去らせたいのか平伏せさせたいのかどっちなんにゃ……」

 

「gu(ここに書いてある会員カードというモノを作りたい)」

 

「いいっすよ〜」

 

「俺も俺も」

 

「人間は信頼不足なので無理っす」

 

「当然にゃ」

 

「出会ってその日に会員カード作れた未開拓生物(みかいたくせいぶつ)に信頼で負けたんだけど、何なら勝てるんだ」

 

「ビリヤニ食べに行くにゃ?」

 

「勝てる存在がそいつしか居ないか……」

 

 こうしてゴブリンは街に馴染んでいった。

 




【物価】
レーション30シルバー
テント500シルバー
テントレンタルは一晩30シルバー
宿屋150シルバー
自然が多いのでテントの需要が高い
需要が高いものは値上がりして、日々より良い物が作られている

【アイルロス・フェリス・コット・マウ】
名前は「アイルロス・フェリス・コット・マウ」、「マウ」と呼ばれるのが本人も分かりやすい。
語尾に「にゃ」が必ず付く、ピカチ〇ウだと思われたくないので猫アピールが凄い。
一人称は「私」。
スコティッシュストレートふうの白猫がモチーフの獣人。
感情が尻尾に出やすいが表情にもっと出やすいので尻尾が出やすくても割とどうでもいいと思ってる。
髪の毛はミディアムな長さで肩に少しかかる程度。
目の色はオレンジ。
翠色の私服を着がち、軽装で通学カバンには非常食と日用品を入れてる。
しっかり者。
八重歯。
「人間」によく「(うすいろ)ピカチ〇ウ」扱いされているが一向に認めない。
モンスターテイマー。
猫獣人だけの街、「コート(始まりの街)」で育ち今も暮らしている。
職業は「モンスターテイマー」。
少食。
サラダだけでお腹いっぱいになりがち。
香辛料が強い食べ物は苦手。
サラダが好き。
早寝早起き。
健康。
元気。
明るい。
ツッコミ役になりがち。
リアリストで金の計算は早い。
すばしっこく、逃げ足は速い。
朝からの昼間はモンスターテイマー専用の講習に通ってる、夕方や夜は人間と適当にブラついてる。
人間もモンスターテイマーで、講習で隣の席同士で知り合った。
適正召喚はゴーレム系だったが、まともに操作が出来ずほぼ肉壁と盾にしか使えない、命令をし過ぎるとゴーレムがショートして大爆発する。
石系のロックゴーレムや土系のアースゴーレムが得意、火や水などをゴーレムにするのは苦手。

【人間】
6の目だけのサイコロを探している
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