ARC-V、なのか…?   作:鳩シンクロ

3 / 5
掲示板に浮気しちゃって遅くなりましたが、第3話です!
第2話を投稿したあたりからお気に入りに登録してくださった方が増えて、なんと感想までいただけちゃいました。本当にありがとうございます!

■投稿予定
 ・榊遊矢がEM魔術師オッドアイズではなく糾罪巧を握ってしまった世界
  1.榊遊矢が糾罪巧を握ってしまった世界【糾罪巧】
  2.柊柚子の恋心(圧)【ヘカトンケイル】 ←今ココ
  3.権現坂昇の新しい友人【キラーチューン】

 ・榊遊矢がEM魔術師オッドアイズではなく獄神を握ってしまった世界
  1.これもうズァーク覚醒してるだろ【獄神】
  2.ユーリの青春アカデミア【アルトメギア】
  3.ユートの侵略大作戦【ドゥームズ】
  4.ユーゴの華麗なドルオタ生活【エルフェンノーツ】

 ・おまけ
  1.ストロング石島のストロングな日々

■注意事項
アクションデュエルのルールは漫画版を参考にしてます。
冒頭は本作第1話の部分からですが、途中からアニメ10話付近まで飛びます。


柊柚子の恋心(圧)

「遊矢……」

柊 柚子は友人である権現坂 昇と、父である柊 修三、遊矢の母 ヨーコと共にストロング石島対榊遊矢のエキシビションマッチを観戦していた。

 

ユニ、コン……? は? 何よその(メス)

ちょっと普通よりスタイルがすこーしだけ良いからって……は? 何その意味深な衣装の隙間は? 遊矢、嘘よね? そんな獣畜生なんかに騙されたりしないわよね? 遊矢の事ならそんな獣風情よりも私の方が良く知ってるわよ? 遊矢のお父さんが居なくなったときにずっと傍に居たのは誰? 私(と権現坂)よ? 私が作ったパンケーキを好きって言ってくれたじゃない。それってつまり私の事好きってことよね。*1私のこと、好きって言ってたのに。*2ねえ、言ってたよね?*3 ()()何? え、わかんない、貴方の何なの? そんなのが良いの? そんなわけないよね……ねえ、そうだよね、そんな事しないよね、遊矢は。

 

―――私は遊矢のことを考えるだけで頭がいっぱいで苦しくて仕方が無いのに。

遊矢は私と一生一緒に居るものね?

他の子なんて要らないわよね?

大丈夫、私が絶対に守るから。

遊矢の傍は私のものだから。

遊矢はきっと遠いところへ行けるけど、それでも私は絶対に隣で遊矢の手を握っているから。

そのために私は……

 

暗く、昏く、深く、それでいて確かな愛によって柊 柚子という存在は自身の在り方を変容させていく。

 

****

 

遊矢とストロング石島のエキシビションマッチから数日が経った頃。

舞網市の大企業 レオ・コーポレーションが運営する決闘塾LDS(レオ・デュエルスクール)の理事長 赤馬 日美香が3人の塾生を引き連れ、遊矢の(ペンデュラム)カードを自らの塾へ取り込もうと遊勝塾の乗っ取りをかけて勝負を挑んできた。

一人目の刺客 エクシーズ使いの志島 北斗は遊矢と対戦し、遊矢が勝利。

そして今、二人目の刺客 光津 真澄と柚子の対戦が始まろうとしていた。

 

デュエルスペース入口のすぐそばにある待機所にて、遊勝塾のメンバーや権現坂道場の跡取り息子でありながら、友の窮地を救うために参戦した権現坂たちから激励の言葉を贈られるも、どこか届いていないかのような印象を受ける柚子を心配して遊矢が声を掛ける。

 

「柚子? 大丈夫か? 体調でも悪いなら俺がもう1回戦ってくるように調整を―――」

「―――ううん。大丈夫」

 

いままでの無反応が嘘だったかのように遊矢の声に反応して笑顔でそう答える。

 

「本当に大丈夫か?」

「もう、ちょっと考え事してただけよ。心配しすぎなんだから」

「そ、そうか?」

 

「―――ねえ、遊矢」

 

緊張。なんてことのない、いつもと同じただの呼びかけ……のはずが、無意識に遊矢の体にナニカが絡みつくような緊張感が走る。

 

「遊矢がエニアクラフトを披露したあの日から……ううん。もっと前から、遊矢はもっとずっと遠いところに行けるって私、気づいてたの。

 それなのに、私はあの時まで自分から変わろうとはしなかった。

 だけど、あの時の遊矢を見て変わるって決めたの。

 ―――遊矢がどんなに遠くへ行っても、

 ―――どんなに多くの人と出会っても、

 ―――遊矢の隣には私が居て、私は絶対に貴方の手を取るから。

 貴方を絶対に一人になんてさせてあげない(私を置いて行ったりなんて絶対にさせない)から

「私のデュエル、見ててねっ!」

 

「……………うんっ! そうだなっ!」

 

遊矢はひとまず笑顔で肯定した。脳の処理が追い付かなかったのだ。

かちゃり。とドアが開き、対戦相手である光津 真澄も待機所へ姿を現す。

仲間の北斗が散々に負けたからだろうか、それとも理事長である日美香からかけられたプレッシャー故か、少しでもデュエルを有利に進めたいという欲求が真澄の中で顔を見せ半ば無意識のまま心理フェイズを仕掛けようとして―――

 

「あら、貴女が対戦相手? 貴方の目……くす、くすんで……えっ怖。何その目……」

 

柚子の瞳を見てしまった真澄は蛇に睨まれた蛙の様に固まってしまった。

そんな様子を一切気にせず、柚子は真澄の手を取ってデュエルスペースへ案内する。

 

「フフッ。さあ、デュエルを始めましょう?」

 

***

(―――なんなのこの子)

光津 真澄は恐怖していた。

対戦相手である少女の目を見た真澄はまるで見てはいけない禁忌を覗いてしまったかのような恐怖に震えていた。宝石商を営む家に生まれたが故に幼少のころから多くの『本物の輝き』を目にする機会が多かった彼女は、人の目を見るだけで相手の心を見通すセンスが自然と磨かれていった。

だからこそ、対戦相手として佇む眼前の相手が秘めているその心に恐怖した。

 

(くすんでいる、なんてレベルの話じゃないわよ……!

 混沌とか深淵とかでも足りないくらいに昏くて重くてジメジメとした……えっこの子私と同い年って聞いてたんだけど。ホントに14歳の普通の人間? 現世に14年間居座ってるだけの女幽霊とかじゃなくて???)

(くっ、こうなったらあの二人のどっちかに対戦変わってもら……ダメだわ。北斗は榊 遊矢にボコボコにされて凹んでるし藤堂は能天気にこっちの応援してるし……! アホ!ばか!役立たず!)

 

冷や汗はとめどなく背筋を流れているし、足だって本当は今にも崩れ落ちそうなところを気合でこらえている。増援も交代も見込めないと悟った真澄は覚悟を決めて立ち向かう。

 

「やるしか、ないみたいね」

 

『よーし。二人とも準備できたみたいだな。それじゃあ行くぞ!

 戦いの殿堂に集いしデュエリストたちが、モンスターとともに地を蹴り、宙を舞い、フィールド内を駆け巡る! 見よ、これぞ、デュエルの最強進化形、アクション―――』

 

「「デュエル!」」

 

デュエルスペースがリアルソリッドビジョンにより磨き抜かれた豪奢な回廊へと書き換わり。

頭上の光が弾けフィールドへ降り注ぐ。

 

光津真澄 LP4000

VS

柊柚子 LP4000

 

***

デュエルディスクが先行を指し示したのは真澄。

 

「最初っから全力で行かせてもらうわよ!

 私は手札から《ジェムナイト・フュージョン》を発動!手札の《ジェムナイト・サフィア》、《ジェムナイト・オブシディア》を融合!

 堅牢なる蒼き意志よ、鋭利な漆黒よ、光り輝きて新たな輝きと一つとならん!

 融合召喚! 現れよ《ジェムナイト・アクアマリナ》!」

『ハァッ!』

 《ジェムナイト・アクアマリナ》星6/地属性/水族/守2600

 

巨大な盾を持つ青き騎士が真澄を守るように立ちはだかる。

真澄が得意とする戦術は融合召喚。

異なる存在を融け合わせることで一つの大きな力を生み出す召喚法。そして彼女のそれは、たった1度では終わらない。

 

「墓地へ送られた《ジェムナイト・オブシディア》の効果により、墓地の《ジェムナイト・サフィア》を特殊召喚!

 更に、墓地の《ジェムナイト・フュージョン》の効果発動! 墓地のジェムナイトモンスター1体を除外する事でこのカードを手札に加え、再び発動! 場の《ジェムナイト・サフィア》

手札の《ジェムナイト・ラピス》を融合!

 神秘の力秘めし碧き石よ。今光となりて現れよ!

 融合召喚! 《ジェムナイトレディ・ラピスラズリ》!」

『フッ!』

 《ジェムナイトレディ・ラピスラズリ》星5/地属性/岩石族/攻2400

 

修道女のような青き乙女もまた、彼女の呼び声に応じ現れる。

 

「《ジェムナイトレディ・ラピスラズリ》の効果発動! デッキから《ジェムナイト・クォーツ》を墓地に送り、フィールドの特殊召喚されたモンスターの数×500ダメージ、すなわち1000ポイントのダメージを与える!」

「……」

 

 柊柚子 LP4000 → 3000

 

戦闘を行うことのできない先攻1ターン目からライフポイントを減らされながらも柚子は沈黙を貫き、ただ静かにそこへ佇む。

 

「ッ! カードを1枚伏せてターンエンド!」

 光津真澄 LP4000 手札5 → 0

 

(《ジェムナイト・アクアマリナ》には墓地に送られたときに相手のカードを1枚手札に戻す効果がある。それに今伏せたカードは《廃石融合》。墓地のジェムナイトたちを素材に新たなジェムナイトを呼ぶことができる……。その、はずなのに。この悪寒は何!?)

 

リードをしているのは間違いなく自分のはず。そう思いながらも余裕を崩さない柚子の姿に真澄は焦りを隠せないままターンを終える。

 

「私のターン、ドロー」

 柊柚子 手札5 → 6

 

ドローしたカードを確認し、柚子はにこやかに真澄へ話しかける。

 

「ねえ、貴女は好きな人ってできたこと、ある?」

「……ないけど」

「私はあるわ。ソイツはね、まだまだバレてないけど一人でどんなに遠くへでも行ってしまえるような才能を持っているの。だけど、そんなの嫌。どんな時でも、私の傍にいてほしい。でもそれでおとなしく監禁されてくれるような(タチ)でも無いし……だから、どんなにソイツが遠くへ行こうとも絶対にその手を取ることができるように私が変わってしまえばいいって気づいたの。

 これは変わった私の初お披露目の場なの。だからどうか、()()()()()()()()()()?」

「ひぃっ……!」

 

どろり、と柚子から泥のようなナニカがあふれ出る姿を真澄は幻視する。

 

「手札から《見えざる手(ヘカトンケイル)マキブエル》を公開して効果を発動。

 《見えざる手マキブエル》と《見えざる手ガイガス》を融合。

 狂える信徒、啓かれし賢人、蒙昧の愚者 ―――神は等しく抱擁する。

 融合召喚! 《見えざる神(ヘカトンケイル)ジャウザー》!」

 《見えざる神ジャウザー》星8/光属性/幻想魔族/攻2400

 

闇が地を満たす。

否。これは闇ではない。()()()()が地の底からあふれ出るように輝かしい回廊を汚し、ソレはこの地に顕現する。

無数の手を従えた神が今、柚子の場へと侍るようにその姿を現した。

 

「なんなの……そのモンスターは……!」

「この子たちはね、私が、私の好きな人の手を取るために、繋いだその手を絶対に離さないために力を貸してくれるの」

 

表情だけなら可憐に、いじらしく、恋する乙女そのものと言って良いほどに可愛らしい笑みを浮かべながら―――その瞳には一切の光を通さない暗闇が広がっていた。

 

「さあ、続けて行くわ。《見えざる神ジャウザー》の効果を発動し、《見えざる幽獄(ヘカトンケイル・タルタロス)》をデッキから手札に加える。

 そして手札から《融合》を発動し、手札の《見えざる手ゴッドス》、《見えざる手ブレアス》を融合。

 永遠に飢えと渇きに苦しむ王よ―――神は等しく抱擁する。

 融合召喚! 《見えざる手ダンダロス》!」

 《見えざる手ダンダロス》星7/闇属性/幻想魔族/攻2900

 

かろうじてヒトガタを保っていたジャウザーとは異なり、四本の腕と無数の触手を持つ異形の怪物もまた、柚子の場へ侍るように現れる。

 

「これで最後。《見えざる幽獄》を発動し、墓地の《見えざる手ガイガス》、《見えざる手ゴッドス》、《見えざる手ブレアス》を除外して融合。

 全てを等しく抱擁する神よ、昏き地の底より現れよ。

 融合召喚! 《見えざる神ゼノ》!」

 《見えざる神ゼノ》星9/闇属性/幻想魔族/攻3400

 

暗く、昏く、深く。

闇の底より、無数の手で編まれた身体を持つ巨大な龍神が今、姿を現す。

 

「あっ、あっ、あっ」

 

何よりも驚くべきことはこの竜ですらも、柚子を主として仰ぎ、侍るように存在していることだろう。それに気づいた真澄は……立っていられることが奇跡と言えるほどに、正気度を失っていた。

そして、柚子はそれでも尚、その手を緩めない。

 

「《見えざる手ダンダロス》の効果を発動。相手モンスター1体のコントロールを奪うわ。

 対象は……そうね。《ジェムナイトレディ・ラピスラズリ》」

 

神聖さすら放っていた修道女のような青き乙女が、ダンダロスから放たれた無数の触手に縛られ、神聖を堕とし、汚し、柚子の場へと引きずり出される。

 

「続けて《見えざる神ゼノ》の効果を発動。相手のエクストラデッキをランダムに2枚確認し、その中から1体を選んで自分の場に特殊召喚する。

 ……む、こっちの子は融合召喚でしか出せないのね。じゃあこっちね。

 《ジェムナイト・ジルコニア》を私の場に特殊召喚」

 《ジェムナイト・ジルコニア》星8/地属性/岩石族/攻2900

 

ゼノから放たれた不可視の手が真澄のエクストラデッキに眠っていた堅牢なる騎士を簒奪する。

 

「ラピスラズリ……ジルコニア……!」

「バトルよ。

 私の場に存在する《見えざる手ダンダロス》の効果により、ヘカトンケイル融合モンスター及び、元々の持ち主が相手である自分のモンスターは相手プレイヤーに直接攻撃できる。

 さあ、行きなさい! 私のモンスター達!」

 

無数の手を従えた神が、異形の怪物が、巨大な龍神が

そして、かつて仲間だった輝きが

真澄を守ろうとする青き騎士の防御をすり抜け、真澄の身を穿つ。

 

「ッあぁっぁあああああああッ!」

 

 光津真澄 LP4000 → ー10000

 WINNER! 柊 柚子!

 

吹き飛ばされた真澄はもう意識の外に置いたのか、待機所で観戦していた遊矢へ視線を移す。

 

(遊矢、新しい私の晴れ舞台、しっかり見ていてくれたかな。きっと、ううん。絶対見ていてくれたわよね。なんて言って褒めてくれるんだろう? 私はどんな言葉でも遊矢が私のために贈ってくれる言葉なら何でも嬉しいけど)

 

遊矢を見つめるその視線は、無数の手の様に絡まり、離さない。

 

「フフッ、お楽しみはこれから。よね。」

*1
そうかなぁ?

*2
言ってません

*3
言ったかな…言ったかも…?




ジェムナイト側がパワカ多すぎていろいろ自重させたら今度はこうなっちゃった…。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。