悪徳領主に転生して死亡フラグを折るために勇者パーティを育てたら、激重感情を向けられて逃げられない件   作:激重大好き

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 魔物の描写思いつきまへん……ごめんなさいお願いゆるして(本作では魔物の詳細はあえて描写しておりません。重要ではないうえ、歴戦のはめるん民の想像力ならば不要という判断です)

追記、「ルシアン」と「クラウス」がごっちゃになってよく「ルシウス」というキメラが生まれます。すみません。誤字報告感謝感激雨槍嵐。


私が魔物に襲われた日

 その後は諸々の準備のため、アリアたちは3日ほど時間を取ってから街に向かうことになり、俺とクラウスは一度館に戻ってから再び村を訪れることになった。

 

 

 

 その間、気になったことをクラウスや兵士に調べさせたが、特段めぼしい情報はなく数日後。

 

 

 

「アリアね、まちにいったらおしゃれしたい!」

 

「……できるといいな」

 

「あとね、かいものと、ごはんと、べんきょうと、くんれんと……」

 

 

 

 またもや変に気を回したクラウスの策略で、馬車は俺とアリアの2人きりになっていた。クラウスはアリアの両親と一緒に別の馬車に乗っている。よく両親が許したなと思ったが、むしろ両親から「娘をよろしくお願いします」といわれる始末。一体なんて説明したんだよクラウス……。

 

 

 

「ルシアンさま?」

 

「……なんでもない」

 

 

 

 有能すぎる執事に脳内で文句をぶつけていると、聡明な5歳児は敏感に感じ取り心配そうな眼差しを向けられていた。……幼女に心配されるとは。

 

 

 

「お前は平気なのか?」

 

「……」

 

「やはり故郷を離れるのは……」

 

「アリア」

 

「……ん?」

 

「アリアってよんで」

 

「あ、ああ……アリア」

 

「うん、よろしい」

 

 

 

 俺が名前を呼ぶと、アリアは満面の笑みを浮かべて応えた。出会ったばかりだというのにこの幼女からは遠慮が全く感じられない。原作でもそれなりに遠慮はあったはずだが……幼いからだろうか。

 

 

 

「……不安はないのか」

 

「え?」

 

「2度とではないが、しばらく故郷を離れるんだ。不安の1つや2つくらい……」

 

「だってルシアンさまがいるし」

 

「は? 俺か?」

 

「それにパパもママも、あとクラウスさんも!」

 

 

 

 強がりではなさそうで、本当に不安など微塵もないような声でアリアは言った。てかなぜ真っ先に俺なんだよ。いや未来の勇者からの好感度が高いのは大変ありがたいんだが、心当たりがなさ過ぎて怖い。

 

 

 

「それに、ともだち……なかまもできるし」

 

「……確かにそう言ったが、必ずできる保証は」

 

「どんななかまができるのかな?」

 

「……」

 

「ね、ね。ルシアンさまはしってる?」

 

「……知らん」

 

「えーほんとに?」

 

「知るわけないだろ……」

 

 

 

 ……このやりとりは、アリアが満足するまでしばらく続いた。

 

 

 

 これが普通の幼女なら単純に好かれて懐かれているだけと断定してもいいが、勇者という情報を抜きにしてもアリアという少女は年齢以上に聡明だ。むしろ大人よりも鋭い時さえあるほどに。実際、クラウスやその他の護衛の兵士にはいたって普通の「律儀な子供」としてふるまっていた。

 

 

 

 ……じゃあなんで俺だけがこんなに懐かれ、家族みたいな距離感なのか。

 

 

 

 知るか。分からない、だから怖い。

 

 

 

 たかが幼女にビビッており情けない限りだが、ここでアリアにそっぽ向かれたら俺の計画はすべて台無しだ。俺はアリアのご機嫌を常に伺わなければならない……はずなのだが。

 

 

 

「えへへ、ルシアンさまのおうちたのしみ~♪」

 

 

 

 本人は疑う余地もないほどたいへん上機嫌であり、それが逆に俺に一抹の不安を抱かせていた。

 

 

 

「ね、どんなおうちなのかおしえて?」

 

「あ、ああ。分かった」

 

 

 

 

 

 

 

 と、平和な(俺にとっては不安の募る)ひと時を過ごしていた。その時……

 

 

 

 

 

「領主様っ!」

 

「ん?」

 

 

 

 馬車の外から、馬に乗った護衛の兵士の焦った声が聞こえてきた。

 

 

 

「ま、魔物が現れました!!」

 

 

 

 馬車が通る道であっても、魔物が現れるのは何も不思議なことではない。が、兵士の声は過剰なほど焦っており……次の瞬間、すさまじい大地の振動が馬車を襲いだした。

 

 

 

「10……20……数え切れません!!」

 

 

 

 

 

「……そうだった」

 

 

 

 ……アリアばかりに気を取られてすっかり忘れていた。原作の始まり……勇者アリアのプロローグを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 原作ゲームにて、勇者アリアの物語は魔物によって村が滅ぼされることから始まる。両親は15歳の娘アリアをなんとか村から逃がすために魔物に立ち向かい……亡くなった。

 

 

 

 ゲームという視点で見ればよくある展開で、この悲劇を糧にアリアは勇者として強くなり幸せを自らつかみ取る……のだが、この時点でのアリアは大人と比べても聡明で物分かりの良い、ただの少女であり、魔物の目的はアリアだった。

 

 

 

 というのも、原作では後から判明するが、ラスボス枠の魔王(偽)が勇者の力を欲して魔物をけしかけたのだ。村から出た後も魔物に襲われ……そこでアリアは勇者として覚醒した。そして死に物狂いで魔物を倒し尽くし*1、両親が遺した『街に向かえ』という言葉を頼りに街に向かい、仲間と出会うというストーリーだった。

 

 その際の魔物について、ラスボス戦の前に魔王(偽)から「入念に準備していたのに台無しにしやがって(意訳)」と愚痴を吐き勇者とプレイヤーの怒りを買うのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 そして今、ルシアンに憑依転生した俺によってその運命は大きく変わった。

 

 

 

 勇者であるアリアは村から連れ去られようとしており、街につけばおいそれと手を出せない。他の場所でもせっかくの準備が台無しになるだろう。

 

 

 

 ……一応警戒はしていた、というのは怠慢だろう。一回目の村へ訪れた際は魔物対策に多めに護衛を連れていた。しかし、アリア5歳ショックにて吹き飛んでしまった。それに、原作10年前では大して用意できてないだろうという油断が片隅にはあったのかもしれない。俺の圧政が原作開始の10年以上前から始まっていたように、準備も何年かかっていてもおかしくはない。だが、俺はそのことをすっかり失念していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 馬車の外を見ると、確かに兵士の言う通り、遠くに魔物の大群がこちらに向かっている様子が見えた。アリアも同じように外を見て、青ざめた顔で、馬車の揺れ以上に恐怖で体を震わせていた。魔物が良くあらわれる森の近くの村に住んでいたのだ。魔物の恐ろしさは良く知っているだろう。

 

 

 

 

 

「る、ルシアン……さ、ま」

 

「……俺がやるしかない」

 

 

 

 縋るような視線を向けてくるアリアの様子を見て、俺は決意を固めた。……もとより俺の油断が招いた事態だ。俺が解決するのが筋だろう。

 

 

 

「クラウス! 馬車を止めろ!!」

 

 

 

 俺は後ろに続くクラウスと両親が乗っている馬車に向かって大声を張り上げた。

 

 停止を確認してから、俺らが乗る馬車も同じように止めさせた。

 

 

 

 周囲の護衛の兵士も止まり、俺は馬車を降りて報告に来た兵士に寄って命令した。

 

 

 

「馬を降りて俺に貸せ」

 

「りょ、領主様?」

 

「……どうなさりますか」

 

 

 

 クラウスが馬車を降りて俺の方に尋ねに来た。

 

 幸い魔物の群れはまだ遠く、止まってもすぐに追いつかれる雰囲気はない。が、それも時間の問題だろう。

 

 

 

「クラウスは兵士を統べて馬車を守れ。……おい、早くしろ」

 

「は、はい! 今すぐ!」

 

 

 

 兵士が慌てて降りるのを横目にアリアを探す……と、俺について来て馬車を降りていたのかすぐ右後ろにいることに気づいた。アリアは恐怖と心配の入り混じった顔で俺を見あげ、拠り所を探すように俺の服を掴んでいた。

 

 

 

「アリア、馬に乗った経験はあるか」

 

「……」

 

 

 

 ふるふると、無言で首を振るアリア。まあそうだろうなと思いつつ、俺は兵士が降りた馬に乗った。そして、アリアに向けて手を差し出す。

 

 

 

「アリア、前に乗れ」

 

「え……」

 

「一体何を……」

 

「説明は後だ。魔物の狙いはアリアだ。このまま馬車でのろのろ動いていたらただの的だ。俺はアリアを連れて馬で奴らを振り切る。残りは馬車を護衛し、片付いたら後から付いてこい」

 

 

 

 遠目で詳細はわからないが、魔物は馬単騎の全速力よりは遅いだろう。それに、原作でも馬を使って魔物を振り切るシーンはある。素早さ重視の魔物ならそうもいかないだろうが、今回の敵は違うだろう*2

 

 

 

「安心しろ、たとえ追いつかれようと俺が返り討ちにする。俺は強い」

 

 

 

 そういうと、過去の俺の暴れぶりを知っている護衛の兵士たちは途端に安堵した表情を見せた。ただ、今のが虚勢であることを知っているクラウスを除いて。

 

 

 

「領主様……」

 

「……最悪、力を使う」

 

「それは……」

 

 

 

 悪魔の力の使い方はこの体が知っている。……当然、代償もよく知っている。だが、これは俺が招いた事態だ。何とかするのも俺の責任だ。

 

 ……まあ力を使って俺が元通りになれば原作と似たような展開になるだろう。事情をよく知るクラウスもいるし、クラウスが代わりに3人を育てて悪魔を倒すかもしれない。

 

 

 

「アリア、狙われているのはお前だ」

 

「アリアが……」

 

 

 

 なにか言いたげなクラウスを無視して、俺はアリアに訴えた。もう時間があまりない。

 

 

 

「だが、ここで襲われれば両親も巻き込まれるだろう。嫌ならば手を取り馬に乗れ」

 

「……わかった」

 

 

 

 アリアは頷き、周囲を見渡した。そしてクラウスに外に出ないよう厳命されているのだろう……馬車から身を乗り出して不安そうにこちらを見ている両親に向かって大きく叫んだ。

 

 

 

「パパママ! アリア、ルシアンさまといくね! ぜったいかえるから! まっててね!」

 

 

 

 そう言って手を大きく振ってから、覚悟を決めた顔で俺の手を取って馬に乗り込んだ。

 

 

 

「クラウス、あとは頼んだ」

 

「……かしこまりました」

 

 

 

 後ろから娘を呼び駆け寄ってくる両親を振り切るように、俺は馬の手綱を引き走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 馬で駆けること暫く、俺は作戦が上手く行っていることを実感していた。

 

 

 

 魔物は案の定、大半が馬車ではなくこちらに向かって来ていた。しかし馬は問題なく道を駆けて魔物との距離を引き離している。馬の乗り方はルシアンの体が知っている。これでも領主の息子だ。乗馬経験は豊富にある。

 

 

 

「……大丈夫か」

 

「うん、平気」

 

 

 

 そしてアリアも、最初は怖気づいており俺が片腕で支えていたが、俺の羽織っている外套の中に入れば安定することに気づいてからは俺の服を握りしめて落ち着いていた。この時ばかりはアリアが5歳と軽い存在で助かった。あまり重いと俺の貧弱ステじゃ支えきれない可能性もあったから。

 

 おかげで今は両手で手綱を握れるため、馬の速度はさらに上がり魔物との距離をどんどん離していた。

 

 

 

「あっ……」

 

「っ! アリア!」

 

 

 

 ……だが、幸運も長くは続かなかった。

 

 アリアの外套を握る手がふと緩んだ瞬間、馬が少し大きく揺れてアリアがバランスを崩した。それを支えようと俺は手綱から手を放し……馬が暴れ、俺とアリアは落馬した。

 

 

 

「うぐっ……」

 

 

 

 だが幸いだったのは、背中から落馬したこと、道の上ではなくやわらかい草地の上だったこと。

 

 

 

「ルシアンさま!」

 

 

 

 アリアが大変軽く、俺を下敷きにしたためアリアにけがはなかったこと。

 

 

 

 ……そして不幸なのは、そこそこ離れていた魔物との距離がぐんぐんと縮まっていること。

 

 

 

「……ここまでか」

 

 

 

 俺が諦め、悪魔の力を使おうとしたその時、

 

 

 

「ルシアンさま」

 

 

 

 やけに落ち着いたアリアの声が耳に入った。

 

 

 

「……どうした」

 

「アリアのさいのうってなに?」

 

「……随分と唐突だな」

 

「それって、いまつかえるの?」

 

「それは……」

 

 

 

 アリアは俺の前に立ち、魔物を見ているので表情は分からない。だが、俺はそのセリフに5歳児が発するとは思えないほど有無を言わさないプレッシャーを感じた。

 

 

 

「ああ、使えるかは分からんが、使えたらこんな状況は一瞬で解決するだろう」

 

「わかった」

 

「だが……」

 

 

 

 俺が「今使えないものに頼るわけにもいかない、ここは俺が」と続けるのを中断させたのは、アリアの……幾度となく聞いた聞きなじみのある……そしてこの世界では初めて聞いた呪文だった。

 

 

 

「『ホーリー・パニッシュ』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【勇者アリアの回顧】

 

 

 

 

 

 

 

 ルシアン様と出会った時のことは、今でも鮮明に覚えている。

 

 

 

 

 

 突如領主様と会うことになったと案内された馬車はただの村人の娘でしかない私から見ても立派なもので、中に居たのも豪華できれいな服を着た若い大人の男性だった。

 

 

 

 いきなり知らない偉い人に会えと言われた状況、普通ならば怖気づくものだろう。私もルシアン様に出会う前はそうだった。

 

 

 

 どんな会話をしたのか、詳しいことは覚えていない。ただ、唯一覚えているのは……ルシアン様の目だった。

 

 ルシアン様は領主としては人々から嫌われているらしい。横柄な態度で、相手を物のように扱う、と。

 

 確かに横柄な態度だとは思う。エラそうな態度、と言われたらルシアン様を思い起こすし、返事もそっけないことが多いし……勇気を出してアプローチしても軽く流されるし。

 

 ただ……私を見ている時のルシアン様の目は違った。あれは物を見る目なんかじゃなくて、親愛とも恋愛とも違う……言葉に言い表すのは難しいけど、確かな愛情を持っているように感じた。簡単に言えば、優しい目をしていたってこと。

 

 

 

 それは出会った時から感じていたし、聞いていた話や横柄な態度とギャップを感じて、そこから興味をもった気がする。実際にそれを確かめたくて、わざと困らせようとしたりわがままを言ったり……今思い出すと恥ずかしいこともあるけど、とにかく私がいくら迷惑をかけてもルシアン様を困らせるのはできても、怒らせたり注意を受けることは一切なかった。

 

 

 

 そして、興味深いことに、その目はだれにでも向けているわけじゃないってことがある。最初は私だけ……と思っていたけど、ミオとかクロエにもその目を向けていて……気づいた時は浮気を見つけた気分になってしまったけど。

 

 とにかく、当然「なんで私?」って疑問は生まれるわけで、それは勇者の力に目覚めた後も同じだった。あの目は勇者の力じゃなくて、「私」に向けられていたと確信してるし、力が欲しいだけならあんなに愛情にあふれた目を向けられるのは……自分で言ってて恥ずかしくなってきた。

 

 

 

 ま、まあ勇者の力に目覚めたきっかけもルシアン様なんだけど。

 

 

 

 随分昔の話だし、私も5歳だったから詳しいことは忘れてしまったけど、馬から落ちて魔物に襲われる直前の、覚悟を決めていて……何かを諦めていたルシアン様の目をよく覚えている。これは私とクラウスさんくらいしか気づいてないけど、ルシアン様は感情が良く目に表れる。私やミオ、クロエを見るときは愛情でいっぱいだし、困ったときや動揺しているときは目が泳ぐし、照れている時は目をそらす。そして諦めた時は……眼の光がなくなっていた。

 

 

 

 私はそれが悔しくて、「ルシアン様を守りたい」という想いで勇者の力に目覚めたんだ。

 

 

 

 そして、魔物はあっさりと倒してしまった。

 

 

 

 まあ私は魔力切れで倒れちゃったからそのあとのことは一切覚えてない。

 

 

 

 ただ、公的にはルシアン様が魔物を倒したことになっていて、私の力については隠されていた。

 

 そのことを話した時のルシアン様の目は申し訳なさそうに落ち込んでいたけど、私は全く気にせず……むしろルシアン様との2人だけの秘密ができたと喜んでいた。*3

 

 

 

 それからは私は街で伸び伸びと育った。

 

 専属教師から勉強を教わったり、勉強から逃げ出して仕事中のルシアン様のところに行って困らせたり、ルシアン様と買い物や食事のために街にいったり、ルシアン様から直接戦い方を学んだり、家族とのんびり過ごしたり、妹ができてお姉ちゃんになったり、ミオとクロエというかけがえのない友達や仲間を手に入れたり、ルシアン様のお見合いを邪魔したり、乙女なりにルシアン様にアプローチしては散々な結果になったり……と語るにはキリがないほどいろんな思い出を作った。

 

 

 

 

 

 

 

 そして、ルシアン様の体には悪魔が住み着いていると明かされて……その悪魔をあっさりと倒してから暫く経ったある日のこと、私とミオとクロエはルシアン様に呼び出された。

 

 

 

「あ、クラウスさんだ」

 

「ん」

 

「あら、こんにちわ~」

 

「おや、アリア様方も呼ばれたので?」

 

 

 

 その部屋には先にクラウスさんもいたが、私たちが来たことに意外そうにしていた。どうやらクラウスさんも呼び出しの内容は知らないらしい。

 

 

 

 なんだろう……じつはもう一体悪魔がいるとか? でもそれならクラウスさんが知ってるだろうしなぁ……

 

 

 

「悪い。待たせた」

 

 

 

 ちょっと不安な気持ちになりながら待っていると、ルシアン様が……1人の美少女を連れて部屋に入ってきた。黒髪を後ろでまとめ、動きやすい軽装の革鎧と武骨な長剣を纏うスレンダーな少女はいかにも傭兵といった格好だった。

 

 

 

 ……酷く嫌な予感がした。

 

 

 

「先に紹介しよう。新たに雇った傭兵のエレナだ」

 

「どうも」

 

「「「……」」」

 

 

 

 予感は的中してしまった。彼女、エレナを見るルシアン様の目が……私たちを見るときと同じ「あの目」をしていた。

 

 

 

 そんな私の内面など知るわけもなく、領主様は覚悟を決めた目ではっきりと告げた……私が最も言って欲しくないことを。

 

 

 

「今まで、お前たちを散々利用していた。すべてはあの悪魔を倒すためにな。クラウスは俺の計画を知っていたが、俺が口止めしていた。ああ……白状しようが許されないのは到底承知の上だ。だが、その上で謝罪する。すまなかった。今更になるが、お前たちを解放する。贖罪にもならんが、館の物は何でも持って行ってくれて構わない。俺に用意できるものは用意しよう」

 

 

 

 あまりにも……あまりにも一方的な突き放しに呆然とする私たちに、ルシアン様は更なる追い打ちをかけた。

 

 

 

「今までお前たちに頼んでいた護衛は、今後はエレナに頼むことなる」

 

 

 

 ……それは、唐突な解雇通知(リストラ)だった。

*1
なおゲームとしては初戦闘兼チュートリアル

*2
ゲームでも初期ステのアリアに速さで負けていた

*3
もちろんクラウスも知っていた




祝★あらすじ回収


アリア視点のルシアンが相当なクソボケ具合になったが、いちおうクソボケ側にも解雇通知にはちゃんとした理由があります。まあアリアたちが納得できるものでは到底ありませんが
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